18、ハッピーバースデイ!
旅行から帰ってきた翌日。今日は仁くんの誕生日だ。なんとかお守りを完成させることができた。そして、今は蒼井家に来ている。
「仁くん!誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
仁くんは少し照れてそう言うと顔を背けた。
「ケーキ切り分けるよ~」
「やったあ!お母さん、私メロン乗せて!」
「春雪の誕生日じゃないわよ。」
「分かってるよ」
結愛さんがケーキを切り分けてそれぞれのお皿に乗せた。
「じゃあ、仁の誕生日を祝って乾杯!」
「乾杯!」
それぞれ好きなジュースやお酒をグラスに注いで乾杯をした。ジュン兄は大和さんに言われてお酒を飲んでいた。大和さんは酔っぱらって結愛さんに部屋に連れていかれた。
「仁くん、せっかくだから春雪と唯と考えたんだけど昔よくやったゲームを順番にしていかない?」
「ああ」
仁くんが頷くと春雪が2階に道具を取りに行った。
「じゃあ最初は私から。ツイスターゲーム!」
「楽しそう!」
「時間的にあんまり余裕がないからじゃんけんで勝った人が仁兄と勝負ね」
じゃんけんの結果私が仁くんの相手をすることになった。
「じゃあまずは仁兄から右手を赤」
「ああ」
「蓮ちゃんは右足を青」
「はい」
と指示に動いて手や足を置いていった。なんかだんだんと近くなってるような。てか、今、私が仰向けになって仁くんが重なってるか顔が近すぎるんだけど!仁くんの息が髪にかかるし。
「仁くん、近い」
「悪い」
「お~い、兄貴も蓮もゲームでイチャついてんじゃねえよ」
「「イチャついてない!」」
私と仁くんが同時に叫んだ瞬間、私はバランスを崩して倒れてしまった。
「蓮、頭打たなかったか?」
「うん。だいじょ」
目を開けると少し上に仁くんの顔があった。え、何これ。どういう状況?すると、ヒナが笑う声が聞こえた。
「仁がレンに床ドンしてる~。付き合ってないのに手を出してんじゃないわよ」
「いや、違っ。蓮、違うからな」
「う、うん。分かってる。」
私が頷いて起き上がろうとすると唯が仁くんを押して仁くんもバランスを崩して倒れた。すると、さっきよりも顔が近づいて今にもキスしそうな距離だ。
「わ、悪い。」
「仁くんが謝ることじゃないよ。そこでニヤニヤしてる人が謝らないと」
「あ、わり。手が滑った。」
「絶対わざとだ、こいつ。蓮、すぐに絞めてくるから待ってろよ」
「え、ちょっと」
私が仁くんのシャツを掴んだとき、仁くんが起き上がろうとしていたのでそのままバランスを崩して唇が重なった。
「ごめん。今のは100%私のせい」
「いい、けど」
「ホントにごめん。また、嫌な思いさせて。意図せず私に2回もキスすることになったし、好きな子がいるのに私なんかでホントごめん。」
「え、待って。2回ってなに?1回目いつ?」
ヒナが驚いたように訊いてきた。すると、唯が話そうとしていたので仁くんが睨んだ。すると、唯は目線を逸らして口笛を吹いた。
「ところで、仁兄も蓮ちゃんもいつまでそうしてるの?」
「あ、」
「立てるか?蓮」
「うん」
仁くんの手をとって立ち上がった。ヒナと春雪はニヤニヤ笑いながら見てくる。
「じゃあ次!唯!」
「俺は指示ゲーム。昔、じゃんけんに勝った人がなんか命令してただろ?ジュース持ってこいとか。それのグレートアップver.」
「それって王様ゲームなんじゃ」
「まあ、そんな感じ」
王様ゲームをこのメンバーでしたら半分の確率で兄妹と当たるの分かってるのかな?
