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少しテイストを変えての復帰!

 目を覚ますとそこは見たことのある風景だった……。


「何処だ……ここは……?」


 死んだはずなのに生きており、頬をつねってみてもしっかりと痛みを感じる。


 辺りを見回せば多摩川という看板が立っており、どうやら多摩川の河川敷に立っていることがわかったので現状を確認していく。


 格好はジーパンに薄緑のシャツにスマホが一つに財布と家の鍵。

 所持品はたったこれだけだが、財布の中身に余裕があるのが救いだった。


 『取り合えず家に戻ってみよう』


 多摩川からなら家は近かったので徒歩で自宅へと戻ることにしたのだが、先程からやたらと女性に凝視されている。


 その視線は好意的を通り越した狩人の目線だ。


 そして、その全てがかわいいor美女たちで、なんで凝視されるのかと自分の状態をチェックしてしまった。


 おかしいところはないのだが、このクラスの美女にとっては俺の容姿は凝視されるレベルなのか……と、少しだけ落ち込んでしまった。


 そして、とぼとぼと街の中を歩き始めたときにその異変に気づいた。


『男がまったくいない……?』



 明らかにおかしい。

 ここまで歩いてくるのにある程度人の多いところを歩いたつもりだったのだが、そのすれ違う全てが女性だったのだ。


 因みに全て美人といえる容姿なのだが、さすがにこの異様な雰囲気には気がついた。

 

 ここが自由ヶ丘のおしゃれなカフェとかならばまだ納得はできたのだが、今の状況は明らかにおかしい。

 女性全てがギラついた目で俺のことを見ているのだ。


 さすがにすれ違うたびそんな視線にさらされ続ければ、自然と家に向かう足は早くなる。


 容赦のない視線を浴び続けて足早に歩いていると、婦警さんに話しかけられた。


「白昼堂々こんな通りで襲われる危険性は少ないとはいえ、男性がそんな無防備に一人で出歩くのは感心しませんよ?」


 婦警さんの言っている言葉の意味を理解することができなかった。


「ハハハ……なんで男が一人で歩いていて危険なんですか?」


 笑い飛ばそうと思ったのだが、婦警さんの目は至って真剣だったので笑いはすぐに乾いていった。


「何を言ってるんですか? とりあえず署まで来てもらえますか?」


 このおかしなものでも見るかのような視線を受けたことにショックを隠しきれず、そのまま引っ張られるように署まで連れていかれた。




「何故あなたはあんなところを何も持たずにフラフラしていたんですか!?」


 机をトントン叩かれながら質問を受けているのだが、その全てが何故かわからなかったので知らぬ存ぜぬを通した。


「はぁ……いいですか? 貴方は男性で保護されるべき存在なんですよ? 気を付けてもらわなければ困ります!」


 どうやら何も持たずにふらふらしていたことが余程問題らしいのだが、そんな女児のように防犯グッズなど男が持つのか?


