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現在…純とともにレッスンを受けているのだが、やらされていることといえばランニングなのだ…。


そうっ!ランニングをやらされているのだ。


このあとに水泳が待っているらしいのだが、スタミナと肺活量を鍛えるトレーニングらしい。


俺はまったく苦にならないのだが、純はなかなかに辛そうで、今にも倒れてしまいそうなくらいだ。


「おいっ純!辛いなら休めよ?無理をするのとは違うんだからな?」


そう言ってスポドリとタオルを渡すと純はそれを無言で受け取り、ぜぇぜぇ言いながら椅子に腰掛けた。


純が休んでる間に俺は走り続け、15kmほど走ったところで休憩が入った。


純は5kmは超えてたと思う…。


「う〜ん…国東くんのスタミナは申し分ないのだが、笹川くんはまずいな…。」


宍戸さんがその理由を言わずともわかる。


ただでさえ夏のライブはきついのに、そこで歌いながら歩いたり走ったり踊ったりして長時間やっていかなければならないのだ…。


純のスタミナがこのままでいいわけがなかった。


「はぁ…はぁ…一也が身体を鍛えてる意味がようやくわかったよ…。」


少しだけ勘違いしているようだったが、まぁいい方向に転がりそうだったので訂正をしないでおくことにした。


「それじゃあもう少しだけ休んだら次は泳いでもらうからな。」


純にはオーバーワークになりかねないのではないか…?と思ったのだが、向こうもプロだからダメならすぐに止めてくれるだろう。


ランニングを俺が止めたときもタオルとスポドリを持ってこちらに近づいて来ていたし…。


10分ほどの休憩をした後にバシャバシャと泳ぎ始めたのだが、意外なことに純は泳げなかった…。


寧ろ泳げるこっちが奇異の目で見られる始末で、どうやら男というものは泳ぐのが苦手というのが当たり前らしい…。


確かに脂肪が少なくて泳ぎづらいが、別にこの程度ならキロは泳げるだろう。


そうして泳ぎ終わる頃にはようやく純が泳げるようになっており、宍戸さんから手とり足とり教えてもらったおかげなのか、なかなか様になった自由形だった。


しかも、泳ぐのが楽しくなった純は疲れを忘れて泳ぎ回ったおかげで、プールからあがる時には打ち上げられたクジラのようになっていた。


体力作りを終えた後、疲れていい感じに身体の緊張が取れてる状態でボイトレを軽く行い今日のレッスンは終わった。


「ねぇ…一也…これからのみに行かないか?」


珍しく純が酒に誘ってきたのでもちろん行くことにしたのだが、どうしてまた急に…という気持ちが拭えなかった。



「焼酎ロックとレモンサワー1つ、ちくわの磯辺揚げと枝豆、シーザーサラダと冷や奴にほっけを。」


お酒とつまみを頼んで乾杯をする。


くいっと焼酎を一口…口の中にいい感じのアルコールが広がる。


酒を2,3度ほど飲んだときに純がようやく切り出してきた。


「一也…歌手になるのにあのハードな練習は必要なのかな…?」


やはりというか…純はどうやらトレーニングのハードに心が折れかけているようだった。


今までぬるま湯に使っていた純にはかなり辛いとは思ってはいたが、本当にやめたいという感じはなかった。


「もちろん必要なことだよ。ライブをするにも体力は必要不可欠だし、歌唱力は言わずもがなだろ?それに…女の人が男をどう思ってるか知ってるか?」


純は首を横に振る。


「俺たちは何もできないただ庇護されるだけの種馬として見られてるんだぞ?悪く言えばだけども…。」


俺の言葉を聞いて純は目をかっぴらいた。


男が上だと絶対的に思っているやつらには効く言葉だろう。


ほぼ全ての男たちは女より上だという自負があるので、ここまで言われてなにも思わないのならそれは玉無しだ。


「なんで今の男の生活があるか考えたことはあるか?女的には男がほしい…それはわかるだろ?

じゃあどうやって男を手に入れるか…。


一夫多妻さ。


もちろん多妻にしないと人類が滅ぶから…と思うだろうが、人工授精で事足りるんだよ。

別に一夫多妻を強制するまでもないんだ。


したければすればいいし、したくなければ精子の提供でもすればいい。

それならなんでこんな制度になってるか…それは女が男をほしいからだ。


国が金をたくさん与えていれば何もしなくていいからこの制度に不満もでづらいだろ?金もらってるんだからってさ。


そうして男を鳥かごのなかで育ててるのが今のこの世の中だ。


出来うる限り悪い方を誇張して言ったけど、大体はこんなもんだよ。」


純には衝撃が強かったか?


しかし、それでも頑張ってもらうには知ってもらうしかない。


当たり前の中で生きてきたそれを壊すのだから並大抵のことではないし、こんなところで足踏みしてる場合でもない。


俺ははっきり言って一夫多妻万歳だ。


フツメンがイケメンともて囃されている上に好みの女は選び放題なんて最高じゃないか!