「ねえ、唯。くじがないってことは名指しってこと?」
「いや、ルーレット」
「変な命令ないよね?」
「床ドンとかキスならあるけどキスはどこでもOKにしたから」
「えぇ~、キスあんの」
ヒナはあんまり乗り気ではなかったが強制的に参加させられた。
「「じゃんけんぽん!」」
1番最初は唯がルーレットを回した。
「姉貴が莉央にだな。で、指示が姫抱き」
「え、俺がされんの!?するんじゃなくて!?」
「なに?リオは私にお姫様抱っこされたくないの?」
「されたくねえよ!てか、無理だろ。俺のこと抱き上げるとか」
リオ兄がそう言うとヒナはニッと笑ってリオ兄を抱き上げた。
「体全体で支えたら案外いけるんだよ。ジュンでもいけたし」
「え、兄貴もされたのか?」
「ああ。なんかヒナが自分ばっかされるのが嫌だから俺のこともお姫様抱っこするとか言い出して」
ヒナらしい。
「で、いつまでお前はそうされてんだ?」
「いや知らねえよ。唯、いつまで?」
「後30秒」
「意外と長い」
それから30秒が経ってヒナがリオ兄を下ろした。ジュン兄はおつかれと言ってヒナを抱き上げていた。
「おいそこ!指示なしでイチャつくな!」
「俺らはカップルだから無条件でイチャイチャしていいんだよ。な、ヒナ」
「……」
「答えねえってことは同意だな」
ジュン兄がそう言ってヒナにキスをした。大和さんが酔ってて良かったね。
「長いわ、バカ」
「わりい。拒否されねえからいいかなって」
「拒否はしないけど目の前に兄妹と幼馴染みがいるのは忘れないで」
「忘れてたわ」
ジュン兄が笑ってヒナにキスをしてヒナを下ろした。
「さらっとキスするんだ」
「するよ」
唯がハア~と盛大に溜め息をついた。
「ゲーム進まねえから終わるまでは潤は姉貴の半径1mに入るな」
「分かった、分かった」
ジュン兄がヒナから離れてソファに座った。唯は満足そうにルーレットをまわした。
「俺が蓮に、だな。指示がキスだな」
「じゃあ頬っぺたにしてね。頬っぺならオーストリアの友達ともするし普通だよ」
「へ~。」
唯はそう言うと頬に唇を当てた。普通は直接唇をつけないが従兄弟達は挨拶のときに唇をつける。それだけ親しいってことなんだそうだ。
「ちょっとさぁ~、唯兄も蓮ちゃんも反応がつまんな~い」
「相手が蓮だしな~」
「相手が唯だからな~」
「「はあ?」」
「私だから、何?」
「蓮も同じこと言っただろ?」
「ほら、私は好きな人がいるからその人以外だとなんとも思わないっていうか」
「俺も別に好きじゃねえ相手だとなんとも思わねえよ」
私と唯はそう言って顔を見合わせて笑った。
「よし、次行こうぜ」
「だね」
「最後はまた蓮だな。もう一人は兄貴」
え、私と仁くん!?
「指示は恋人繋ぎだな」
「これって絶対合コンでするゲームじゃん」
「ちなみにこれは1時間な」
「え、待って。長すぎない?」
てか、事故だとしてもキスした相手と手を繋ぐとか心臓がもたない。
「てか、1時間も手を繋いでたらゲームできないよ。腕相撲とかトランプとか」
「片手で頑張ればいいだろ」
まあ、そうなんだけどさ。てか、仁くんはなんでなにもいわないの?好きな人がいるならすぐに嫌っていうものなんじゃないの?
「えっと、仁くんは別にいいの?」
「蓮が嫌じゃねえなら」
「嫌じゃ、ないけど」
「そうか」
仁くんはそう言うと手を出した。私は仁くんに手を重ねて指を絡めた。絶対ドキドキしてるの伝わってるよね!?
