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前回は手違いで完結ボタンを押しちゃった☆
テヘペロリンチョ☆
あれからというもの奏さんからのこまめな連絡が届くようになった。
すでに立派なメル友となっている。
朝の挨拶から始まりどこへ行ったや何を食べたなどの他愛のないものから、何をしてるのかや今度会いませんかなどの少し踏み込んできたものまで。
なんというかこういう向こうでの恋愛の駆け引きというか、好意を感じるもののゆっくりと育んでいこうとする感じが懐かしい。
向こうにいるときは好きな女の子にこういうメールを送っていたことを思い出す。
しかし、今は恋にうつつを抜かしている場合ではない。
すでに三人の女性と育むものは育んでおり、新曲制作やラジオのこともある。
なので、奏さんには悪いけれどあまり長々と連絡を取り合うことはできなかった。
そして、ほどほどに忙しい毎日を送っていると伊織さんから一通のメールが届いた。
『今度の日曜日は空いてるかな? 空いてるなら私の実家に一緒に行かないか……?』
次の日曜日はバッチリフリーだ。
久しぶりに実家に帰ろうかと思っていたけれど、このお誘いは断りづらい……というか断れない。
もちろん断るつもりなどないが、母さんたちには心の中で謝っておこう。
そして、伊織さんに了解のメールを送ると秒速で返信がきた。
どうやら当日は迎えに来てくれるみたいで、朝の9時にくるらしい。
話によると伊織さんのお母さんは病弱なので、サプライズとかはしないようにしてほしいとのことだった。
どうやらこの前の実家訪問のことが伊織さんにバレているらしい。
何故かと思いちらりと二人を見ると、メールの内容を見ていた明日香がちろりとベロを出していた。
数回頬をむぎゅむぎゅしたり引っ張ったりして遊んだ後、伊織さんに心配かけないよう返信する。
引っ張られた頬がひりひりするのかスリスリと頬を擦る明日香を尻目に事務所へレッスンをしに行く。
いつも通りにレッスンで一汗流し、本日の仕事の雑誌取材をこなす。
妙にテンションの高い記者で、純がドン引きしてたくらいで何事もなく終えた。
しかし、今回の取材は記者の感じとは大きく違い、質問自体は真面目な内容がほとんどだった。
どういったトレーニングをしているのか、ジュンが歌うことが多いがカズももっと歌っていかないのかなどなど……。
終始息の荒い記者から出てくる質問とは信じがたい。
そうしていよいよ伊織さんの実家訪問の日がやってきた。
そして、伊織さんがやってくる時間になると同時にインターホンが鳴り、解錠して待っているとついに伊織さんが到着した。
いつも以上に服も髪もキメていて、美人度がさらに増している。
伊織さん的には可愛く見える服装なようだが、美人が可愛くしようとするとギャップ効果で凄まじいことになるということがわかった。
「や、やぁ……今日は無理言って悪かったね」
「そんなことないよ。そろそろ行こうと思ってたし」
もじもじとしている伊織さんを抱きしめたい衝動を抑え、あくまでも紳士的に対応する。
そして、伊織さんにはゆっくりとしてもらい少し休憩してから伊織さんの実家へと向かう。
伊織さんの実家は古めの一軒家で、お世辞にも立派とは言い難い家だった。
「ボロいでしょ? うちは貧しくてね……」
遠い目をしている伊織さんにいてもたっていられなくなり、伊織さんの手をギュッと握ってインターホンを押す。
すると、はぁ〜いというおっとりとした声が聞こえてきた。
未だにびっくりしている伊織さんに返事をするように促し、たどたどしくもお義母さんに応えていた。
家に入らせてもらい前を歩く伊織さんに着いていく。
居間に到着すると、伊織さんに似てはいるもののどこか深窓の令嬢を思わせる女性が座っていた。
「あらぁ〜そちらがいおちゃんが言ってた人?」
「ちょっとお母さん! 一也の前でそれはやめてって言ってたでしょ!」
「だって……ねぇ?」
ねぇ?と言われましても……という感じなのだが、この溢れんばかりの母性には抗えない……。
「どうも初めまして、いおちゃんの彼氏の国東一也です」
「ちょっと! 一也まで!!」
「んふふ……私は相楽史恵です。うちのいおちゃんがお世話になってます」
もぉー!という伊織さんの叫びが相楽家に木霊し、史恵さんとともに笑いあった。
