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3話 もてなし過ぎじゃない?

「おいおいまじかよ........」



 俺は【投影の水晶】に映し出された映像を見て驚いていた。

 過去の映像も見れるらしいから最初から見ていれば案の定やばかったな。

 酷いとは思っていたがここまで酷いのか。

 何か人族が魔族に見えてきたな。魔族より魔族らしかったぞ。 

 ていうか美咲を側室に加えるとかあの王様いつか一発ぶん殴ろう。 

 美咲に手を出したら只じゃおかない。



「これは不味いことになったな」



 魔王様も映像を見て神妙な顔付きになっていた。



「今すぐあいつらを助ける。俺を人族の王国に連れていってください」


「まあ、そう焦るなカゲトよ」



 今すぐ美咲達を助けようとする俺に魔王様は落ち着けと宥めた。



「今行った所でどうにもならないだろう。まだお主にはまだどんな力があるかは分からないんだからな」



 魔王様の言葉に俺は押し黙った。

 確かにそうだ。

 今の俺にはどんな力があるかは分からない。

 もしくはないかもしれない。

 そんな状態で行ったところでどうにもならないだろう。



「今は堪えよ。幸い向こうもまだ暫くは何もしてこぬようだしな。仮にしてきたとしても直ぐにお主に報告しよう」



 魔王様の言葉に俺はしばし顎に手を当て考え込む。

 すると決心したのか俺は顔を上げた。



「分かりました。そうします」


「そうか。ならいい」

  


 今は堪えよう。

 力を付けるまでは。



「それならば善は急げだ。ティナ」


「はい、お父様」


 

 魔王様の後ろから綺麗なドレスを着た少女が現れた。

 ティナと呼ばれたその子は魔王様と同じ紫色の髪に角がはえた俺と同じ位の歳の少女だった。

 

  

「紹介しよう。我の娘のティナだ」


「初めましてカゲト様。私はティナと申します」



 ドレスの先を摘まみティナは軽くお辞儀をした。俺はそれに流されるようにお辞儀をした。

 ティナの見た目は魔王様の娘と思えない美人で俺は少し見惚れていた。



「ど、どうも宮野影斗です」


「カゲトよ。今からこのティナに城を案内させる。その後は部屋にも案内させるので今日はゆっくり休んでくれ」


「では参りましょうか。カゲト様」



 ティナはそう言って俺の前を優雅にゆっくり歩く。 

 俺はその姿に少し見とれながらもその後を付いていった。






ーーーーーーーーーーーーーー







 俺はティナに城を案内され、訓練場に来ていた。



「カゲト様。ここは訓練場です。ここでは何時も兵士達の訓練をしています」



 訓練場の広さはだだっ広く体育館並みの広さだった。

 にしてもこの城広すぎないか。

 さっきから案内されていたが広すぎて覚えられないぞ。


 

「広すぎだろこの城」


「ふふ、確かにそうですね」



 俺は城の広さに苦笑いしているとティナも微笑みながら俺に同意した。



「私も昔はこの城の広さによく迷子になりました」


「ティナ様にもそんなことがあったんですね」

 

「私の事はティナで構いませんよ。それと敬語も不要です」


「そうか。なら俺の事もかげでいい」


「はい、カゲ様」



 それからも俺はティナと親しげに会話しながら城の案内をされた。

 正直話に夢中で覚えていなかったが、どっち道覚えられないだろうな。

 最後に俺はこれから泊まる部屋へと案内された。



「ここが、今日からカゲ様がお泊まりになる部屋です」


「うわー........」



 部屋の中は何処かの高級ホテルかと言わんばかりの豪華な部屋だった。



「今回カゲ様の為に特注で作らさせて頂きました」



 ティナはそう言うが俺は少しやり過ぎな気がしてきた。

 いや特注って........そこまでする?

 一人では絶対余るだろう巨大なベッドにテーブル、壁には高そうな壺に絵画が飾られていて兎に角高級感溢れる部屋だ。

 一人で暮らすには無駄な位広いぞ。

 逆に落ち着かないな。



「それでは今日はこれでお休みください。食事の方は後でメイドに運ばせますので」


「あぁ、ありがとな。ティナ」


「いえいえ、私も今日は楽しかったですし」


 

 そう言ってティナは部屋を出た。

 俺はそれを見送ると一人では余るだろう巨大なベッドに向かってダイブした。

 ふかふかで気持ちいいなこれ。



 俺はベッドにうずくまらせながら先程見た映像を思い返した。 

 待ってろよ、美咲、卓也、必ず助けてやるからな。

 そんでもってあの王様一発ぶん殴ろう。

 俺はベッドに倒れこみながらそう決意した。



 メイドによって運ばれた食事もこれまた豪華だった。

 見た目がフランス料理の様に彩り良く飾られていて魚、肉、野菜と何でもあった。

 見た目は旨そう何だがここで俺は一つ疑問に思った。

 量、多くね?

 何故か食べるのは俺一人しかいないというのに、料理は無駄にデカイテーブル一杯に並べられている。



「さあ、どんどん食べて下さいね!」



 俺はメイドさんにそう言われ料理を食べ始めた。

 味はかなり旨いがやはり量が多い。料理の十分の一を食べた時点で俺の胃は限界にきていた。

 仕方ないから残そうと思ったが折角の料理に俺は残すのもあれだし、食事持ってきたメイドさんが「頑張って作りました!」感満載の目で見てくるので俺は残すと言えず胃に無理矢理詰め込みながら全部平らげた。



 メイドは俺が完食したのに感激したのか、「次はもっと沢山作りますね!」と言って意気揚々と部屋を出ていった。

 勘弁してくれ.....。



 勝手に召喚して罪悪感を感じているのは分かったが、流石にこれはやり過ぎだろ。一周回ってイジメに思えてきた。

 明日魔王様にもう少し抑えるように言っておこう。

 俺は今だ痛いお腹を抑えながらベッドで眠りに就いた。

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