表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/76

71


せいー!




 歌が始まり、場違いな感じがかなり高まってきている。

 明らかに雰囲気とあっていない……。


 それでもリクエストされたので歌いあげるが、こういう場ではピアノだけでしっとりと歌うほうがいいのかもしれない。


 一応パーティ参加者たちは楽しんではいるようだ。

 殆どが誰かしらと話しているようだが、何人かはこちらを見ながら食事をしている。


 ハーパー一家も挨拶などで忙しそうにしているが、娘二人の目線はこちらに釘付けなのだ……。


 何故こんなにも熱い視線が注がれているのかは分からないが、何やら隣のSPやパーティ参加者と少し話してはこちらを見てくる。


 歌を楽しんでくれているのであれば嬉しいのだが、あれはおそらく違う。


 歌への関心よりもその人自身に関心があるような感じだ。

 曲も残り数曲となってきたところでようやく挨拶なども終わり、和やかなフリータイムとなっていた。


 すると、娘二人はステージに比較的近い位置に立ち、食事をしながら見てきている。

 他の参加者もこちらを見る割合が増えた。


 なので娘たちの行動も自然なのだが、先程からの視線を感じている身としては全くだ。


 歌も最後となったとき、ルクレツィアさんの所へ戻りこちらを指差しながら何か会話をしている。


 そして、三人同時にこちらを見てきたとき、肉食獣に狙われるような感覚を覚えた。


 歌も終わり、拍手も心地よく控え室へと戻り服を着替える。

 流石に汗に濡れた服のままパーティに参加する訳にはいかない。


「なぁ純、あの二人完全にこっち見てたよな」


「うん。明らかに歌よりも僕たちへの興味津々って感じだったよね」


 やはり、ああいう視線などに敏感な純は気づいていたようだ。


「これ、パーティに出たらあの人たちの相手しなきゃだよなぁ」


「そうだね。でもいいんじゃない? ルクレツィアの娘でかなり優秀らしいし」


「珍しいな、純が女の人に嫌悪感出さないなんて」


「まぁね。やっぱり権力あるって重要じゃない?」


 どうやら女性としてではなく、その後ろにあるものが重要らしい。

 確かにここでの男性は権力を持つもの、力を持つものを何人か抱えている。


 年収1000万ないとスタートラインに立ってないという女性と同じようなものだろう。


 別に俺としては権力などどうでもいいのだが、珍しく嫌悪感を出さないので引っ付けられたら引っ付けようと思う。


 純の男護官たちは明らかに不服そうだが、どちらにせよあと何人かと結婚しなければならないのだ。


 と、思ったのだが、冷静に考えると妻序列的なもので大変なことになりそうだと気づくと、不服そうなのも頷ける。


 そんなことを考えながら服も着替え終わりパーティ会場へと向かう。

 男護官をゾロゾロと引き連れているせいで、ハーパー一家よりも主役感が出てる気がするのは否めない。


 会場に到着すると参加者たちから握手などを求められ、第二の挨拶回りが始まってしまった。

 しかし、そんな挨拶回りもハーパー一家のお呼びにすぐに終わることとなった。


「先程の歌、いいメロディだったわ。カズさんが作詞作曲してるんだったわよね? 素晴らしかったわ」


 ルクレツィアさんに褒められて悪い気はしなかった。

 やはり美人に褒められて嬉しくない野郎はカマだ。


 そして、ルクレツィアさんは更に爆弾を投下してきた。


「貴方たちがよければなんだけど、よかったらアメリカでの活動も視野に入れてみないかしら」


 これはルクレツィアさんがバックについてくれるということで、海外活動はかなりやりやすくなるのは明らかだ。


 しかし、そんな美味しい話がタダなわけがない。

 タダより高いものはないのが世の摂理だ。


 おそらくは娘たちとの関係の発展かそんな感じの要求をされることだろう。

 日本におけるサンライズの力など、男の特権くらいしかない。