恥ずかしい。
「兄貴、運良いよな。これで蓮以外が当たってたら嫌じゃね?」
「そうだな。」
唯の言ってる意味は分かるよ。兄妹とかリオ兄とジュン兄よりは私の方がマシってことはさ。でも、期待しちゃうんだけど。
それから他のゲームもしたんだけどまだ1時間が経っていなかったので私はまだ仁くんと手を繋いでいた。それにしてもなんで仁くんはこんなに平然としてられるんだろう。私なんて、仁くんの顔見ただけでさっきのキスを思い出して恥ずかしくなるのに。しかも、感覚まで覚えてるからさらに恥ずかしい。
「悪いな、仁。俺バイトあるからそろそろ行くわ」
「俺も」
ジュン兄とリオ兄がこんな状況の私を置いて蒼井家のリビングから出ていった。バイトだとしてもさ、ひどくない?妹が困ってるんだよ?
「あ、私の友達が作品作るの手伝ってほしいから今からここに来るって。仁兄と蓮ちゃんは悪いけど仁兄の部屋で待ってて」
「え、2人で?ヒナと唯は?」
「俺は公園で自主練してくる」
「私は春雪の友達と喋ってる。仁は初対面だと怖がられるからさ、レンも一緒に隠れて」
ええ~!2人きりってこと!?キスして手を繋いで2人きりとか無理だって。
「あ、じゃあ私と仁くんは唯についてくよ。ボール出しくらいなら(仁くんが)できるし」
「まあ、いいけど」
それから蒼井家を出て公園に向かった。公園に行く途中に大福屋さんを通り掛かっておばちゃんが呼び止めた。
「あら、仁くんと蓮ちゃんは付き合ってたのね。知らなかったわ。あ、そうだ。縁結び大福、あげる。唯くんには梨の大福あげる」
「え、いや」
「遠慮しなくていいわよ。そのかわり縁結び大福、広めてね」
「あ、はい」
おばちゃんに手を振って公園に着いた。すると、唯がお腹を抱えて笑いだした。
「蓮ってマジで断んの下手だな」
「うるさい。仁くん、否定できなくてごめん。好きな子に勘違いされたら私も誤解を解くのを手伝うからね。」
「勘違いされてねえよ」
「え、なんで分かるの?」
「さあな」
「?」
とりあえず、おばちゃんにもらった大福を食べて唯の練習に付き合った。
「あ、そろそろ1時間だな。もういいぞ」
「うん」
なんか、ずっとドキドキしてて早く離したいって思ってたけどいざ離すとなるとちょっと寂しいな。
「離さねえのか?」
「あ、ごめん。」
私は仁くんから手を離した。まだ手を繋いでいたかったなんて仁くんに言えないけど仁くんもそう思ってくれてたらいいな。まあ、そんなことあるわけないか。
「暑いね」
「そうだな。なんか飲むか?」
「いや、別にいいよ。そもそもお財布持ってきてないからなにも買えないし」
私がそう言うと仁くんはスマホをかざして自販機でジュースを買って私に渡した。
「飲め」
「別にいいって」
「1口でいいから。残りは俺が飲む」
「分かった」
私はジュースを1口飲んで仁くんに返した。え、待って。これって間接キスなんじゃ。あ、でも今さらか。
「ありがとう」
「俺が心配だっただけだから気にするな」
「うん」
それから私と仁くんは先に家に帰ることにした。蒼井家のドアを開けると見覚えのない靴があった。