 そんな疑問が湧いてきたのだが、婦警さんの言葉に引っ掛かりを覚えた。


「はい、申し訳ありませんでした……? って、ちょっと待ってください! 男が保護されるっていうのはどういうことですか?」


 そう訊ねると婦警の目が点になり、それほどおかしいことを聞いているのかと不安になってしまった。


「はぁ? 頭を強く打つでもしたんですか?」


 先程までとはうってかわって心配そうな表情を浮かべる婦警さん。


「とりあえず救急車を呼びますね」


 そういって席を立とうとする婦警さんを慌てて止めた。


「べ、別に頭とかは打ってないですよ! 少し寝ぼけていただけです!」


 このまま病院に連れていかれるのはまずいと判断し適当な理由を作り上げた。


「そうですか……で、ではっ! 困ったことがあったらこっこちらに電話してきてください……」


 しどろもどろになりながら、顔を真っ赤にして連絡先の書いた紙を渡してきたので、それを素直に受けとると婦警さんは満面の笑みを浮かべていた。


「それでは家までお送りしますね」


 因みにパトカーの中で名前を知ったのだが、自己紹介以外にこれといった会話はなかった。


 免許証を渡して案内された場所は、どこぞのぶいあいぴぃーでも住んでるんでは?と、疑いたくなるほどの高級マンションだった。


 婦警さん……改め綾奈さん(本人の熱烈な希望)はすでにパトカーで走り出しており、ここはどこだという問いかけをすることはできなかった。


『なんだ? ここは……』


 素直な感想だった。

 俺が元々住んでいた部屋は1Kのユニットバスの部屋だったのだが、これは明らかに異様だった。


「お帰りなさいませ国東様」


 マンションの中に入ると、コンシェルジュの女性が挨拶をしてきてびっくりしてしまった。


「あっただいま帰りました」


 ペコリとこちらも頭を下げて返事をすると、コンシェルジュの女性……明日香さん(ネームプレートを見た)は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしていた。


 そのまま放置してマンションの中に指紋認証のロックを解除して入っていった。


 正直、始めての指紋認証の扉にテンションがあがったのは内緒だ。


 部屋の番号は1401。

 ホテルか!?という悲しいツッコミを心の中で叫んだ。


 そして、さらに驚いたのはポケットの鍵で本当に部屋が開いたのだ……。


 いや、まぁわかってたことといえばわかっていたが、ここまで衝撃的なことが続くと、もうちょっとのことでは驚かなくなるのか…。


 部屋はだだっ広く何も置かれていない部屋が3つあり、リビングには富裕層の一般家庭にあるような家具が設置されており、寝室のベッドはキングサイズで、L字の革のソファなんて初めて座った。


 高級家具を堪能するのはすぐに切り上げて、テレビとパソコンを直ぐ様つけた。


「本日未明、34歳女性が男性に対して痴漢行為を働いたとして、現行犯逮捕されました。女性は男性専用車両に乗り込み犯行に及んでおり、女性は、《性欲を抑えきれなかった。男性との出会いが欲しかった》などと供述しており、犯行を認めているようです。次のニュースです----」


 耳を疑うようなニュースだった。

 男性専用車両に、痴漢をしたのが女性でありその動機。


 すぐにパソコンをつけてこのおかしな状態を調べる。

 そして、1時間以上もパソコンの画面を睨み付けて歴史からなにからを大体把握した。


 この世界は女性と男性の割合がおかしく、女性が圧倒的に多く男性の出生率を著しく悪い。


 日本では1:1000の人口比となり、多くの国で男性を保護する法律ができ、まるでVIPのような……いや、それ以上の待遇を受けているらしい。


 俺もどうやらその恩恵を受けているらしく国によって違うが、日本は月に100万の収入と好きな所に住む権利が与えられる。


 男性は働かなくてもいいらしく、基本的に主夫or子作り機となることが大多数らしい。


 女が働き男が家で待つらしいのだが、昨今の施策のおかげもあり男性の態度は高圧的になっているらしく、女性に対してはとても厳しいらしい。


 それは女性の飽くなき性欲のせいだと言われており、女性は現代男子中高生も蒼白になるほどの性欲を持っているらしく、街や学校などで浴びる不躾な視線を始めに、女性嫌いはどんどんと進行していくらしい。


