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まあ、色々あるのです。

「え~っと……?」


 首をかしげるコハルに、僕は説明する。


「詳しく言うと、アカリがカズキのことを好きで、カズキはフタバのことが好き。ここまでは知ってると思うんだけど、フタバが、カズキに恋心を抱いてるかもしれないんだ」


「え、フタバちゃんが!?」


「そうみたいなんだよ」


「どういう経緯なのかな」


「わからないけど、たぶんきっかけはフードコートでの迷子だと思う」


「ああ、GWの?」


「そうそれ」


「横山君が見つけたんだっけ」


「うん。で、僕としては隣の三角関係は放置でもよかったんだけど、介入しかけた以上、みんなが笑えるハッピーエンドがいいなって」


「カズヤ君ならそうだよね」




「でも、どう考えても、誰かが、必ず悲しむ結末しか、現状ないんだよ」


「そうだね。そういうものだよね。人間関係って」


「うん」


「この三角だと、悲しむことになりそうなのはアカリちゃんかな?」


「そう。でもご存じの通り、僕は」


「アカリちゃんには、泣いてほしくない?」


「そう。ああ、誤解して欲しくないから言っておくけど、僕はもうアカリに恋愛感情は抱いてないよ」


「わかってるよ。君はそんな不誠実な人じゃない」




「それで、どうしましょうってなってる。手伝いたいけど、できればフタバも泣かせたくはないんだ」


「横山くんは?」


「もちろんあいつもだよ」


 僕は誰にも泣いてほしくはないんだ。


「う~ん。でも、それって難しいよね」


「そうなんだ。だから悩んで、悩んで、悩んで。それでもまだ見つかってない」


 知らず、語気が強くなる。


「頼ってほしかったな。私はいくらでも協力したのに」


「コハルに負担はかけたくなかった」


「頼ってって、言ったよね?」




「僕は、人に頼るのが得意じゃないんだろうね」


「でも、」


 何かを告げようとしたコハルの言葉を、遮るように、僕は言う。


「でももう僕だけじゃ無理だ。もう持たない。ダメだ。きっと押し潰される。だから、」


 僕の言葉を遮るように、だった。


「いいよ。大丈夫。君のことなら何でも受け止めるよ」


 その言葉は、僕が求めていたものだったのだろう。


 体から、力が抜けていくような錯覚をした。


 だからだろうか。


「え、どうしたの?」


「え、あれ?」


 知らず、目からこぼれるものがあった。




「あ、は。ほっとした、のかな。肩の力が抜けた、見たいな」


「ふふ、重かったんだね。大丈夫。分け合おう?」


「うん、うん」


 ああ、そうか。


「私は受け止めるよ。全部。だから、預けて? 頼って? それが私たちの関係の、あるべき姿でしょう?」


 ああ、そうだ。


 そうあらなきゃならなかった。


 僕は、きっと背負いすぎだった。


 こんなにも近くに、頼れる人がいたというのに。


「うん。よろしく頼むよ。お願いだ。コハル。僕を、助けてくれ」


「ふふ、了解、だよ。今まで助けられてきた分、ちゃんと助ける」


「ありがとう」


 僕はお礼を言う。


「ううん、こちらこそありがとう、だよ」


「え、ちょ!?」


 急に、だった。


 急に、コハルは僕を抱き寄せた。


「頼ってくれてありがとう。カズヤ君」


 耳元でそう囁かれ、体が熱くなる。


 コハルの背中に手を回す。


「ふぁ!?」


 ビックリしたように、コハルがはねる。


「もうちょっとだけ、このままでいたい」


 暫しの沈黙があって、コハルは答えた。


「うん。もちろん」


 そう言って、コハルはぎゅっと、抱き返してきた。




 しばらく、抱き合ったまま、互いの体温を感じながら、僕らはじっと固まっていた。


 それだけで、十分だった。




 僕らの関係が、ひとつ先へ進んだように思えた。

あ、コップは少し離れたところに置いてあるので、こぼれたりとかはしてません。

ご心配なく。


シリーズの他作品も、よろしくお願いいたします。

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