3、新しい恋人
終業式が終わってうちの高校はもう夏休みに入った。そして、今日は仁くんの家で一緒に宿題をしていた。
「蓮、ここ分かるか?」
「どこ?」
「う~ん、分かんない。ヒナに訊いてみる?」
「姉貴、今日はデート」
「そういえば来たとき言ってたね。じゃあそこはヒナが帰ってきてからにしよ。それまでちょっと休憩させて」
私はベッドにもたれ掛かった。彼氏か。仁くんもいつか彼女とかできるのかな?そうしたら遊べる頻度も減るかも。友達が取られるのって少し寂しいな。
それから気付いたら寝ていて目を覚ますと2時間も経っていた。
「15分くらいのつもりだったのに。ごめんね、そろそろ帰るね」
「ああ、またな」
「うん」
翌日、今日は仁くんと春雪と一緒にアニメショップに行く。
「おはよう」
「はよ」
「おはよ!蓮ちゃん!」
「うん。じゃあ全員揃ったしそろそろ行こ。」
「うん!」
私達は駅まで歩いて電車に乗った。すると、向かい側に座ってるカップルの彼氏さんと目が合って逸らされた。ん?あの人、確か……。
「仁くん、あの人って確かヒナの彼氏さんだよね?」
「ん?ああ。隣の奴誰だ?」
「私が知ってるわけないじゃん」
私と仁くんは小声で喋っていると電車が止まった。
「蓮ちゃん、あいつらも降りるよ。尾行しよ」
春雪はそう言って私と仁くんの腕を引いて歩いた。仁くんと春雪だと尾行するには注目浴びるだろうけどね。まあ、ヒナのためだ。
それから、水族館に着いた。ん?彼女でもない人と水族館?漫画だとだいたい浮気な気がする。
「仁くん、あの人って妹か姉とかいる?」
「いや、飛鷹以外に兄弟はいない」
ますます怪しくなってきた。しかも手繋いだり腕組んだり。明らかデートじゃん。なんと、大きい水槽の前でキスまでしていた。
「あいつ、ぶっ飛ばしてくる」
「待って、先にヒナ呼ぼう。やっぱり本人同士で解決しないと」
「お姉ちゃんなら今日は出掛けてるよ」
「え、マジか。どうしよう」
「蓮ちゃん、どうしよう。話してる内にあいつ、見失った」
詰みゲーだ。仕方ない、もう水族館楽しんだら帰ってヒナに報告するしかないな。
それから、水族館を一周して春雪がトイレに行っている間に私と仁くんは自販機でジュースを買って飲んでいた。
「あ、あの人見つけた」
私がヒナの彼氏の前まで行って立ち止まると仁くんも後からやってきた。
「こんにちは。ヒナの彼氏さんの飛鷹七緒さんですよね?」
「誰それ、人違いじゃない?俺、黄雛って子とは付き合ってないし。俺の彼女はマイって名前だし」
「私、ヒナって言ったのになんで黄雛って名前だって分かったんですか?」
「そ、それは……」
その人は黙り来んで視線を落とした。ヒナがたまたま水族館に来てたりしないかな?ってそんな都合がいいわけ
「蓮ちゃん!お姉ちゃんもここ来てたんだって!さっき会ってビビった!」
あった~。しかもいいタイミングで彼女さん戻ってきて飛鷹さんに微笑んで腕を組んで立ち上がった。
ヒナは彼女さんと飛鷹さんが腕を組んでいるのを見て走り去ってしまった。
駅に着いてやっとヒナに追い付いた。
「ヒナ!ハァ、やっと追い付いた」
息を整えながら私と春雪はヒナの腕に抱きついた。
「ヒナの強がり」
「お姉ちゃんのバカ」
私達はヒナを見上げてそう言うとヒナがえ、と驚いた顔をした。
「私、慰められると思ってたんだけど責められるの?」
慌てたヒナを見て私も春雪も笑ってしまった。
そして、家に帰るとちょうどお兄ちゃん達も帰ってきていたようだった。リオ兄はヒナを見て少し顔をしかめた。
「黄雛、何かあったのか?」
リオ兄がそう言ってこっちに歩いてきた。
