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特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。  作者: 黄玉八重
第04章 -王都アスペラルダ編Ⅱ-
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†第4章† -05話-[玄孫と大大爺と俺と]

 その日は午前中はいつものように兵士達に混ざっての訓練と、

 副将や将軍に手解きを受けて剣の振り方や力を抜くポイントを教わり、

 時間を見つけて俺にちょっかいを出しに来たパブロ副将を撒いたところだった。


「ふぅ・・・そろそろ良い時間だな。

 クーを迎えに行くか・・・」


 今日はクーを連れてアルカトラズ様に進化した事の報告に向かう予定で、

 クーも午前中は、

 アスペラルダへ戻ってからのルーチンをこなしていた。


「メリー」

「ご主人様、おはようございます」

「はい、おはよう。って言っても昼だけどな」

「今日初めてお顔を伺いますので。

 ご用件はクーデルカでございますか?」

「うん。連れて出しても大丈夫?」

「問題ございませんが、

 部隊の面々に小言を言われるかも知れませんよ。

 クーデルカは我々の中ですでに地位を確立していますので」

「ハハハ、まぁ数時間だけ我慢してくれとお願いするさ」

「そうですね。では、案内いたします、こちらへ」


 アスペラルダへ戻ってきてからクーは、

 メリーがいる従者部隊へ出向という名の合宿に行っている。

 とはいえ、お互いが城の中にいるし、

 時折顔を合わせた時や夜に連絡を取って、

 その日どんなことをしたとかクーの頑張りの内容は聞いている。

 中でも従者の方々には大層気に入られており、

 小さな頼み事も一生懸命に頑張る姿に癒やされ、

 休憩時間が重なったメイド達からお菓子をもらったとか、

 仕事のコツを教わったとかの報告を俺自身も楽しませて貰っている。


「こちらの部屋がメイド達の休憩室になります。

 呼んで参りますので、少し部屋の前でお待ちください」

「あいよ」


 そう言ってメリーは部屋の中へと入っていく。

 ちらりと見えた内装は他の部屋と変わりないように見えたが、

 置いてある物は誰かが生活しているような気配はない。

 もしかしたら、部室のように各々が持ち寄って茶葉とかお菓子を貯め込んでいるかも知れないな。

 メイド休憩室の内部を妄想してクククッと笑っていると、

 廊下の隅の方から視線を感じて目を向けると団子3兄弟のように、

 曲がり角から人の顔が3つ並んで飛び出ている。


 頭のヘッドドレスでメイドさんだと分かるんだけど、

 なんで隠れるようにこっちを見ているんだろうか?


「お待たせいたしましたご主人様」

『お父さま、おはようございます。お待たせしましたか?』

「いや、さほど待ってないよ。大丈夫だ」

『そうですか。では、メリーさん数時間ですがシフトを離れます』

「はい、行ってらっしゃいませクーデルカ様」


 この師弟関係は何度見ても面白いな。

 仕事中や教えている間は、

 (かた)や呼び捨てで(かた)や侍従長だもんな。

 こういうのをストイックって言うんだっけかな。


「そうだ、メリー」

「何でしょうか?」

「あっちの角に・・・ありゃいない」

「メイドが3人覗いてでもいましたか?」

「なんだ、知ってたのか。さっきまで居たんだけど・・・」

「クーデルカ様を特に気に入っている3人ですね。

 害はないので気にせずに行ってくださいませ」

「ん~、了解。じゃあ、行ってくるな」

『行ってきます』

「行ってらっしゃいませ」


 メリーは数ヶ月現場を離れていたとはいえ、

 アスペラルダ城の若き侍従長だ。

 このあとも仕事があるので、

 見送りは事前に遠慮させた。

 城に戻ってからは、まず城中のチェックをしたというから面白い。

 居ない間の部下の仕事っぷりを確認したあとは、

 侍従部隊の幹部級との打ち合わせをして、

 自分をクーを戻っている間のシフトに組み込んだらしい。

 もちろん、仕事が雑な所を発見した時は雷が落ちたとのこと。


「俺達がダンジョンのモンスターを倒しても旨味はないから、

 さっさと最下層に降りるぞ」

『はい♪』

「なんだか楽しそうだな」

『久しぶりにお父さまとのお出かけですから♪』


 なんだこの可愛い生き物はっ!!

 みんな!この娘がどこの娘か知っていますか?

 俺の娘ですっ!

 そう叫びたいのを抑えて場内の廊下を歩く。


「よう、宗八。いまからお出かけか?」

「おう、ポルトーか。

 クーの身内に会いにちょっと出てくるわ」

「パブロ副将が探し回ってたぞぉー。

 せっかく会いに行ったのに逃げられた!ってさ」

「げー、マジかよ。

 あの人顔を合わせる度に殺気を混ぜた目で戦おうって言ってくるんだぞ」

「そりゃあ災難だなw。

 俺は新兵の新しい訓練会議で出席を頼まれて午後はこれで潰れちまう」

「好きでやってるんだろ?