 しかし、嫌そうな雰囲気を出しているように感じられるかもしれないが、別にハーパー一家に悪い印象は抱いてはいない。


 ただ、純と違って権力に対してそこまでいい印象を抱いてはいないのだ。

 しがらみも多いし、それ相応の立ち回りというものを要求されるだろう。


 そんなお堅い場に自分が適応できるとは全く思っていない。

 なので、ハーパー一家に関しては一歩引いているのだ。


 純たちのように純粋なこちらの男性なら権力はアピールポイントになり得る。


 しかし、一般国民をど真ん中ストレートで生きてきた者としては、それは気後れするだけで、どちらかと言うならマイナスポイントにしかなりえない。


 住む世界が違うと言うやつだ。


 しかし、桜子さん的にはこれは受けてほしいだろう。

 ハーパー一家がバックにつけば海外進出もやりやすくなる上に、ヘタな女性が気軽に手を出しづらくなる。


 一人婚約者が増え、有象無象が淘汰されるならそれもまた良しという考えだろう。


 おそらく純はそう考えてそうだ。

 楽できそうとも考えてそうだが……。


 しかし、そういうしがらみを抜きにして、娘二人のどちらかがこちらにいい印象を抱いてくれていると考える。


 ハッキリ言って悪くない。


「確かに海外進出も悪くない」


 気難しく考えていると、まさかの純がほぼ肯定的な言葉を口にした。


 驚いて純の方を見たが、話はトントン拍子に進んでいき、海外進出の時にルクレツィアさんがバックについてくれることになった。


 桜子さんが乗り気だったのも大きかったのだが、まさかここで純と桜子さんメインで話が進んでいくことになるとは思わなんだ。


 そして、クリシュナさんと連絡先を交換し、ルブランさんは純と交換した。


 どうやら純はルブランさんを完全に狙っているようで、この機を逃すようなことはしないらしい。


 耳打ちで協力してくれと言われてしまったら断ることなどできない……。

 純にはかなり助けてもらっているので、都合のいいときだけというのはできなかった。


 もちろん都合のいいときだけなどと、そんなことするつもりなど微塵もないが。


 日本で実力をつけたら海外進出は確実となり、海外の曲調まで抑えなければならなくなってしまった。


 流石に洋楽の曲数は少ないので、海外をメインにすることはないのだが、大変さは今以上なのが目に見えている。


 桜子さんも、鮎川さんにレッスンの割合を増やすように連絡していた。

 そして、ハーパー一家と楽しいお話も終わり、今回のお仕事は終わった。


 会場でハーパー一家との別れも済ませて帰路につく。

 また今度会いましょう的な別れをしたのだが、案外すぐにまた会いそうという予感がしている。


 なぜならば、既にクリシュナさんとメッセンジャーでやりとりしているからだ。

 そして、そこには明日時間があればデートしましょうというお誘いまできている。


 ここで断ると心象が悪いのか、桜子さんもガンガン背中を押してくる。

 なので、仕方なく了解の返事をした。


 すると、すぐにクリシュナさんから喜びのメッセージが返ってきたのだが、綾奈たちは面白くなさそうだった。


 男性はその国の法律に従わなければならず、日本は男性優位に物事が進む。

 しかし、アメリカでは女性優位に法が作られている。

 これは昔あった事件の影響が大きいらしく、男性に権力……強い力を持たせるべきではないという考えからだ。


 男性優位なのは日本を含めても少数で、何も知らない男性を自分の国の男性を使い誘い込むという事件も多々ある。


 そういったことも危惧して皆は警戒しているようたが、そうはならないように気をつけるつもりだ。

 もしも海外にいくときはしっかりと計画を立てて行かなければならないだろう。


 接待デートになるだろうが、キャバ嬢のアフターをこなすが如く努めてみせる。

 そう心に誓いながらクリシュナさんへの返信を済ませた。



寝ぼけながらの書き!

なんとか終了!


誤字の確認は後日!

いいダジャレ!


せいぃ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