「そういえば春雪の友達が来てるんだっけ?」
「みたいだな。部屋行くか?」
「仁くんはいいの?」
「何が?」
「ほら、事故だけどさ、キスしちゃった後だし。それに仁くんは好きな子がいるんでしょ?」
「前も言ったけど俺の好きな奴は他に好きな奴がいるんだよ。それにキスを引きずってたらこれから一緒にいられねえよ」
「そうだね。ごめん」
だよね。好きでもない人とのキスなんてただ唇がぶつかっただけだもんね。
「蓮は2人は嫌か?」
「そういうわけじゃないよ。全然思ってない」
「そうか」
仁くんはそれだけ言って靴を脱いだ。そして、おやつを持ってくると言ってリビングに入っていった。すると、ヒナがリビングから出てきた。
「レンもおいでよ。暑いでしょ?」
「うん。暑い」
「じゃあ早く早く」
ヒナに引かれてリビングに行くと女の子が数人いて1人、見覚えのある子がいた。
「久しぶり!蓮ちゃん!」
「うん。久しぶり、沙理」
「え!沙理と蓮ちゃん知り合い!?」
「うん。私が盲腸で入院してたときあったでしょ?そのとき病院で仲良くなったんだ」
沙理がそう言って私にピースサインを向けた。すると、沙理と春雪以外の子達が怯えた表情をした。振り向くと仁くんがジュースとお菓子を持って立っていた。そっか。やっぱり初対面だと仁くんは怖がられちゃうんだ。
「じゃあ私達はそろそろ2階に行くね」
「イチャつくなら程々にね」
「ヒナ!なに言ってるの!?仁くん、早く行こ」
「あ、ああ」
私は仁くんの背中を押してリビングから出た。最近、唯だけじゃなくてヒナまで変なこと言い出すんだよなあ。仁くんがそれで少しでも意識してくれるならいいけど。
それから仁くんの部屋に行って仁くんはクーラーをつけた。
「蓮、観たいのあるか?」
「向こうで結構見たからな。あ、そうだ。久しぶりにドラマ観たいかも」
「じゃあ蓮が見たいやつ選んで再生して」
私は仁くんからタブレットを受け取って侑希達に進められたドラマを検索した。
「リビングの声聴こえるからイヤホンするか?」
「そうだね」
イヤホンを片耳につけた。仁くんは普段、イヤホンを使わないからワイヤレスイヤホンじゃなくてワイヤーのあるイヤホンなので片耳同士でつけると必然と距離が近くなる。
それからドラマを再生した。仁くんは再生して10分程で私の肩にもたれ掛かって寝てしまった。
「仁くん、疲れてるの?」
「……」
「このドラマね、男女で見ると意識してもらえるんだって」
「……」
「寝ちゃったら全然効果ないね」
仁くんの髪を撫でてみるとさらさらで驚いた。それからドラマを見終えて仁くんを起こそうと声を掛けた。
「仁くん、ドラマ見終わったよ」
「……」
「仁くん、起きて」
「……ん」
「起きて」
仁くんの肩を揺すると仁くんは眠そうに瞼を開いた。と思うと私の腕を掴んでベッドに押し付けた。ドサッという音がして目を開けると私の知っている仁くんのはずなのに見たことのない顔をしていた。
「……好きだ」
「え!」
私が声をあげると同時に仁くんはまた目を閉じてそのまま私にもたれ掛かった。ね、寝ぼけてる?好きな子と間違えたのかな?
