さてさて、そろそろGWのお時間。作中での話ね?
「カズヤ君、GW、どこかに遊びにいかない?」
GWまであと数日となった日の朝、朝礼前の時間帯に、コハルが僕に言った。
「ああ、別に問題ないよ。どうせ暇だったし」
「あ、どこか遊び行くの? 僕も一緒にいきたいな」
僕が答えると、チヒロが入ってきた。
「どうする?」
コハルの方へ顔を向ける。
「まあ、いいんじゃないかな。あ、だったら、文芸部のみんなでいこうよ。親睦会もかねて」
ちょっとがっかりしたような、楽しみなような、どちらともつかない表情で彼女は答えた。
「わかった。じゃあ、カズキに伝えてくるよ。アカリはよろしく」
「はーい。了解」
僕たちは短く言葉を交わして席を立った。
善は急げだ。先に別の人にとられてはたまらない。まあ、あの二人は僕らと違って交友関係がそこそこ広いから、もう予定が入ってる可能性もあるけれど。
すれ違い様、コハルは僕の耳元に口を寄せてささやいた。
「デートはまた今度だね」
「──っ!」
僕は口元を押さえて顔を背けた。
「──反則だろ……」
紅潮しているであろう頬を隠すように片手で口元を押さえつつ──ついでに言えば、にやけている口を隠す目的もある──、僕はカズキのもとへ向かった。
「あれ、いない」
まだ登校してきていないのか。いや、おはようを言った記憶はある。
ついでに言えば、朝礼まで残り三分。
いつもならとっくについている時間帯だ。
どうしたのだろうか。
「トイレか?」
見渡してみるが、教室にはいない。
トイレにまで行ってみる気はない。
自席に戻って待とうと思い、踵を返そうとしたとき、教室の扉が開いてカズキが入ってきた。
なんだか疲れているような顔をしている。
「何かあったのか?」
軽い調子でカズキに話しかける。
「ああ、またこれだよ」
そう言って、カズキは手紙を差し出した。
「ラブレターか」
ぱっと見ただけでそうとわかる装丁の封筒に入った手紙だった。
「ああ。さっき呼ばれて、いってみたらこれを渡されてさ」
「ささっと返事したらいいんじゃないか?」
「いや、向こうだって真剣なんだろうし、軽々しくは扱えねーよ」
席に向かって歩きだしたカズキについて、僕も歩きながら、答える。
「でも振るんだろう?」
「じっくり考えてみてからな」
「考えてる時間の分だけ相手に希望を抱かせることになるぞ」
その分、打ち砕くものが大きくなるということだ。
「ああ、それもそうか……」
席につきながら、カズキは呟く。
「まあ、手紙は読んでからでいいと思うけど、早いうちに返事はした方がいい」
「わかった」
席に戻ろうとして、僕は振り返った。
「ああ、わすれてた。GWに、一緒に遊びに行くことになったから、あとで都合のいい日を教えてくれ」
「ん、ああ。了解」
「カズキには話してきた。今日の部活の時には予定を教えてくれるはずだ」
席に戻ると、すでにアカリと話してきたらしいコハルにそう言った。
「はーい。じゃあ、部活の時に相談だね」
笑いながら答える。やっぱりかわいい。なにもしてなくても可愛いが、僕は笑顔が一番好きだ。
しかし、連絡が終わると会話が途絶えてしまったな。
なんとか繋ぐか、本でも読むか。
どうしたものか。
「おはようございます~。席についてくださいね~」
そんなことを考えていると、先生が入ってきて朝礼が始まってしまった。
「以上ですね~。あ、このあとは移動教室でしたよね~。遅れないように気を付けてください~」
朝礼が終わった。
そういえば、移動教室だった。
どこに行くんだったか。
時間割を思い出すと、芸術の時間だった。
僕とコハルは違う科目を選択しているので、違う教室になる。
「じゃあ、僕は先に行くよ」
「はーい。私は部屋近いし、まだ後でいいかな」
ここは三階で、コハルの選択している音楽は五階にある部屋で行われる。
確かに、時間的余裕はあるが、僕の行く教室は一階だし、そこまで時間差はない。
用意をする時間が必要だから先に行くのは変わらないが。
「遅れないようにな」
「わかってるよ」
も~、とでも言い出しそうなテンションで、コハルは言う。
別れ際、僕はコハルの耳元に口を寄せ、言ってみた。
「じゃあ、デートの話はまた今夜にでもだな」
照れて顔を背けるコハルを見て、僕はしてやったりと思った。
シリーズ化してありますので、そちらから他作品もよろしくお願い致します。
感想の制限を解除してありますので、未ログインの方でも感想書いていただけます。
感想お願いします。もらえると、僕がめちゃめちゃ喜びます。