 聞いたぞぉ、俺達が出てから色々訓練内容に口を出したんだって?」


 ポルトーも出会った当初は、

 新兵の中でも頭角が現れているってだけの平新兵だった。

 それが今では会議にまで呼ばれる新兵長?みたいな役職に就任したらしい。

 出来れば、俺達に着いてきてほしいところではあるが、

 まぁ今度飲みに行く時にでも話をしておこうかな。


「そうだよ。もっと新兵の練度や戦闘力をあげないと、

 頼りになる上級兵士がまた居ない時の対応が出来ないからな」

「まあ頑張れよ、じゃあな」

「はいよ、そっちもな」


 ポルトーと分かれて城下町へと降りてきた。

 相変わらず活気があって城下町って感じがするな。


『直接向かいますか?』

「ん?どっか寄りたいなら行っても良いし、

 帰りに寄るでも良いぞ」

『行きと帰りが別の所でもいいですか?』

「いいよ、どこに行きたいんだ?」

『お年寄りが好きな味の焼き菓子とお茶があるお店なんです!』

「はいはい、案内してちょうだい」

『こっちです、お父さま!』


 ふわりと浮いて、俺の手をグイグイと引っ張って案内してくれる。

 爺さんが好きな焼き菓子って煎餅とほうじ茶とかかな?

 お茶の茶葉がすべて同じってのは知っているけど、

 この世界のお茶って、そういえば紅茶しか飲んだことがなかったな。

 町の食堂や宿屋で食べるときは大概が水だったし。

 煎餅も異世界にあるってのが信じられないな・・・、

 予想通りに煎餅だったら私用にいくつか買っておこう。


 可愛い俺の娘のクーちゃんが連れてきたのは古めの住宅が並ぶ一角。

 町の中でも中心の賑やかな場所から離れており、

 人も6割くらい減った気がする。

 店がいくつか点々と営業をしていて、

 お店以外は普通の住宅のようだ。


「へぇ・・・こっちは来たことがなかったな」

『メリーさんの部下の方から教えて貰いました。

 このお店の店主さんが自分で食べる為に作ったものが、

 意外に美味しくて商売を始めたらしいですよ』

「へぇ、確かに何か良い匂いがするな」


 別に俺も元の世界で煎餅の匂いをこれでもかと嗅いだわけではないが、

 鼻腔をくすぐるこの匂いはなんとなく懐かしいような、

 でも知っている物と違うような・・・そんな香ばしい香りだった。


「とりあえず入ってみるか」

『はい!』


 建物が西洋作りなので横に開く戸ではないのが残念だ。

 ガチャッと扉を開けると篭もっていた匂いが一気に鼻を刺激する。


「こりゃ!そっちは売っとる店の扉じゃないわっ!

 隣の家で売っとるからあっちへ行ってくれ!」

「す、すみません!」

『失礼しました!』


 失敗した。

 まさか異世界で焼き場と店が別々にあるとは思っていなかった。

 だって煎餅とかって店前で焼いてたりするイメージがあるじゃない?


「店はこっちか・・・」

『まさか、角を曲がった先とは思いませんでしたね』


 つまり焼き場は匂いが篭もり過ぎで、

 お客の中にも気にする人がいるから隣の家を利用して、

 売り場を設けたってことかな?


「こんにちわー。こっちが売り場で合ってますか?」

「はーい、いらっしゃいませ。こちらが売り場ですよ。

 さっきお父さんの怒鳴り声が聞こえたのは貴方方ですね?」

「いや、お恥ずかしい。

 このお店の話を聞いて伺ったのですが、

 匂いに釣られて扉を開けたら怒られてしまって・・・」

「年に何人かそんな感じのお客さんがいらっしゃるので、

 あまり気にしないでくださいな。

 さて、本日はどのようなお菓子をお求めですか?」


 対応してくれた店員さんは30歳を越えた感じの優しげな女性。

 話に聞いたお父さんが焼き菓子の発案者で、

 こちらの娘さんが売り子をしているということか。


「試食とか出来ますか?」

「試食・・?なんですかそれ」


 なるほど、試食の文化がなかったのか。

 買うという保証がないと説明しても分かって貰えないかもしれないが、

 出来ればしっかりと選ばせてもらいたい。


「試食というのは商品をこのくらいの一欠片に砕いて、

 お客さんにどんな味なのか確かめて商品を選んでもらう商法なんです」

「はぁ・・・」

「そうですねぇ・・・これとこれは確実に買わせて頂きます。

 さきにお会計をしてもらってもかまいません。

 ですので、店員がお勧めするお菓子をいくつか試食させてもらえませんか?」


 店頭に並ぶ小分けになった商品を適当に2つ選び取る。

 店員さんに見せながらとりあえず説明をしてみたが、

 果たしてどうだろうか?


