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小説家になんてなれない。

 小説家になんてなれない。


 小説を読むたびに、そう思う。


 読む小説は、どれもしっかりしていて、僕のものはどうしても見劣りしてしまう。


 それは、文章能力の話じゃない。


 むしろ、たくさんの文章を読んでいる分、僕の方が文章自体はきれいだろうし、語彙だって僕の方がきっと多いだろう。



 でも、ストーリーが面白くない。


 勢いが足りない。


 引き込まれない。


 小説を書く上で、ストーリーが弱いのは致命的だ。


 どうしたって面白くならないんだから。



 だから僕は書くのをやめた。


 一時期書いていたデータも、全部消してしまった。


 どうせ使う宛の無いものだ。


 消してしまって構わないだろう。




 投稿サイトで作品を読むと、アマチュア、つまりはデビューしていない人の作品でも、面白いものがあることがわかる。


 埋もれてしまっているものとか、文章的に問題があるようなのもあるけれど、面白いものは面白い。


 きちんとした文章で書き、それで誰かに発掘されれば、きっとある程度の人気はつくであろうものたち。


 そこには確かに光があった。



 僕の作品たちにはなかった、光が。


 * * * * * * *


 さて、GWが明けると、すぐにテストがやって来る。


 具体的には二週間後。


 つまり、テスト勉強を始める必要が出てくる。


 僕は基本的には一人で勉強するタイプだが、別に誰かが近くにいても、できない訳じゃない。


 ついでに言えば、自慢じゃないが学年一位。


 勉強を教えてくれと、頼まれることも多い。


 僕は、唯一の長所と言ってもいい、その面を、うまく活用しようと、頼まれたときは断らないようにしていた。


 とはいえ、人数が増えれば、家での勉強会はもちろんできない。


 そもそも、受験生の妹がいる身。


 あまり人を招かない方がいいだろう。




「というわけで、次のテスト、勉強会はここでやろうと思うんだけど、いいかな?」


 授業後、部室に全員が揃ったところで、僕はみんなにそう聞いた。


 四人とも、勉強会には参加しているし、大丈夫だろう。


「問題ないと思うよ? ああ、でも、許可はとった方がいいかもね」


「許可?」


「確かに、一応部活禁止期間だし、部室使うのは気を使った方がいいかもしれないわね」


「なるほど。確かにそうだな。先生に聞いてみるよ」




 ということで翌日、早速僕は顧問の先生のところへ行った。


「失礼します。上川先生いらっしゃいますか~?」


「ん、おお、遠山じゃないか。どうした?」


「ああ、大したことじゃないんですが、あの、テスト期間中、部室で勉強会してもいいですか?」


「ん~。別にいいんじゃないか?」


「わかりました。ありがとうございます」


「そういえば、新しくはいった三人は成績はどんな感じなんだ?」


「そうですね。チヒロ、ええと、木山は、ちょっと良くないかもですけど、まあ、全員半分よりは上にいるんじゃないですかね?」


「そうか。まあ、そのくらいなら十分かな」


「それじゃ、失礼します」


「おう、気を付けてな~」




「ん、お、遠山じゃねーか」


「あ、久しぶりですね、先輩」


 職員室を出ると、知っている先輩がいた。


「今から部活か?」


「ええ、まあ」


「ちょっと待ってろ。私もたまには顔出す」


「え、ちょっとって、どのくらいですか?」


 質問とかなら結構かかる。


 長い時間ここで待ってるのは嫌だ。


「プリントもらうだけだ。二~三分で終わる」


「二~三分ですね。わかりました」




 そういえば、先輩は上川先生に好意を持っていたけど、今はどうなんだろう。


 まあ、僕には関係ないし、いいかな。


 どこの大学を目指してるんだったか……。


 う~ん。よく考えてみたら、僕は先輩のことをなにも知らない気がする。


 まあ、そんなに深い関係でもないし、いいか。


「お待たせ」


「大丈夫です。そういえば、どこ目指してるんです?」


「ん~。行けそうな国公立に行こうと思ってるよ」


「ああ、そういう感じなんですか。学部はどこを?」


「教育学部にでも行こうと思ってる」


「教師になりたいんですか?」


「まあ、結構子供好きだしな」


「へえ、そうなんですか」




「お前はどうなんだ? 将来何になりたいとか、そういうのはないのか?」


「今のとこはないですね。この一年でいきたい学部見つけられたらって思ってますけど」


「結構見つかんないもんだからな。心しといた方がいいぞ?」


「ええ、そうなんですか」


「小説は? もうやめちまったのか?」

先輩と先生、久しぶりの登場!

この会話のまま、次話へと続きます。


シリーズの他作品も、よろしくお願いいたします。

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先輩の話は、先輩は以下略に載っております。

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