「なんで分かるの?リオのバカ!」
ヒナはリオ兄の胸に顔を埋めて泣いた。リオ兄は目をぱちくりさせて固まっていた。すると、車からジュン兄が降りてきてジュン兄はリオ兄からヒナを引き剥がした。
「おい、ヒナ。彼氏いるんなら他の奴に抱きつくんじゃねえよ」
「ジュン兄、今それ禁句」
私が睨むとジュン兄は首を傾げた。するとヒナがポロポロと涙をこぼした。
「七緒……彼氏に、浮気されてたの」
ヒナが目を擦って言った。ヒナ、彼氏のこと大好きだったんだな。ジュン兄はそれを聞いたとたん見たことのないぐらい怖い顔をした。
「そうか。嫌なこと思い出させたな。……黄雛、彼氏の名前、飛鷹七緒だったか?」
「そうだけど」
「浮気相手と一緒にここに呼べ。話付けてやる」
「いいよ。私の問題だから」
「良くない。俺にとってお前は大切な幼馴染みだ。俺の大切な奴を泣かせる奴なんて許さねえ」
ヒナはジュン兄の顔を見て少し顔をひきつらせた。今日のジュン兄怖っ!ヒナはしぶしぶ連絡をした。
「取りあえず家に入ろう」
春雪がジュン兄とヒナの背中を押した。
それから30分後、飛鷹さんと彼女さんが蒼井家にやってきた。
「来たな」
ジュン兄が仁王立ちをして飛鷹さん達を迎えた。飛鷹さんはジュン兄を見て視線を移してヒナを睨み付けた。あんたにそんな資格ないのにな。
「黄雛、こいつら誰だよ」
「そっちこそ連れてる奴誰だよ」
ジュン兄の声に驚いたのか肩を強ばらせた。
「私は、ナオくんの彼女の葛木舞花です。ねえ、ナオくん。きひなさん?って誰?なんで知り合いなの?」
「知り合いっていうか、彼女。マイと同時に付き合ってたみたいな?」
飛鷹さんがそう言うとパチンと大きな音が玄関に響いた。マイさんが飛鷹さんに平手打ちを喰らわせたのだ。飛鷹さんだけじゃなくその場にいた全員が驚いただろう。玄関に沈黙が訪れた。
「何すんだよマイ!」
「それはこっちの台詞。あんた、堂々と浮気しておきながら悪びれもしないなんて最低!きひなさん、すみません。私、合コンで会ったので彼女はいないものだと思ってました。」
「葛木さんは悪くない。なあ、飛鷹」
ジュン兄が笑って言うと飛鷹さんは後退りをした。
「七緒、なんで浮気なんてしたの?」
「だってお前、ヒールばっか履いてくるから。俺が背が低いのを気にしてるって知ってるくせに」
「なにそれ。だったら言えば良かったじゃん」
「黄雛のことは好きだったから我慢はしてほしくないなと思って背が低い子と付き合えばいいかと」
すると、ジュン兄は飛鷹さんの胸ぐらを掴んだ。
「俺はな、これまで何人もの女の子と付き合ってきたけどな、どんな理由があろうとその子を泣かせたことはないし浮気もしたことがない。だからお前が浮気をしたせいでヒナを泣かせるのは許さない。」
「、すみません」
「ヒナに謝れよ」
「黄雛、悪かった。マイも。」
「もううちらに関わんないで」
「分かった」
飛鷹さんが帰っていってマイさんも帰った。すると、ジュン兄がヒナを抱きしめた。
「黄雛、明日かき氷でも食いに行くか?」
「うん。ハニーレモンの」
「1つ2200円もするんだけど」
「約束だからね」
ヒナはそう言って部屋に行ってしまった。
「まあ、2000円ぐらいいいんじゃない?ジュン兄バイトしてるし」
「仕方ねえな」
ジュン兄はそう言って蒼井家から出ていった。
「じゃあ私達もそろそろ帰るね。唯、帰ってきたらヒナが目を腫らしてて驚くだろうね」
「そうだな。そういえば今日、ショップ行けなかったけど明日行くか?」
「うん。春雪は明日大丈夫?」
「もちろん!」
「そっか、じゃあ仁くん、春雪、また明日」