私が頭を悩ませていると部屋のドアが開いた。すると、ヒナと女の子達が皆で立っていた。
「レン!叫び声が聞こえたけどどうしたの!?」
「あ、ごめん。なんでもない」
「てか、ホントになにしてんの?マジでイチャついてた?」
「違うよ!なんか、仁くんが寝ぼけてこうなったというか」
私が慌てて答えると仁くんが寝返りをうって私の胸に頭を乗せた。恥ずかしすぎる。私がわなわなと震えていると勘違いをしたのかヒナと春雪が仁くんを思いきり叩いた。
「仁のヘンタイ!いくら寝ぼけてるからってレンのおっぱいを枕にすんな!」
「そうだよ!仁兄、付き合ってもない女の子にベタベタしたらダメだよ!」
すると、やっと目が覚めたのか状況を把握した仁くんが私から慌てて離れた。
「わ、悪い!蓮!マジで寝ぼけてて!蓮の気が済むまで殴れ!」
「仁くん、別に怒ってないから。それよりも頭痛くない?大丈夫?」
「ああ。痛えけど目が覚めた」
「そっか」
仁くんはそう言うとジュースを飲んだ。ヒナは仁くんを睨んで私の方に向き直った。
「レン、嫌だったら嫌ってちゃんと言ってよ」
「分かってるよ」
「そう?だったらいいんだけどさ」
「ヒナ、心配してくれてありがとう。でもホントに大丈夫だよ」
「うん」
「そっか。じゃあリビング戻ろうか」
そう言うと他の子達と部屋を出ていった。ヒナ達が階段を下りていく足音が聞こえたところで私は仁くんの方に向いた。
「改めまして。仁くん、誕生日おめでとう」
私は手作りのお守りを渡した。
「仁くんが大きな怪我をしませんようにって思って作ったの」
「手作り?」
「ごめん、やっぱり手作りは嫌だよね?一応別で秋くらいにある船で夜景を見に行くツアーのチケットも用意したんだけど」
「嫌じゃねえよ。すげえ上手かったから驚いただけだ」
「そっか。良かった。でも、夜景も仁くんが良ければ一緒に行かない?ペアチケットだから嫌なら唯連れ」
「行く」
仁くんが私の言葉を遮るように答えた。そんなに夜景好きだったの?
「好きなの?」
「は!?」
「夜景」
「ああ、夜景のことか。まあ、割りと」
「それでか」
1週間後は花火大会だ。仁くんと2人で行くなんてやっぱり緊張するな。仁くんはなんで2人でって誘ってくれたんだろ?
「蓮、俺、寝ぼけてなんか言ってなかったか?」
『……好きだ』
「え、う、うん!言ってなかったと思うよ」
「そうか」
「あ、私、そろそろ帰るね。なんかちょっと疲れたみたい」
「大丈夫か?俺が部屋まで運ぶか?」
「大丈夫だよ。寝たら治る」
私は仁くんと1階に下りてヒナ達に声を掛けて蒼井家を出た。
それから数時間後、私は本当に熱を出したようだ。体がすごく熱い。頭が痛い。もう7時だけど両親も兄2人もバイトと仕事で家にいない。
「とりあえず、水」
私が階段を下りていると途中で足を滑らせて階段から落ちた。あ、ヤバ。幻覚が見えてきた。仁くんが心配そうに駆け寄ってくる。でも、意識が……。
それから目を開けると、仁くんが心配そうな顔つきで隣に座っていた。
「蓮、目覚めたか」
「え、なんで仁くんがいるの?」
「何回かメッセージ送ったけど既読になんねえから心配で見に来たら蓮が階段から落ちてきたんだよ。しかも声を掛けても全然返事しねえし。そんなやつ放って帰れねえだろ」
「そうだね。でももう起きたし大丈夫だよ」
私がその場を立ち上がるとふらついて仁くんに抱き止められた。
「無理すんなって。とりあえず寝とけ」
「お腹空いた」
「うどん作ってくる」
「私も下りる。1人は寂しい」
「うっ、わかったよ」
仁くんが私を抱き上げてリビングまで連れていってくれた。
「できるまで大人しく待ってろよ」
「うん!」
それから仁くんが野菜を切る音や煮込む音が聴こえてきて気がつくと目の前にうどんがあった。
「美味しそう。いただきます。ん~!美味しい!」
「良かったな」
それからうどんを食べ終えて薬を飲んで部屋に戻った。私は汗をかいていたので着替えてベッドに入った。
「仁くん」
「なんだ?」
「もう1回キスしたいって言ったら怒る?」
「はあ!?寝ぼけてるとしても男と二人きりのとき言うんじゃねえよ。襲われんぞ」
「本気なんだけどな。あ、でも今だと風邪、移っちゃうね」
「いいんだな?キスしても」
「いいよ」
仁くんがベッドの横に座って私に顔を近づけて唇を重ねた。
「じゃあな。ダルかったら呼べよ」
「うん」




