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オノノクス、ジバコイル、サメハダー、ベトベトン、キュウコンまで作りました。
サブはクワガノン、ゴローニャ、ゲンガー、ハピナスです。
夢サメハダーを捕まえるのが一番大変でした。
料理をしているのだが、綾奈さんと姉さんたちが楽しそうに会話をしている…。
料理を食べて美味しいと言ってくれたときの幸福感は最高なのだが、如何せん料理中の寂しさは中々辛いものがある。
笑い声が聞こえる度に、笑い声なんで〜?笑い声どうして〜?笑い声ばいば〜い…ってなってますよ。
そして、そんな雨にも負けず風にも負けずに作っているのはロールキャベツと豚汁だ。
ロールキャベツと豚汁は地味に時間のかかる料理なので、このチョイスは失敗だったと言わざるをえないのだが、冷蔵庫にあったもので作っているので仕方がない。
これは俺だけの考えかもしれないが、料理をする上でなにかを作るときは肉野菜炒めと炒飯は許せない。
逃げと妥協を強く感じるので、頼まれたときや自分のために作るときだけにしか作らないのだ。
そうなるとロールキャベツと豚汁という選択になってしまったのだが…正直楽しいあの場に加わりたい!
そうして黙々とゴボウをささがきしていく。
ロールキャベツを煮込んでる間に人参とゴボウに軽く火を通しておく。
それらを汁の中にいれて灰汁を取りつつ待つこと灰汁が出てこなくなるまで…。
灰汁を取りきったら赤多めの合わせ味噌を溶かしていく。
2つが完成したとき玄関から母さんの帰ってくる音が聞こえてきた。
「ただいまぁ〜…あぁいい匂い!」
そんな母さんもガチャリとリビングに入ってくると、綾奈さんを見て固まりかけたのだが、そこは大人な母さんの力が炸裂した。
「はっ……もしかして一也の男護官…?私は一也の母の奈美恵です。」
普通に挨拶を交わして自己紹介をしていたのだが、その人が恋人という可能性は考えなかったのかな…。
「それにしてもいい匂い…。今日は一也の手料理〜!頑張って仕事を片付けてきた甲斐があったわ!」
う〜ん…と伸びをする母さんなのだが、その仕事を早く片付けるというのはどれだけ大変だったのかと思うと息子心に火がつく。
「あとでマッサージ来てあげるからゆっくり休んでてね!」
そう言うと母さんは目を輝かせて最高の笑顔をくれた。
もちろん3人はそれを羨ましそうに見ていたのだが、やはりここは母さんにご褒美があってもいいだろう。
「ぶぅぶぅ!あたしも働いてるのにずるいぞ〜!」
「姉さんは母さんの後でね!」
姉さんは嬉しそうにソファへと座り込んだのだが、ここで子犬の目を炸裂させてくるのが明里ちゃんなのだ…。
しかし!ここは母さんたちへのご褒美なので我慢していただくことにした。
その時の切なそうな顔に心が折れかけたが、なんとかそこは耐えに耐え忍んだ。
米も炊けたのでテーブルの上に料理を並べようとしたのだが、いつの間にか皆がテーブルについており、一糸乱れぬその姿に笑いが零れそうになる。
「いただきます!」
その一声とともに皆が一斉にかぶりついていき、美味しいという言葉が聞こえてくるたびに口元が緩くなっていく。
『この笑顔を見ながら食べるのが最高だな…。』
しみじみ感じながら豚汁を啜っていくと、ふと姉さんが呟いた。
「一也ってなんでこんなに料理うまいの?」
「春美は料理ヘタだものね…。」
ちょっと!と、次は母さんと姉さんがテーブルを挟んできゃいきゃいし始めた。
「もしかして出来合いのものばかり食べてる…?」
やはりうら若き乙女がそういうものばかり食べているとなると心配してしまう。
そして、男からそんな心配そうな目で見られることに慣れていない…というか、ほぼ初めてに近い春美は声にならない声をあげている。
「だめだよ…ちゃんと栄養考えて食べないと…ああいうのは体にあんまりよくないんだから。」
軽く注意するとしょんぼりと肩を落としてちびちびとご飯を食べ進め始めた。
そして何故か母さんまでもちびちびとご飯を食べており、不審に思ったので訊ねてみると、案の定母さんまでも半額の惣菜を漁ったりしていたようだ…。
基本的には明里が作ってくれてたりするのだが、明里も受験勉強で忙しいのであまり作れていないそうだ。
「姉さんと母さんって仕事場は俺のマンションに近いよね?」
そう訊ねると箸を咥えながらコクリと頷く……かわいい…。
「それなら帰りに家に寄っていきなよ。晩ごはん食べて帰るといいよ。」
言い終わるやいなや2人はがたりと立ち上がりこちらに詰め寄ってきた。
あまりの速度と勢いに、食べようと持っていたロールキャベツをポトリと落としてしまった。
「本当に!?本当にいいの?!」
「一也っ!いいのね?!母さん帰りがけに絶対に寄るわよ?!」
2人を押し返すようにして了承し、なんとか興奮を抑えてもらおうと思ったのだが、全く治まる気配はなかった…が、明里の一声により興奮状態が一度沈静化した。
