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おまたせしやした!
今回は珍しくパソコンで書いたので少し勝手が違いました!
読みづらかったら申し訳っ!
目の前ではスタッフの皆が慌ただしく動き回っている。
普通は男は最後に来るものらしいのだが、如何せん日本人の血が早め早めの行動をさせる。
早く来たのにはもう一つ理由があり、サンライズと男護官たちは変装しているのでメイクする時間というものが極端に短い。
そのせいで手持無沙汰になったのでスタジオに顔を出したというわけなのだ。
で、その結果がこれだ。
申し訳ない気持ちもあるのだが、ものすごいスピードで作業をする人達を見ていると感動すら覚える。
そうしてだらだらと作業を眺めていると、ふらりとタモさんがやってきた。
「ん? サンライズの二人じゃないですか。どうしたんですか?」
「あぁ、楽屋にいても暇なんで少し見てようかと思って」
「どうりで楽屋に挨拶にいってもいなかったわけか......」
どうやらこっちに来ているせいで入れ違いになってしまったらしい。
そして、タモさんに挨拶のことを言われたので、軽く談笑した後にほかの出演者たちのところへと挨拶に行くことにした。
まずはKARTの所へと向かう。
はじめに嫌なところから攻めていくスタイルだ。
扉をノックして返事を待つのだが、返事が返ってくことはない。
二度目のノックでも返事が返ってこなかったので次の楽屋へと向かう。
後々気づくのだが、ノックした後に自分が誰かを伝えないと男性の楽屋から返事が返ってくることはないらしい。
もちろんこの後の男性たちの楽屋では総スカンを食らい、純とともに愚痴をこぼす。
「なんだよこいつら! 人がせっかく挨拶に来てやってんのに!」
ぷんすかモードの純が落ち着くまで待ってから女性陣の楽屋へと赴く。
まずは一人目の女性シンガーソングライターの小手川沙彩の楽屋をノックすると、楽屋の向こうからハスキーで魅力的な声が聞こえてきた。
扉を開けていいと言われたので開けるとボーイッシュ系の美人が座っており、ドリンクを飲もうと手を伸ばしたところでガッチリと固まっている。
「サンライズのカズです」
「サンライズのジュンです」
「今日はよろしくお願いします」
挨拶をしたのだが、ガッチリと固まっているのでもう一度声をかけてみる。
すると、再起動をはたした小手川さんがしどろもどろになりながら挨拶を返してきてくれた。
「ど、どうも! 小手川沙彩です。こ、こちらこそよろしくお願いします......」
挨拶を交わしたので次のアーティストの所へといくのだが、全員が全員おなじような反応をしていた。
ふつうは女性が挨拶行くもので、男性から挨拶にくるなどありえない事だったらしく後でかなり感動された。
あいさつ回りを終えてスタジオへと戻るとすでに準備は整っており、タモさんと重永さんが入念な打ち合わせをしていた。
声をかけるのも申し訳なかったので遠巻きに見ていると、気づいた二人がこちらへと近づいてきた。
「あいさつ回りはおわりましたか?」
タモさんがやたらとニヤニヤしながら聞いてきたのだが、その言葉を聞いた重永さんがかなり驚いている。
「二人はあいさつ回りにいってたんですか?!」
「男とはできませんでしたけど、ほかはできましたね」
そう言うとタモさんは声をあげて笑い、重永さんは唖然としている。
ヒーヒー言っているタモさんにはムッときたが、なんでそんなに笑っているのかわからないので聞いてみた。
「普通は男性側は楽屋で待ってればいいんですよ。それに男性の楽屋は声をかけないと開いてくれませんよ......」
重永さんが説明してくれたのだが、タモさんはいまだに笑っている。
あとで復讐をしようと決意した......。
「さて、もうすぐはじまるのでとりあえずここで待っててもらっていいですか?」
心に炎を宿していると、重永さんにそう言われたので大人しく待つ。
すると、スタッフがほかの出演者を呼びに行き続々と集まり、全員が集まったのを確認すると重永さんが軽く段取りを説明し収録が始まった。
まずは女性アーティストが紹介されていき歓声が沸き起こっている。
女性だけでこの歓声となると、男性陣が出て行った時などは爆発でも起きるのではないかと心配になってくる。
どんどんと紹介されていきついにサンライズの出番がやってくる。
曲が流れると同時に出ていくと、鼓膜が破れそうになるほどの歓声が響く。
これには少し驚くが、この歓声が人気を表してると思うと喜びがあふれだしてくる。
一礼してそのまま階段を下り、余韻に浸りながら次に現れるアーティストを待つ。
そして、現れるのはKARTのメンツなのだが、歓声の大きさが俺たちが出てきたとき以上で軽くムカついた。
しかも、降りてきたときにこちらに向かってしたり顔をしてきたのだ。
