到着!…
「着いた~!」
「ほらほら、後ろつかえてるから」
そんな声が前方から聞こえてくる。
みんな飛行機に退屈していたのか、ざわざわとした声が聞こえつつも、楽しそうな声ばかりだ。
「さて、というわけで、事前の説明にあったように、ここからは班別の行動です。事故などにくれぐれも気を付けてください」
荷物を学校で借りたのであろうバスにのせると、一度集合がかかった。
ここからは班毎にタクシーやら自転車やらを用いて宿泊先へ向かう。
いつものメンバーで組むことは叶わなかった。
というのも、各班三人ずつなのだ。
しかも男女はバラバラ。
しかしそれも今のアカリにはよかったのかもしれない。
カズキのことを忘れて楽しめるだろう。
僕も僕で男三人でまわることになるから、時間の管理などには気を付けて、目一杯楽しもうと思う。
そういうわけで沖縄旅行である。
一日目の行程は完全に班毎で行われる。
ので、昼食も各自に任されている。
「いただきまーす!」
というわけで僕たちは今沖縄そばのお店にいます。
普段食べるようなどの麺類とも違った麺、そしてスープ。さらにのっているのは普通のお肉ではない。ソーキ、あばら肉だ。食感も少し違う。トロリとしている。ふむ、しかし僕は別にトロリとした肉が好きな人種ではない。というかそもそも肉が好きな人でもないわけだけれども。
これは……、
「僕は特別好きというわけではないけれど、好きな人はとことん好きなやつだなこれは」
僕が呟くと、正面に座っていたチヒロとカズキがジーっと僕を見て、それからスープを啜って、そして言った。
「美味しいって言えよ」
「カズヤはちょっとひねてるところが無きにしもあらずな感じだもんねぇ……」
慌てて僕は啜っている途中だった麺を啜りきり咀嚼、嚥下して口を開いた。
「いや、普通に美味しいと思うけれどね。別に毎食食べたいかって言われてはいと答える味ではないなと」
すると間髪いれずにカズキが言う。
「そんなうまいもんがいくつあるんだって話になりそうだなおい」
そんな話をしながら次へ向かった。
「いただきます!」
パイナップルを食べる。
甘く、ほんのりと酸っぱいその味は、僕の心象を少し表しているようで、いやそんなことは全然ないか。
ないな。ない。
パクパクモグモグと食べていく。
果物は最高だ。
いやほんと、美味しいの一言につきたね。
「いただきまーす……」
ちんすこうをいただく。
カリっと、いやサクッと、いややはりカリっとした食感に、ほどよい甘さ。
かなり美味しい。
うん。
いくらでも食べられそうだ。
* * * * * * *
「にしても、美味しいもん食った記憶しかないが……」
夕刻、もはやあとは宿泊先のホテルへ向かうだけの車内で、カズキが言う。
「美味しくないものをわざわざ食べようとはしないもんね~」
「いや、そうじゃなくて、体動かして遊ぶとか、体験的なことをしなかったなってことだろ?」
少しずれたことを言うチヒロに、僕が注を入れる。
「あ~、そういうことね。たしかにそうかも……」
チヒロがうなずくと、カズキも言う。
「夕飯入るかな、こんなで……」
「何言ってるんだ、さっき『まだまだ食えるぜ』とか言ってただろうに」
それに対して僕が指摘を加えると、今度はチヒロが不安がった。
「ああでも、僕も不安かも」
「それはそうだな。僕も不安と言えば不安だ。近くで下ろしてもらって歩くか? 荷物もそう多くはないし」
同意を示し提案する。
幸い着替え等の大きな荷物は既にバスで運ばれている。
少し歩いて向かうことに決まった。
「や~、それにしても、来年はもう受験生だよ」
チヒロが呟く。
「そういやそうか。時間の流れっていうのもはやいもんだな」
カズキが言う。確かに、時間の流れははやい。
光陰矢のごとしというやつか。
「文理選択もあるし、この旅行が終わったら忙しくなるな」
僕が言うと、忘れていたとばかりに二人が顔をあげた。
「カズヤはどっちにするの?」
チヒロが尋ねてきた。
「ん~、特に理系にいってやりたいこともないし、文系かな」
僕が答えると、
「じゃあ俺も文系にすっかなぁ……」
と、カズキが言う。
「ちゃんと考えて決めろよ。わりと一生ものだぞ」
釘を刺して、チヒロに目で尋ねる。
「ボクはまだ迷い中かな……」
たはは、と頭を触りながらチヒロは言った。
「そんなもんだろ。ゆっくり考えて決めればいい」
そんな話をしながら、僕たちはホテルへ向かった。
初めましての人は初めまして。
お久しぶりの人はお久しぶりです。
文月幽です。
感想等貰えると嬉しいです。
もうしばらく続きますのでよろしくお願いします。




