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16、事故キス


 もう今週の金曜日から夏休みが始まる。そして、今日はいつも以上に暑い。


「蓮、水飲んだか?」

「飲んだじゃん。さっき仁くんの目の前で、」

「もう一回飲んだ方が」

「まだ水分補給をして5分しか経ってないんですけど」


私がそう言うと唯が吹き出した。


「兄貴、なんか過保護じゃね?」

「一回目の前でぶっ倒れられたら誰だって過保護になるだろ」

「いや、知らねえよ」


唯が笑いながら答えると仁くんが不機嫌そうに顔を背けた。


「仁くん、心配してくれてありがとう。ちゃんと気を付けるから」

「ああ」


仁くんは心配そうな顔を私に向けて頷いた。まあ、正直仁くんなんて可愛いレベルでリョウちゃんからもらった手紙には熱中症の予防についてびっしり書かれていたしジュン兄は家を出る前に何度も水分補給をしろと言ってきた。


「うわあ、メッセージまで着てる」

「なに?潤から?」

「うん。水分補給しろよって」

「ヤバ、蓮の推しのスタンプと交互で8回も送ってきてる」


唯の言う通りジュン兄は何度も送ってくる。もう心配掛けたくないからちゃんと水分補給するって言ったのに全然信じてくれない。てか、仁くんがいるからいいじゃん。


「返信しねえの?」

「めんどくさい。」

「え、潤が可哀想。」

「じゃあ唯が返信して」

「やだよ、めんどい」

「一緒じゃん」


それから、お昼休みになって唯はクラスの子と食べるらしく私と仁くんはタクミンと一緒にお弁当を食べていた。


「2人とも今度プール行かね?家の近所に新しいスポーツ施設ができたんだけどそのチケットを母さんからもらってさ。何枚かあるから今週の日曜日に行かねえ?」

「行く!この前ヒナがおすすめしてくれたショップで新しい水着買ったから早く着たかったの!」

「仁は?」

「俺も行く。他は誰誘うんだ?翔弥?」

「いや、あいつは部活の大会だって。あと2枚あるから2人で誘ってみてよ」

「ああ」

「分かった」


それから放課後になって今日は唯が部活を休みなので一緒に帰っていた。


「そうだ。唯、最近近くにできたスポーツ施設分かる?」

「ああ。あれだろ?ウォータースライダーとか水上アスレチックとかあるとこの」

「そうそう。友達が誘ってくれてさ。一緒に」

「行く!絶対に行く!いつ!?」

「今週の日曜」

「ヤバっ、俺運良すぎなんだけど。その日部活休みだから行ける」


唯が嬉しそうに言った。ホントこういうところは昔から変わんないな。弟みたい。


「楽しみ。」


唯、めっちゃ嬉しそうだな。私もすごく楽しみになってきた。もう一人は侑希を誘おう。じゃないと私、女子一人になるし。


 それから数日後。日曜日。


「お~い!蓮ちゃん!仁!こっち!」

「おはよう、タクミン」

「おはよう。唯も」

「ダチって拓海かよ」

「なんか文句あんのか?」

「別に」


なんかこの2人あんまり仲良くないのかな?


