今度こそ、修学旅行です!
ゴオー
飛行機は空を飛ぶ。
原理を知っていようと、こんな鉄の塊が空を飛ぶなんてのは信じられない話だ。
僕はいつ墜落してもいいように、落ちた時のための対応書を五周しておいた。
「ね、大丈夫かな」
ふう、と息を落ち着けていると、隣の席のコハルが話しかけてきた。
「何が?」
席順はランダム。くじ引きで行われた。
その上で隣同士になった、これは運命としか形容できまい!
「アカリちゃんだよ。あれから露骨に元気ないけど、大丈夫かなぁ」
「ん~、どうだろうな。失恋のショックだろうけど」
「ちょっと心配かな」
「まあ、しばらくしたら治るんじゃないかな。来年は受験もあるし、そっちに集中し始めたら吹っ切れないかな?」
「う~ん、だといいけどね……」
「まあ、なるようになるんじゃないかな?」
「でも、毎日横山君とフタバちゃんのいちゃつきを見て過ごしてるんでしょう?」
「ああ、そうか……」
たしかに、毎日ダメージを蓄積している可能性もあるのか。
そうなってしまうと、長いことこの状態が続いてしまうかもしれない。
「う~ん、どうしたもんか……」
とはいえ、僕から何かできるようなことがあるだろうか。
できるだけ二人と接触させないというのもありだが、それはそれで難しい話だ。
そもそもクラスメイトで家も隣の奴と合わないことなど不可能に近いだろう。
う~ん……。
「気分をあげる方法かぁ……」
「あ、じゃあさ、チヒロ君も誘って、四人で遊びにいったらどうかな?」
「いいかもしれないね」
「よし、それじゃあ、後で声かけとく」
「ありがと」
「そういえば、何か持ってきた?」
「何かって?」
「夜にホテルで遊べるような」
「夜にホテルで遊ぶ……。いかがわしいな……」
「もう!」
「わかってるわかってる。トランプ持ってきたよ」
「とらんぷ! 私もトランプ持ってきたよ」
おや?
「……」
「……」
「ああ、でも、部屋は別だよね。そういえば」
「うんまあそうだけど、部屋移動するのはオーケーだよ?」
「そうだっけ」
「うん。ばれなければね」
「え、それって……」
ダメなんじゃないの? というニュアンスをにじませながら呟く。
あははと笑いながら彼女は答えた。
「だいじょぶだいじょぶ。見回りもあんまりしないって言ってたし」
「まあ、うちの先生たちはそういうとこ緩めだし大丈夫か」
そんな風に話していると、アナウンスが響いた。
どうやら、そろそろ到着のようだ。
以降は午前7時の投稿になります。