「まぁ・・そうですねぇ・・・。

 少しお待ちください、お父さんに聞いてきますので」

「わかりました。よろしくお願いします」

「こちらに座れる段があるのでこちらで待っててください」


 言われた段差に腰を落ち着ける。

 ここにいるだけでも香ばしい匂いが広がっており、

 試食できなくてもお勧めくらいは買ってみようと思えた。


『どうですかねぇ』

「まぁ、爺さんがどんな味が好きかわからんし、

 試食できなくても問題は無いと思うけどな」

『ですね。あ、お茶の棚を発見しました!

 クーちょっと見てきますね!』

「はいはい」


 待つこと数分。

 怒鳴り声が聞こえないということは、

 話はしっかりと聞いてもらえて考えてもらえているということかな?

 さらに数分待つと親父さんと娘さんが揃って顔を出した。


「えっと、試食に関しては問題ないそうです。

 もっと言えば取り入れて売り上げをあげたいと言ってます」

「まぁ自分が考えた商法ではないですし、

 食い逃げみたいな何度も食べに来ては、

 買わずに帰られる方も出てくると思いますので気をつけてください」

「はい、ありがとうございます。それでですね、

 試食第一号のお二人の感想が聞きたいと父が出てきた訳なんですが、

 良いでしょうか?」

「問題ないですよ。こちらも好みのお菓子を買いたいですし」

「よし、話は決まったな!じゃあ説明しながらいくつか開けるからなっ!」

「ちょ、ちょっとお父さん!?」


 店側に顔を出してから一言も喋らなかった親父さんが、

 突然張り切って喋り出した。

 娘さんが宥めている様子から、

 あまり人付き合いが上手くないんだと思う。

 でも、商品を作る者としてお客の意見を直接聞く機会ってことで、

 少々タガが外れているらしい。


 こちらが頼んだ通り店員さんのお勧めと、

 親父さんのお勧めの計10種類を試食させて貰えた。

 娘さんが選んだ焼き菓子は甘めの商品が多く、

 あっても塩味の焼き菓子であった。

 親父さんが選んだ菓子は昔ながらの、

 というよりは店の売り上げに関わる商品を選んだっぽい。


「どれも美味しいですねぇ。

 自分はあっさりしている味が好きなので、

 このお菓子が好みです」

「やった!」

「っくしょー!」

「クーはどうだ?」

『えっと、確かにどれも美味しいのですが、

 お茶と一緒に買って行きたいので・・・その・・・、

 お茶もお勧めのものを選んで貰えますか?』

「どのお菓子に合わせますか?」

『じゃあ、こちらのお菓子で』


 クーが選んだのは煎餅ではないけど、

 ころころとしたひとつひとつが小さい餅菓子?みたいなやつ。

 味は煎餅に似た匂いだけど、醤油ではなくもっとこう・・・、

 生々しい感じがするので、

 もしかしたら魚醤と呼ばれる魚で作る醤油かもしれない。


「それならこちらですね」

「おう、それだな!」

「こちらに並んでいるお茶はどうされたのですか?」

「俺が長年飲み比べて菓子に合うのを、

 こっちに卸してもらったのさ」

『こちらを淹れても宜しいですか?』

「あら。じゃあお願いしようかしら。

 コップはこちらで用意しますね」

『分かりました』


 クーが自前のお茶セットを影から取り出す。

 ケースに入れてあり、多少の衝撃を受けても、

 中に仕舞ってあるティーセットには何の影響もない。

 お湯も用意してもらってクーがお茶を入れてくれる。

 なかなか様になっていて、口角が自然と上がってしまった。


「やっぱこれだな!

 それにしてもお嬢ちゃん、小さいのに美味しいお茶を淹れられて偉いな!」

『いえ、喜んで頂けてよかったです』

「ほら、クーも飲みな」

『はい、お父さま。いただきます』


 お茶の色は茶色。

 つまり緑茶ではない・・・しかし、

 残念ながら俺は緑茶以外の熱いお茶は飲んだことがないので、

 この茶が何茶かまではわからなかった。

 いつも冷やしてから飲まないと猫舌なので大変なことになるのだ!


