12話 影隠し
「カゲ様!!」
もう終わったと思ったのかティナが俺の名前を呼びながらこちらに向かって走ってきた。
見るとウィリアムさん達もティナに続いて向かってきている。
「大丈夫ですか!?先程魔法を諸に受けていましたが何処かお怪我はありませんか?」
そう言ってティナは俺の体をペタペタと触ってきた。それはもう頭の上から足の爪先まで隅々までだ。おう、何か全身まさぐられるって変な感じだな。あ、ちょ、そこは男のあれだから触っちゃ駄目!
ティナの手が俺の体の触れちゃいけない所に触れようとしていたが、そこは何とか回避した。
するとウィリアムさんが追い付き俺に声を掛けた。
「大丈夫かだったか?カゲト」
「はい、見ての通り」
ウィリアムさんもティナと同じ様に心配していたが、俺は無傷だ。
影装のお陰で傷一つない。
「そうか、ならいいんだ。にしてもこれは、異様な光景だな」
ウィリアムさんはそう言って人族の方を見た。人族の奴等は今俺の影縛りによって動きを封じられている。声こそはでるが指一本も動かせない状態だ。確かに異様だな。
「くそ.......何て事だ...」
この結果に騎士団長は項垂れていた。
おっと、忘れる所だった。
「さあ、知っている事を吐いて貰おうか」
「ふん、誰が言うものか」
騎士団長は強気な姿勢で言った。
まあ、そう言うと思ったけどな。
「そうかぁ、それじゃあしょうがないなぁ。無理にでも聞くしかないよなぁ」
そう言って俺はにっこり笑った。
それは勿論笑みは笑みでも黒い笑みだ。
「何か手があるのか?」
「はい、前に影魔法を練習をした時に思い付いたんですけど、試すことが出来なくてずっと使えなかったんで丁度いいです」
そう言って俺は騎士団長の方に顔を向けた。
「言うなら今だぞ。でないと後はどうなるか分からないからな」
「ふん!そんな脅しが通用すると思っているのか!」
どうやら言う気はないようだ。それなら仕方ない。
「ならしょうがない。後悔するなよ。影隠し」
俺がそう言うと影は騎士団長を包み始めた。
「な、何だ!?か、体が!沈んで!」
すると影は包まれた騎士団長ごと地面の影の中に入っていった。
やがて影は騎士団長を影の中にし舞い込み、さっきまで喚いていた声が聞こえなくなった。
「影にし舞い込んだら五分待ちます。それでは暫しお待ちを」
そこから待つこと五分が経ち俺は影から騎士団長を取り出した。
そこには立ったままガタガタと震えている騎士団長の姿があった。
「何だ....今のは.....何なんだ...」
ぶつぶつと何かを言っている騎士団長を見て周りの人達は驚いていた。
「カゲ様、いったい何をしたんですか?」
「簡単な話だ。人間暗い部屋のなかで長時間居られないんだ。長時間居ると疑心暗鬼になったり見えないものが見えたりして精神を狂わせる。それだけの事だ」
これは時間調整が大事だ。長時間やると灰人みたいになって何も聞き出せなくなってしまう。
「んで?言う気になったか?」
「だ、誰が....」
「じゃあもう一回な」
「へ?あ、ちょ、ま、待ってく」
言い終わる前に騎士団長は影の中にまた入っていった。そしてまた五分が経ち騎士団長を外に出すと、体育座りをしながらぶつぶつと何かを唱えていた。
「ご免なさいご免なさいご免なさいご免なさいご免なさいご免なさい」
変わり果てた姿に人族側も魔族側も言葉が出なかった。
「言う気になったか?言わないならもう一回行くけど」
「待って!待ってください!言う!何でも言うから!もう止めてくれ!」
「そうか、ならいい」
これで欲しい情報が手に入れられるな。
俺はそう思っているとウィリアムさんは何とも言えない顔をしていた。
「少しやり過ぎじゃないか?」
「いいえ、寧ろまだ足りない位です。こいつには美咲と卓也の事もあるんで」
俺的にはまだ足りないがこいつには情報を聞き出さなければいけないからな。
騎士団長から聞き出した情報によると、美咲達が着けた腕輪は【洗脳の腕輪】と言って呼んで字の如く相手を洗脳する腕輪だ。
効果使用者の設定をしてから腕輪を嵌めるとそよ使用者の言うことを何でも聞くようになるらしい。腕輪は壊すことはほぼ不可能ならしく、魔法も効かないという面倒極まりない設計になっている。
「それで解除の方法は?」
「使用者の、つまり国王様が解除と言うか命を絶たれる以外他にない」
国王様って人族の王様か。てことは必然的に人族の国に行かなくちゃ行けないな。
「ウィリアムさん、人族の国の方角と距離はどれくらいですか?」
「方角は向こう。距離は馬車で二日、歩いて四日の所だ。それがどうかしたのか?」
「今からそこに行ってきます」
「何!?行くってどうやって?」
「そこら辺は心配いりません。ティナ、美咲と卓也を頼む」
「え、は、はい」
「それじゃあ行ってきます。影化」
俺は走りながらそう言うと俺の体は影の中に入り込んだ。全身が影の中に入り込むと影の速度は物凄い速度に上がり人族の王国へと向かっていった。
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そのれから少し時間が経ち、王様は椅子にふんぞりかえりながら大臣と話していた。
「今頃はミサ達は魔族を攻め落としている頃だろうか」
「そうですね。出発した日数から計算すると今は魔族の国に着いている頃でしょう。勇者様達の実力ならば魔族など簡単に殲滅出来る筈です」
「当然だ。その為に特注であの腕輪も作ったのだからな。そして、帰ってきた暁には余と一緒に...グフフフ」
想像したのか王様は気味の悪い笑みを浮かべていた。
「早く帰ってこい。余のミサよ」
“誰がお前のだ”
王様がそう呟くと急に声が聞こえた。
その声は王様の頭の中に響く様にして聞こえ、王様は動揺し始めた。
「な!だ、誰だ!何処にいる!」
“ここだ”
すると近くにあった柱の影が王様の前に伸び影の中から一人の男が姿を現した。
その男とは勿論カゲトだ。
「だ、誰だ貴様は!どういつ「煩い」ぶへぇ!!」
カゲトは王様の言葉を無視しいきなり王様の顔を殴った。
王様は椅子から転げ落ち床に倒れた。
「取り敢えず、出会ったら一発殴るって決めてたんで殴らせて貰った」
そう言うとカゲトは殴られて倒れている王様の前に立った。
「まだまだこんなもんじゃ済まさねぇぞ屑野郎。覚悟しな」
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