私もリオ兄と一緒に蒼井家を出て家に戻った。
* * *
1ヵ月前、彼氏に浮気されて別れた。幼馴染みのジュンが2200円のかき氷を奢ってくれてそれがとても美味しかった。今日は私がカテキョをしている子が合コンを開いてくれた。
「センセ、絶対いい男捕まえてクズ彼氏より幸せになってね」
「あんがと。でも私、合コン初なんだよね。高1の夏に付き合い始めたから。」
「そいつの事思い出すの禁止。今日の相手は年上なんだから絶対そいつよりもいい人ばっかりだって」
「そうだね」
言ってるうちに相手が来た。ん?なんか見覚えしかない奴が混じってるな。するとそのソックリさんと目があった。
「私の知り合いにめっちゃ似てる」
笑いながら言うと腕を引っ張られて店の外まで連れてこられた。
「なんでここにいんの?黄雛」
「あれ?ジュン、本物だったの?」
「偽物に会ったことあるのか?」
「ううん。ないけど」
するとジュンはわざとらしく溜め息をついた。なんか感じ悪。
「お前、帰れよ」
「うるさいなあ。ジュンには関係ないじゃん」
「関係大ありだよ。あいつら、ヒナのことばっか狙ってくるぞ」
「全然いいよ。私も彼氏ほしいし」
「ダメだ」
「なんで?全員が私を狙ったらジュンにはメリットしかないじゃん。」
「メリットなんて1つもねえよ。用事が出来たってことで先に帰ろうぜ。昼飯はその辺で奢ってやるから」
「なんで?私彼氏ほしいんだけど」
「あいつを忘れるためか?」
「いや、まあ」
「受験生だろ」
「いいじゃん。年上彼氏だったら勉強教えてもらえるし」
するとジュンの顔が近づいてきた。なに?なんか近くない?え、待って、心臓壊れそう。気付いたときにはキスされていた。
「はっ、なん、で」
「俺が彼氏になるよ。んで、あいつのことなんて忘れさせてやる」
「だとしてもキスとか、」
「そんなに照れることか?」
「だって、ファーストキスだし」
そう言うとジュンはえ!と声を挙げてしばらく私の顔を見つめた。でも綺麗な顔してるな。レンよりも暗めの髪色で少し青が強めの瞳。兄妹だけど意外とレンとリオと似てないもんだな。
そんなことを思っているとジュンが頭を下げた。
「悪い。まさか、キスしたことないなんて思ってなかったから。」
「別に、謝らなくても。その代わりに私の彼氏になってくれる?」
「ああ。じゃあ付き合ったってことで合コン抜ける?」
ということで、合コンは抜けてご飯を食べに行くことになった。
「昼飯なに食う?」
「冷製パスタ。トマトクリーム」
「じゃあここから好きな店選んで」
「じゃあここ」
「了解」
なんだか変な気分だな。ジュンが彼氏とか違和感しかない。この前も同じように助手席に座ってかき氷を食べに行ったのに全くの別人な気がする。こっそりジュンの顔を盗み見た。顔熱っ。
それからお店に到着してパスタを食べた。驚くほど美味しかったので帰ったら仁達にも自慢しちゃお。
「ついでにデートして帰ろう。どこがいい?」
「じゃあ海」
「分かった。いい感じのビーチがあるところ知ってるからそこに行こう」
元カノと行った場所かな?てか、元カノ何人だっけ?2桁?しかも自分から振ったことがないとか。そもそもそんなにたくさん人を好きになれるものなの?なんとなくいいなって思って付き合ったら好かれてるか分からないからって何度も振られて。
こんなに優しくされて好かれてるか不安になるの?それとも皆に優しくしてるのかなって思うってこと?てか、キス、全部で何回したんだろ。キス以上のことも他の子としてきたんだろうな。
って何考えてんの私!これまでそんなの気にしたことなかったじゃん!なにモヤッとしてんの!?
