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 イェイェイェ

 最近時間的よゆー?

 できてきたぜフリータイム?

 執筆時間30分?

 かかるぜ投稿ガッデム!

 イェイェイェ


 わちゃかなどぅ




「あわわわわ……」


 先程から綾奈があわあわ言う機械と化している。

 新聞の一面を飾るのは、『謎の男性俳優一条兼綱を演じる!』の文字と大河ドラマのポスター写真だ。


 数々の情報番組では大河ドラマの話題でもちきりで、Twitterなどのトレンドをトップを走っている。

 様々な憶測が飛び交う中で、一也ではないのかという噂を少なからずあったのだが、仮面を外すわけがないという先入観からあまり大きくはなっていない。


 しかし、筋肉質で健康的な肌色をした偉丈夫など、この日本においては珍しいため各地でこの男性を見つけようとする動きも生まれた。

 そんなことを露程も知らぬ一也は今日も演技練習に汗を流している。


 目線から指先の動き一つ一つまで細かいところにまで気を配り、時代劇ということで殺陣の練習から茶道、槍術に弓術まで練習している。

 殺陣などは簡単なものでよかったのだが、一也のこだわり気質が出てしまい全ての練習をすることになったのだ。


 時間に追われているため当分は歌手活動を休止することにはなるが、一也の単独仕事を機に純も他の仕事への意欲を見せている。

 なので歌手活動への心配はそこまでなかった。

 演技練習に力が入れれるというものだ。


 並木というプロフェッショナルに付きっきりで長時間指導をしてもらえるという状況、活かしきる以外の選択はない。


 朝から晩までレッスンレッスンレッスン。

 幼少期の数話分の撮影は済んでいるので、あとは一也のでき次第。

 並木さんからのゴーサイン待ちという状況なのだ。


 一也がある程度できあがるまで待つという方針はあるのだが、2ヶ月前後の時間をこれだけしかと考えるかこんなにあると考えるかでは大きく違う。

 時間がないと考え自身を追い込みながら練習する一也はメキメキと成長していった。


 すでに並木は監督へ使える段階にはなったと連絡を入れていたのだが、一也の成長速度を見てギリギリまで練習させることにした。

 そうして苛烈とも言えるほどの練習に励んだ一也は、ようやく青年期の撮影に望むこととなった。


「今日から一緒に撮影させてもらう国東一也です。よろしくお願いします」


 演者や撮影関係者から暖かい拍手をもらい今日の撮影が始まる。

 一条兼綱が青年となり一条家へと戻ってくるシーンと、一条家を率いていくに足る人物になったと証明するシーンの撮影だ。


 一条家の屋敷の前に馬に乗った美青年が現れるところから始まり、一条家家臣団が兼綱の帰りに驚く場面から始まる。

 兼綱の幼名の佐吉という名前で家臣団たちは呼ぶがそれを一蹴するかの如く自身の新たな名を名乗る。


「私はすでに佐吉ではない。私は……一条兼綱である!」


 兼の名は一条の跡取りが継承していく名であり、それを兼綱が名乗ったということがどういうことか分かった家臣団は混乱した。

 兼綱の結婚相手として優秀な女将佐々木幸千代を迎え、一条家を盛り立ててもらうというのが家臣団の決定だったのだ。


「さ……兼綱様。その名を冠したということは兼綱様が跡取りに立つということで相違ありませぬか?」


「その通りだ。すでに我が一条家が窮地に立たされているのはわかっている。まずはそこから脱してみせよう。それならばお前達も私に着いてくることに異論はあるまい?」


 自分で言っていて恥ずかしくなってくる。

 向こうでは時代劇の演技などやったこともなかったので、いざ本番となるとこっ恥ずかしい。


 ここで一旦カットが入り監督から演技としては問題ないとの評価をもらった。

 しかし、家臣役の女性陣がボーっとしてしまって監督から冗談を言われている。

