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特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。  作者: 黄玉八重
第13章 -1stW_ナユタの世界-

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†第13章† -21話-[世界樹の麓村①]

①少ない休日に一気に書こうとする→②描写が思い浮かばないor魔法名が浮かばない→③ゲームをしつつ現実逃避→④実績解除に夢中になる→⑤天辺超えて改めて悩み始める。

RAFTの実績解除は大いに進みました。

「まさか……っ!そんなことがあり得るのですかっ!?」

「集落…。いや、村か?」


 私の驚愕の声に続けて声を出せたのはゼノウだけだった。

 驚きつつも瘴気が晴れた一瞬だけ朧げに見えただけで現状はまだ世界樹に辿り着けていない瘴気の真っ只中なので世界樹へと一同を連れて速度を上げる。視線で仲間たちにも確認したアルシェに全員が同じものが見えた様子の反応を示した。


「瘴気も世界樹のバリアで防がれている様ですし進みましょう。お兄さんとマリエルが時間稼ぎをしているうちに必要な情報を集めますよ」

「瘴気に侵されつつ人類を守ろうとしているのかもしれませんね」

「しかし肝心な防衛機能が乗っ取られているんじゃ本末転倒ではないか……」


 私が先頭を走っているから世界樹が発していると思われるバリアに一番初めに気付きすぐ側を駆けているメリーとセプテマ剣聖(けんせい)がバリアを目視して感想を述べた。続々と視界不良な瘴気地帯を抜けてバリアと瘴気の間に出来た何も無い空間に足を踏み入れる仲間たち。バリアが発している聖なる微光が瘴気を寄せない様に機能して道幅2m程の境層を作り出しているようだった。


「アルカンシェ様。瘴気モンスターはこちらに近寄るのを嫌がっている様ですよ」

「じゃあこっから先はモンスターを警戒せずに行動できるってことか?」

「完全に警戒を解くことは出来ないだろうな。

 アルカンシェ様、念の為バリアの側で警戒しておいた方がいいかと」

「分かりました、ゼノウの意見を採用しましょう。セプテマ剣聖(けんせい)とセーバーは警戒を。私達は武器を収めて村に寄って村人が居れば接触しますよ」


 私も気付きはしていたけれど口に出して共有して来たフランザにライナーが甘い事を口走る。

 流石にセプテマ様とセーバーの二人だけにこの広いバリアの外側を警戒させるのは無理があるから私達の行動範囲から一番近い場所で警戒してもらう事にして私達は慎重に敵意が無い事を示しながら村へと足を踏み入れた。

 空は相変わらず夜なのか昼なのかも判断が付かないくらい暗かったけれどお兄さんとマリエルの戦闘の影響で瘴気の雲は乱れ雷が駆け巡る音で世界樹のバリア内にも戦闘の激しさは轟いていた。


「止まれ!アンタ達……どこから現れやがったっ‼」

「俺達が産まれる前から周囲は瘴気に包まれていたんだっ‼その外から来て中に入れるなんて……っ!」


 気配でどの程度の人が生活しているのかはある程度把握はしていたけれど木造の建物の影から10人程のグループは各々武器を手にして私達を警戒しつつ姿を現した。その奥の建物の影にも同じ人数で複数のグループが未だ身を隠して様子をうかがっている。


「初めまして。私達はこの世界の守護者(しゅごしゃ)であるナユタを筆頭に魔神族から侵攻を受けている異世界の住人です。

 名をアルカンシェ=シヴァ=アスペラルダと申します。この村の代表の方とお話がしたいのですが可能でしょうか?」

「異世界……っ!? 侵攻を受けているだとっ!?」

「はい……。なのでこちらの情報とそちらの状況の話を共有して今後の話もしたいのですが代表の方はいらっしゃらない集団なのでしょうか?」

「いや、複数の代表がまとめている村なのだ。俺は防衛を任されているオルトーシと言う。貴族ではないので姓は無い」


 名乗りをしながら見回してみたけれど本当に訪問という状況に慣れていない様子のグループの中から一番初めに声を上げた40代くらいの男性が名乗りを返してくれた。この時点でひとつの情報が手に入った。この世界は貴族が居て姓は貴族しか持ちえないのでこのオルトーシさんは平民という事なのだろう。それにしても言葉がちゃんと伝わっているのはどういう……。


「アルシェ様。ステータスに異世界人の称号が追加されています。

 おそらく御主人様を参考にすればこの称号が異世界に来ても言葉が通じる現象の原因かと」

「ありがとう、メリー」

「上のナユタ様と戦っている奴はアンタらの仲間なのか?」

「私達のリーダーを務めている水無月宗八(みなづきそうはち)です。もう一人ナユタの仲間と戦っている女性ももちろんこちらの仲間です。私達が情報収集するまでの時間稼ぎをしてもらっているのです」


 そう伝えると頷いて背後に控える仲間に言伝を頼むと後方のグループと合流して方々へと走り出した。

 複数いる代表を集める為に動いてくれた事に安堵し改めて彼らの服装や武器を観察してみるとあまり生活は裕福ではないとわかった。服は継ぎ接ぎが見えれば草を編んだような上着も着ているし武器もたぶん何度も打ち直しをして手入れも行き届いていない様に見えた。