なんか、私、ジュンのこと好きみたいじゃん。有り得ないんだけど。告られただけで好きになるとかわたしチョロすぎ。
「お~い、着いたぞ。眠いのか?」
「大丈夫。てか、やば~!めっちゃきれいなんだけど。ジュン、写真撮って!」
「ああ」
私はスマホを渡してビーチに走った。せっかく来たんだから楽しまないとね。
「綺麗に撮ってね」
「ヒナは美人だからどう撮っても綺麗に写るよ。じゃあ撮るぞ。はい、チーズ」
そんなマジ顔でお世辞をサラッと言わないでよ。勘違いしちゃうじゃん。
「ラムネ買いに行こうぜ」
「うん」
夏休みだからか人が多く海の家は賑わっているので私は前に置いてあるベンチで待つことになった。
「お姉さん、俺らこの後遊びに行くんだけど一緒に行かね?」
「いやいや、行くわけなくね?知らない人には着いてかないんだよ。今時、子供でも知ってるよ」
「リョウ」
「俺はハルマ。これで知り合っただろ?行こうぜ。ぜってえ楽しいから」
「おいおい、俺の彼女モテすぎだろ。でもまあ、貸してやるつもりは微塵もねえから諦めな」
ジュンが私を後ろから抱きしめて言うと2人は走り去った。てか、やば。めっちゃいい匂いするんだけど。何ドキドキしてんの私!
「暑いから離れて」
「ああ、悪い悪い」
ジュンは私にラムネを渡して隣に座った。なんか本当に付き合ってるんだな。そう思うと少し嬉しくなった。
すると1人の男が近づいてきた。
「あれ?潤じゃん!新しい彼女?どうせまたキスもせずに別れるんだろ?もう諦めれば」
「おい、大声で言うなよ」
「え、ジュンもキスしたことなかったの?」
「口にはだよ。身長差があるからどうしても額で精一杯っていうか。ヒナぐらい背が高くないと口には難しいんだよ」
そっか。ジュンもファーストキスだったんだ。なんだ。気にして損した。
「ヒナちゃんって言うのか?どうも、潤の親友の翔です」
「ヒナじゃなくてきひなです。LJKです」
「よろしく」
「よろしく」
私が翔さんと握手をした。
「よろしくしなくていい。翔は早くヒナの手を離せ」
「え、潤が嫉妬!?珍しい。今日大雨降るんじゃねえの?」
「は、嫉妬なんてしてねえし」
「今絶賛嫉妬中だろ。お前、これまでの彼女のことちゃんと好きだったか?きひなちゃんと態度違いすぎるけど」
「ヒナの前でそんなこと訊くんじゃねえよ」
「ほらな。前までなら普通に彼女の前で話してても気にしなかったろ?」
「それはそうだけど。俺も成長したんだよ。ヒナ、帰ろうぜ」
「え、うん。バイバイ!翔さん!」
それから車に戻った。なんか気まずい沈黙だな。すると突然ジュンに謝られた。
「ごめん。俺、これまではさ、好きだって言ってくれたから付き合うって感じで相手を本気で好きになったことがなかったと思う。でも、ヒナは。黄雛は違う。好きになりたいって思ったからヒナのことは傷付けない」
「うん!私もね、ジュンを好きになりたい」
そう言って2人で笑い合った。好きになりたいも何もそのうち好きになっちゃうんだろうな。あ、そうだ。せっかく前に進めるんだし……。
「あのさ、帰りにモール寄ってくれない?」
「いいよ。何か買うの?」
「ちょっと用事があって。ジュンは好きにまわってていいよ。時間掛かるから」
「分かった。」
モールに着いてすぐに私はある場所に向かった。
約30分後、ジュンにメッセージを送ってフードコートでジュンを待った。驚くかな?どんな顔をするんだろう。
「ヒナ?わ、え、マジで?めっちゃ短くなってる」
「1000円カットで切ってきた。これでもうあいつのことは忘れた。」
「そうか」
「もしかして長い方が好みだった?」
「いや、今の髪型も可愛いから両方好みになった」
「ありがと」
マジな顔して可愛いとか普通に照れるんだけど。カッコいいはよく言われるけど可愛いって言われなれてないんだよね。
