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おひさ!




 納得のいかない勝利の後、番組の打ち上げに参加することになった。


 ADさんから誘われ了承したときの表情は忘れないだろう。


 鳩が豆鉄砲をくらった時よりもアホな表情をしていた。


 もちろんお酒を飲む場なのだが、酒癖の悪い女性はサンライズの座る席からは遠ざけられている。


 あまり酔わない……もしくは飲めない人たちがサンライズの近くをゲットしていた。


 かなり揉めたそうだが、サンライズからの評価と犯罪者になるリスクというド正論の前に為す術はなかったらしい。


 打ち上げは終始和やかに進み、酔ったふりして近寄って来たものは二人がしっかりと制していた。


 そんなことを二度ほど経て、せっかく得た近い席を棒に振るのは馬鹿らしいということがわかったようだ。


 それ以降はバカなことをする女性はいなくなった。


 ほろ酔い気分のまま家に帰り、幸せな気分のまま寝ようとした。


 しかし、綾奈が寝ようとするのを止め、風呂に入るように促してくる。


 しぶしぶ風呂へ入る準備を始めると、酔っ払っていることせいもあり、完全に気が抜けていた。


 自分の部屋でナチュラルにパンイチになってしまった。


 家の中は阿鼻叫喚。


 そんなことを全く気にも止めず風呂へ入り、サッパリした状態で風呂から上がると、二人はすでに部屋へ戻っていた。


「あんなに風呂に入れって言ってたのに、自分は入らないのかい……」


 何故こんなことになっているのか気づいていないので、悠長なことを呟きベッドへとダイブした。


 次の日、二人から昨日の出来事について聞くと、バッチリとはぐらかされた。


 あの後しっかりと風呂には入ったらしいのだが、どこか釈然としない。


 しかし、あまり聞かれたくないことあるのかと、一人勝手に納得しておいた。


 そんな平和な日々を満喫しているときだ……珍しいことに鮎川さんから直接電話がかかってきた。


 普通は桜子さん経由で連絡がくるはずなのだが、鮎川さん直接となると重大なことのような気がする。


「もしもし……すまないんだが至急こちらへ来てもらえないだろうか……」


 心なしか声に元気がないような気がするので、急いで事務所へと向かう。


 純はまだ来ていないようだが、すぐに鮎川さんの部屋へと通された。


「大丈夫ですか? なんか、大分やつれてる気がしますけど……」


「あぁ……心配してくれてありがとう。とりあえず話は純が来てからにするから、どこか腰掛けていてくれ」


 そう言われソファに腰掛けて純を待つ。

 待っている間も、短いため息が鮎川さんから聞こえてくる度心配になる。


 桜子さんも眉を寄せて黙っているのみだ。


 そんな重たい雰囲気の中、ようやく純がやってきた。


 すると、鮎川さんが今日一深いため息を吐いたあと、ゆっくりと話し始めた。


「今日来てもらったのはしょっとした案件を依頼されてね……。実は、ルクレツィア・ハーパーが来日するんだが、その時のパーティで是非とも歌ってほしいという依頼だ……」


 ルクレツィア・ハーパー……国務副長官を務め、6ヶ国語を操り親日家でも有名な政治家である。


 若干38歳で議員当選を果たすと、メキメキと頭角を現し一気に出世街道をかける。


 42歳の時に国務次官補、46歳の時に国務次官となり現在に至る。


 次期国防長官との呼び声高く、国内外問わず人気の高い政治家だ。


 そんなルクレツィア・ハーパーが、完全プライベートで3週間後に家族と一緒に来日するらしい。


 そのパーティの歓迎のために白羽の矢が立ったわけだ。


 もちろんそんな依頼を鮎川さんは断れるわけもなく、とりあえず俺達の意見を聞くという形で保留にしているらしい。


「歌う曲は何かリクエストとかあるんですか?」


「一応あるにはあるんだが、英語の曲なんだ……」


「それは流石に……。日本の曲でハーパーさんが好きなものとかじゃ駄目なんですかね?」


「それで聞いてみようとは思うが、いい返事を期待するとしよう。とりあえず受ける方向で話は進めるがいいかな?」


 規模は小さいながらもプレッシャーは今までの比でない。

 しかし、そんなプレッシャーの中でやりきれたのならば、一皮むけれるのではないかとも期待している。


 因みに純はいつも通りの軽い感じで了承し、曲が決まったら連絡してねと笑っていた。


 なんというか、純は大物になる気がする……。


 綾奈たち男護官は、ルクレツィア・ハーパーがどれだけの人物なのかをわかっているので、かなり緊張しているらしい。


 しかも、ハーパーさんは家族連れということで、二人いる娘も連れて来る。


 となれば、もしかしたら娘さんたちに気に入られる可能性がなきにしも……。


 そういう不安も男護官たちにはあるらしい。


 アメリカでは日本ほど男性を保護保護しておらず、力ある者に男性は養われるほうがいいという考えある。


 なので、日本のように国から補助金が出されたりなどは少なく、権力や才能ある女性のもとに嫁いでいくらしい。


 もちろん精子の提供は義務であり、それを拒否することはできない。


 もしもこれから逃げようものなら、完全に精子を出す機械のような生活を送るハメになる。


 こういう実情あり、アメリカ人女性は圧倒的に男性にあったことのない人が多い。


 ハーパーさんの所は父親がいるのでまだ安心なのだが、もしも気に入られたら強引な手段もあるかもしれないとのことだった。


 そこは日本人の考えるステレオタイプ的な人でないことを祈ろう。


 そうして話は纏まったわけだが、ハーパー一家がやってくる日が近づいてくるにつれ、腸内活動があまりよろしくなくなってくる。


 新曲作りやラジオにテレビ出演と、仕事をしっかりとこなしていき、いよいよハーパー一家のプライベート日本旅行の日がやってきた。


 二日目にパーティが行われるので初日から会うことはないが、鮎川さんと桜子さんにいたっては少しやつれている気がする。


 曲はサンライズの曲でいいということになり、特別な練習をすることなかった。


 しかし、ハーパー一家との顔合わせだけは免れることはなかったようで、仮面なしのご対面はパーティ前にしなければならなくなった。


 頭の痛いことだが、アメリカと日本の違いということでむりくり納得しておくことにした。



ようやく復興も何もかも終わりました。


家のリフォームって大変ですね〜。

私の仕事とは畑違いもいいとこなのですが、大工さんたちが足りていないのでしかたありません。


実家に親戚の家二軒、それに友人の家もちょこちょこ……。


ようやく復帰できたので頑張りまーす。

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