「(アクアちゃん、お兄さんに村人を私達の世界に連れて帰ることを前提で動くと伝えておいて)」

『(あいあ~い)』


 あちらも同じように私達をジロジロ見て来たけれど名乗りで姓もミドルネームも伝えているからきっと貴族だと思っているのかもしれない。武器をこのまま構えたままでいいのか迷っている様だ。私達はこれからこの世界を滅ぼすのだからある程度下手に出るのが当たり前なんだけど、あちらからすると突然現れた異世界の貴族を相手にどう対処すべきかわからないのも仕方ないかな。


「何か気づいた事はある?」

「遠くに同じような規模の村が見えます。もしかしたら想像以上に生き残りが居るのかもしれません」

「バリアで守られてはいますけど少し瘴気に似た気持ち悪さが混じっている様な気がします」


 トワインの意見を聞いて私も指差す方向を見てみたけれど身長的に見えない角度みたい。それでもこの規模の村なら100~150人くらいは居るだろうから村落の数によっては避難に時間が掛かるかもしれないなぁ。続くフランザの意見は私も感じていてこの世界は放っておいても遅かれ早かれ全滅するだろうと思った。以前お兄さんがチラリとオベリスクの時に言っていた子供の出生率が低下するって話は瘴気も同様の効果を持つかもしれないからフォレストトーレで救出された人々の観察はお願いしておこう。

 しばらく待てば先ほど方々へ駆けて行ったメンバーが戻ってきてオルトーシさんに耳打ちをした。


「お客人、お待たせしました。代表たちが会うそうなので案内いたします。遠路遥々、エッチェラー村へようこそ異世界の方々」

「ありがとうございます。案内お願いします」


 オルトーシさんに付いて村の中へと入っていくと武器を手に集まっていた村人たちはバラバラと散っていく。

 警戒は完全に解いてはいないものの、ひとまずは荒事にはならなさそうと考え私達よりも空の戦闘を気にして見上げる者が多かった。

 村の中心部まで進んだ先に円形の大きな建物が見えて来た。入口には武器を手にし鎧を着こんだ人も数人立っていたのでそこが私達が向かう先だとすぐにわかった。


「異世界よりの来訪者をお連れした」

「通すように聞いている。異世界人なので見た目が慣れないかもしれないが粗相はしない様にしてくれ」

「わかっております。こちらも相応の立場で乗り込んでいるのですから」

「それでは私はこれで」

「案内ありがとうございました。あ、もしよろしければ仲間に村の中や生活を見せていただく事は可能ですか?」


 入口でオルトーシさんから鎧姿の人物に引き継がれ中へと足を踏み入れる…前に、振り返ってメリー達4名の向こうですでにこちらに背を向けているオルトーシさんに声を掛けた。


「まぁ案内程度であれば勝手をされるよりは村人も安心できるかと思いますが……」

「それではゼノウPTは彼について色々と見て来てください」

「「わかりました」」「「了解です」」


 戦闘でも話し合いでも頼りになるメリーとクーちゃんが居ればなんとでもなるでしょう。それよりも元々ゼノウ達を連れて来た理由である調査で動いてもらわないと本末転倒だ。世界樹という代物も私達の世界にはまだ顕現していないのだからこの世界で調べられるだけ調べて情報を持ち帰らなければ。

 3人が離れた事を見送って足を止めてくれていた鎧姿の方に感謝を伝えて再び歩き出す。


「異世界よりの来訪者をお連れしました」

「入れ」


 声は一人だったけれど布で作られた暖簾の先には6人分の気配がある。

 中へどうぞと勧められそのまま暖簾を分けて部屋へと進むとテーブルに座る人が3人とそれぞれの側に護衛なのか側近なのかが立っていた。座る代表は一人は50代ほどの白髪の男性、一人は角の生えた女性、最後の一人が服は着ているものの頭や肩にヒレが飛び出て歯や爪も尖っている見た目モンスターとなっていたのは流石に驚いた。案内をした鎧姿の方が忠告しておいてくれて良かったかもしれない。


「お会い出来て光栄です。私は異世界から来ましたアルカンシェ=シヴァ=アスペラルダと申します。こっちは従者のメリー=アルカトラズ=ソルヴァです」

「ようこそ異世界の方々。現在のエッチェラー村の代表の一人をしているジョイザイル=ターバインだ。元は一国の王族だったが今はしがない代表として扱って欲しい」


 まずは中央に座る白髪の男性、ジョイザイル殿が名乗り返してくださった。微笑みに気品があるので王族というのは嘘ではないだろうけれど世界がこの状況になってどのくらい経ったかも不明だし血縁という程度と考えておきましょう。


「私も代表の一人を務めておりますセフィーナです。聖職の一族で女性代表としても参加しております」

「俺も代表。ボンドと言う。タレアという一族。魔物ではない。よろしく」


 セフィーナ殿はわかりやすい。宗教なら他人だろうが家族だろうが教えを受け継いでいく事は可能ですし。

 ボンド殿は言葉は上手くないけれど知性がある事はわかったし必要以上に警戒しないで置きましょう。


「ご紹介ありがとうございます。それではさっそくですが私達がこの世界へ来た理由から説明させていただきます」

「よろしくお願いします」

いつもお読みいただきありがとうございます。

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よろしくお願いします。

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