 結局、お茶はこれを買っていくことに決め、

 お菓子も先に選んだ2つに加えて俺好みの塩味をいくつかと、

 クーが選んだお菓子を数点買わせて頂いた。


「長居してしまってすみませんでした。

 おかげで良い買い物が出来ました」

「いいえ、こちらこそ楽しい時間を過ごさせて頂き、

 ありがとうございました。また来てくださいね」

『はい、また寄らせて頂きます』

「まぁ、なんだ・・・また来てくれ」

「はい、では失礼します」

『失礼します』



 * * * * *

 死霊王の呼び声を下る道中、

 1体でうろうろしていたゾンビを見つけたので、

 アイスピックで突いてみたら、

 耐性を持っていて何度も攻撃を加えないと倒せなかった。

 その先に1人でうろうろしているスケルトンを発見したので、

 今度はカットラスで斬り付けたところ、

 1撃で倒すことが出来た。


「属性が乗っていない武器でも1撃か・・・」

『称号などでSTRが増加しているのもありますが、

 武器の扱いが上手くなって、

 以前よりも力が伝わっているのだと思います』

「そうか、あの時は1ヶ月しか訓練を受けなかったし、

 その後も自己流だったからか。なるほどな」


 カットラスが圧倒的攻撃力を持っているわけではない。

 つまりは戦闘技術の向上によっても攻撃力に直結するわけだ。

 この数日で教えてもらったのは、

 割と細かい部類の動き方の調整がメインで、

 刃の立て方や人型のどこに攻撃をするならこの角度なんて内容だった。


「自己流でも褒めてもらえる部分はあったけど、

 一旦戻ってきて正解だったな」

『ですね。クーも色々と部隊の方々に教えてもらいました』


 菓子屋で時間を結構使ってしまった為、

 試し斬りもそこそこにさっさと最下層まで降りることにする。

 時々見かける冒険者達が俺達を見かけると、

 何故か走り寄ってきて挨拶をされるのは少々驚いた。


「おーおー、今日も待合室はいっぱいだな」

『今はどのタイミングでしょうか?』


 最下層へ降りてきてすぐに1本道があり、

 その先に待合室の休憩小屋とBOSS部屋の白い霧が見える。

 外には誰もいないし、

 おそらく戦い始めて、まださほど時間が経っていないのかもな。


「こんにちわー」

『失礼します』

「あら、水無月様?こんにちわ、本日はどうされました?」

「あ、ボスを倒しに来たわけじゃなくて、

 倒し終わった部屋に用事があってですね」

「あー・・・」


 受付嬢というか正体は不明だが、

 この休憩小屋の管理人をしている女性と挨拶を交わす。

 何組かの冒険者が各テーブルに分かれて打ち合わせをしたり、

 腕を組んで仮眠を取ったりしていた。

 女性に用件を伝えると、

 みんなに聞こえないように口の横に手を当てる仕草をしたので、

 耳を寄せることにした。


「(アルカトラズ様にご用事でしょうか?)」

「(はい。この娘が進化したのでお披露目しようかと・・)」


 抱きかかえたクーを少し揺らす。


「(なるほど、わかりました。

 戦闘はさきほど始まったばかりですので、

 いつ終わるかわかりませんから、

 今日は私に着いてきてください)」

「(?)」

「(アルカトラズ様の部屋へ案内いたします)」


 なんと、BOSS部屋の外にある休憩小屋の管理人が、

 アルカトラズ様の知り合いというだけでも驚きなのに、

 小屋から直接向かえる通路があるらしい。


 カウンターを潜り、

 仕切りとなる扉に案内されるまま入ると、

 ペンションみたいな普通の通路と部屋がいくつかあった。


「こちらです」

「あ、はい」

『こっちはこうなっているんですね』


 楽屋裏や店の裏を見ているような、

 自分の知らない世界に触れている感じがして少しわくわくする。

 クーも耳をピクピク動かしながらきょろきょろと辺りを見回していた。

 案内されたのは、一番隅の倉庫のような扱いをしている小さな部屋。

 そこに置いてあり一番存在感を示している大きな像を、

 管理人さんは軽々と押して横に動かし始める。


「・・あぁ、これ軽いんですよ。

 軽石っていう鉱石で作られていて女性でも動かせるんです」

『「へぇー」』


 像を動かしたその真下から隠し扉が現れる。

 つまり、ここから直接向かえるというわけだな。


「ご用事がお済みになりましたら、

 またこちらへ戻ってきてください」

「わかりました」

『ありがとうございます』


 下に潜っていく階段は綺麗な石作(いしづくり)で降りやすかったが、

 下まで降りるとそこからの道は、

 とりあえず洞窟を掘りましたって感じのゴツゴツっとした岩が、

 そこら中に顔を出している状態であった。


 なんとか進んだ先には見覚えのある人物の後ろ姿があった。

 アルカトラズ様の部屋はティアドロップ型の形をしており、

 以前は(すぼ)まった先端から入ってきたが、

 現在は湾曲したところに出てきた。

 そして、そこにはダンジョンの核を持っているアルカトラズ様が居るのである。


『ん~?クロワか?』

「いえ、水無月です。

 お久しぶりですね、アルカトラズ様」

『お久しぶりです』


 あの管理人の名前はクロワさんというらしい。

 正面に回り込んで2ヶ月振りの挨拶をする。

 クーも合わせてカーテシーで挨拶をするが、

 すぐに反応が返ってこない・・・。

 あれ?もしかして忘れられてる?


