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鏡色のデスティニー  作者: 真壁真菜
18/30

陰謀

 倶赦を追った灸鼻の話は全員で落ち着いて整理すると、怪畏達は何らかの儀式を行おうとしているとの事だった。麟魚の話しと総合的に結びつけるために、長時間の話し合いが行われた。勿論、議論をややこしくする摩姫羅は餌付により黙らされた。


「儀式の為に、強大な妖力を必要とする。その妖力を得る為に大量破壊兵器で一度に多くの怪畏を得る……か。でも儀式って何なんだろう」


 要点をまとめた太一は、もう一度考えたが浮かぶはずも無かった。


「ワラワもそんな儀式の事は聞いた事はありません」


「我ら阿閦衆にも、そんな儀式の言い伝えはありません」


 式部も蓉子も首を振る。


「そんなもん、悪い事に決まってるぜ。要はやらせなきゃいいんだろ、カク何とかを止めれば強大な怪畏も生まれないし、儀式も出来ないってもんだぜ」


 大量のお菓子に囲まれ、それまで食べる事に必死だった摩姫羅が前に怪畏の目的に付いて話し合ってた時と同じように、アッケラカンと言った。


「そうだよ、分からないモノ考えても仕方ない。要は核爆発を阻止すればいいんだ。お前、熱でもあるのか、初めてまともな意見だったぞ」


 太一に褒められ、摩姫羅は照れて真っ赤になった。


「要するに人為的なテロなんです、つまり警察の介入が出来るんですよ。麟魚、場所を案内出来る?」


「まぁ、なんとか」


 太一は身を乗り出す、麟魚は少し照れた様に頭を掻いた。


「どうするつもりですか?」


「場所を警察に通報します、捜査が入れば阻止できるかもしれません」


 落ち着いた蓉子の言葉に興奮気味の太一の声が被さる。深刻な顔の生天目は、ネクタイを結び直しながら呟いた。


「そんなに簡単なものでしょうか」


「時間が無いかもしれません、直ぐにでも出来る事から始めないと。俺は警察に行きます、蓉子さん達は引き続き儀式の意味を調べて下さい」


「私も行きます」


 綾子は太一の横顔に言った。


「えっ」


「連れて行って下さい、きっとお役にたちます」


 驚く太一に、蓉子は優しく微笑んだ。


「何だよ、アタシは最初から付いて行くつもりだからな」


「オイラもいくよ」


「アンタは姫様を守るんだよ」


「ずるいぞ摩姫羅ばっかり」


「何ならここで決着付けるか」


「上等だ」


 摩姫羅と蒐羅は火花を散らして睨み合う。


「これこれ、人の中に行くのです、蒐羅は留守番なさい。摩姫羅、いいですか、必ず太一殿をお守りするのですよ」


「分かってるねぇ、姫様。残念だったな、蒐羅。土産でも買ってきてやるからな」


「姫様~」


 上機嫌の摩姫羅をよそに、蒐羅は泣きそう顔で式部に縋っていた.


__________________


「ここで間違いないか?」


「確かだ。一番上に倶赦と会ってた人間がいて、地面の下で、あれを作ってた」


 太一の肩に乗った麟魚が、前方の細長いビルを見詰めた。緊張している太一をよそに摩姫羅は嬉しそうに腕にまとわり付いている。


「地面の下? あっ地下か」


「どうするんですか?」

 

 少し不安そうな綾子が太一の横顔を見る、反目は太一の直ぐ後ろで周囲の警戒をしていた。


「このまま警察に行って事情を話しても、信じてはもらえないだろうね」


「反目は、力を使えば人の前に姿を現わせます」


 綾子は反目の姿を見せる事で、信じてもらおうとしていた。


「そうなんだ。でも、それは最後の手段にとっておこう。警察に行けば俺達も拘留される恐れがある、それに……」


 太一は満面の笑みの摩姫羅を見た。そうなれば摩姫羅が暴れて話しがややこしくなるのは必定だと大きく溜息を吐いた。脳裏では、警察を破壊して大暴れする摩姫羅が浮かぶ。


「匿名の電話で様子を見よう。警察があのビルを調べれば、なんとかなるかもしれない」


「そうですね」


 綾子は太一の落ち着いた判断を支持した。


「なになに、何の話し?」


「お前は大人しくしてろ」

 

嬉しそうに首を突っ込む摩姫羅に、太一はまた溜息を付いた。


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