7話 貴方に心を赦すことにしたわ
「仲良くなりたいからかな?」
これだけ、だな。君に近付きたい。もっと、傍にいたい。でもこれはワガママだから。だからあえてこれを選んだ。
すると彼女は冷静に、「やっぱり、この人になら……。」と呟いた。ん?何だろう?
「決めたわ。私、貴方に心を赦すことにしたわ。遅くなったけど……これからよろしくね。」
突然、彼女はこう言って来た。この前と同じ、いや、それ以上に柔らかい微笑みを浮かべて。
……アークが僕に心を開いた……?あまりにも予想外のことだったので、僕はついうっかり……。
「うっうぅっ……」
その場で泣き出してしまった。自分で情けないなとは思いながら涙は止まってくれなかった。
普通の女の子ならまず引いてしまうだろう。目の前で泣かれたのだから。
なのに、アークは黙って僕に歩み寄るとスッとハンカチを差し出してくれた。
アークから受け取ったハンカチは黒に白の刺繍が施されているもので……この白い刺繍部分はアークの心の優しさと……悪魔ではない部分なのかな。
ほんの少し……僕の想いは伝えられなくても君に近付けたのかな。