『・・・おぉ、精霊使いの・・・。

 久方振りじゃな!とはいえ、

 儂くらいになると時間の感覚なぞあまり無いがなっ!フッハッハッハ!』

「俺達のこと一瞬思い出せませんでしたね?」

『そん、そんなことは無いぞっ!?

 しっかりと覚えておるよ、

 シヴァの娘と小さいな水精を連れておったじゃろ?

 そして、儂の眷属も預けたわい、覚えとる覚えとる』


 半信半疑だが、思い出せたなら良いかな。

 ここまで来た目的を済ませてしまおう。


「貴方からお預かりしたクーデルカが進化をしましたので、

 お連れしましたよ。さぁ、クー。前へ」

『はい。お久しぶりです、アルカトラズ様』

『ほぅほぅ・・・本当に加階が早いのぉ・・・。

 あれから何があったかはクロワ経由で聞いてはおるが、

 まさかもう加階しておるとは・・・。

 クーデルカや、こちらへおいで』

『はい・・・』


 アルカトラズ様が差し出した大きな骨の手の平に、

 クーがフワリと降り立つ。

 進化をしても元の大きさが違うアルカトラズ様の手に、

 小さなクーが乗っていると思うと、

 何かの弾みでグッと握りつぶさせそうで、

 ヒヤヒヤしてしまう。


『うむ、ありがとう。

 小さな水精(しか)り、クーデルカ(しか)りなのじゃが・・・。

 この子等は加階を果たした眷属に比べると小さい部類に入る』

「まだ進化2回目ですし、

 小さいのは仕方ないのでは?」

『それはそうじゃが、それに比べても幼いのじゃ。

 2度加階した精霊ならば見た目も身長も、

 もう少し大きくなるんじゃが、クーデルカを見るに、

 刻み方が違うのかも知れん。

 もちろん個性として小さい者もおるからのぉ、

 今の段階で答えは出んわい・・・』

「そうですか・・・。

 次にアクアが進化すればおそらく、

 人間の3~4歳くらいかと思っているのですが」

『そうじゃな・・・、

 いまの様子からそのくらいの大きさに加階するじゃろうて』


 進化に関してはまだ検証できるような段階ではないので、

 この場での意見交換は保留とした。

 進化する度に戻って来られれば良いとは思うけど、

 国を出てしまうとまた事情が違ってくるから、

 次はいつ戻って来られるかもわからない・・・。


『それは仕方あるまい。

 こうして時々会いに来てくれるだけでも嬉しいもんじゃて』

「いずれまた来ますよ。

 今日はクーがお土産を持ってきたので、

 そちらを楽しんでください」

『お菓子とお茶を買ってきました。

 アルカトラズ様も人型をとれますか?』

『それは楽しみじゃな。

 人型か・・・久しくなっておらんが、

 いっちょ気合いを入れてなってみるかのぉ!』


 アクアの水脈移動以外にも、

 風の国特有の利用できそうな長距離移動技があるとは思う。

 まぁ、手つかずの水源があれば登録しておくし、

 クーの転移能力が向上すればそちらも利用するつもりだ。


 アルカトラズ様は体を膨大な黒い霧状に一旦分解し、

 霧を人型に固めながら収縮していく。

 やがて、真っ黒なお爺さん型の塊が完成した。

 その塊がボッという音と共に顔や服の形に凹み、

 黒かった色もゆっくりと肌は肌色に、服も合わせて色が変化していく。

「上位精霊って結構無茶苦茶するよな」

『普通は加階の時にしか変化は出来ませんからね』

「クーの猫化みたいな感じかな?」

『いえ、あれは人か猫かの指定された形への変化です。

 例えば、ヴォジャ様はエラの大きさを指定して小さくしていました』

「そういえばそうだったな。

 セリア先生も上位精霊だけど、変化できるって事か」

『先生は人間との交流がありますから、

 変化はしないんじゃないですか?』

「それもそうか・・」


 多少気味の悪い変化をしたアルカトラズ様の、

 その最終的な様相は骨張ったつるはげのじいさんであった。

 歳はすでに100歳は越えていると誰が見ても思うほどで、

 正直に言えば布団でおとなしくしていてほしい感じだ。


『どうじゃ?これでいいかのぉ?』

『立派なお爺さんですね。歯は生えてますか?』


 この爺にしてこの孫だ。

 大精霊相手に物恐じせずに「歯は生えてますか?」と聞いている。

 血の繋がりはないけれど、玄孫と爺に見えなくはないし、

 保護者でもあるからな・・・。


『生えておるぞ。ほれ、この通りじゃ』ニカッ!

