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これからは三人称描写とかするときにさんづけはしません。


なぜか書いてる私が女の人を呼び捨てにするという抵抗が強かったのですが、おかしいなと思ったので外します。

「一也から誘いが来るなんて珍しいねっ! どうしたの?」


 待ち合わせ場所に現れた純は、朗らかに手を振りながらやってきた。


 純のファッションは男に使うのは間違っているかもしれないが、清楚という言葉がぴったりと合うもので、美少年っぷりが遺憾なく発揮されている。


「まぁな、たまには俺からも誘うさ」


「んふふふ……それで、話したいことってなんなの?」


 俺から誘われたことがよっぽど嬉しかったのか、ニマニマとしながら今回の目的を聞いてくる。


「それは飯を食いながらでもいいだろ? とんかつ食おうとんかつ」


 ニマニマが未だ止まらない純の頭をぺしりと叩きとんかつ屋へと向かう。

 とんかつ屋に入ると案の定店員は固まり純の顔は歪む。


 固まる店員に声をかけて個室へと案内してもらったのだが、純はそんな店員に辛辣な愚痴を溢していた。


「そういえば、純って男護官はどれくらいいる?」


 ヒレカツ定食とミニロースカツ定食を頼み、最近知った男護官についての話題を出してみた。


「僕は3人かなぁ……って、男護官に興味がわいたの!?」


 身を乗り出して顔を近づけてくる純を押し戻す。

 どうやら男護官をつけるのはかなり意外だったようだ。


「いやぁ1人男護官をつけたんだけどさ、何人くらいがいいのかなぁってさ」


 そう言うと純は腕を組んでうんうんと唸り始めた。


「そうだなぁ……2人か3人が1番良いって言われてるよね。抜け駆けとかもしもの暴走に備えれるっていうのもあるし」


 確かに純の言うとおりだ。

 確かにこの前の明日香のような事態になったとき、男護官兼警察官の綾奈に襲われれば一也は抵抗できないだろう。


 一緒になって襲われてしまっては元も子もないが……。


 それに、身体を鍛えてるとはいえ格闘技を学び、最高の試験と訓練を受けた相手には素人マッチョでは太刀打ちできないだろう。


「男護官というか、警護官っていうのをつけたんだけど、まだ1人だけなんだよね」


 純は警護官という言葉にぴくりと反応を示した。


「警護官って噂の? 男護官よりも優秀らしいじゃないか! まだ警護官の数は全然いないっていうのに、流石は一也だねっ!」


 何故か誇らしげに胸を張る純なのだが、警護官がそんなに噂になっているというのは知らなかった。


 確かに警護官のニュースは何度か見たことがある。


 男護官と警察官の兼任であり、優秀な男護官の中でも更に選ばれた者だけがなれるというものなのだが、そこまで噂になっているとは知らなかった。


『もしかして綾奈さんと出会えたのは奇跡なんじゃないか?』


 綾奈の優秀さを再認識した一也は、あの時綾奈と出会えた幸運に喜んだ。


「でもやっぱりもう1人はいるんじゃないかなぁ。いくら警護官とはいえ女だし、間違いが起きないとは言えないしね」


「純は男護官には厳しくないんだな」


 純の男護官に対する言葉を聞くかぎり、あまり男護官に対しては一般女性よりも嫌悪感を感じないので聞いてみた。