「私はもう用事が済んだけどジュンは何か買ったりする?」
「俺は特に用はないから大丈夫。もう6時半だし帰るか」
「そうだね」
ジュンの車で家まで帰った。今日はすごいドキドキしたな~。
「今日はありがとう。なんか付き合ったってだけで結構意識しちゃった」
「俺も。えっとじゃあヒナ、またな」
「うん」
家に入って手を洗って荷物を部屋に持っていってリビングに降りた。
「え、髪短っ!」
「でしょ?切ったらスッキリした」
「あ、お姉ちゃんお帰り~」
「ただいま。あれ?唯と春雪だけ?仁は?」
「兄貴ならコンビニだけど」
「そっか。帰ってきたら教えて。大事な話があるか、ら……」
私がそう言ったのと同時にリビングのドアが開いた。
「え、髪短っ」
「唯と同じこと言ってる。まあ、取りあえず大事な話があるからきいて」
「何だよ、改まって」
仁がリビングに入ってきたのを確認して私は小さく深呼吸をして3人とびきりの笑顔を見せた。
「私、彼氏出来たよ」
「え!ホント!?どんな人?」
「相手誰?」
「変な奴じゃないか?」
3人は口々に言った。
「変な奴ってジュンだよ」
「え!潤くん!?」
「マジで!?」
「潤が彼氏ってことか?」
「だからそう言ってるじゃん」
私が笑って言うと春雪が服の裾を引っ張った。
「潤くんのこと好きだったの?」
「そういうわけじゃないんだけどね、今日合コンに行ってたんだけどジュンも来ててあいつのことを忘れるために彼氏がほしいって言ったら俺が彼氏になって忘れさせてやるって言われて」
「潤のこと好きじゃないのに付き合うのか?」
「まだ好きじゃないけど好きになる気がするの」
「そっか。」
そう言うと唯は誰かに電話を掛けた。
「もしもし、潤?うん。そう、今聞いた。」
「「姉貴(お姉ちゃん)のこと泣かせたら許さないから」」
春雪と唯は同時に言った。2人とも、私が泣いてるところ初めて見たって言ってたから恋愛方面で傷付くとまた泣くと思ってるのかな?
「潤がもし泣かせたら兄貴にも殴られる覚悟はできてるって」
「まあ、とりあえずおめでとう」
「ありがとう、仁。あんたも頑張りなよ。レン、鈍感すぎるから相当頑張ってアピらないと気付かないよ」
「何言ってんだよ!俺は別に、」
「レンのこと好きじゃないの?」
「そんなこともねえけど」
「仁兄って素直だよね。」
「うるせえ、部屋戻る」
仁は自室に行ってしまった。私も部屋に戻るとメッセージが着て窓を開けた。
「髪短っ!」
「皆同じ反応。それで、どうしたの?」
「お兄ちゃん……ジュン兄と付き合ったってホント?」
「うん。マジだよ。ジュンに聞いたの?」
「うん!でも良かった。ジュン兄ね、最近合コンも全然行かなくなったし、今日の合コンも人数合わせでどうしてもって言われて行ったんだよ。お兄ちゃんと翔さんとゲームしてたときに翔さんが言ってたの。ヒナを好きになったからだったんだね」
「う~ん、どうだろう。レンから見たらジュンは私を好きに見える?」
「うん。少女漫画のヒーローのまんまだよ」
「そっか。私達さ、好き同士で付き合ったわけじゃないんだけど明日にはもう好きになりそう。逆になんでこれまでこれまでなんとも思ってなかったのが嘘みたい」
「ヒナの相手がジュン兄で嬉しい。ジュン兄ならヒナを任せられる」
「レン、心配掛けてごめんね。両想いになったらすぐに報告するね」
「うん!待ってる!」
それから窓を閉めて私はベットに横になった。ホント驚くぐらいジュンを好きになりかけてるんだよね。別れてまだ1ヶ月だしずっと引きずってたのにジュンのお陰で全く気にならなくなった。単純だなぁ、私。
こんなすぐに他の人を好きになるなんて引かれないかな?でも、私のファーストキスを許可なく奪ったんだから責任はとってもらう義務はあるよね?