『はい、立派な歯です!これなら大丈夫です。

 今からお茶も淹れますから待っていてください』

「じゃあ、テーブルと椅子を出すよ」

『お願いします』


 俺は影から簡易的な作りのテーブルと椅子を引っ張り出す。

 各町に寄る度に影の中にこういった物が増えているんだけど、

 俺達は旅をしているんだからこういうのは普通買わないんじゃないかな?

 俺は買わないし、アクアもクーも興味は無いだろうしお金も持っていない。

 必然的にアルシェとメリーが捜査上に浮かび上がる。


「まぁ、役には立ってるんだけどね・・・」


 無駄なら怒るところだけど、

 なんだかんだで道中で休憩する時とかにあると便利だったりする。

 クーは簡易調理セットを取り出して、

 お茶の準備を始めている。


『お父さま、お水をください』

「はいよ。

 《氷質を宿した大気を集め、我が願いを満たせ!アクアボール!》」


 クーが蓋を開けて待つティーポットの大きさに合わせて水量を調整する。

 最終的には詠唱無しで、

 指で大きさの指定をするだけにしたいと思っている。


「じゃあ注いでいくぞ」

『はい、来てください』


 ゆっくりトプトプと水が注がれていく。

 アクアボールの魔法は指定した場所に水球を出す魔法で、

 基本的に球状から変化することはない。

 つまりは出すところまでが詠唱魔法、

 注ぐところから制御魔法という扱いとなる。


『精霊使いも制御が使えるようになったのだな』

『い、いま集中しているので・・・話しかけないでっ・・!』

『まだまだ(つたな)いのぉ・・・』


 制御のしやすさにも色々あって、

 風であれば質量がないので束ねて押し出せば突風として使える。

 しかし、押し出した先は制御が出来ない為、

 結構すぐに散り散りになってしまって、遠くまでは届かない。

 次に闇魔法は制御の感覚がまだ掴めていなくて、

 逆に空間魔法の制御ならコツを掴み始めたところだった。

 時空越しのデコピンも、

 距離感や位置の指定に結構四苦八苦している。


 もちろん亜神の加護があるからこそ使えているのであるんだが、

 水は質量がある。

 そうなると自然と体を動かす感覚の延長という認識になってしまい、

 自分は指をぴくりと動かしたような感覚で制御をしても、

 何故か予想としている動きから離れてしまうのだ。


 そして今は水球の下部からクーの受け皿へと注ぐという、

 ミリ単位の試練の真っ最中というわけで、

 相手がいくら偉い大精霊でも本当にそっとしていてほしかった。


 無事に注ぎ終えた水に火を掛け、

 次々とティータイムの準備を進めるクー。

 本当に数日合宿でずいぶんと手慣れたように思う。

 アルカトラズ様も感慨深そうにフガフガと頷いている。

 俺も触りくらいの知識しか無いけれど、

 カップに一度お湯を注いで捨てたり、

 蒸らす間はポットの蓋をひっくり返したりしていた。


 クーの準備を待っている間に俺の方はアルカトラズ様へ、

 オベリスクについてと魔神族の話をしていた。


「精霊使いの方が反応しているということは考えられますか?」

『可能性は十分に考えられると思う。

 それであれば人も割くことが出来ようし、

 対策はしやすくなるじゃろう。

 現にすでに契約しておる者も幾人かおるようじゃし、

 早めに連絡をつけて、試すが先決じゃな』

「わかりました、王様にも伺いを立ててみます。

 アルカトラズ様の方でもご協力願えますか?」

『儂に出来ることがあれば是非も無し、協力しよう。

 延いては儂ら全体の問題じゃからのぉ。

 何かあればクロワに伝えると良い』

