入浴!
「風呂だ~!」
夕食を終えた。入浴の時間だ。カズキが何やらはしゃいでいる。
僕とカズキとチヒロの三人部屋。ぶっちゃけ僕はなれているが、チヒロはどうだろうか。と思ったらチヒ
ロはベッドですやすやと寝息を立てていた。
じゃあいっか。いや、そもそもとなり近所の部屋に迷惑では?
「何をそんなにはしゃいでるんだ?」
「いやおまえ、修学旅行で風呂って言ったら大浴場で覗きだろ!」
ずいぶんと興奮した様子でカズキが言う。
まるで常識かのように言うなこいつは……。
「そんな常識はない。というかそもそも部屋の風呂に入るように言われてるだろ?」
「なん、だと……」
落ち込んでいくのが目に見えてわかる。というか普通に膝から崩れ落ちた。
さて、というわけで入浴順を決める必要がある。
まずチヒロを起こさないとな。
「チヒロ、起きろ~」
体を揺らしながら呼び掛ける。
「んぅ……。あとごふん……」
ちゃんと寝ちゃってる人だなこれ……。
「どうする? 先入るか? 起きるまで待つのもなんだし」
僕が尋ねると、カズキは少し落ち込んだ様子で、
「あ~、じゃあ先入ってていいよ……」
「りょーかい~」
ということで入浴。
浴室に入り、体を洗っていた時だった。
「ど~ん!」
「!?」
突入してきやがったこいつ!?
ガラッ
「だれもいない……。ぅわぁ!?」
チヒロも来ちゃった……。
* * * * *
「あれ、お風呂って大浴場とかないんだっけ?」
修学旅行のしおりをぺらぺらとめくってから、アカリは呟いた。
部屋には彼女の他にあと二人。
コハルとサチの二人。
二人は何やら喋っていたが、アカリの声に気づくと、振り向いた。
「そうだね~」
「せっかくだし、いっしょに入る?」
アカリによる突然の提案。
それに対する二人の反応は、
「ええ!?」
コハルは驚き、
「いいね! はいろう!」
サチは乗り気だった。
「狭いね……」
そう広いわけでもない空間に女子高生が三人。
少し体を動かせばだれかに触れてしまうほどに手狭だ。
「洗いっこしようよ!」
急な提案だった。
「え……、さすがに狭いし、無理じゃないかな……?」
そう。他人の体を洗えるほど空間に余裕はない。
「そんなことないよ~……。てりゃ!」
「ひゃぅ!?」
「うりうり~! 泡だらけにしてやる~!」
体を密着させ、抱き着くようにして体中を泡まみれにしていった。
* * * * *
「だから、さすがに狭いって言ったろ……」
「いや~、なかなかの狭さだったな~」
笑いながらカズキが言う。
「でも楽しかったね!」
「否定はしないけど……。いや楽しくは無かったろ」
チヒロの言葉を肯定しかけて、僕は慌てて否定した。
「誰かとお風呂に入ったのは久しぶりだったし、僕は楽しかったよ?」
小首をかしげながら、チヒロが言う。
たまにかわいいなこいつ……。
「それならよかったよ。僕はこないだまで結構頻繫にフタバがお風呂に突入してきてたからなぁ……」
「な!? お前、なんていい思いをしていたんだ……! フタバちゃんの裸なんて俺もまだ見たことないのに!」
カズヤが驚いて声を上げる。
「妹の裸見ても何も思わないよ……。それより、そういう事はまだするなよ? そういうのは責任とれるようになってからだ」
くぎを刺すように、僕はカズヤにそう言った。
「わかってるよ」
「? 何の話?」
「チヒロ、お前はまだ知らなくていい……」
しばらくして、来客があった。
ノックの音がした。
「ん? 誰だろう」
チヒロが呟くのを聞きながら、僕は扉の方へ向かった。
「誰って、決まってるだろ」
言いながらドアノブを捻る。
扉の外には想定通りの人物たちの姿があった。
「こんばんは、カズヤくん」
初めましての人は初めまして。
お久しぶりの人はお久しぶりです。
文月幽です。
感想等貰えると嬉しいです。
もうしばらく続きますのでよろしくお願いします。




