気づいちゃいましたか。
私は、わかりました。
自覚しました。
認識しました。
これが、恋であると。
ですが、答え合わせがまだです。
お兄ちゃんに答え合わせをしてもらう必要があります。
もしかしたら誤解かもしれないから。
もしそうなら、大変なことです。
というわけで、私はお兄ちゃんの部屋へ向かいました。
* * * * * * *
文化祭まで残り二週間と迫った中、僕たちのクラスは準備を着々と進めていた。
あとは、その日が来るまで順調に準備を進め、アカリが勇気を出すだけだ。
そう思っていたある日のことだった。
準備でいつもより疲れつつも、いつも通り机に向かっていた僕のもとへ、フタバが来た。
そして言ったのだ。
「お兄ちゃん。答え合わせをしに来ました」
と。ついにこの時が来てしまった。
ああ、気づいてしまったか。
さて、どうしようか、そう考えながら、僕はフタバの方へ体を向けた。
「ん? ああ。答え合わせ! うん。いいよ。どうだった? 答えは出たの?」
「はい。お兄ちゃん。わかりました」
「言ってごらん?」
言って欲しくなかった。
口に出されれば、言われてしまえば、フタバの気持ちが確定してしまう。
言われないうちは、それがなんなのか、確定しないような、そんな気がして。
だから、僕は言って欲しくなかった。
でも、逃げ続けていちゃいけないんだ。
いつか訪れるものだったんだから。
むしろ、今までフタバがわからなかったことの方が、不思議なくらいだったのだから。
だから、促す。
口に出させる。
確定させる。その気持ちが、
「恋」
であると。
「ですね?」
「根拠は?」
僕は問うた。
「ドキドキするのは、なにか私の体に不調でもあるのかと思っていました。でも、違ったんですね。次第にわかったんです」
顔をほんのり染めながら、フタバは言う。
「このドキドキが、別に悪いものじゃないって。確かに心臓の動きが速くなって、ドクドクという音が聞こえてくるようでした。でも、」
幸せそうな笑顔で、彼女は続ける。
「不思議と不快感はなかったんです。むしろ心地いいくらいでした。それでわかったんです。これは、プラスの精神状態から来るものだって。そこに気づいてからはすぐでした」
「うん。わかった。正解だろうね」
本当なら、ごまかしてしまう道もあった。
でも、フタバの、妹のあんな顔を見たら、嘘なんてつけるわけがなかった。
だから、僕は真実を伝えた。
* * * * * * *
正解であると、そう告げたお兄ちゃんの表情は、なぜだかどこか苦しそうでした。
でも、すぐにいつもの優しい笑顔に戻って、私に言いました。
「ひとつ、言わなきゃならないことがあるんだ」
なんでしょう。
あ、もしかすると、先達としてのアドバイスをくれるのでしょうか。
さすがはお兄ちゃんです。
そう思っていた私は、すぐに違うということを知りました。
「実は、カズキも、フタバのことが好きなんだ」
ええ!
それは驚きです。
それならば、すぐに告白して、お付き合いを開始するべきなのではないかと思いました。
それが好き会う男女がする一般的な流れです。
お兄ちゃんとコハルさんのように。
でも、お兄ちゃんの続く言葉は、それをしないように言うものでした。
「でも、実はアカリはカズキのことが好きなんだよ」
むむ!
確かにそれは難しいかもしれません。
私は、アカリさんも大好きです。
いわゆる三角関係というやつに当てはまるのでしょうか。これは。
「で、アカリは今度の文化祭でカズキに告白する。だから、それまでは待っていてほしいんだ。頼むよ」
私は悩みました。
もしそれでアカリさんたちが付き合ってしまったら、私はどうすればいいのでしょうか。
この思いを抱えて、どうすればいいのでしょうか。
そう私は尋ねました。
「うん。フタバは困るよね。でも、僕はそうはならないんじゃないかと思ってる」
私は驚きながらも話を聞きます。
「きっとアカリも、あの思いに区切りをつけるために、告白するんだと思う。だから、その点に関しては心配はいらないと思うよ」
お兄ちゃんの言葉です。
でも逡巡してから、私は信じました。
「じゃあ、はい。わかりました。しばらく待ちます。あ、でも」
「ん?」
「その時はちゃんと、泣いてるアカリさんは、お兄ちゃんが慰めてあげてくださいね」
「わかった。約束するよ」
お兄ちゃんは少し笑いながら、そう答えました。
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