「まぁちゃんとした教育を受けてるし、不躾な視線を寄越すこともほとんどないしね。それに男護官は自分に合った人を選べるから、そこまで嫌悪感は抱かないよ」


 どうやら純の周りは純好みな男護官で固められているらしい。

 それもそうか、何が悲しくて好みでもない人を近くに置くのかという話だ。


『ってことは、綾奈さんと同じく監視できる場所で見守ってるのかな?』


 一也が想像した通り、なにかあればすぐに対応できる距離で警護している。

 しかし、綾奈と純の男護官がどっちのほうが素晴らしい男性かで自慢話をしているなどとは思わないだろう。


「しかし、一也が男護官をつけるなんて……何があったの?」


 昔の一也がどれだけ女嫌いなのかという疑問が浮かぶ一也だったが、それを知るには一也が一也でないことを知られてしまうので、その疑問はひとまず頭からは消し去った。


「この前のストーカーのニュースみたろ? あれの被害受けたの俺なんだ」


 急なカミングアウトに、純は先出しの漬物を食べていた手が止まり箸を落とした。


「えっえっ? だ、大丈夫だったの!? 怪我とかは……ないようだけど! 心っ! 心とかぁ!!」


 パニック寸前にまで慌てる純を落ち着かせてる間に料理が届いてしまった。


 さすがに店員が来ても慌てっぱなしな純ではないので、一也は心の中で店員さんに感謝を送る。


「まぁ、そのおかげで警護官がつくことになったんだけど、やっぱりもう1人考えるかどうか悩んでてさ」


「なんだぁ今日の話って男護官のことなの? 身構えてた自分が恥ずかしいじゃん」


 純は何やら勘違いをしているようなのでここいらで今日の本題を切り出していく。


「いや、今日の話ってのは男護官じゃなくて仕事の話でさ」


 一旦箸を止めて純の目をしっかりと見据える。

 ただならぬ雰囲気を感じ取った純も箸を止め、一也の方をしっかりと見る。


「芸能界に行こうかなって思ってさ」


「へっ!? げ、芸能界!? 1番嫌がってた場所じゃないか!! なんでまた芸能界にいくのさっ!?」


 興奮した純の膝が机に当たり、濃口の味噌汁が少しこぼれた。

 どうやらこの反応からして、芸能界への話は少なからずあったようだ。


「いつかは働こうと思ったんだけどさ、医者とか弁護士になるには能力がまるっきりないし、他人の人生を一瞬でも預かるって責任は負えない。それで1番活躍できる場所が芸能界だと思うんだ」


「他に道は考えなかったの?」


「考えたけど、考えつくものはなかったな……これ以外は」


 純は反対しようと頭を抱えているが、結局なにも浮かばなかったのか味噌汁を少し啜った。


「一也が真剣に悩んで考えた結果なら僕はもうなに言わないよ。だけど、一也が芸能界に行くなら僕も行くよっ!!」


 純はテーブルを叩きながら声高らかに宣言するのだが、また少し味噌汁がこぼれた……一也のが。


「いやっ! どうしてそうなる?!」


 当たり前の疑問だった。

 一也が芸能界に行くからって、純までもそれに付き合う道理はないのだ。


 なんで純がここまでするのか一也にはわからなかった。


「一也はもう覚えてないだろうけどさ、一也は僕を救ってくれたんだよ。中学の頃、僕が女に襲われかけた時に一也が颯爽と現れて一也とそのお姉さんが一気に追っ払ってくれてさ。僕はその時から一也の助けになりたいとずっと思ってきたんだっ! 今こそあの時の恩を返すときだと思うんだっ!!」


