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特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。  作者: 黄玉八重
閑話休題 -アスペラルダ国内水脈道-
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閑話休題 -06話-[アクアポッツォ~王都アスペラルダ水脈中Ⅱ]

 水脈移動を始めて約6時間半が経過した。


『そろそろつくから、おかたづけして』

「はいよー」


 アクアの呼び掛けから割とすぐにゆっくり上昇を開始する水泡。

 まぁ、大掛かりなことは元より出来ないので、

 皆すぐに上陸の準備を整える。


 頭からどこかの水辺へと徐々に上がっていく。

 おそらくは町に一番近い一番水源だとは思うけど、

 その調整はアルシェと上陸許可を出したスィーネが行った。

 水泡の向こうはまだはっきりとは見えないけれど、

 見覚えのあるシルエットが外に立っているのがわかる。


『とうちゃーく!』


 頭上から水泡は解除されていき、

 目線のぼやけが解けると思った通り、外にいたのは。


「よう、久しぶりだな。スィーネ」

『お久しぶりね、お兄ちゃん。

 とはいっても、コールで話もしているしそこまででもないかな?』

「それもそうだな。

 今回はありがとう、1時間くらいお世話になるな」

「スィーネさんお久しぶりです」

『すぃーね~!』

『アルシェも久しぶり。アクアもね』


 飛び込んだアクアを抱き留めつつアルシェにも挨拶をするスィーネ。

 始めて会った時に比べるとずいぶんな態度だなと思わなくもないが、

 今のうちに昼ご飯の用意もしないといけない。


「メリー、アルシェを連れて町に行くか?」

「そうですね、急げば40分ほどで戻ってこられるかと」

「だったら、土産に宿屋の女将さんが作ったドレッシングを買ってきてくれ」

「かしこまりました」

「え、でも町に行ってもゆっくり出来ませんよ?」

「姫様、私を信じて行きましょう」

「???」


 アルシェは頭に?マークをいくつも出しながらも、

 メリーに町へと連れて行かれた。

 まぁ、花を摘むのがメインイベントだけどな。

 メリーはずっとクーのお茶入れの訓練に付き合っていた為、

 すでに膀胱がやばいはずなのだ。

 ここからさらに7時間くらい掛かるのを考えれば、

 ポルタフォールでトイレを済ませておかないと途中下車は出来ない。

 男の俺はその辺ですれば良いけど、

 女の子達はそういう訳にはいかないからな。

 あ、大きいのも済ませてから出発したから問題ないゾ。


『あっちでも何かあったわけ?』

「あったぞー。特にお前らみたいな精霊に効果的なやつが」

『何それ、どこでも起こりえる物なの?』

「黒い柱が地面から生えていたら注意すればいい。

 でも、視界にそんな物がないのに内蔵魔力が勝手に減り始めたら、

 俺達に連絡してくれ」

『どういうこと?』

『そのはしらがまほうもわたしたちもよわらせちゃうの~』


 調理の準備を整えながら、

 アクアポッツォで発見したオベリスクについて軽く伝える。

 とはいえ、ひとりの精霊に詳しく話しても注意勧告しか出来ないのが辛いところだ。


『そういうことねぇ。

 人間か強い攻撃魔法がないと無力化出来ないのか・・・』

「だから、きちんとした対策を立ててもらう為に、

 アスペラルダに一旦戻る必要があるんだよ。

 まぁ、アルシェの顔見せも用事のひとつではあるけどな」

『優しいね、お兄ちゃん。

 もっと協力したいところだけど、守護職だからねぇ』

「今でも十分助けてもらっているんだから、

 気にしないでくれ。アクアも世話になってるしな」


 いずれ、水の国へ進軍されるような自体が来ない限りは、

 一緒に戦う事もないだろうし。

 サポートをしてもらえるだけでも十分な助けになる。

 俺達が現地で調査して、スィーネやカティナ、

 それからアインスさん達支援者がいるだけでとても心強い。


「よっし、こんなもんだろ」

『できた~?』

「出来たけど、2人が戻るまでお預けだぞ。

 スィーネ、亜空間の様子を見せて貰えるか?」

『どうぞぉー、ひと月も経ってないから何も変わらないけどね』

「アクア、クー。行くぞ」

『あい』『わかりました』


 移動中のスィーネの足下を見ると、

 アクアライドを使用していた。


「あれ?アクアから教わったのか?」

『話だけしか聞いてないわよ。

 これは私なりに創ったアクアライドよ』

「同じ魔法なのにアクア式とスィーネ式が出来たのか・・・。

 面白いことになってんだな」


 じゃあアイシクルライドもアルシェ式とマリエル式になる可能性もあるのか。

 ちなみに亜空間は本当に何の変化も起こってはいなかった。


『だから言ったじゃない!』



 * * * * *

 アルシェ達が戻って来るまでの短い時間に、

 アクアはスィーネに成長率を見てもらい、

 俺はクーと闇魔法の制御について相談をしていた。

 人間だから裏属性の氷や雷、時空に適性があるんだと思うけど、

 雷は射速が速すぎて制御できないし、

 時空はやっぱり4属性と勝手が違うのか制御の時点で消費MPがデカイ。

 そこで闇属性の制御を何かしたくて相談しているのだ。


『お父さまの時空制御はどのようなものですか?』

「こんなの」


 左手をデコピンの形にして、

 離れた所にアクアに狙いを定めて・・・撃つ!


『あいたっ!なに~??』

『大丈夫、アクア?』

『ん~、なにかがあたったの~』


 そう!これが俺の時空制御の第一歩!

 これこそ・・


時空を越えしデコピン(ファントムバレット)だ!」

『お姉さまに謝ってきてくださいっ!』

「・・・あい」


 クーちゃんに怒られたので、

 素直にアクアちゃんに謝りに行きました。

 お返しにアクアちゃんは頭突きをかまして許してくれました。

 ついでに何故かスィーネにも小言を言われました。

 本当にごめんなさい。


「お兄さん・・・何してるんですか?」

「あぁ、お帰りアルシェ。ちょっと機嫌を損ねてしまってね」

『自業自得よ』

『あくあはなにもわるいことしてなかったぁー!』

『お父さまが悪いのでクーも参加しました』


 帰ってきたアルシェが見たお兄さんは、

 地面で土下座をし、背中にはアクアとクーを乗せ、

 スィーネに頭を踏まれている無様なお兄さんでした。


「・・・メリーもすぐに戻りますから、

 食事の準備をして待っていましょうか」


 見なかった事にするらしい。

 アルシェの言ったとおりメリーも戻ってきて、

 手には宿屋の主人達から頂いたらしい簡易料理と、

 土産のドレッシングを抱えていた。

 土下座から解放されて、地面に座る。

 まずスィーネが俺の上に座って来て、

 そのスィーネの上にアクアが座る。


「あの・・・スィーネは結構大きいから重・・、

 食事がしづらいんだけど・・」

『水精いじめは許さないわ』

「でもスィーネは食べられないよね」

『私の仕事は食事の邪・魔』

『ますたーはあくあにたべさせて!』

「・・・あい」


 悪戯した俺が悪いんだけど、

 なんというか子供に怒られるとすっごく居たたまれないな。


「お兄さん・・・」

「・・・」


 それと妹のあの目。

 メリーは静かにお食事をしているのでよくわからんが、

 アルシェの視線がちょっと・・・痛い。

 大人の悪戯は大事になると、肝に銘じておこう。


 食事はとっても美味しかったです。

いつもお読みいただきありがとうございます

3月に入ったら新章一括アップします。

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