「そういえばもう一人の人ってまだ?」

「さっき着いたって連絡来たよ。あ、ほら来た」

「レンレン!おはよう!」

「おはよう。こっちは仁くんの弟の」

「蒼井唯です。兄と蓮がお世話になってます」

「里中侑希です。噂には聞いてたけどやっぱりイケメンだね」

「ありがとうございます」


うわあ、二重人格じゃん。めっちゃ爽やかな顔で笑ってるし。


「そういえばレンレンって普段コンタクト?」

「裸眼だけど」

「じゃあおしゃれメガネ?」

「あ~、私、目の色素薄いからUVカットメガネかけてるの。海とかだったらサングラスかけるけどプールでかけると目立つから」

「確かに。」


侑希が感心したように頷いた。学校の登下校時も着けることがあるけど侑希はすぐに部活に行ってしまうので多分初めて見たのだろう。


「じゃあ早く着替えてプール入ろう」


それぞれ更衣室に行って水着に着替えた。私は髪をまとめておだんごにした。


「レンレン可愛い」

「ありがとう。カシュクールデザインって言うんだって。ヒナが言ってた」

「そうなんだ」

「侑希も可愛いね。詩音が選んだの?」

「なんで分かるの?」

「侑希だと動きやすさ重視にしそうだからスカートタイプは選ばないかなって」


そう言うと侑希はラッシュガードを羽織った。


「そうなの。私、身長高いからスカートとか可愛いのが似合わないんだよね。なのに詩音がこれにしなって渡してきて。買ってみたんだけどやっぱ似合わないよね?」

「似合わないわけないじゃん!脚が長いからミニスカートも似合うじゃん!コスプレも!」

「ヤバい。レンレンに惚れるところだったわ。ありがとう、レンレン。」

「うん。そうやって笑ってるのが一番可愛いよ」

「レンレン、マジで天然キラー」


侑希が笑ってそう言うとラッシュガードを脱いでロッカーの鍵を閉めた。


「じゃあ行こっか」


更衣室を出てプールのある広場に行くと仁くん達はすごく注目されていた。


「なんか注目されてるね」

「そうだね」

「お!来た来た」

「3人とも待たせてごめんね。ちょっとレンレンと喋ってて」

「そんなことないよ。それと蓮ちゃんも侑希も水着似合ってる。可愛い」

「ありがとう、タクミン」

「ばっ、お世辞とかわざわざ言わなくていいよ!」

「お世辞じゃねえし。マジで可愛いと思って言ったんだけど」


タクミンがそう言うと侑希は今までに見たことがないぐらい顔を真っ赤にした。


「私、ちょっと飲み物買ってくる!」


侑希はそう言うと走っていった。もしかしてこの反応は……侑希は可愛いって褒められるのに慣れてない!?


「蓮も。飲み物買ってこなくていいのか?」

「私は持ってきてるよ。ジュン兄が持たせたの方が正しいけど」

「良かった」


良くないよ。最初は2Lのペットボトルを持たせようとしてたんだから。しかも私が重いって言ったら唯か仁くんに持たせろとか唯はまだしも仁くんを荷物持ちになんてできるわけないじゃん!まあ、600mlで許してもらえたけど。


 それから侑希が戻ってきて皆でウォータースライダーに並んだ。


「ヤバい!楽しみ!」

「ちょっと、あんまり大きい声出さないでよ。ただでさえ目立ってるのにもっと目立つじゃん」

「言っとくけど目立ってんのは蓮だから。」

「私は目立ってない。唯が目立ってる」

「いや、蓮。ほとんどの男が蓮のむn」


唯が言いかけてると仁くんが唯の口を押さえた。


「蓮、これ羽織っとけ」

「でも、傷が見えちゃうよ」

「俺は気にしねえって。蓮が傷がある奴と一緒にいたくねえなら着るけど」

「そんなこと思ってないってば」

「じゃあ着とけ。蓮が注目されんの嫌だ」

「ありがとう」


私がラッシュガードを羽織ると唯もタクミンも侑希もニヤニヤと笑いながら私と仁くんを交互に見た。


「なんだよ」

「別に。兄貴と蓮ってお似合いだなって」

「唯、仁くんは好きな人がいるんだからそんなこと言わないでよ。困ってるじゃん」

「じゃあ兄貴はどんな人とお似合い?」

「仁くんの好きな人が誰か分からないけどその人が一番お似合いだと思う」


私がそう言うと侑希とタクミンは吹き出して唯はニヤニヤしながら仁くんを見た。え、私なんか変なこと言ったっけ?無意識で面白いこと言ったとか?