純に至ってはこちらに肘打ちしてきて小声で文句を言っているが、ここで不愉快そうな表情を浮かべるわけにもいかないのでグッと我慢した。
そして、それからすぐに席に着きMステが始まった。
女性アーティストの三佐桜花、中津留鈴、アイドルグループのビリーブと続き、いよいよ小手川さんの順番が回ってきた。
さすがに順番が近づくにつれてKARTへの怒りは消えていき、緊張が身体を支配していく。
小手川さんのハスキーで落ち着く歌もまったく入ってこず、ただただ頭の中で段取りを反芻する。
あとで小手川さんには歌の感想を求められるだろうが、生歌の感想は申し訳ないが伝えることはできないだろう。
いよいよ小手川さんの歌が終わり、ここで一旦CM休憩を挟むことになった。
死刑宣告が伸ばされた感覚だが、このCM休憩の間に緊張を解さなければならない。
純も緊張しているのか休憩に入ってからはずっと男護官たちのほうを見ている。
純の真似ではないが、俺も男護官のいる場所を見つめた。
すると、明日香は胸の前だ両手を握りこんでファイトアピールをしており、綾奈は片手を口の横に当ててがんばれと口パクしている。
隣にいる純の男護官たちも同じようなマイムをしていた。
そんな皆を見ていると自然と笑みがこぼれた。
隣を見れば笑顔を浮かべている純と目が合う。
皆のおかげで緊張も完全にほぐれたところでいよいよCM休憩が終わった。
「待ちに待った人も多いんじゃないでしょうか? いよいよ男性アーティストたちへと参りましょう! さて、まず初めの男性アーティストはサンライズのお二人です!」
タモさんがそう言うやいなや大きな歓声が上がり、スタジオの熱量が一気に上がっていく。
紹介に合わせて挨拶をすると、さらに歓声が大きくなったような気がする。
今回紹介されるのはひとりじゃないが紹介されることになっていたので、紹介PVをみんなで見ていく。
中々こっ恥ずかしくなるような紹介をされ苦笑いを浮かべてしまう。
「この曲の作詞作曲はカズさんが担当しているそうだけど、今回リリースした3曲ともカズさんがてがけたんですか?」
「そうですね。作詞作曲は任せてもいいんですけど、やっぱり自分でやりたいというのもありまして挑戦させてもらっています」
「ほぉ......でも、中々大変じゃないですか? 3曲も同時に出すというのは」
「そうですね。それでもやりがいはありますし、すでに作詞はしてあるのでメロディを考えるだけなんですよ」
完全に歌として出来上がっているのだが、ここはトップシークレットなので完璧に嘘をつき通す。
「さすがは若手実力派アーティストですね。でも、歌うのはジュンさんが多いようですけど、これには何か理由があるんですか?」
「作る曲のキーが高いっていうのもありますけど、純粋に純の方が歌が上手いんですよ。なので純にはメインで歌ってもらって、俺は作詞作曲やトークを担当してるわけです。」
「へぇ~......そういう裏事情があったんですね。さぁこの後歌ってもらうわけですけど、準備のほうはよろしいでしょうか?」
タモさんがそう言うと、収まっていたはずの歓声が再び湧き起こる。
お願いしますという声と共に席から立ち上がりステージへと移動する。
すでに準備は調っているので、ステージに立ってすぐに歌が始まる合図が飛んでくる。
そして、ライトアップが変わり演奏が始まった。
歌はほとんど純が歌うのだが、コーラスなど俺が歌うところも多い。
歌うときはなるべく明日香と綾奈の方を見つめながら歌った。
そうしてほうがリラックスして歌えたし、二人にはこの曲はかなり響くと思う。
歌い終わる頃には二人は涙を流しており、歌い終わったときには純もおれもスッキリしていた。
それからはリラックスしてほかのアーティストたちの曲を聞くことができたし、タモさんの振りにもしっかりと答えられた気がする。
初のテレビ出演はなかなかうまくいった。
自画自賛してもいいレベルだと勝手におもっている。
桜子さんや鮎川さんにも労いのメールをもらったので、これはうまくいったと確信してもいいだろう。
ただ、KARTときほうがやはり歓声が大きく、まだまだ差があることを痛感させられた。
なんだかんだいって向こうだってそこそこの期間芸能界にいたのだ。
その差は簡単には埋まらない事も自覚させられたし、これからのレッスンにも気合が入る。
今回はテレビ出演を記念してみんなで焼肉屋に行っていい肉をたらふく食べた。
課題も見つかったし明日が待ち遠しくてなかなか眠ることができなかった。
執筆期間延びるとなかなか書こうと思ってたことがすっ飛んで行く......。
仕事に慣れるまで我慢してください!
しかし、PCだと入力スピードだけは速くていいですね。
あと、筋トレ系はTwitterで呟くことにしました。
ちょこちょこね。
がっつり書きたいときはこちらでマッスルライフを書こうと思います。
心境の変化ってやつだね。




