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次はお仕事回にしよう。

そうしよう。




「で、でかい……」


 日下部家の目の前に来ているはずなのに、出迎えてくれたのは大きな門だった。

 東條家はごくごく普通の一般家庭だったのに対し、日下部家はぱっと見三倍以上はあるような気がする。


「話には聞いてましたが……これは想像以上です」


 どうやら綾奈は明日香から聞いていたようなのだが、やはり想像以上の大きさだったらしい。

 二人して口を開けて日下部宅を見ていると、隣でニシシと明日香が笑った。


「今まで秘密にしてきて正解だったね! 一也のそんな顔はじめで見たよ!」


 いたずらが成功して喜ぶ子供のように無邪気にはしゃいでいる。

 しかし、そんな明日香の動きが急に開いた門のおかげでピタリと止まった。


 門の向こうからカッチリとした服装の女性が近づいて来ているのだが、そのたびに明日香が縮こまっていっている気がする。


「明日香、門の前でそんな飛び跳ねてはしたない……いつもやめるように言ってるでしょ? すみませんうちのが迷惑をかけているようで……あっ、私は明日香の母で日下部麻里奈と言います」


「私は国東一也です。今日は大切な話があって来ました」


 麻里奈さんは、明日香とは真逆と言ってもいいほどの淑女で、予想していた感じとは大きく外れていた。

 そして、麻里奈さんはどうぞどうぞと家の中へと案内してくれた。


 案内されたリビングには高そうな調度品や絵画などが飾られており、出された紅茶をおっかなびっくり飲む。

 しかし、ちらりと横目でいつも通りな明日香を見て少しだけ安心した。


「お待たせしました。本日の来訪の目的は明日香から聞いています。明日香と結婚をしたいそうで……」


「はい。そのために今日は挨拶に来た次第です」


「そうですか。もちろん結婚に関しては問題ないのですが、本当に明日香でいいのですか?」


「そうです。他の誰でもない……明日香だからいいんです」


 そう言うと明日香は嬉しそうにニンマリとしている。

 しかし、淑女な麻里奈さん的には元気印の明日香が選ばれたのは意外そうだった。


「そうですか……それではこれからは私のことはママと呼んでください」


 ん?


 淑女の鑑のような人からおかしな言葉が出てきたので、聞き間違いではないかと聞き直す。


「ですから、明日香と結婚するということは私が一也さんのお義母さんになるということです。

なので、私のことはママと呼んでください」


 聞き間違いではなかったようだ。

 やはりいくら仮面を付けたところで、淑女な麻里奈さんもこちらの世界の女性だというのを認識させられた。


 目もどことなくギラついている気がするし、握られている手からはすごい力を感じる。


「親しみを込めてお義母さんと呼ばせてもらいます……」


 そういった時の麻里奈さんの目の座り方は尋常ではなかった。

 しかし、麻里奈さんのこの少し強引な感じは、明日香から俺の人となりを聞いていたに違いない。

 さすがに他の男性たちにはここまでこないだろう。 


「お母さん……さすがにママは厳しいんじゃない?」


 異様な雰囲気の麻里奈さんに堪らず明日香が助け舟をだしてきた。


「明日香もいずれ分かります……母がどれだけ息子にママと呼ばれたいかを……。結婚出来なかったのなら、せめて! せめて息子が出来たときにはママと呼ばれたいのです……」


 よよよ……と泣き真似をしながらチラリとこちらを見てくる。

 まぁお義母さんとなる人の願いは叶えてあげたいのだが、さすがにこの歳で日本人がママは中々恥ずかしい。


「仕方ありません……一回だけですよ? m……」


 この一回をすぐに言おうとしたのが分かったのか、視界いっぱいに麻里奈さんの掌が現れた。


「その一回は待って! これでお願いします。この言葉を聴きたいのです」


 そう言って手渡されたメモを見ると、さらに恥ずかしい台詞がそこには書かれていた。

 本当にこれを言わなければならないのかと訊ねると、麻里奈さんは小さく頷いた。


「そ、それじゃあ言いますよ……。ママ……起きてください朝ですよ。

今日も仕事頑張って行ってらっしゃい。

おかえりママ……今日もお疲れ様……」


 言ってて頭を抱えてしまいたくなったが、これもラジオの練習と思って読み上げた。

 すると、なぜかピピッとおかしな機械音が聴こえ、それと同時に麻里奈さんが勢いよくソファから立ち上がった。


「やったぁ!! これで幸せな毎日が送れます!」


 立ち上がりそんなことを言い放った麻里奈さんの掲げられた右手には、小さな板状のものが握られていた。


「ちょ、その右手に持ってる物はなんですか?!」


「ん? これはもちろんボイスレコーダーです。今の音声を目覚まし時計とかに入れれば……むふふふふ……」


 やられた……まさかボイスレコーダーを隠し持っているとは思わなんだ。

 これからは残念淑女と心の中で呼ぶことにしよう。


 それからは完全に麻里奈さんのペースで、結婚の挨拶というよりは麻里奈さんとの親睦会のような形になってしまった。

 そして、いい掛け合いをする二人を見て明日香がジェラシーを感じ、二人の間に割り込もうとしてくるのを麻里奈さんはさらりといなしていた。


 結局、終始麻里奈さんペースでの日下部家訪問となり、なんだかまたもや不完全燃焼だ……。

 しかし、明日香の母がこんなにも淑女だったとは思わなかった。


 姉妹は他にもいるらしいが、今日は皆どうしても外せない用事があったらしく会えなかった。

 姉妹は上に二人と下に一人。


 下は大学の外せない講義、上二人は仕事の関係らしい。

 しこたま自慢してやろうと悪い笑顔を浮かべたときの麻里奈さんの顔は、イタズラの成功した時の明日香とそっくりだった。


 もしかしたら麻里奈さんの本当の顔は明日香と同じなのかもしれない。

 目の前でわちゃわちゃしている二人を見ると、そう思わざるをえなかった。







ペルソナをクリアしてアームズに熱中。

友達と日々熱いバトルを繰り広げております。


さて、このアームズは本気でやるとダイエット効果が望めるんですねぇ。


腕に重りをつけて正確にパンチを繰り出す。

二の腕の引き締まりは約束されたものですな。


しかし、あのゲームは友達がいないと面白くないのでぼっちには結構つらそう……。

平日はぼっちなのでつらいっす。


最近は仕事にも慣れ、生活リズムが確定してきました。

余裕のある生活をしております。


少しは更新速度をあげたいところですが、趣味を増やしたせいで中々……。

浅く広くな活動も中々問題がおおいですの!

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