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特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。  作者: 黄玉八重
第13章 -1stW_ナユタの世界-

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†第13章† -26話-[魔神族復活の刻②]

大風邪を引いて一時執筆が滞りましたがなんとか投稿に漕ぎ付けました!

ヨカッター‼

 一方その頃。

 マリエルはメルケルスを倒した後宗八(そうはち)と合流してナユタ復活の様子を見守っていた。


「しばらく暇っぽいですけど、どうしますか?」

「バリアが縮まり始めているから住人を避難させるなら早めに準備しといた方が良いよな……。

 メルケルスも居なくなったなら後は俺達だけでもいいかもしれないな」

「前半は賛成ですけど後半は協力した方が良いんじゃないですか?

 一応魔神族とはいえ背水の陣なわけでしょ? 何かパワーアップする手段はあるんじゃないかと思うんですけど」

「俺もそれは警戒してるよ。って言うかそれを前提に鍛えて来たわけだし。

 だからこの先、ナユタより強い魔神族を相手にする際の基準として俺だけでどこまで出来るか体で理解しておきたいんだよ」


 結局ナユタはスキル[精霊の呼吸(エレメンタルブレス)]とスキル[魔導拡張]で超過した魔法と七精剣(しちせいけん)カレイドハイリアの既存魔法剣で倒せてしまった。それもそれなりに余裕を持って。

 もちろんナユタに関しては想定していたラインなのでここまでは初顔の魔法に若干の驚きはあったものの何が来てもある程度カバーで出来る準備が出来ていたから苦労は何もしていなかった。だからこそ全く知らない魔神族の第2形態に初めて遭遇するなら俺の全てを持って当たらなければマリエル達をどこまで強くすればいいのか判断が付かないのだ。


「とりあえずゲートの再設置と子供達との合流をするから一緒にセーバーとセプテマ氏の辺りに降りるぞ」

「はぁーい」


 まだ継戦中にも関わらずだらけた口調で返事するマリエルに頼もしさを感じつつアルシェ達がバリアに突入したと思われる辺りを上空から見まわしてみるとセーバーとセプテマ氏は思いのほか簡単に見つけられた。


