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2話 勇者召喚

気が付くと俺は見知らぬ所にいた。



「ここは.........何処だ?」


「おぉ!成功したぞ!」


「早速王様に報告しろ!!」



 周りを見渡すとそこは薄暗い地下室のような場所で横には美咲が横たわっていた。



「おい、美咲。起きろ」


「う~ん........ここは?」



 俺は美咲の体をユラユラと揺らすと美咲はむくりと体を起こした。



「どこ?ここ」


「どうやらかげの言う通り本当に召喚されちまったみたいだな」


「召喚って......そうだ!かげは!?」



 美咲はかげを探そうと辺りをキョロキョロと見渡したがかげの姿はなかった。

 それは当然だろう。

 何せかげはあの魔方陣の中に入っていないのだから。


 

 その事に美咲は少しシュンとなっていた。

 無理もない。俺は美咲の気持ちは知っている。

 かげと離ればなれになって悲しいのだろう。 



「勇者様、方急な呼び出しに混乱していると思いますが、ここは一先ず私達に付いてきてくれませんか?」



 修道服のようなものを着た老人が俺達にそう言った。

 うわ、まじで勇者召喚だよ。

 かげの奴何で分かったんだ。


 

「どうする?美咲?」 


「ここは一先ず従いましょう」



 少し冷静になったのか美咲はそう言って立ち上がった。

 俺も美咲に続いて立ち上がり老人の後を付いていった。



「まじかよ..........」



 俺は地下室から出た後窓の外を見た。

 そこには中世のヨーロッパかと言わんばかりの街並みが続いていた。

 地球とは何もかもが違うこの風景を見ると、自分は本当に異世界に来たんだなと思わされる。



「おい!さっさと歩け!」



 窓の外をボーッと眺めていると、俺の後ろにいた騎士のような人が俺に怒鳴ってきた。

 俺はそれにムッとなりながらも騎士の指示に従った。

 何か勇者の扱いって感じじゃないな。

 


 暫く歩くと大きな扉の前に着き老人はそこで立ち止まった。



「では先ずここで国王様に会って貰います。くれぐれも粗相のないようにお願いします」



 そう言って老人は扉を開けた。

 扉の先はレッドカーペットが敷かれていてその先には豪華な椅子にふんぞり返って王冠を被っているいかにも王様って感じのおっさんがいた。



「国王様、連れて参りました」



 そう言って老人は膝を床に着いた。

 すると美咲も老人の真似をしたので俺もその後に続いた。



「ご苦労、お主は下がっておれ」


「はは!!」



 王様の命令に従い老人は頭を下げたまま後ろに下がった。

 


「では勇者達よ、面を上げよ」



 俺と美咲は王様の命令に従い顔を上げた。

 うわ、何かよく見ると悪どそうな顔してるな。 美咲も俺と同じ感想を抱いたのか少し顔をしかめた。

 


「勇者達よまだ何も事情を知らされていないだろうが先ずそなた達の名前を教えてくれ」


「東堂美咲です」


「白石卓也、です」


「そうか、ではミサにタクヤよ。今から大臣に事情を説明させるのでよく聞いてくれ。では頼むぞ大臣」   


「は!国王様」



 大臣と呼ばれた男は俺達に色々と説明をしてくれた。

 この世界の事や魔族の事など色々だ。

 俺達が召喚された目的は魔族を倒すことらしい。

 何でもこの世界の魔族は残虐非道でこれまで何人ものの人が殺されたらしい。

 確かかげが言うにはこれをテンプレって言うんだっけな。



「事情はお分かり頂けましたでしょうか?」


「はい、何とか」


「まあ、俺も」


「うむ、ではこれから宜しく頼むぞ」



 俺と美咲が大臣にそう言うと、域なり王様が言ってきた。



「は!?」


「え!?」

 


 流石にこの事には驚き俺と美咲は声を挙げた。



「何じゃ?まだ何かあるのか?」



 王様は不思議と言わんばかりに言ってきた。

 いや、何かあるも何も大有りだ!

 何勝手に決めてんだこのおっさん!

 


「王様、もし私達がこの話を受けないと言ったらどうされますか?」



 美咲は努めて冷静に言った。

 


「何?そんなことはないと思うが、そうだな、そなた達が了承するまで一生牢屋に入って貰う」



 その事に俺とミサは絶句した。

 おいおい、それって脅しじゃねぇかよ。

 このおっさん平然な顔して何言ってんだよ。



「で、どうするのだ?勿論受けるのだろう?こんな名誉な事他にないのだからな」



 このおっさんまじ一発殴ってやろか。

 俺は王様に言ってやろうとしたが、美咲が止めに入る様に俺の前に出た。



「お聞きしますが、私達は元の世界に帰れるのですか?」



 美咲の言葉に俺はハッとなった。

 そうだ、先ずは俺達が元の世界に帰れるかを聞かないとな。

 俺は王様の言葉に耳を傾けると。



「そんなものはない。余の下で働けるのだ帰る方法などあったところで無意味だろ」



 このおっさん言うことかいてこれかよ!

 俺は流石に我慢の限界になり王様に怒鳴ろうとしたとき、美咲は俺を止め美咲は深々とお辞儀をしながら言った。



「慎んでお受けします。国王様」


「うむ、では頼むぞ」



 俺はそんなことを言う美咲に驚いたが美咲は今は堪えろと言っているような目でこちらを見てきたので俺は何も言えなかった。



「では部屋を用意するので今日はゆっくりするがよい」



 王様の指示に従い、俺と美咲は部屋を後にした。






ーーーーーーーーーーーーーーー






「ふう、やっと行ったか」


「はい、国王様」



 ふうっと一息つく王様に大臣は声を掛けた。

 


「にしても無礼な奴等だ。これだから平民は困る」


「全くです。国王様の前であるというのに礼儀がなってませんね」


 

 大臣は王様をおだてる様に言うと王様は機嫌を良くしたのか顔をにやつかせた。



「ふん、まあそれも時間の問題だな。大臣、例の準備の方は進んでいるか」


「はい、既に手配は完了しています」


「そうか、ならいい。それにしてもあのミサとかいう娘は中々美しかったな。いつか余の側室にしてやろうか」


「それは良い考えですね。国王様の側室とあればあの娘も本望でしょう」


「そうだろう。そうだろう」



 大臣のおだてに王様は更に気分を良くしたのかクックックと悪い笑みを浮かべていた。

 この会話を一部始終聞かれてるとも知らずに。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「おい美咲!何で受けたんだよ!」



 俺と美咲は一度部屋に案内されてから俺の部屋に集合した。



「落ち着いて冷静に考えて。今あの場で断ってたら私達は一生牢屋の中よ。それでも卓也はいいの?」


「それはそうだけどよ、でもあんなのお願いじゃなくて命令だろ」


「こういうのってかげが言ってたヤバイ方の召喚って奴ね」


「ったくかげの奴。今度会ったら一発殴ってやる」


「会えたら.....ね」



 美咲の一言で俺は自分の無神経な発言に気が付いた。



「何か、悪い」


「いいのよ、まだ絶対会えない訳じゃないし。こっちに来る手段があるなら帰る手段があっても不思議じゃないしね」



 美咲はそう言うが本当は辛いんだろうと俺は思った。

 美咲は普段そんなに表情を表に出す方ではないが長年の付き合いで俺には美咲の気持ちがよく分かる。

 かげはその辺が鈍感だから気付いていなかったがな。   



 これからどうなるんだ?

 俺はこれからの事に不安を感じながら項垂れていた。

 

1話と比較すると魔族の優しさがよく分かるなこれ。

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