†第14章† -10話-[影の正体]
祝!ライジングインパクト アニメ化!パーシバルに会いたい!
種崎も出るし最高やな!マジで打ち切りになった最後の所アニオリでも良いから描いてください!!!!!あと、息子たちの話もOVAでも良いからオナシャス!
王都まで[ヘルリオ・ルラ・トレイン]で一気に移動して来たけれど時刻はすでに夕方を過ぎている為登城は断念した。
何より光精エクスの話をみんなで情報共有する時間も欲しかったので宿で一泊してから翌朝登城する旨だけ門番経由で伝えてから俺達は宿の一室に集まった。
「じゃあさっそくだけど、エクス。お願いしても良いかな?」
『もちろんですメリオ。まず先に皆に謝罪させてください……。あの魔物の知識があったにも関わらず事が起こってから思い出した所為で余計な被害者を生んでしまった事を謝罪します』
「いえ、エクス様。あのご家族には悪いですが知識があったからと言って確実に防げた訳ではありませんし、何よりエクス様が思い出してくださったからこそ早期に正体が判明したのです」
「マクラインの言う通りかと。魔物の気配が一切ない程に隠密に長けた魔物となれば何も情報が無い手探り状態では時間が掛かり過ぎさらに被害者が増えていた事でしょう。エクス様のおかげで今も無駄に時間を使わずに済むのですから謝らないでください」
エクスの謝罪にマクラインとミリエステが結果論だと慰めの言葉を口にする。クライヴさんもセプテマさんも同様の意見なのか特にコメントを挟まず頷いていた。
『改めてあの魔物の名は[シャドウラーカー]。生息域は魔族領の森林で普段は魔物に扮して獲物を狩る生活を送っています。性格は臆病で人の生息域には絶対出てこない駆逐する必要のない魔物として扱われていました』
「そんな魔物が魔族領から出てきて村や町で殺傷事件を起こして回っている……。おかしな事だな……」
「ですな。一つの村に2体居たことも気掛かりですぞ……」
『あの魔物は獲物を残さず食べます。その際に吸収した魔石によって時折同族を産み落としますから今回はその分娩が重なったのではないでしょうか?』
倒した魔物は液状となって飛び散り魔石を残して討伐された。
♂♀の概念の無いスライム……いや、アメーバみたいな魔物なのかもしれない。クライヴさんの事実確認とセプテマさんの疑問にエクスは簡潔に答え情報が揃っていく。が、魔物の正体は分かってもまだ疑問点は残る。
「エクス、各地で同じ事件が起こるなら利用されている魔物も同じ[シャドウラーカー]だよね? そんなに広範囲に魔物を使役って出来るものなのかな?」
『人の職種なので一概には言えませんが視界に入る範囲が限度ではないでしょうか? 調教師は牧場などに普通にいる職種ですが基本的に戦闘向きの職業ではなかったはずです。もしくは調教師の上位職があるならばその限りではない……とも言えますね』
魔物を操る者は十中八九魔族だと思われる。これは全員同じ認識だった。
ただ、調教師が複数人で別行動しているのか一人が手広くやっているのかが謎なので根本的な解決はなかなか難しそうだ。
「せめて、魔物の見分け方とかはないの?」
『あれらは時間を掛ければ擬態が上手くなりますが魔物に比べて人間は表情豊かなので表情が歪な者が怪しいでしょう。あとは先にも伝えたように本体は影で肉体は疑似餌ですから影に触れられるのを嫌がる傾向にありますね』
「ジョルジュさんの家の前であった奴は無表情だったからまだジョルジュさんの観察が足りていなかったって事かな?」
「流石に火の国の全国民に影踏みさせる様な事は出来ませんね……。その間にも逃げられてしまいそうですし……」
見分ける方法が分かったところで狭い集落の話なら兎も角国中の話になるとちょっと規模が違って面倒だ。
流石に一つ一つの町を封鎖して行えばある程度駆逐出来るだろう。けれど、賢い個体は自己判断で上手く逃れるかもしれないし調教師がその町に居た場合、さらに面倒な事になる可能性も出て来る。光魔法でどうにか炙り出すことが出来ないかと俺は頭を捻り、仲間達も悩むのでしばらく誰も声を発さない無言の時が流れる。
その時、セプテマさんの契約土精ファレーノが一つの案を提案してきた。
『魔物なら気配に敏感なので使えるのでは?』
『調教された牧場などの魔物を集めるのですか?』
『いえ、強力な魔物が一匹居れば感知してすぐ現場に迎えるのではありません?』
『その強力な魔物をどこで調達するのです?』
ファレーノの言い分は理に適っていると思った。
自然界で生きる魔物は生死に関わるので敵や獲物の気配感知に敏感だ。それを利用すれば方向や人数などの把握は格段にしやすくなるし人混みに紛れて逃げようとしてもすぐに気づくことも出来るだろう。ただ、やはり問題としては強力な魔物という点だ。例に出ている牧場は牛や鶏の魔物で強力では無いし冒険者に名のある調教師は聞いたことが無い。
じゃあ、捕まえるにしてもどこにそんな強力な魔物が居ると言うのか……。
「「「「「あっ!猪獅子っ!」」」」」
居たあああああああああっ!心当たり有りまくりだああああああああっ!
水無月さんの所に居るじゃん!すげぇじゃん!俺達はフォレストトーレ以来顔を合わせていないから忘れていたけど、セプテマさんとファレーノはこの間まで一緒に行動していたんだから……そうじゃん! 水無月さんも火の国の為となれば無下にする事も無いだろう。何せ後顧の憂いを一つ一つ丁寧に潰すような安全を第一にしているような面がある人だ。説明をすればきっとわかってくれるはず!
『私としたことが盲点でしたね』
「いやはや、なかなか良い作戦になる予感がして来ましたな勇者殿」
「ははははっ!炙り出せればこっちのもんよぉ!」
「彼女なら強いし対話も出来るし最適だな!」
「タルテューフォちゃんかぁ……誰か一緒に付いて来てくれるのかしら?」
ミリエステ一人が若干不安そうな表情を浮かべているが俺もこの作戦は良いと思う。
まぁ頭を捻り合って作戦を立てたけど根回しするのは俺なんだよね……。明日の登城の前に水無月さんに説明して許可をもらわないといけない。さっそく[揺蕩う唄]で通話して話を通しておこう……。
彼女はあくまで水無月さんに懐いている様子だったから俺達の言う事は聞いてくれるようには思えない。だからこそミリエステが気にしている監視役も誰か付けてもらえるように交渉が必要なのだ!頑張れ俺!負けるな俺!決行が決まっても魔物である彼女を火の国がどう判断するのかもわからないのだからまだまだ山は複数聳えているぞ!
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