「お、我らがリーダーの帰還かな」

「アレを相手に良く勝ちましたな。二人とも流石優秀ですな」


 俺達が近づいてくる事に感づいた二人は待ち構えて待っていた。

 そしてバリア内に侵入して地面に降り立つとそれぞれ何やら口にしながら寄って来た。


「あれで終わるわけないだろう…。冒険譚とか読んでないのか? 負けそうになったり負けた後は謎のパワーアップを果たすもんだぞ」

「物語と現実を一緒に考える辺りお前こそ用心深すぎだろ…。何割くらい考えてんだ?」

「10割で考えてるぞ。ナユタのホームワールドで戦ってるわけだし何かあると思わないか?」

「そりゃまぁご尤もだな」


 セーバーも本気でこれで終わりとは思っていないだろうに。

 セプテマ氏にも声を掛けておこうかな。


「バリアはどの程度縮みましたか?」

「すでに6mは縮みましたぞ。今は緩やかになり申したがまだ縮みそうですな」


 周囲を見回してみるとバリアが建造物を跨いでいる部分があった。あの家はもう使えないな……。

 世界樹まではバリア境界線もまだまだ余裕はあるけれど脈動が続く限り収縮が続くならそう何度も復活を耐える事は出来そうにないな。


「わかりました。二人とも大通りまで移動するから付いて来て。ゲートを再設置してあちら組と合流する」

「あいよ」

「了解ですぞ」


 空からバリア内はある程度道順は確認したし気配に敏感なゼノウも内部で偵察してるからどこかで合流して来るだろう。

 歩き出すとさっそくマリエルから分離したニルが俺の後頭部に突撃して来たのを敢えて受け止める。


『お父様ぁー!ニルがメルケルスを倒しましたわぁー!』

「いや、私も一緒に倒したからね!お父さんにはちゃんと嘘偽りなく報告した方が良いよ!」

「ははは、マリエル。俺はちゃんとわかってるから。ニルもよく頑張ったな、流石俺の娘だぞぉ~!」

『あはははー!くすぐったいですわぁー!』


 魔神族と戦ったばかりでここまでリラックス出来ているのはかなり善戦出来たって事かな。

 俺も戦闘中だったしちゃんとは見れていないけど今見ても今後に支障が出る様な怪我は全く負っていない。

 ニルを撫で回していると俺の中から末娘ベルと四女アニマも分離して俺の肩によじ登って来た。


『パパ!ベル達も一緒に頑張ったから誉めて欲しいいいいい!』

『父親ならそれが仕事のはずですよ!さあ!褒めてください!』

「はいはい、順番に褒めるから待ってなさい。今はニルの番だから」


 和気あいあいとセーバーやセプテマ氏とも雑談を挟みながら大通りまで移動して来た俺はさっそくゲートの設置に取り掛かる。

 人差し指でササっと鳥居を空中に描くと念話で子供達と連絡を取った。


「(ノイ、ゲートの接続を変更するから全員外に出てるか確認してくれ)」

『(ちょっと待つです…………。はい、大丈夫です。全員こっちの世界に戻ったですよ)』


 ノイの返事を聞いてからゲートに闇魔力を集中させた人差し指と中指を差し込み遠隔操作で俺たちの世界と外界を繋ぐゲートを閉じ、改めて指を捻ってゲートの再接続に入る。


「《施錠(ロック)/地竜の島》《解錠(アンロック)/地竜の島》」


 ブゥゥンと一瞬ゲートが揺らぎ魔法内で繋がっているゲートの遠隔施錠が完了し、続けて解錠するとすぐにゲートは広がっていき向こうでゲートを守っていたメンバーと合流を果たした。

 以前と同じように真っ先に覗き込んでいたタルテューフォが頭にノイを乗せたまま突撃して来るのを受け止める。


「にーにぃ!久しぶりなんだよぉ~~!」

「そんなに時間は立ってないだろうが。ノイもお疲れ様。みんなもこっちに来て世界樹を見ると良いぞ」

『それって僕もいいのかい?』

「世界樹のバリア内だしフリューネも来ていいよ」


 俺の許可を得て嬉々としてタルに続きフリューネがこちらの世界へと移動して来た。

 その後も続々と拳聖(けんせい)エゥグーリアやセーバーPT、リッカとフラムも恐る恐る入って来る。まぁさっきまで瘴気の真っ只中と繋がっていたゲートがどこぞの田舎村に繋がっていれば警戒するのは当然か!


「(アクア、クー。世界樹のバリア内にゲートを設置してノイ達と合流した。お前達も俺と合流出来そうか?)」

『(アクア達ねぇ~今世界樹の中にいるのぉ~。合流はいいけどアルたちはどうするぅ~?)』

『(移動魔法の効率は落ちますがアルシェ様もメリーさんも自身の力で問題はないかと)』

「(じゃあ許可もらったらこっちに合流で。世界樹の大通りに居るから)」


 世界樹の中って事はナユタの本体の所だな。

 世界樹の中で何が起こっているのかの調査をしているならナユタ復活まではあっちで待機になるだろうしアクア達はこのまま合流できそうだ。


「ノイとフラムはここから俺と一緒に行動な。メルケルスも居なくなったし避難が済むまでは一騎打ちで時間を稼ぐ」

『わかったです』

『わかった』


 お父さん呼び組が仲良く頷き改めて俺をよじ登り始める。

 アニマはいつもの肩車スタイルで肩に足を掛け、両肩にはニルとノイが。その膝のうえにベルとフラムの末っ子組が座る形で落ち着いた。


「じゃああとは避難が始まったら皆で誘導を頼む。何らかのアクシデントでバリアが収縮・消失した場合は防衛も仕事になるから気を引き締めて当たってくれ」

「「「「了解!」」」」


 うちのメンバーではない剣聖(けんせい)拳聖(けんせい)も頷き同意してくれたのでまぁなんとでもなるだろう。

 念の為浄化魔法を設置していると複数人の気配が俺達に向かってくるのを感じ取った。その中に知っている気配も混ざっている。


「失礼、そちらの方々はアルカンシェ殿のお仲間だろうか?」


 背中に掛けられた声に振り向くと気品が若干漂うおっさんと聖職者風の女性と化け物を先頭に幾人かの先住民が近寄って来ていた。そのメンバーの中にフランザの姿も見えるのは何故だろうか……。


「アルシェを知っているという事はこの村の代表の方々でしょうか?