 因みにホモな男性は隔離されるという噂もあるらしい。


 そして、そんな俺もどうやらご多分に漏れずニートしていたらしい。


 しかし、極めつけが一夫多妻制だ。

 男性は25歳までに3人、30歳になるまでに5人以上の結婚を義務づけられるらしい。


 さすがの俺もこれには頭がくらくらしてしまった。


 とりあえず自立して充実した生活を送る第一歩として、ネット通販を駆使してトレーニング器具を買い漁り、食器やキッチン用品なども買い漁った。


 財布のクレジットカードを使ったのだが、0の数が凄まじかったことは気にしなかった。


 『0が7個とか見たことねぇよ……』


 商品が届くまでは出前を取って過ごし、出前は明日香さんが届けてくれた。



 3日後、明日香さんから《おびただしいほどの荷物が届いている!》との電話を受けた。


「この荷物の量だと……部屋に他の女性が入ることになりますが大丈夫ですか?」


 明日香さんの心配はどうやらそこらしかったのだが、それを了承すると監視として明日香さんが部屋で待機することとなった。


「失礼しまーす! 荷物を運び入れちゃいますね!」


 さすがは力仕事をしているだけあって、締まった魅力的なボディの女性たちが四人で荷物を運び入れてきた。


 トレーニング器具は組み立てまでしてもらったので、部屋でやたらと鼻をすんすんさせていたことには目をつぶろう。


 そして、明日香さんは険しい表情を浮かべながらも鼻をひくひくさせていた……。


「それじゃここにサインをお願いします!」


 一番スタイルのいい女性が俺に近づいてきた。

 胸元はぱっくりと開かれており、そのたわわな果実の隙間にチラチラと目がいっしまう。


 眼福を感じながらサインを書くと、四人は名残惜しそうに帰っていった。


「ふぅ……ようやく終わりましたね!」


 明日香さんも長い間気を張っていたらしく、少し疲れているようにみえた。

 

「お疲れ様です。どうですか? ご飯でも食べていきます?」


 労いも兼ねて軽い気持ちで言ったのだが、明日香さんは金魚の如く口をパクパクさせて、顔を真っ赤に染め上げていった。


「ご、ご飯ですか? いいいいっいいんですか?」


 もうどもり過ぎててどこぞのDJみたいになってしまっている。


「簡単なものしか作れないんですけどね。それでもか《いいです!》しか……はい」


 明日香さんにソファで待っているいるように伝えると、うきうきとした足取りでソファへと向かっていった。


「さて、親子丼だな……」


 一人暮らしの簡単飯その一だ。


 冷蔵庫のなかに卵(賞味期限が明日)、鶏肉(賞味期限が今日)、たまねぎ、じゃががあり、調味料は各種揃っていたのを確認していたのだ。


 米を炊飯器にいれてから明日香さんのもとへと向かったのだが、明らかに明日香さんの様子がおかしかった。


 ソファにうつ伏せになり、はぁはぁ言う声が漏れ聞こえていたらそれはおかしいと思うだろう。


 明日香さんを無視してテレビをつけると、何事もなかったかのようにソファに座り直す明日香さんだったが、その顔は真っ赤であるが、どこかつやりとしていた。


 それからは明日香さんの苦労話を聞きながら、テレビにあれやこれや言いながら米が炊けるのを待った。


 このマンションには俺を含めて男性が13人住んでおり、明日香さんは小間使いのように扱われていて大変らしかった。


 テレビでは女芸人が際どい格好で熱湯に押すな押すなやっており、色々見えてはいけないものが見えてしまい、生理反応が起きてしまった…。


 しかし、この世界ではそれが普通なので、すぐにでも慣れなければいけないことだ。


 米が炊けた音がしたので、直ぐ様親子丼を作り始めた。

 たまねぎを切り、鶏肉とたまねぎを軽く炒めて調味料をぶっこんでいく。


 肉やたまねぎに色が移りはじめたら卵を軽くといて流し込み、その間にどんぶりに米を入れて丁度いい塩梅で固まってきた親子を米の上に乗っけていく。


 作り始めたときからこちらを見ている明日香さんの目は、キラキラと輝いており、まるでエサを待つ子犬のようだと錯覚するほどだ。


「お待たせしました。親子丼です!」


 明日香さんは親子丼をバシャバシャとスマホで撮り、いただきますと言ったあと、ゆっくりと親子丼を食べ始めた。


 うまいうまいと食べてくれる明日香さんを微笑ましく見て、俺も親子丼を食べ始めた。


「ごちそうさまでした!」


 米粒をほっぺにつけてうれしそうにする明日香さんを見ていると、ほっこりとしてしまう。


「お粗末様でした」


 食器を片付けて明日香さんとはお別れをした。


 名残惜しそうな明日香さんは、捨てられた子犬のようだった。

 最後には《今日という日は私の一生の思い出です!》といって帰っていった。


「さてっと、どうすっかなぁこれから……」


 とりあえず何かしらやることはないものかとネットサーフィンを始めるのだった。



書くのは主に電車の中なのですが、猛烈に気分が悪いときなどは誤字脱字のオンパレードとなります。


あとがきは、私の適当な話題しか基本書かないのでそんなに読む必要はないです。


逆にまえがきに重要なことを書く事が多いです。

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