4話 これはチートか?
「おはよう、カゲトよ。昨日はよく眠れたか?」
「はい、お陰さまで」
俺は部屋で朝食を食べた後、魔王様に呼ばれて王座に来た。
流石に朝食は量が少なく無理せず食べられた。
よかったよかった。
「そうか、では早速お主にあるかもしれない力を確認しよう」
魔王様の言葉に俺は待ってました!と心を踊らせながら思った。
やっぱり普段からラノベやアニメを見ている俺からしたら気にならない筈がないんだよな。
すると魔王様の後ろにいた兵士が【投影の水晶】とはまた別の水晶を持ってきた。
「これは【測定の水晶】と言ってな。これに手をかざせば自分の魔力量と魔法適正が解るのだ」
「魔法適正?」
「うむ、魔法にはそれぞれ火、水、風、土とあり、後は人族には光、魔族には闇と適正があるのだ。適正は文字で、魔力量は水晶の輝き具合で測ることが出来る」
また水晶か。
便利だな水晶。
にしても魔法適正か。
これでなかったらどうしよう。
下手に期待しているせいでもしなかったら三日ぐらい部屋に閉じ籠るかもしれない。
「分かりました。それじゃあ行きます」
俺はそう言って恐る恐る手をかざした。
すると水晶は輝きだし、ある文字が浮かんだ。
『影』
「影?」
俺はさっき聞いたのとは違う属性に首を傾げると、突如として水晶が輝きだし、
パリィィィン!!
粉々に砕けて割れた。
おいおい、壊れちゃったよ。どうする?弁償する?
いや、でも金持ってないな。
俺はチラッと魔王様の方を向くと、驚いたように固まっていた。
あれ?どうしたんだ?
「あのー、どうかしましたか?」
「い、いや、あまりの魔力の多さに驚いてな。水晶が砕けるとは初めて見たな」
え?そうなんだ?
何か勝手に輝いて壊れただけなんだけど。
「そういえば、『影』って何ですか?さっきの話しには有りませんでしたよね?」
俺の言葉に魔王様は顎に手をやり暫し考え込んでいた。
「う~む、それは恐らく【ユニーク魔法】だろう。我も見るのは初めてだがな」
まじかい。これはチートを手に入れたか?
「どんな魔法かは分からんが、まあ、何にせよその魔力量にユニーク魔法だ。言い伝えは真実だったのだな」
魔王様は嬉しそうににっこり笑った。
「魔王様、折角なので今から魔法を試したいのですが訓練場をお借り出来ますか?」
「うむ、好きに使うがよい」
俺は魔王様に礼を言って王座の部屋を出た。
やばい、少し、いやかなり楽しみだな。
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俺はここであることを忘れていた。
この城は相当広いことを、
「迷った..........」
しまった。部屋を出る前に魔王様に場所を聞くか案内を頼めばよかった。
だが俺は諦めなかった。
道行くメイドさんと兵士や城に仕えている人に何回も道を聞きながら何とか俺は訓練場へと近づいていた。
「後はこの先を曲がれば見えますよ」
「分かりました。ありがとうございます」
「いえいえ、分からない事があればまた聞いて下さい」
俺は案内してくれたメイドさんにお礼を言うとその場で別れた。
道を聞かれた人達は嫌な顔を一つせず親切に教えてくれた。
まじ魔族さん優しい。
俺は訓練場を目指して歩いていると、
「あ、カゲ様!」
ティナと出会った。
ティナは俺を見るなり嬉しそうな顔をしながらこちらに向かってきた。
「探しましたよカゲ様!」
「探してた?」
「はい、お父様にカゲ様がこの城の広さに迷っているかもしれないから探してくれって頼まれたんです」
どうやら魔王様に心配をかけたようだ。
後でお礼言っておこう。
「さあカゲ様、訓練場に行きましょう」
ティナに手を引かれながら俺は訓練場へと向かった。
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俺とティナは訓練場に着いた。
今日は訓練はやっていないようで、誰もいない静かな空間となっていた。
「そういえば、ティナ」
「何ですか?カゲ様」
俺は訓練場に着き早速魔法を使ってみようと思ったがここであることに気が付いた。
「魔法ってどうやって使うの?」
何も聞かずに出ていったからその辺の話しは全くしてなかったな。
我ながら迂闊だった。
「え?カゲ様知らずに魔法を使おうとしたんですか?」
ティナの言葉に俺は何も言えなかった。
その事にティナはクスクスと笑いだした。
「カゲ様もおっちょこちょいですね」
「そ、それよりどうやって魔法使うんだ?」
俺は少し恥ずかしくなり急かすようにティナに聞いた。
「魔法は基本大切なのはイメージです。火魔法なら火を出す。水魔法なら水を出すイメージをすればいいのです」
成る程、なら俺は影をだすイメージをすればいいのか。
いや、待てよ。影を出すってどうすればいいんだ?
普通影は出すもんじゃないぞ。
俺はう~んと唸りながら考えると俺はある考えに至った。
「きゃ!」
「おぉ!」
突如として俺の影がうねうねと動き始めた。
俺は影を出すというより操るというイメージをしてみたのだ。
影が動くのを見てティナは驚いて小さな悲鳴を上げた。俺も自分でやっておきながら少し驚いた。
「凄いですね。これ」
「確かに」
動かせるのは分かったがこれで何が出来るんだろうか、俺は影をティナの方に伸ばしティナの影とくっ付けてみた。
「あれ?体が....動きません!」
するとティナは体が固まったように動かなくなった。
おぉ!上手くいった!
実はティナと影をくっ付ける時に影を押さえ付けるイメージをしてみた。
影が動かなくなれば本人も動けないからな。
何かナルトのしか〇るみたいだな。
「ひと呼んで【影縛り】だな」
「あの、凄いのは分かったので早く解いて貰えませんか?」
今だ身動きが取れないティナが俺に言ってきた。
俺は忘れてたと言わんばかりにティナを影から解放した。
にしても凄いな影魔法。
これなら色々と出来そうだ。
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