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権力者現る!!




 あれから鮎川さんと桜子さんを交えてラジオのコーナーを練っていった。

 一先ずはオーソドックスな身近にあった変わったことを手紙で募集し、それを話の種にトークするというものを。


 次に選んだものは鮎川さんと桜子さんからの熱い要望により、サンライズの求める女性像などや理想のシチュエーションなどをトークするものになった。


 その時の純の嫌そうな顔は凄まじかったが、世の女性たちが求めているからと説得してなんとか受け入れてもらったのだ。


 こうしてコーナーは比較的すぐに決まったのだが、問題はCM契約を持ちかけてきたスポンサーで、これが中々曲者だった。


 スポンサー契約自体はいいのだが問題はCMのほうで、際どいものからキャラ的におかしいものまで様々ある。

 その中から厳選に厳選を重ねてスタリッシュな動きなどだけで構成されるCMを選び、それを安心院さんへとメールをした。


 今度また会うとはいえ、決まったものを先に報告しておくのとしてないのとでは進捗に大きく関わる。

 そして、ようやく一騒動終えたところでまたもや新たな騒動がやってきた。


「あ、鮎川さん……こんな依頼がサンライズへ届きました……」


 少し青い顔をした桜子さんが鮎川さんへと書類を渡している。

 それをサラッと読み終えた鮎川さんはため息を一つつき紙をこちらへと渡してきた。


「えぇと……陶奏すえかなたさんの18歳の誕生パーティで歌ってほしい。報酬は……800万……」


 最後の金額のところで人形のように首を動かしてこちらを見てきた。

 そして、純の顔は明らかに動揺の色が浮き出ていた。


 まず娘の誕生パーティにサンライズを呼ぶというのもそうだが、サンライズを呼ぶのに800使うということは他の所はもっとお金がかかっているは間違いない。

 それを考えると、陶という人がどれだけの力をもっているか……鮎川さんのため息も頷ける。


「わざわざ見せてきたってことはこの依頼は断れないってことですか?」


「察しがいい……その通りだよ。陶家は日本有数の富豪で数々の会社を経営してる名家中の名家なんだが……芸能界にもかなり力を持ってるわけなんだ……」


 鮎川さんの言わんとしていることはわかる。

 さすがに圧力をかけられることはないにしろ、芸能界にも大きな力を持つ陶さんの覚えが悪くなるというのはプラスには働かないだろう。


「この陶奏さんという人はどういう人なんですか?」


「噂でしか聞いたことはないが、容姿性格ともに良く才女らしく、男性に対しても淑女な対応ができるらしい。珍しいことに陶の旦那さんが溺愛しているという話も聞いたことがあるな」


