表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/76

14

「あっ、一也さんおかえりなさい」


 明日香さんの出迎えを受けて我が寂しきホームへと戻ってきたことを実感する。


「ただいま帰りましたぁ〜」


 明日香さんへの挨拶もそこそこに、部屋へと戻るとやはり寂しさを感じる。

 静かで薄暗い部屋……。


 すでに一人暮らしには慣れていたとはいえ、実家から帰ってきたときのこの気持ちはいつまでもなれることはない。


 寂しさを紛らわすべく、いつもより少しだけ大きな音量でバラエティ番組をつけておく。


「晩御飯つくらないとな……」


 はぁとため息をついて冷蔵庫の中を見る。


 まったくと言っていいほどになにも入ってはおらず、買い出しに行くかと少し憂鬱な気分になる。


「まぁもう少ししてからでもいいか」


 冷蔵庫をばたりと閉めてソファに寝っ転がる。


 しかし、こんな気分のときでさえも、バラエティで見る女性を象徴する二つの丘がポロポロと出てたり透けたりするのを見て、ジョニーがいきり立ってしまうのは男の悲しい性だろう……。


 とりあえず自家発電に勤しんでから、買い物へと向かうことにした。






「さて、行くか……」


 賢者タイムも終わりを告げ、買い物に行くべく着替えて部屋を出た。


「買い物に行ってきますね」


「行ってらっしゃいませっ!」


 一応明日香さんに声をかけ、元気っ娘スマイルに元気を貰ってからショッピングモールへと向かった。


「さて、今日は何を作ろうかな」


 実家で食べたご飯が美味しかったので、実家では食べられなさそうなものを作ろうと悩むのだが、そんなものはまったく出てこなかった。


『とりあえず食材売り場に行けばいいか』


 買い物かごを手に取り食材売り場を歩くのだが、美人たちの熱視線をバシバシと受けながら買い物するのにはまだまだ慣れることはないようだ。


 向こうにいるときにこの反応をされていたならば、すぐに熱視線を送ってくる女性に告白するのだが、いかんせんこちらではそうはいかない。


 選び放題というのは分かっているが、だからこそしっかりとした女性を選ばなければならないと意志を強く保つ。


「もう天ぷらでいいや……」


 結局なんのひねりもなく天ぷらに決め、野菜売り場へと向かう。


『う〜ん……玉ねぎにごぼう、ピーマンに人参に後はレンコンだな。他には……大葉だ! あれは外せない!』


 野菜売り場でガシガシ食材をカゴへと入れていくき、最後にエビとイカをカゴに入れて食材はこれで終わりだ。


 後は油固めと天ぷら粉に卵、つゆを取ってレジへと向かう。


 この時一也を見ていた女たちは、一也が天ぷらを作ることが分かるやいなや、自分たちも天ぷらにするべく材料を手にとっていた。


 そして、買った食材を袋に詰めて帰宅しているときだった。


 辺りは暗くなっており、男の一人歩きは危険な時間帯にはなっていたのだが、そんなことをまったく気にしていなかった一也は、後ろから聞こえてくる自分の歩調に合わせた足音に恐怖を感じる。


 ピタリと止まれば後ろの足音も止まり、早足になれば後ろも早足になる。

 背中を冷や汗がゆっくりと流れるのがわかる。


『まずいっ!!』


 頭の中は冷静とは程遠い状況になっていた。

 自然と足は早くなっていたが、家はそろそろ見えてくる頃だった。


 ここまで来れば簡単に逃げられると思いゆっくりと後ろを振り向くと、髪の長い女がニタリと笑って10mほど先に立っていた。


 一気に体が震え上がりダッシュでマンションへと駆け込むと、明日香さんにがっしりとしがみついた。


「あっおかえりなさっ……ヒャーー!! ど、どうしたんですかっ!?」


 急にしがみつかれたことに驚き、この幸福を噛みに噛み締めようと思ったのだが、涙目に見つめてくる一也の目にその思いは消え去った。


「ス、ストーカーがでたっ!!」


 恐ろしさのあまりに淑女に抱きついてしまったことを恥、すぐに明日香さんから離れたのだが、声が震えているので中々様にはならなかった。


「そっ、それはいけませんっ! すぐに警察に電話しましょうっ!」


 明日香さんにそう言われ、綾奈さんにすぐ様連絡する。

 すると秒速で綾奈さんから返信が来た。


《いますぐ向かいます!!!》


「ふぅ……これで一安心ですねっ!」


 明日香さんが笑顔をくれるのだが、ストーカーってやつはここまで怖いものかと震え上がる。


 幽霊とかよりも、生身の人間のほうが怖いとよく聞いてはいたが、まさかこれ程とは思わなんだ……。


「明日香さんさえよければなんですけど……これから晩御飯を一緒に食べませんか?」


「よろこんでっ!」


 すぐに明日香さんとともに部屋へと戻り、食材を冷蔵庫へ入れていく。

 卵が少し割れていたので使えるのは天ぷらに使い、使えないものは仕方なし。


「天ぷらですけどいいですかー?」


 リビングでテレビを見てもらっている明日香さんに声をかけると、"問題ありませんっ!"との言葉が返ってきたのですぐに調理の準備だけ始めておく。


 粉を用意して具材を切り、エビの背ワタを取って関節を切り終えたころインターホンがなった。


 具材をラップで覆って冷蔵庫に入れてモニターを見ると、そこには綾奈さんが立っていた。


 すぐに扉を開けて綾奈さんがこの部屋に来るのを待っていると、部屋をノックする音が聞こえ、扉を開けると制服に身を包んだ綾奈さんが立っていた。


「大丈夫ですか!? 一也さんっ!」


「一応は大丈夫でした」


 身を乗り出すように心配してくれる綾奈さんを安心させるべく、いたって冷静だということをアピールしてみた。


「そうですか……そのストーカーをしてきた女の特徴は覚えてますか?」


 綾奈さんはメモを取り出して完全に仕事モードに入っている。


「そうですね……髪は肩甲骨くらいの長さだったような気がします。服は上が白で下が薄い黄色だと思います。暗かったのであまりわからなかったんですが、確かそんな女だったと思います。時間は8時前くらいで、このマンションを出て右の道の所で見ました。」