「次の人どうぞ~」

「あ、次だって。唯からでいいよ」

「よっしゃあ!」


唯が浮き輪に乗って滑っていった。


「ペアで滑ることもできますけどどうされますか?」

「私達は別で滑ります。レンレンとじんじんはどうする?」

「どうする?仁くん。人多いし一緒に行く?」

「え、まあ、蓮がいいなら」

「じゃあ私達はペアで滑ります」


それから侑希とタクミンが滑っていって私と仁くんはペア用の浮き輪で仁くんが後ろ、私が前に座って滑った。


「楽しかったね」

「そうだな」


私はプールからあがってラッシュガードを脱いで絞った。すると仁くんが私に背中を向けて立った。


「え、何?」

「蓮が変な目で見られないように」

「そっか。ありがとう」

「もう着たか?」

「うん」


仁くんは周りを見渡して振り返った。


「変な奴がいなくて良かった」

「仁くんの傷ってもう痛くないの?後から痛みだしたり」

「ああ」

「そっか。良かった」


私が微笑むと仁くんは目元優しくなった。


『え、見て。あの男の子ヤンキーっぽかったけど結構イケメンじゃない?』

『ホントだ』


そうそう。仁くんは目つきが悪くて怖がられがちだけど本当はとてもイケメンなのだ。だから一部の生徒には人気あるんだよね。


「あの、すみません」

「何ですか?」

「カップル向けのイベントがあるんですけど良ければ参加しませんか?」

「あの、私達付き合ってるわけじゃ」

「俺はいいけど」

「え、いいの?」

「ああ」


好きな人がいるんじゃ。でも、仁くんとイベントに出れるのは嬉しいし。


「あの、付き合ってなくても参加できますか?」

「もちろんです。参加される場合は広場に集まってください」


そう言うとスタッフさんは頭を下げて歩いていってしまった。


「じゃあ仁くん、一緒に参加してくれる?」

「ああ」

「やった。楽しみだね」


仁くんの顔を見上げると仁くんは目を逸らして頷いた。するとどこから見ていたのかニヤニヤと笑いながら唯と侑希とタクミンが歩いてきた。


「兄貴も蓮ももう少し素直になればいいのに」

「私は素直だけど」

「どこがだよ」


嬉しくて頬が緩んじゃうけどそれを隠してる訳じゃないし。


「イベントって何するんだろうね」

「なんだろうな」


それから広場に行くと参加者はテントのしたに集められた。


「ではイベントの内容をご説明します。皆さんには姫と王子、それぞれになってもらい捕まった姫を水上アスレチックを使って助けに行きます。そして姫は最後に王子と手を繋いでアスレチックの滑り台を滑りきるとクリアです。そして5分以内でそのタイムを競ってもらいます。」


スタッフの人がそう言うとてっきり彼女さん達が姫をやるのかと思ったら彼氏さんとじゃんけんを始めた人がいた。


「蓮、俺らもじゃんけんするか?」

「いや、無理。私にアスレチックとか。それに5分だし仁くんが王子になって」

「そう言うと思った」

「うん。仁くん、勝ってね」


5分って結構短いと思うんだけどな。そもそもクリア人数書いてあるけど1桁だし。


「じゃあ姫役の人はこちらに集まってください」


そう言われてスタッフの人についていくと半分ほどの人が男性だった。なんか意外。順番は着いて受け付けを終えた順なので私と仁くんが最後だ。ペアは全部で20ペアがある。仁くんに1位になってほしいな。


 それからイベントが開始された。一番初めの人はすぐに落ちてしまって失格になった。それから次々に失格になっていく。え、まだ誰もクリアしてないんだけど。そう思っていると私の前のペアのきれいなお姉さんが話し掛けてきた。