 娘を嫌う父親というものは少ないというのはよく聞くが、溺愛しているという話は中々聞かない。

 そんな溺愛している娘の誕生パーティに呼ばれるというプレッシャーたるや……。


 もちろん断るという選択はないので受けさせてもらうことにしたのだが、さすがにこの依頼をそのまま鵜呑みにするわけにはいかない。

 なので、細かな条件を鮎川さんとともに練って陶さんのほうへと送る。


 するとすぐに折り返しの電話が鮎川さんの元へと届いた。

 どうやら陶家の執事の人かららしく、顔を合わせて契約について話し合いたいらしい。

 そこにはサンライズとそのマネージャー、陶家からは陶奏さんとその母である現陶家当主の陶千代子さんで行いたいそうだ。


 鮎川さんは心配そうにしているが、そこまで深刻に考えるほどのことではないと楽観視している。

 さすがに男相手に条件の悪い契約なんてしてこないだろうという考えからなのだが、鮎川さんの様子を見る限り陶の人は男性に対しても強かななのかもしれない。


 そして、条件の悪い契約をさせられないようにと鮎川さんに念を押され陶さんとの待ち合わせ場所へと赴いた。

 陶さんが指定した場所は陶さんの運営するカフェで、そこを貸し切って行われる。


 カフェに入ると陶の母娘はすでに到着しており、こちらに気づいた二人はこちらに会釈してきた。


「お待ちしておりました。私が陶家現当主の陶千代子で、こちらが……」


「娘のかなたです」


 立ち上がって自己紹介をする陶の二人はとても美しく、千代子さんは今まで見てきた女性の中で一番と言ってもいいほど整っている。

 奏さんは幼さを残しつつもしっかりと千代子さんの遺伝子を受け継いでいるのが伺えた。


 こちらも自己紹介をし目の前の椅子へ腰を掛けていく。

 そして、千代子さんが封筒を取り出すと同時に柔らかな微笑みから真剣な表情へと変わり、一気に空気が変わった。


 「本日はご足労痛み入ります。そちらが提案してきた契約内容を精査した結果、少々変更をお願いしたいところがございます」


 封筒から取り出された紙がテーブルに広げられた。

 一枚は千代子さんからの前契約内容が書かれたもので、もう一枚はこちらが提案した契約内容が書かれたもの。

 そして、最後の一枚はこちらの出したものを精査した上で再度練り上げたものだ。


 桜子さんとそれを確認すると、大まかな変更はないにしろ細かな変更がたくさんあった。



 歌う曲数を5曲から3曲に変更していたのだが、3曲ならばバースデーソングを歌ってほしいというもの。

 これは別に問題ないので桜子さんを見ると、桜子さん的にもこれは問題ないなかったらしい。


 次は他の参列者とのコミュニケーション関連で、サンライズは歌を歌ったら仕事は終わりということで送った。

 しかし、参列者の中にはとても懇意にしている人たちが多いので、この人たちからの要望があれば会ってほしいとのことだ。


 これは要相談として置いておく。


 こういった細かい変更をチェックしていきいよいよ最後の変更点だったのだが、これがかなり厄介なものだった。

 陶の当主である千代子さんとこのパーティの主役である奏さん、そして千代子さんの夫の三人に素顔を見せるというものだ。


 すべての変更点はほぼすんなり通してくれたのだが、この一点だけは譲ってくれることはなかった。


「私はどういう人物が娘のパーティに参加するか確認する義務があります。失礼を承知で申しますが、お二人を偽装するのは容易です。

故にお二人の素顔を確認しておかねば、娘にもしものことがあった場合の対応に困るのです」


 千代子さんの言いたいことは分かるし尤もだ。

 しかし、陶の人たちに素顔を見せるのはリスクが大きいのではという懸念がある。

 それは桜子さんも同じ様で渋い顔している。


 いくらでも自分が自分であるという証明はできるのだが、襲われて入れ替わられて何かされた後に解放されても証明が難しい。


「顔を知られるというのはお二人にとってはリスクしかないことですが、娘はどうしてもお二人に生ライブをしてほしいと……これを誕生日プレゼントにしと願ってまして……滅多に言わない願い事なのでどうしても叶えてあげたいのです!」


 陶という名家の娘に生まれながら質素倹約に己を磨いて来たらしく、わがままや一般的に無理なお願いを言ったことはないらしい。

 そんな娘の願い事となれば叶えてあげたいと思うのは親としては当然だろう。


 千代子さんには少し待ってもらい純と桜子さんでかなり話し合った。

 純はどっちでもいいけど少し反対よりで、桜子さんは反対派ながらも写真や口外しないのならばいいかもという姿勢だ。


 鮎川さんにメールをしてみるとこういう話になるのは予想していたらしく、ビタ一文容姿に関することの口外厳禁、記録媒体での保存禁止、申し出のあった陶家の三人にのみ見せるという絶対ラインは譲るなとのことだった。


 こちらが千代子さんの提案を聞いたときに、それを呑むならこの条件と考えたものとここまでは同じだった。

 しかし、鮎川さんが条件付けてきたのはもう一つあり、顔を見せるのはこちらが用意した場所のみというものだ。


 控え室に簡易のなにかを作るか持っていってそこで見せるということなのだろう。

 隠しカメラ対策だろうが、鮎川さんの徹底ぶりには頭が下がる。


 これを千代子さんに伝えると、何か考えた後にこちらの要求を呑んでくれた。

 契約書にサインを書き、二人と握手を交わしてカフェを後にした。


 帰りの車で桜子さんがぐったりとしており、千代子さんのプレッシャーに圧されていたのがよくわかる。

 純はいつも通りすやすやと寝ており、ああいうプレッシャーには本当に強く本当に頼もしい。


 事務所へと戻り鮎川さんに契約書を見せるとサラリと読んで判子とサインをして封筒に入れた。

 どうやら問題なくやり遂げられたようだ。


「お疲れ様。無事に契約してこれたようで安心したよ」


 鮎川さんにはかなり心配されたようで、封筒をパサリと投げ置くと椅子の上でリラックスし始めた。

 まだまだ問題は過ぎたわけではないが、これからやってくるかもしれない台風の対策はできたと言って良いだろう。




ドラクエ11を裏エンドまでクリアしました。

今回のドラクエは集大成といってもいいほど頑張って作られている気がします。


裏エンドを見るとドラクエ12はもう出ないんじゃないかと思うほどで、年齢的なものを考えるとこれが最後になる可能性は大きいというのもわかります。


ドラクエ12が出るとしても、今までのドラクエとは毛色が違ったものになったりするかもしれませんね。

しかし、ドラクエ11おもろかったぁ!!

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