その後はむくれた伊織さんのご機嫌を取りつつ、史恵さんから伊織さんの幼少期の話を聞いて盛り上がった。
幼少期の恥ずかしいエピソードを暴露され、むくれていた伊織さんも慌てて史恵さんを止めようとしていた。
しかし、そこは我らが小悪魔娘の明日香に伊織さんを止めてもらっていた。
腐っても男護官の明日香相手に伊織さんは抵抗することもできず、がっちりとホールドされたまま恥ずかしエピソードを聞くこととなった。
そして、伊織さんは終始顔を赤くしており、本当にやばいと思ったときは明日香の腕の中で暴れている。
そんな伊織さんを尻目にわいわいと話し込んでいると、いつの間にか昼飯時になり、史恵さんが昼ごはんをご馳走してくれることになった。
ようやく明日香から解放された伊織さんがぐったりとしながらも、史恵さんの料理の腕はプロ顔負けだとしたり顔をしている。
そこまで言われると期待に胸が膨らんでくる。
そんな伊織さんの声が聞こえていたのか、キッチンからはハードルをあげないでという言葉が聞こえてきた。
そして、料理をしている今が反撃のチャンスとばかりに史恵さんのおっちょこちょいエピソードを話し始め、再びキッチンからやめてぇ!という声が響いてきた。
それでも伊織さんの口が止まることはなく、料理が運ばれてくるまでおっちょこエピソードは続いた。
ぷっくりと頬を膨らませながら料理を運んでくる史恵さんはとても可愛かったと言っておこう。
そして、史恵さんが作った料理は純和風料理で、確かに伊織さんが言うようにプロ顔負けというか、愛情もプラスされてそれ以上に感じられた。
みんなで美味い美味いと食べるのを史恵さんは嬉しそうにしており、賑やかな食卓に満足しているようだった。
特に筑前煮とサバの味噌煮は最高で、明日香に至ってはおかわりをしている。
そうして至福の時を過ごしたあとは史恵さんを連れ立って少し散歩をした。
近くの公園までの短い距離ながら、史恵さんはいつも食後はいつもしているらしかった。
「いおちゃんって少し無理してるように見えない?」
散歩をしていると急に史恵さんが口を開いた。
確かに少し無理をしているような気がするので、史恵さんの言葉に頷いた。
「私、いおちゃんを産んでから体調を崩しがちになっちゃって、いおちゃんにはちっちゃい頃から心配させっぱなしで……
そのせいで少し無理をするようになっちゃったんだ……」
「でも、そんな伊織さんだから俺は惚れたんですよ。少し背伸びをした少女みたいなものを伊織さんの中に見た気がするんです。
守ってあげたいというか、抱きしめたくなるというか……」
そう言うと史恵さんは嬉しそうに微笑んだ。
この話をするために強引に伊織さんを家に置いてきたのかと確信した。
一緒に散歩に行くと言って聞かない伊織さんを明日香に頼んで抑えてもらい、なんとか散歩に行くことができたのだ。
「んふふ……いおちゃんが悪い男に捕まらなくてよかった……。そんなにいおちゃんのことを想ってくれてるなんて……いおちゃんのこと、これからもよろしくお願いします」
深々と頭を下げられ慌ててこちらも頭を下げる。
「こちらこそよろしくお願いします。伊織さんは必ず幸せにします」
そう言うと史恵さんは今日一番の笑顔を見せてくれた。
心なしか史恵さんの脚取りも軽くなった気がする。
そして、公園につくと少し休憩してから家に戻った。
家に戻ると伊織さんはまた恥ずかしい話をしたのかと信じ手疑わず、説得を諦めたところに史恵さんが耳打ちした。
すると、伊織さんは一気に顔を赤くしてボソボソとしか喋らなくなってしまった。
それからも他愛のない話を繰り広げ、帰るときまで相楽家から楽しそうな声が途切れることはなかった。
史恵さんかわいい。
あらあら系美女に甘えられたいそんな日々。
しかし、久しぶりに早め更新が続いて疲れた……。
昔はよくやってたと自分を褒めたいですな!
お盆休みは少し書き溜めたいところですね。
さて、海にはいきましたか?
鍛えた身体をなんの下心なく見せびらかせるショーですよ!
私はしっかりと海にいってギャルと海の家で盛り上がりました。
海に行くと珍しくギャルの人たちと交流ができるので、中々楽しく過ごせます。
あの人たちは基本的にサブカルとかに寛容で、盛り上がれればオッケーみたいなところがあるので話すと結構楽しいです。
ビール片手にアホやるのもたまにはいいもんです。
プットユアハンズインザエアー!




