8話 天界と魔界は分かり合える……そんな気がするわ!
第2章
あれからどれ程の時が経ったのだろう。アークは僕の元に毎日来てくれるようになった。初めて会った時よりもその態度は遥かに違う。よく笑ってくれるようになったし、料理も作ってきてくれた。なんと、天界の料理を再現してくれて。
彼女との絆が徐々に、けれど確かに深まっている。そして……
「セイさんっ!これ……見てくれるかしら?」
今日は大切な約束の日。
今日……6月7日はアークの誕生日らしい。
初めて会った日からもう一年経つのか……。じゃなくてっ!僕はゆっくり落ち着いて、アークの方を向くと……!
「わぁ……!綺麗!綺麗だよアーク!」
そこには、綺麗な黒いドレスを身に纏っているアークの姿。いつもより顔には薄化粧をしていて、身長もいつもより高い気が……。あ、ヒール履いてるんだ……可愛い。少し恥じらい気味のアーク、可愛い……!
「……ありがとう……。
それで、私、もう一つしたかったことがあるの。見て貰って、いいかしら?」
僕は頷くと、悪魔である彼女に似つかわしくない行動をし始める。
天使国民が祭りの日や式典の日に歌う歌を紡ぎ出した。しかし、そこに僕が知らない踊りが加わっていた。でも知らなくとも元からその踊りが歌に合っているかのように、合っている。……上手だな。
「どうだった、かしら……?」
踊り終わった後、アークは目を細めて僕を見て感想を求めてきた。僕がそのままの感情を述べると、とても嬉しそうな顔をして笑ってくれたから、つい僕も笑ってしまう。
「実はね、この踊りは魔界でよく使う踊りなのよ。少しメロディーが似てるから使ってみて。
だからきっと、天界と魔界は似てる所があると思うの。いつかはね、天界と魔界は分かり合える……そんな気がするわ!」
アークはそう言って今までで一番綺麗な、本当の笑顔で笑ったのだ。
……さっきまでは。