「そうですか……わかりました。それで、一応このストーカー被害がおさまるまで、これから一也さんは完全に保護対象になります。私が一也さんを守るべく行動を共にすることになりますが、大丈夫ですか?」


「もちろん大丈夫ですけど……いいんですか?」


 護ってくれるのは有難いが、行動を共にするということは四六時中とまでいかないが一緒にいるということだ。

 中々できることではない。


「もちろん大丈夫です!任せてください!」


「それじゃ待ってますね。晩御飯作ってるところなので、もしよければ食べますか?」


「ありがとうございます!えーっと、9時ごろにはここに来るので、それでお願いしますね。」


 そうして綾奈さんと別れて仕込みへと戻ったのだが、ひとつ屋根の下で美人と生活することの重大性に今ごろ気付き、顔を赤くしながら料理しているところを明日香さんに心配されるということもあった。





「あなたは誰ですか?」


「あなたこそなんですか?」


 一也的に見ると、急に険悪モードを漂わせる二人にたじたじモードになってしまう…。


「私はこのマンションで一也さんの担当をしてる明日香です!」


「私はストーカーから一也さんを守るために来た警察官の綾奈です!」


 バチバチと火花を散らしながら睨み合う二人。

 さすがにこのままにしておくのはまずいので、仲裁するために声をかける。


「ま、まぁまぁ二人とも落ち着いて。明日香さんは俺が呼んだんですよ」


 俺が仲裁に入ることでやっとこさ鎮火したのだが、やっぱり男関係のことになると女は変わると再認識した。


「それじゃあ天ぷら作ってくるんで、仲良くしててくださいよ〜」


 そう言って天ぷらを作り始めたのたが、不安になってキッチンからリビングを眺めると、二人はソファに座ってテレビを見ていたので安心して料理に取り掛かった。




「明日香さん、貴方はよく一也さんの部屋に来るんですか?」


「あんまり来ませんが、何度か手料理を食べさせてもらっています」


 ふんすと鼻息を吐いて胸をはる明日香。

 一也が聞けば何を小さなことをと思うかもしれないが、"手料理"を"何度か"というところが死ぬほど重要なのだ。


「くっ、私ももう少しアプローチを強くしないとだめですね。ただでさえ関わりがそんなに持てないというのに……」


「一也さんは全女の理想とも言える男性ですからね。今のうちに何とか彼女にしてもらわないと、他の強力なライバルが現れたら大変です……」


 コソコソと先程までの険悪ムードは消え去り、共に一也の寵愛を受けようとああでもないこうでもないと言い合っていたのだった。



「出来ましたよぉ〜」


 明日の分として買っていた野菜なども全て使い、大量の天ぷらがテーブルの上に並ぶ。


「美味しそうですっ!」


「あぁ、男性の手料理を食べれるなんてっ!!」


 二人とも嬉しがってくれているみたいでこちらとしても嬉しいのだが、綾奈さんだけ喜びのベクトルが違いすぎる気がするのだが、明日香さんに親子丼を作ったときもこんなんだったと思いだした。


「いただきまぁ〜す!」


 三人揃って手を合わせて食べ始めたのだが、二人とも美味しい美味しいと言ってどんどんと食べ進める。

 ストーカーにあっている事をこの瞬間は忘れ、束の間の幸せな時間を噛み締めた。
















「私の一也君……待っててね……」

終末ハーレムという漫画を読みました。


5人しか男がいなくなったという話なのですが、流石に男を減らし過ぎな感も否めません。


あの作品ではウイルス感染による影響によるものなのですが、この作品はウイルスではありません。


昨今、男性の中性化が多く見られるようになってきましたね。


私は将来的に人類は女性の数が増え、男性の数が激減するという説を参考にして書いています。


正直、ウイルスでも撒こうかな…と思ったのは内緒です。


話は変わりますが、私は三点リーダを多様します。


…これですね。


これの汎用性の高さいいてすよね〜。

読点を打つべきかどうかのところを三点リーダでごまかすこともできるというねっ!


ハラショー!!


追伸

今日は筋肉小話はありません。


そして、ポケモンたのすぃ〜…時間がたりませぬ…。


さらに追伸

最近あべこべものを読もうと調べるために、価値観逆転などの検索ワードも混じえて探しているのですが、私の作品のブクマ数などを見るにそこそこ見てもらえているということがわかりました。


ありがとぅー!


隣の芝を見て自分の青さを知る…的な?


とにかく…恵まれているというのを再認識したので、これからもがんばりまーす。


さらに追伸

男はコールドスリープ下で生きているそうです。

免疫がないので起きたら死ぬようなのですが、追々免疫持ちが解凍されるかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