「ありがとうございます」


 話は、報告から破滅の呪いの無効化についてに移っていた。

 当初の予想では異世界人だから無効になったのかと思っていたが、

 他の視点で考えて見れば、

 精霊使いにシヴァ神本元の加護も候補に挙がると思い直した。

 まぁ、セリア先生が呪いの影響下であったことを考えれば、

 大精霊も影響を受ける可能性は高く、

 アルシェが持つシヴァ神の加護が無効化の可能性は、

 限りなく低いと思われた。


 しかし大精霊へ直接確認を取ってみないと確証は持てないと思い、

 王妃様へ確認を取ると、

 本体は基本的に動けない為、分御霊を各所へ放っているが、

 拠点とした町で水精の窓口をする為に動かなかったり、

 歩き回っているけれど、そういった問題は見かけていないとの事。

 可能性としては呪いの影響化にあると考えるように言われた。


 念の為、アルカトラズ様にも確認をして、

 先ほどの会話に繋がっている。

 つまりは各属性精霊の頂点からの指示で、

 オベリスクを探し出す事は出来ないという事になった。

 アインスさんにも協力をしてもらって、

 近い人から接触を果たして行きたい。


『お父さま、アルカトラズ様。用意が出来ましたよ』

「丁度こっちも話が済んだところだ。

 では、いただきましょう」

『うむ。楽しみじゃのぉ』


 そこからは殺伐とした話はなく、優雅なひと時を過ごした。

 テーブルの上には買ってきたお菓子が綺麗にお皿へと並べられ、

 配られたカップからも良い香りがしている。

 苦みの含まれる茶色いお茶をカップで飲みながら、

 クーと楽しそうにお喋りをするアルカトラズ様を眺める。

 時々合いの手で話に加わりはするけど、

 基本的には2人が話し続けられるように、

 潤滑油の役割を頑張って果たした。

 俺は楽しそうに笑いながら話す2人を見られて満足です。



 * * * * *

『とても楽しい時間じゃった。

 クーデルカの淹れてくれたお茶も菓子と相まって美味しかったぞ』

『お気に召したようで何よりです。

 また機会を作って会いに来ますね』

『うむうむ、次も楽しみにしている。

 良ければ次はクロワも一緒でかまわんかのぉ?

 おそらく儂、あやつに抜け駆けした事を怒られちゃうからの』

『クーは大丈夫ですけど、

 管理人のお仕事はいいのですか?』

「夜なら人もいないし、

 少しくらいなら大丈夫だろう。

 なんとでもなるさ」


 22時を越えればギルドも店締めをする。

 町はすでに寝静まっている所も多く、

 冒険者がダンジョンに潜ってもいざというときにサポート出来ない。

 そんなわけで原則22時以降はダンジョンへ潜る事は禁止されている。

 その時間を過ぎてからならば、

 クロワさんの仕事もないし、

 冒険者もいないから気にせずにお茶会を出来るだろう。

 もちろん特別な許可を頂く必要もあるので、

 その時は頑張って許可をもぎ取ってやるさ!


『ありがとうございます、お父さま。

 では次はクロワさんも混ぜてお会いしましょう。

 今日はこれで失礼いたします』

「時間を頂いてありがとうございました」

『うむ、2人とも息災でな。また会えるのを楽しみにしておる』


 アルカトラズ様と別れてから、

 通ってきた通路も戻っていく。

 小屋まで戻り、軽くノックをしてからドアを開く。


「すみません、戻りました」

「あら、おかえりなさい。

 ずいぶんとゆっくりされていましたね?」

「ちょっと相談事もあって・・・。

 なかなか王都に戻ってこられないもので・・・」

「そうですか。

 ・・・良い匂いがしますね?

