第六話「進め」
半ば強引に理玖は流樹にカラオケに誘われた。
流樹は湊人とレッスンの課題曲を踊り歌った。
すると、それをみた理玖の目からは大粒の涙が。
そして理玖は、流樹と湊人によって笑顔を取り戻した。
「理玖、おはよ!」
理玖に元気な声で挨拶をしたのは流樹だ。
「あ、うん。流樹、おはよ。」
カラオケの一件以来、理玖は流樹と友達になった。学校だけでなく、放課後や休日も遊ぶ仲だ。
「…今日もレッスン?」
理玖は流樹に聞いた。
「そうだよ!もう楽しくてしょうがないんだ!」
「そっか。頑張ってね。」
理玖にそう言われた流樹は、理玖の顔をジッと見つめた。
「?? 流樹?僕の顔に何かついてる?」
「え?いや、理玖ってホント笑顔が似合うなぁ〜って思って!」
流樹は答えた。
「っはぁ!?な、何言ってるんだよ!」
そう言った理玖の顔は耳まで赤くなっていた。
「で、メ、メンバーは?スカウト出来たの?」
理玖はこれ以上照れたくはないので、強引に話を逸らした。
「え〜。それがさ、ピンとくる人がいなくて、まだ俺合わせて二人…」
流樹は現実を思い出し、落ち込んでしまった。
「ま、まぁ。落ち込むなって。」
すると、理玖に元気づけられた流樹は、
「そうだ!理玖を新メンバーに!」
と言った。
「いやいや、僕?冗談はやめてよ。真剣に考える気あるのか?」
しかし、理玖に怒られてしまった。
「うぅ〜しゅみましぇ〜ん。」
(でも、結構本気なんだけどなぁ。あ、よし!)
-夜、理玖の部屋-
「はぁ、そろそろ寝よう。」
理玖は読んでいた本を閉じ、ベッドに入った。
その時、理玖はふと今朝流樹が放った言葉を思い出した。
「僕を新メンバーにって、流樹はホント訳わかんない冗談言うよなぁ。」
理玖はベッドから出て、姿見に自分を写しカッコよくポーズを決めてみた。
「・・・いや、似合わないし。」
-休みの日-
土曜日の12時くらいを差す頃、理玖のスマホに流樹から電話がかかってきた。
「もしもし、流樹?どうしたの?」
「聞いて聞いて!今度二人でライブやるんだよ!」
「・・・マジで?まだメンバー集まってないのに?」
「うん!それでさ、理玖に晴れ舞台を観て欲しくて!あとで住所送るから来て!あ、因みに今日の4時半からだから!じゃっ!!」
「うん。え?今日?4時半?まてまてまて!!」
理玖の声に返答する事なく流樹は切ってしまった。
「随分と急だな。」
理玖は少し唖然としていた。
-とある会場-
「・・・ここ、だよな。」
理玖は指定された住所に着いたがそこはレッスン場だった。
「こんなところで本当にライブやるのか?」
理玖はそう呟くと、突然暗かったレッスン場の明かりが点いた。
「やるよ!ライブ!理玖のためだけの!」
衣装を身にまとった流樹はそう言い放った。
「流樹!?これはどういう・・・」
「よし!理玖も一緒に踊ろう!いいよな湊人!」
流樹は随分とノリノリだった。
「うん!もちろん!理玖君、三人で踊ろ!」
湊人もノリノリだった。
「いや、待って待って待って!一緒にってどういうこと!?」
理玖はあまりにも急で滅茶苦茶動揺した。
「じゃあ、ミュージックスタート!!!」
そんな理玖をおかまいなしに流樹は進める。
(も、もぅ・・・恥ずかしいな・・・)
(ふふっ、でも慣れてくると楽しいかも。二人とだからかな?)
理玖がそんなことを思っていると、あっという間に一曲終えた。
「あぁ〜楽しい!ね!流樹君!」
「そうだな!理玖、結構ダンス上手いじゃんか!!」
「う、うん。でも、その前に・・・どういう風の吹き回しだ?これ。」
理玖は本題に入ると、
「あ、ごめん。実はこの前何気なく、理玖を新メンバーに!って言ったの、あれ結構本気で・・・それから理玖がメンバーだったらいいなって凄い考えちゃって。自分の気持ちの中じゃ収まらなくなって湊人と社長に相談して、「そんなに気になるならスカウトしてみたら」ってなって、それで実際に一緒に踊って欲しくて・・・」
流樹は胸の内を明かした。
「ごめん!強引になって!ホントごめん、」
流樹はひたすらに謝った。
「なんで、謝るのさ・・・」
理玖は後ろを向いてしまった。
「・・・そんなこと言われたら、こんなことされたら、入らざる得ないじゃんか・・・」
照れているのか理玖の顔は真っ赤だ。
「じゃあ、理玖君メンバーに・・・!?」
湊人はそう言うと、
「これからよろしくね!二人とも!」
理玖は今まで二人にみせた最高の笑顔で言った。
-残りメンバー1名-
佐伯 理玖
誕生日:3月1日
学年:小学6年生
身長:144cm
趣味:ギター、読書
好きな食べ物:チョコミント、おひたし
いよいよ理玖がメンバーなりました。よろしくお願いします。
この度は、更新が遅くなりすいませんでした。