「あなたの彼氏さんはクリア出来そう?」

「あ、彼氏じゃなくて幼馴染みなんです。でも多分、いや、絶対にクリアすると思います」

「そうなんだ。うちの彼氏は無理そう。運動神経あんまりよくないから。でも、付き合ったばっかりだからカップルのイベントに出たかったんだって」

「そうなんですか。私達はまだ付き合ってないから羨ましいです。あ、でも、付き合えるかは分からないですけど!」


私が慌てて付け足すとお姉さんがフフッと笑った。


「頑張ってね。私の彼氏も小学校からの腐れ縁だから告白するのが怖いのはすごく分かるよ。でもね、告白しないと何も始まらないから」

「はい。ありがとうございます」


最後にお姉さんは先輩からのアドバイスと言って私の耳元であるとこを呟いた。しかも絶対に無理なこと。そしてお姉さんは滑り台の横の階段で上に登っていった。


お姉さんの言った通り彼氏さんは失格になってしまったけどお姉さんは嬉しそうに彼氏さんに駆け寄った。いいな。これまで失格のペアばっかりだったけど皆笑顔だった。まあ、そうだよね。好きな人が頑張ってくれるのは嬉しいもんね。


でも、私はわがままだから仁くんにはクリアしてほしい。絶対にクリアできると思うけど。


仁くんはスタートの合図と同時に走り出してアスレチックを渡っていく。てか、早っ!あっという間に目の前なんだけど。


「蓮、待たせたな」

「逆に待つ時間がなさすぎ」


そう言うと仁くんが笑って手を出した。私が仁くんに手を重ねると仁くんは私の手を握って滑り台の前に来た。


「なんかちょっと怖い。意外と高いね」

「蓮、悪い」


そう言うと仁くんは私を抱きしめて滑り台を滑った。ヤバい!心臓がもたない!


「怖くなかったか?」

「怖くはないけど驚いた」

「悪い。勝てってことは最短記録を塗り替えろって意味かと思って、もう少しで4分になりそうだったから」

「そ、そっか。ありがとう」


てか、心臓ヤバいから早く離れてほしいんだけど!私が心の中で叫んでいるとスタッフの人が駆け寄ってきた。


「最短記録です!おめでとうございます!そして、今日初クリアおめでとうございます!」

「アザっす。蓮に勝てって言われたんで勝ちました」

「素敵なカップルですね」

「アザっす」


ん?否定しないの?私が彼女って言われてるようなものだよ?まあ、仁くんは否定するのがめんどくさいからだろうけど私は期待しちゃうんだけど。


「景品のペアストラップです」

「ありがとうございます」

「アザっす」


それから唯達のところに戻ると3人が私と仁くんを囲んだ。


「レンレンもじんじんもいつまで手を繋いでるの」

「あ、わり」

「ううん、大丈夫」

「顔赤いぞ。また熱中症か?」

「違う」


仁くんが私の顔を覗き込んでくるからさらに顔が赤くなるじゃん。


「あ、手が滑った」

「おい、ゆっ」


仁くんが体制を崩して私にキスをした。


「わ、悪い!蓮!」

「仁くんが謝ることじゃ、」

「おい、唯!蓮に謝れよ」

「悪い悪い」

「ちゃんと謝れ」

「仁くん、そんなに怒らなくていいよ。別に仁くんなら嫌じゃないし」


ってなんか口が滑って変なことまで言っちゃった。


「特に深い意味はないから気にしないで!私、先に帰るね!」


私は急いでその場を走り去った。もう、何で今思い出すの!?お姉さんのアドバイスの『キスしてみたら案外意識されるよ』って言ってたの。恥ずかしすぎる!




 * * *



「唯のせいで蓮に嫌われたらどうすんだよ」

「あ~、それは大丈夫。」

「んなの言いきれねえよ。というか蓮、平然としてたけどもしかしてもう好きな奴と経験済みなのか?里中、知らねえか?」

「知らないよ。レンレンの好きな人なら知ってるけど」

「俺の知り合いか!?」

「知り合いっていうか。ねえ?」

「まあ」

「そうだな」


知り合いどころじゃないってことか?じゃあまさか、


「唯か!?」

「違えよ!そもそも蓮は俺を男として見てねえよ。俺がいようが平然と着替え出す奴だぞ」

「見たのか?」

「“見えた”んだよ。意図的に見たわけじゃねえ」


今はそんなことより蓮に話をつけねえと。


「俺も先に帰るわ」

「告るのか?」

「黙れ」


俺は急いで着替えて駅に向かった。蓮はもういなかったから1本前の電車に乗ったんだろう。俺はその電車よりも先に最寄り駅に着く快速に乗った。


駅に着くと思っていた通り蓮の電車よりも早かったようだ。そして蓮が電車から降りてきた。蓮の顔を見たら唇の感覚を思い出してくる。マジでこんなんバレたらキモがられるだろうな。