 これは・・・お茶と・・どちらかの菓子でしょうか?」

『あ、はい。お菓子とお茶を振る舞わせて頂きましたが・・・、

 ご迷惑だったでしょうか?』

「う、ううん。そんなことはありませんよ。

 またいつでもいらっしゃいな」

『ありがとうございます。

 お次はクロワさんにも振る舞わせて頂きますね』

「はい、楽しみにしています」


 人間に見えるけど、

 もしかしたらこの人もセリア先生やカティナと同じ位階の精霊なのかもな。

 お茶会のお誘いと挨拶もそこそこに、

 BOSS前を後にして地上へと戻ってきた。


「さって、じゃあクーが寄りたいところを回って城に帰るか」

『はい!お店はこちらにあるはずです!』


 ダンジョンから外に出ると、

 すでに夕方になっていた。

 中に入っていると時間の経過が分かりづらいけど、

 思ったよりも長居をしていたようだ。

 クーの案内に従って入店したお店は、

 先に伺った焼き菓子と反対で、

 甘い方の焼き菓子のお店だった。


『何度かこのお店のお菓子を頂いてまして、

 お礼に今度はクーから渡したいんです』

「なるほど、そういうことか。何人分ほしいんだ?」

『えっと・・・、50人分・・ですかね?』


 あぁ、お菓子のお礼と仕事を教えてもらったお礼の2種類あるのか。

 結構な量になるけど、

 影倉庫(シャドーインベントリ)に入れればいいだろう。


「すみません、50人分のお菓子の詰め合わせって用意出来ますか?」


 時間は夕方。

 つまり店締めも割と近くてもう商品がない可能性だってある。

 先に確認をしておけば、

 行きの時に立ち寄って予約ができたのに、

 クーに聞いていれば良かったな。


「う~ん。スタンダードなクッキーで宜しければ、

 用意は出来ると思います。

 厨房へ聞いてきますので、少々お待ちください」

『よろしくお願いします』


 裏の厨房へと繋がるドアの向こうへと消えた店員さんを待つ事数分。

 出てきた店員さんは笑顔を向けて、両手で○を描いてくれた。


「可能ではありますが今から焼く必要があります。

 それを2回に分けて焼きますので、

 30分ほど待って頂く事になりますが宜しいでしょうか?」

「かまいません、お願いします」

「かしこまりました。

 店長~、おねがいしま~す!!」

「はい、よろこんで~!」


 こんなところで、まだはい喜んでが生き残っている事に驚きつつ、

 これ以上はクーが怒られかねない。

 ただでさえ、俺の我が儘で仕事を抜けさせてもらっているのだ。

 いまが夕方という事は、夕食の準備が始まっているはず。

 この間クーの様子見で覗いた時は、配膳の戦争中であった。

 その時間に抜けるのはクーの評価にも影響が出て仕舞いかねない、

 せめてクーだけでも城に戻す必要がある。


「クー、紙とペンを出せ」

『はい、お父さま』


 すぐさま用意したクーを後ろから抱きしめるような体勢になる。

 クーの小さな手にペンを握らせて、

 テーブルに置いた紙に字を書かせるのだ。


『お父さま?』

「40分も待ちぼうけをするより、

 クーは城に戻って仕事の続きをした方が良い。

 クッキーは用意ができ次第俺が休憩室に置いておく。

 それにクーからのメッセージを残しておけば、

 気づいた人伝で侍従部隊に誰からの物か広がるから」

『そうですね、それならクーが書いた方がいいですね。

 お父さま、サポートをお願いします』

「まかせろ」


 こうして小さなお手手をサポートしてクーデルカ渾身の、

 感謝を伝えるメッセージは完成した。

 その間に店員さんは店仕舞の作業を進めていたのか、

 ドア前にはクローズの看板が掛けられ、

 店頭に並んでいたクッキーの袋詰め作業をしていた。


『じゃあ、お父さま!あとはお願いしますね!』

「あぁ、かならず休憩室に置いておくから!仕事頑張れよ!」

『はい!行ってきます!』



 * * * * *

「・・・というわけで、頼む!」

「そういうことなら、仕方ないですね。

 確かにメイドに頼むわけにもいかないでしょうし・・・」


 予定通り焼き上がったクッキーは、

 2回に分けているとはいえ結構な量があり、

 自分から提案をさせてもらって袋詰めの手伝いをした。

 2回目が焼き終わった後は店長さんも交え、

 3人でせっせと袋詰めをし、

 終わった時には、陽がほとんど沈んだ時間帯であった。


「無理を言ってしまってすみませんでした」

「いえ、お金ももらっていますし、

 謝るよりはまたご来店してください」

「あの小さな娘も一緒に来てください」

「ははっ、ありがとうございます。

 またいつか、買いに来ます」


 店の2人と別れてから城へ戻ってくるやいなや、

 アルシェを探して奔走。

 ようやく見つけて事情を説明したのだ。


 ー俺が女の子の部屋に入るのはまずいし、メイドにも頼めないんだ!


 アルシェも納得をしてくれた。

 クー!やったぞ!ミッションコンプリートだ!


「さて、お兄さん。

 私へのお土産はないんですか?」

「え?」

「え?じゃないですよ。

 勉強に訓練に頑張る私、そして今手伝った私。

 そのご褒美兼報酬を要求します!」


 むむむ。

 ここでアルシェのお兄さんかまってが始まってしまった。

 大変可愛い行為なのだが、

 そんな物は当然用意などしていない・・・あ!


「クッキーを買った店で残っていた物を頂いたんだけど・・・、

 これで良かったらあげようか?」

「ほんとですかっ!言ってみるものですねっ!

 じ、じゃあ遠慮無く頂きますねっ!ありがとうございます、お兄さん!」


 俺も楽しみにしていた商品を持って、

 アルシェはスキップしながら自室へと戻っていく。

 ぐっ!いいもん!俺には行き掛けに買った塩味の菓子があるし!

 今日はもう部屋に戻って、ご飯の配膳が届くのを待とう・・・、

 めっちゃ疲れてるから寝ないように気をつけないとなぁ。


 その日の夜。

 侍従部隊の休憩室の明かりは、夜遅くまで付いていたという。

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