 顔を紅くして恥しそうにしてる女優さんたちのかわいいこと。


 何度かリテイクを重ねつつも順調に撮影は進んでいき、簡単な撮影は終わった。

 監督評価は上々で並木評価はまだまだという厳しいものだったが、初演技にしては堂々としていたというありがたい評価をいただいた。


 撮影が終わっても演技指導のためにスタジオへと移動する。

 そして今回のレッスンからは、兼綱の正室の於菊おきく役の新垣要あらかきかなめさんと合同レッスンも始まった。


 監督から抱き合うシーンやキスシーンもあると聞かされているので、耐性をつけてもらうためだ。

 当の本人は、並木の指導を受けれる上に一也と練習が出来て役得だと喜んでいた。




 新垣と練習を始めて1月、ようやく一也の出演する話が放送される時が来た。

 テレビの前に座して待つ。

 子役が旅立って数年、栄え始めた町に精悍な男が供をつれてやってくる。


 カメラは中々一也の顔を画角にいれず、口元だけだったり後ろ姿だけだったりを撮り焦らしている。

 横に座る綾奈たちもソワソワし始めた。

 放送時間もそろそろ終わりに近づいてきたころ、兼綱は城の前にたち門兵に止められその時がきた。


 名乗りとともに映される兼綱役の自身を見て一也は恥ずかしさで死にそうになり、男護ーズは黄色い声を上げている。

 肩を揺すられても顔を隠すだけの一也と興奮状態の男護ーズ。


 寝るまで大河ドラマの感想を聞かされ、逃げるように寝室に駆け込んだのは言うまでもないだろう。

 次の日の朝のニュースなどでは大河ドラマの話題かメインだった。


 エンドロールに国東一也主演の文字が加えられ、熱心なSUNRISEファンからはカズなのではないかという話も出ている。

 背格好や首筋のホクロ、耳の形や歯並びなどの検証までされ、挙句の果てには音声鑑定まで行われた。

 ネットの猛者たちの力もありほぼ100%カズ=一也となり、事務所にもバンバン電話がかかってき始めているらしい。


 すぐにテレビ局などに同一人物であるという連絡をすると、緊急地震速報の如くテレビの上に字幕で説明されていた。

 これには頭をを抱えざるを得ないだろう。

 すぐにアナウンサーたちもこの話題に触れ、すぐに拡散されることとなった。


 改めて舞台挨拶を行うことになり、取材依頼も沢山舞い込んだ。

 多忙に多忙。

 危うく忙殺される所だ。


 純は絵の才能が開花したようで、メキメキと上達しているらしい。

 最近送られてきた絵を見て驚いてしまった。

 元々絵を描くのは好きだと言っていたが、プロ顔負けの絵を描いているとは思わなんだ。


 兼綱役の凛々しい一也という題名のリアル調な漫画テイストのものをもらった。

 次にCDを出すときはジャケットを絵で描いてもらおう。


 鮎川からは新しい仮面のデザインを貰った。

 その仮面は顔の4分の1を隠すタイプのものだ。

 活動の幅も広がり、ニタリと笑う鮎川の顔を見て冷や汗を流す。


 これからはさらに忙しくなりそうだ。


 イェイェイェ

 そろそろ引き締まってきたボディ

 うっすら見える腹の縦筋

 異性の好感度いい感じぃ?

 見えるぜ君にモテ期到来

 イェイェイェ


 追伸

 最近ホワイトニングをしました。

 オフィスホワイトニングをしました。

 度々来たる疼痛に苦しみました。

 先生のおっぱいの感触でトントンくらいでした。

 歯を当たられているとき目を閉じないタイプなので、先生のアイラインとかをガン見してました。

 役得役得でございました。

 ホームホワイトニングも始めました。

 寝ている間に歯が真っ白けっけになりました。

 コーヒー汚れもさっぱりしました。

 ホワイトニングはするべきだと思いました。


 さいこーーーーーーーーーー!

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