「蓮」

「仁くん、なんでいるの?」

「快速乗って先に帰ってきた」

「仁くんの顔を見たら思い出して恥ずかしいからあんまり顔を見たくないんだけど」


蓮がそう言って顔を背けた。恥ずかしいってことは平然なフリをしてただけか。良かった。


「蓮、一緒に帰ろうぜ」

「うん」


それからそのまま家に着いてしまった。へたれすぎだろ、俺。


「な、なあ蓮。花火大会一緒に行かないか?……2人で」

「……え!うん!行く!楽しみにしてる!」

「じゃあな」

「うん」


蓮が手を振って家に入った。ヤバい、蓮の反応が可愛すぎて勘違いしそうになった。蓮の好きな奴が誰かは知らねえがそいつより俺の方が絶対に蓮のことが好きだし蓮のことを知ってる。だから、蓮の好きな奴よりも俺のことを好きになってくれねえかな?




 * * *




仁くん、2人でって言ってたよね!?聞き間違いじゃないよね!?じゃあデートってこと!?でも、仁くんって好きな人がいるんだよね?やっぱり幼馴染みとして誘ってくれたのかな?じゃあ少しでも意識してもらえるように頑張ってみようかな。


「楽しみだなあ」


私はソファに飛び込んでそのまま目を閉じた。


それからどれくらい経ったかは分からないがピンポーン!とチャイムが鳴ってその音で目が覚めた。宅配便かな?置き配だよね?じゃあ誰だろう。眠いからいっか。そう思ってもう一度目を閉じるとスマホが鳴った。


「ん、はい、もしもし」

『起きてるなら出てこいよ。』

「なんだ、唯か。鍵開いてるから入ってきていいよ」

『無用心だな』


そして電話が切れると玄関のドアが開く音がして唯がリビングに入ってきた。私は起き上がってソファの端に寄った。


「なに?」

「兄貴と付き合ったか?」

「はい?付き合ってないですけど。てか、手が滑ったとか言ってたけどわざとなのバレバレだから。謝ってよ。仁くんに嫌われたかもしれないじゃん」

「わりいわりい」


唯はそう言って笑うとソファに座った。


「でも、キスしてもなんの進展もねえんだな」

「進展って。仁くんは好きな子がいるから進展なんてできないよ。あ、でも、花火大会は2人で行くことになったし意識してもらえるように頑張ってみようかなって」

「キスパワーで蓮が少し積極的になった」

「バカ。そんなわけないじゃん。もし次に仁くんにキスをするとしたら仁くんの好きな子が私のときだけ。それ以外のときにキスさせようとして押したりしたらヒナに告げ口する」


すると唯は少し驚いた顔をした後、お腹を抱えて笑った。


「分かった。というか俺も花火大会のことで言いに来たんだった。俺、中学のときの知り合いと行くから一緒に行けねえって言うつもりだったけどちょうど良かった」

「友達じゃなくて知り合いなんだ」

「まあな。ほとんど話したことねえし。今日、プールで会って誘われたから」


なんか唯が嬉しそう。その誘ってくれた子と花火見たかったのかな?


「へ~。あ、そうだ。唯、明日買い物付き合ってよ」

「無理。午前は部活。午後はゲーム」

「ゲームする暇があるなら付き合って」

「はあ?なんでだよ」

「今日、何したんだっけ?」

「分かったよ。」

「よろしい」

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