ラノベとかで腐るほど見てきた憧れで、俺にとってはここは理想郷だし全男の夢だろう。


それでも自立していないというのは納得できない。


鳥かごの中で餌を与えられる生活なんて信じられない。


自由に飛び出したときに鳥かごの中の生活を思い出すこともあるだろうけれど、俺は飛びたいときに飛びたいんだ。


しかし…その点猫は最高だ。


飼われていても自由なのだから…。


そうだ…俺は鳥じゃなくて猫になろう…そうだそうしよう。



「僕はペットじゃない……。確かによくよく考えてみれば一也の言う通りだよ。僕は甘かった!絶対にトップを取ってやるからね!そして僕が一也の次に魅力のあって出来る男ってことみせてやるっ!」


1人でうんうん考えていると純が目に炎をともして宣言しているが、そこは俺の次なのね…。


発破をかけすぎたようだ。


実際には男護官たちに守ってもらわずに歩くのは危険で、2人の女性に襲われるだけで俺たちは何もできないのだ。


達人だって3人に囲まれたら無力と聞いたことがある。


ただの一般人が二人がかりで来られたら…結果は見えている。


しかし、やはり自立できるところは自立していかないとでかい顔はできないので、まずは働いて自由を得なければならない。


男で働いている人で、こういう考えの元で働いている人も少なからずいることだろう。


純はその後ぐいぐいと生搾りレモンサワーを飲み続け、完全に出来あがってしまったので九条さんを呼んでお持ち帰りしてもらった。


「一也さんってあんなこと考えていたんですね…。」


帰り道に綾奈さんがポツリとこぼした。


「もちろんあれは悪い方に解釈をして偏った見方をしたら…ですよ?別にそれが悪いわけじゃないけど、俺は働いて自分で生きていきたいだけなんですよ…。」


確かにさっきの演説は中々しみるものがあったのだろう…現に九条さんたちも苦い顔をしていた。


「別に綾奈さんたちが悪いって言ってるわけじゃないんですし、そんなに気落ちしなくてもいいですよ?」


フォローはしてみたのだが、綾奈さんは思うところがあるのか未だ俯いている。


「初めは……初めは道楽だと思ってたんですよ。歌手になりたいなんて…。でも話を聞いてるうちに本気なんだなって思って…それで今日の話を聞いてさらに打ちひしがれたというか…自分が嫌になったというか…。」


綾奈さんの気持ちは理解できる。


働かなくても稼げるのに…それも芸能界に行くなんて道楽かなにかと思われてもしかたない。


ナルシストと思われてなかったのが幸いだが…。


「別にいいじゃないですか。今まではそれが当たり前だったんですし、これからもそれは変わることはありませんよ?多分…。


でも、俺は一夫多妻賛成ですしいい人がいれば全部俺がもらっちゃいたいくらいですよ!」


最後のは冗談ではあるが、手のひらを返したようにそう言うと、綾奈さんはぽかんと口を開けてこちらを見ていた。


「へっ…?でも、今の…その…現状には不満がある的なことを………。」


「もちろん不満はあります。だって自由がないんですし…タダでお金が貰えても、一夫多妻と精子バンクとかが強制されているのが嫌なんですよ。


まぁ…俺ひとり頑張っても無駄なんで貰えるものは貰ってあげるものはあげますけど、働いてれば反発しようがあるじゃないですか?


まぁ強制されたくないっていうのが根幹ですよ。」



長々喋りたおしたが、結論を言うなら俺はダメ人間なのだ。


タダでよこせ!強制すんな!無理?なら働くから強制すんな!金もいらねぇ!


っと、完全に天の邪鬼も爆発してしまっている。


「あれは純に発破をかけるための方便ですよ。別にあれは俺の本心ではないですからね?」


そう言うと綾奈さんにも笑顔が戻ってきたのだが…。


「それでもです!私は一也さんの隣に立つに相応しい女になってみせます!いや、なりますから!」


純と同じように変な方向へと進んでいってしまっているが、やる気を出しているのにそれをどうこうするのもあれなのでそのままにしておく。


「俺に相応しいって…プロポーズですか?」


冗談めかしてそう言うと、綾奈さんは顔を茹でた伊勢海老の如く赤くして言葉にならない言葉をあげている。


「へぁ!?はっ…うぁ……あっ……ち…ちがっくて…そ…そんなつもっつもりじゃ……。」


「そうなんですか?綾奈さんになら言われて嬉しかったのに。」


ジャブからのアッパーを放ってみたのだが、綾奈さんは完全に真っ白に燃え尽きてしまった。


変化球で綾奈さんのことが好きだと伝えてみたのだが、気絶されてはこの作戦はダメだったようだ。


気絶する綾奈さんを背負ってマンションに戻ると明日香さんにえらく心配されてしまった。


暴姦に襲われたんですか!?と、慌てる明日香さんをなだめているうちに綾奈さんが目を覚ましたのだが、お約束通り最後の記憶がなかったので変化球はボールに終わったようだ。


いずれはど真ん中ストレートを投げ込みたいな…と、心配されてあわあわする綾奈さんとどこか怪我でもしてないか確認する明日香さんを見てそう思った。

珍しく台詞をながながと書いてみた。


あんまり説教的なことを書くの苦手なのでうまくできてればいいですな。


知恵はあるけど知識がないよね…で、地元をならしていたんで、政治関連にまで話を掠らせていくとただでさえボロが出ているのに剥がれそうに…(`ェ´)ピャー


さて、次回は実家に帰ろうかデビューを急がせるかで迷ってます!


デビュー前に1回とデビュー後に1回は実家に帰らせたいですし、奈美恵ちゃん(母)の仕事場に一也くんを連れていきたい!


本当は家族回はしこたま書きたいんですよね…。


迷うなぁー!あぁー!


とりあえず家族回にしよう!双子葉類!

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