「ずるいっ!2人ずるいよっ!!私もお兄ちゃんのご飯食べに行きたい!!」
ぷくーっと顔を膨らませて抗議する姿は、拉致してしまいそうになるほどかわいいけれど、明里のジェラシーはそんな優しいものでもなさそうだった。
「も…もちろん勉強に支障が出ないのなら来てもいいよ?」
そう言うと明里はニッコリと笑ってくれたので、一安心してロールキャベツにかぶりつけた。
結局皆が仕事、学校終わりに晩ごはんを食べに来ることになってしまったが、ほぼ毎日皆に会えるのならこれほど幸せなことはない。
やっぱり栄養価の高いものを食べて健康にしてて欲しい。
「そういえば…何か言いたいことがあって帰ってきたんじゃなかったけ?」
姉さんが思い出したかのようにポツリと呟いた。
「そうだよお兄ちゃん!何か言いたいことがあるから帰ってきたんだよね?なに?」
家族全員からの視線を浴びて少しだけ言いづらくなったが、綾奈さんの真剣な目を見てゆっくりときりだす。
「俺…いよいよ働くことにしたんだよね。」
そう言うと全員が目を点にした。
「歌手としてデビューする予定だから…デビューしたらCD送るね。」
皆が驚きのあまり固まってるのをいいことに、これ幸いと畳み掛けていく。
兵は拙速を尊ぶ………速さが肝心なのだ。
食べ終わった皿を片付けようと席を立とうとしたとき、隣に座る明里に腕をがしりと掴まれた。
「げ…芸能界にいくの…?」
上目遣いで不安そうに聞いてくる。
もちろん明里の想像する不安は考えた上での決断だったし、芸能界が駄目なら死ぬほど勉強して医者になろうとこっそり思っている。
なので、そこまで芸能界に対して不安な要素はなかったりするのだが、当事者ではない人からすると不安でしかないらしい。
「もちろん大丈夫だよ。しっかりとトレーニングもしてるし、デビューするときは顔も出さないからね。売れても右眼眉と左目、口元しか見えない仮面をかぶる予定だから安心して。」
そう言うとみんなは少し安心したのか緊張していた空気が和んでいく。
「芸能界ってあまりいい噂は聞かないから…何かあったらすぐに母さんに相談するのよ?」
「私にも相談してね!一也!」
2人ともこういうところは向こうの世界と同じで真剣になってくれる。
いくら男とはいえ、決めたことにぐちぐち何か言ってくることもなく、支えになってくれようとする。
こういうところはやっぱり家族の絆だな…と感じ、少しだけ目がうるりと湿る。
やっぱり家族の無償の愛というか、見返りのない絆は2つとないのだと改めて実感した。
皿を洗い片付けを終わらせて、ソファでまったりとしているときに少し気になったことを聞いてみる。
「母さんたちは明日の仕事って何時からある?」
「私は8時出勤よ。」
「私は7時半よ……行きくない…。」
「それなら明日の朝ごはんと弁当は作っていけるね。もちろん明里の分も作るからね?」
明日もレッスンがあるのだが、朝起きてここから向かっても余裕で間に合う時間なので、作ってから行こうと思ってたのだ。
先程明里を悲しませてしまったので、しっかりと明里の分もあることを伝える。
しかし、みんなにとって男の弁当は手料理以上にあり得ないものらしく、それはそれは大騒ぎになった。
弁当を作るには朝早く起きなきゃいけないことが多いし、男がそんなことをするはずもなく、もしやってくれたとしても自慢しようものなら妄想だと片付けられてしまうほどのものなのだ。
芸能界に行くといったとき以上に衝撃を受けている様子で、国東家にとって過去最大の幸福が訪れたといっても過言ではなかった。
もちろん3人がワクワクしすぎて中々寝付けず、軽く睡眠不足になったことは言うまでもないだろう…。
細かすぎて伝わらないの桑田の真似の真似をしてみたのですが、こういうわかりづらいネタを放るの大好きです。
そういえば私は登場人物の外見の描写をあまり書きません。
これは各々でキャラクターを頭に作って欲しいからです。
というのも、私は外見を明確に描写されたときに作者と自分の思っているものがズレたとき、かなり不快感というか…自分のイメージから離れすぎるのでその作品を読まなくなっちゃいます。
特に描いてもらった絵を公開してる人に多いです。
私の場合はその絵は心の中に留めてほしいです。
一度それを出してしまうとそれがそのキャラの外見になってしまうから…。
因みに私はヒロイン達の外見はぼんやりとしか浮かんでません。
あまり明確にイメージするとその外見にあった性格、言葉遣いなどに引っ張られてしまうからです。
一也くんだけはしっかりとイメージしてますがね。
恐らくヒロインたちで私とイメージが一緒になっているのは、綾奈さんがEの65なくらいじゃないですかね?
あと、ショートヘアーなとこくらいしか合ってない気がします。
でもそれがいい!!
自分の好みな想像をしてください。
因みに奈美恵さんは仕事中は眼鏡をかけてます。
プライベートもかけてるかどうかはあなた次第!