 目の端に涙を浮かべながら想いを吐き出す純に一也は応えることができなかった。


 そんなことがあったことなんて記憶は一也にはないし、純のことを知ったのはつい最近のことだ。


 それでもその純の想いは尊いものだ。

 一也は純に向けて右手を差し出し、純もそれをとった。


 一也と純の、これからこの世界を大きく変えることになる2人の出発は、この安くて多くて美味いが売りのとんかつ屋から始まった。



 そうして純と別れて家へと戻った一也は、先程のとんかつ屋での宣言を聞いていた綾奈から詰め寄られた。


「げ、芸能界にいくんですか!?」


 から始まり。


「私はどこまでも一也さんに着いていきます!!」


 という宣言で締められたのだが、綾奈を説得するのに小一時間もかかったのは骨が折れた。

 綾奈の説得が終わった一也はすぐに伊織に連絡し、芸能界に行くことを伝えた。


 伊織からメールはすぐに返ってき、芸能事務所やアイドルや俳優としてデビューするかなどのことを相談したいから、近々会える日はないかということだった。


 いつでもフリーなことを伝えると、明日やってくるという返信がきた。


「よしっ出来れば歌手のほうがいいんだけど、芸能界に行ったらオールマイティーな活動を求められるんだろうなぁ。でも、俳優だけはきつい……」


 いくら芸能界に行くと決めたからとはいえ、演技でキスをする場面のくる俳優にはかなりの抵抗があった。


 どうしても一般人的な考えの抜けない一也としては、好みの人とかとキスするシーンを考えるだけで邪な気持ちが湧いてくる。


 ただでさえ綾奈との共同生活に悶々とした日々を送る一也だ……ちょっとした間違いが起こるだけでスイッチが入りかねない。


「これは伊織さんたちと相談すればいいか」


 取らぬ狸の皮算用ではないが、芸能界に入ってからの先のことをあれこれ考えるよりも、入るまでのことを考えることにした。


「とりあえずは歌の練習だな」


 歌には自信があるのだが、歌手としてのレベルには全く達してはいない。

 なので、とりあえずやることはボイトレと愛想を磨くことが先決だと考えた。


 できれば歌手をベースに活動していくのが理想的だが、芸能事務所的にはアイドル売りをしたいだろう。


 歌手ならば最悪顔を出さずに歌を歌うだけでいいので、Gorillazのような売り出し方がベストだなぁと考える。


 そうしてこれからのことに想いを馳せながら寝室の電気を消した。




 目覚ましに設定している伊織の曲で目を覚ました一也は、香ってくる朝ごはんの匂いに誘われるようにリビングへと向かっていく。


「あっ起きましたか! もう出来るで座って待っててください」


 ニッコリと白い歯を見せて笑う綾奈の笑顔にドキリとし、全く慣れる気配のないこの新婚的な感覚をあまり考えないようにする。


 しかし、芸能界に行ってから結婚するより、今のうちに結婚しておいたほうが問題は少なそうだなぁなどとぼんやり考える。

 すると、途端に綾奈のご飯を作る後ろ姿を見るだけで顔が熱くなる。


「どうしたんですか? あっ、もしかして熱でもあるんですか!?」


 目の前に出来上がった料理を並べる綾奈に心配されるほど、一也の顔は赤くなっている。


「い、いやっ! なんでもないよ?」


 我ながら全く成長しないなと、自身の女に対する免疫の少なさに嫌気が指すが、こんな美人に迫られてればこれも普通だと納得させる。


「そうですか。もしも体調が悪くなったら言ってくださいね?」


 綾奈にいらぬ心配を与えてしまったと反省した一也は、綾奈の作った朝ごはんを食べて褒めることによって、この気まずさを払うことに成功した。


「今日はまた伊織さんと会うんですよね。私も付き添いますからねっ! 心配ですからっ!」


 ふんすと鼻息を荒くして宣言する綾奈だったが、今回の話に付き添えるかどうかは伊織次第だということに全く気づいている様子はなかった。


「まぁ、綾奈さんが一緒だと心強いですよ」


 もし来れないとなったらかわいそうなので、この時点で綾奈が必要だということを伝えてみると、気分をよくした綾奈は先程の一也よりも顔を赤くさせてしまった。


「あれ? 熱でもあるんですか?」


 先程の意趣返しとは言わないが、悪い顔をしながらそう言うと、綾奈は恥ずかしそうにして叫んだ。


「ね、熱なんてありませんっ! もうっ、からかわないでください!!」


 ぷりぷりと怒りながら食器を下げていく綾奈だったが、その顔はどこか嬉しそうだった。

書き方のテイストを少し変えてみました。


私が柔軟だというアッピル…をしてみたんですよね…。


三人称の練習なのですが、一人称と三人称のごちゃまぜから完全三人称の書き方にするのって難しい…。


一人称のみとごちゃまぜは簡単なんですが、三人称だけにしようとするとくどくどになっちゃいます。


もう少し色んな読み物と練習あるのみですな。


因みに私の文章はその日のコンディションが大きく影響します。


電車に酔いすぎてたり、あまり…文才のない携帯小説を読むと悪い方に引っ張られ、逆に良い物を読んだりベッドでだらだらしてるときは背伸び感のあるものになります。


すぐに影響されちゃうのがよくないんですよねぇ…。


追伸

最近は筋肉小話を考えるのが大変になってきたので、筋肉とかダイエットなどの身体系のことについて聞きたいことがあったら教えて下さい。


それを元に小話を書きたいと思います。


因みに筋肉なら上腕三頭筋を鍛えたいなどの部分指定とかでお願いします。


上半身がぁ…と言われるとあとがきでは語り尽くせないので…。


そういうときは数話分消費も辞さない覚悟でいきます。

もしくはマッスルライフのネタにします。

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