 私は水無月宗八(みなづきそうはち)。魔神族を滅ぼす為にこの世界に来ました」

「お察しの通りアルカンシェ殿と村を代表して話を伺ったのが私達だ。

 アルカンシェ殿の姿が我らに無断で聖域に足を踏み入れているらしく、対話の続きをどうするかと考えていた矢先にそなた達が見えたものでな」


 無断の部分に怒りを感じる声音だな。

 でも魔神族復活のメカニズム解明の為には異世界のルールなんて二の次にしないと。この世界とも数時間でお別れするつもりだし。


「それは失礼をしました。ナユタを一旦討伐したので今復活を始めたところなんですよ。

 他の魔神族の世界に行った際に慌てることの無いようにこの世界で色々と調査をしないと下手をすればこの世界の二の舞になってしまいますから、どうかお許しいただきたい」

「そんな勝手なっ……!あそこは私達の世界を守ってくださったナユタ様のご神体が祀られている聖域なのですよ!

 それをズカズカと異世界の人が土足で踏み荒らすなどっ!」


 アルシェからも似た様な話はされているだろうに聖職者の女性が俺の言葉に声を荒げる。

 まぁ俺がこっちの世界の人なら同じように怒ると思うけど、寿命の見えている世界を相手にこっちも優しくする限度がある。

 人権や人命を優先して避難先を斡旋して促したり宣告したりとか結構優しくない? 元々生き残りなんて居ない前提で動いていたのにイレギュラー生存者の為にこんなに骨折ってるって事も勝手な言い分ながら理解してほしいなぁ。


「はいはい!その辺りを尊重出来る段階に端から無いんですよ。

 魔神族の一人を滅する最高のタイミングでこっちは異世界に飛び込んでいるんです。こちらが譲歩出来るのは異世界に移動しても生きて行こうという意志がある人のみでこっちの文化や宗教や尊重ってのは配慮なんてしてらんないんです。

 今もナユタが復活した後の準備をしているんですよ。そちらこそアルシェの話を聞いて回答が用意出来たのなら生きたい人を優先して私達の世界へ避難を開始してください」

「なっ………!」

「………」


 聖職者の女性は俺の勝手な言い分に怒りを通り越して言葉にならず、気品のあるおっさんはその辺りは理解しているのか黙って聞いていた。

 ただ、代表の3名の中で状況をちゃんと理解している化け物が一匹居た。


「取捨選択、大事。異世界人なら別の世界の事、そんなものだと思う。

 それでも助けてもらえるなら、俺は一族が助かる道を選ぶ。だから助けて欲しい」


 そう言って頭を下げる化け物さんに続き後ろに控えていたその他の化け物さん達も頭を下げた。

 見た目はヤバいけど一番現実が見えてるな。いや、逆に化け物だから冷静に優先順位を決められたのかもしれない。


「では、今しがた私達の世界へ繋がるゲートを開いたところです。

 持って行きたい物をまとめた人から通って避難を始めてください。一時的な避難先ですがこの世界よりは空気が美味しいですよ。

 ここの居るメンバーも避難誘導を手伝いますから何か質問があれば気軽に聞いてください」

「感謝する。1時間以内に一族をまとめて避難する」


 化け物さん達グループが(きびす)を返して村に帰っていく背から視線を外して残りの生存者たちへ言葉を投げかける。


「他の代表お二方はどうされますか? バリアの縮小を警戒してここに避難ゲートを作りましたけどここもいずれバリア外になれば避難どころではなくなりますよ」

「……私のところも避難に賛成が多数居たから避難を始めるつもりだ。

 ただ、貴殿の言い分もわかるが大事に想う故郷を捨てる我らの機微も慮ってほしい」


 そう言うだけ言って気品あるおっさんのグループも同じく村の中へと消えて行った。

 残るは聖職者女性とゆかいな仲間たちだ。こいつらはどうするつもりなんだろうか? 邪魔するなら容赦しないけど。


「——私達のグループは半数近くが残る事を決めました。

 私も代表として…断腸の思いで避難組としてこれから避難させていただきます……」


 さいですか。ならごちゃごちゃ言ってないでさっさと動けばいいだろうに……。

 というか半数も残るってすげぇ郷土愛なのか信仰を捨てられないだけなのか…。ふぅ、無神論者の俺にはわからん思考回路だわ。

 とりあえず残ったフランザから調査組でどの程度村の状況を調べたのかこの場のメンバーと情報共有してから空に戻るかな……。

いつもお読みいただきありがとうございます。

『続きが気になる』『面白かった』など思われましたらぜひ、

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よろしくお願いします。

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