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序章・1話 あの……っ!初めましてっ!
序章
その時、確かに僕は感じた。
この身が震えるのを。心が揺れるのを。
一目見て感じた。一目で……好きになった。独りぼっちの彼女を。
引き寄せられそうな長い黒髪を。憂いを帯びた横顔をもっと見たいと思った。
「…………っ。あの……っ!初めましてっ!」
僕は彼女に声を掛ける。今から、この先からずっとーー……。
第一章
「初めましてっ!君の……名前は?」
そう尋ねた瞬間、彼女の表情は段々……怪訝そうなものに変わっていった。
もしかして僕……怪しい人に思われたのかな?「何この怪しいヤツ……」うわあああっ!!思いっきり思われてる!?確かに今の聞き方はおかしかったけど……。……ナンパじゃん、コレ……。