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よろこびはあなたのそばに

挿絵(By みてみん)


――彼の話。








 さてどうしようか、と考える。

 俺は、いくつかのゴールとルートを想定する。最も堅実で、応用の利くものを選び、最悪の展開も考えておかなくてはならない。

 準備は怠らないつもりだった。何年かかってでも、どんな形でも、俺は亜子を手に入れる。そのためだったら何でもするつもりだった。もう、同じようなミスは絶対にしない。

 そのためには、亜子のことを知っておかなければならない。

 亜子とは、中学以来、顔すら見ることはなかった。ここから離れた女子高に通ってることくらいしか伝え聞くこともなかった。何も知らないままでは亜子に近付くことすら適わない。情報というのはそれだけ重要なことだった。亜子がどんな環境にいて、どう過ごしているのか。それを踏まえた上で、俺がどうすればいいかを決めていくことにした。

 すぐに阿川友代へ連絡を取った。中学生時代の同級生であり、亜子の友人であり、あの日俺と亜子を引き裂いた奴。あれから亜子が中学校に登校しなくなったため、クラスで唯一連絡を取り合っている阿川に中学生当時近付いた。随分敵視されていたし警戒もされていたが、懐柔はそう難しいことではなかった。

 亜子の件の主犯格として葉山佐紀たちは亜子が教師に渡した録音の証拠で既に吊るし上げられており、ついでに俺が後押しをかければ外面的に様々なことを被ってくれた。つまり、一時期流れた亜子の噂の火元は葉山佐紀であるとか、そういうことだ。

 立場が悪くなった葉山佐紀たちの言うことは全て聞き流されていたし、そんな状況を利用して時間をかけて何度も阿川友代にあの日のことは全て誤解だったと説明した。


 元々俺に好意を持っていたのもあり、阿川友代の態度は徐々に氷解していった。


 それでも結局、亜子とは会うことはできなかった。阿川友代も、さすがに俺を全肯定するまでには至らなかった。かなり粘ってはみたが、亜子に引き合わせるような働きかけには応じず、全て徒労に終わったところで阿川友代とはそれきりだ。


 阿川友代とは同じ高校だ。

 あの中学からであれば、明確な意志がない限りほとんどの生徒がうちの高校に進学する。亜子は途中で志望を変えてしまったため、違う学区の女子高へ通うことになってしまったし、俺は亜子と同じ高校に通うために進学校を蹴ったので、なんとも皮肉な話だ。

 同じ高校に通っているとはいえ利用価値が無い阿川友代とは顔も合わすことはなかったが、メアドは変えていなかったようだ。

 簡単なことだった。やり方はあの時とほとんど変わらない。中学生当時のことが少し懐かしいから放課後にでも話をしないかと誘えば、阿川はすんなりと応じた。


「えっ国立!?うそ、すごい……でも、ずっと学年トップだったもんね」


 放課後の教室で、クラスメイトの近況から中学校の教師の話、そしてそれぞれの進路の話に至った。

 興味がなかったので気にしたこともなかったが、阿川友代は少し派手になっていた。葉山を彷彿とさせるところがある。二年という歳月は、人を変えてしまうものなんだと思った。亜子はどうだろうか。俺も、人から見れば変わったのだろうか。


「いや、今必死だよ。高校の受験勉強をちょっと思い出すね」


 少しずつ、亜子の話を聞き出せる距離を探る。


「うちの学校と国立大じゃ違うよ~」

「そう言えば、入野さんに英語教えてもらったりしたな。入野さんは、阿川さんの方が英語得意だ、って言ってたけど」

「亜子、か……」


 その口振りでは、俺への警戒というよりは懐かしんでいるといった感じの方が強そうだ。


 阿川友代には、あの日のあれは、葉山佐紀に付きまとわれていて迷惑をしていた、葉山佐紀から亜子のことに関して俺の名前が出ていたとしたらそれは彼女たちの嫌がらせだ、と説明してある。

 全部葉山佐紀たちになすりつけられるくらい葉山佐紀たちの心証は悪かった。阿川友代も、葉山佐紀へ思うところがあったはずで、そんな葉山佐紀と俺を天秤にかければ傾く先は自明だ。

 それとなく亜子へ全て誤解であることを伝えたいと阿川友代には話しているが、この女がわざわざそんなことを亜子へ連絡するはずがないともわかっていた。阿川友代自体、俺の話をどこまで信じているかわからない。


「……入野さんは、元気?」


 様子を探りながら、亜子の話に切り込む。

 葉山と俺の関係は前述の通りとして、下着姿の彼女といたのは、あの日亜子が濡れていて、そこに事故が重なったようなものだったと阿川友代には弁明した。出来る限り、あの日のことは悪夢であって、俺は以前と同じ優等生の今屋君であろうとした。


「……うん、元気そうだよ」


 やはり警戒は完全には取れていないらしい。しかし、話さえ聞くことができればそれでいい。


「私もあんまり会えてないし、亜子あんまりメールしたがらないから、佑利子さんから話聞く方が亜子の近況知れるけど」

「佑利子さん……って?」

「ああ、亜子のお母さん。サニーマートでパートしてて、たまに行くと声かけてくれるの」


 思いがけないことを聞いた。亜子の家庭は確か、母子家庭だ。亜子の母親には会っておかないといけなさそうだ。


「……今屋君はさ」


 阿川友代は、おずおずと口を開いた。

 現在、俺の名字は『間宮』だが、面倒なので中学から変わらない名字を使わせてもらえるよう高校に頼んだ。なので、この高校には俺が『間宮』だと知っている人間はほとんどいない。


「亜子のことが……その、気になるの?」


 阿川友代が言いたいことはわかる。しかし、それを俺に直接尋ねるのはどういう意図だろうか。

 俺の本性を探っているのか、自分の立ち位置の確認か、それとも亜子を俺から引き離す牽制か。どれでもいいが、阿川の質問への答えは決まってる。


「いろいろありすぎて、なんて言ったらわからないけど……入野さんが中学に来なくなったこと、責任感じてるんだ。そのことだけは、誤解されなくないな。特に、阿川さんには」


 あの時と同じ。惑わすつもりで、微笑んで見詰めながら中学の頃と同じことを言う。

 敵意を持っている相手への嫌悪感を共有して、自尊心を持ち上げる。人好きのする態度で、しおらしく被害者を装う。これで大抵のことは飲み込ませることができる。


「う、うん……」


 あの日の敵意を剥き出しにした態度の見る影もなく、阿川友代は頷いた。

 手持ちのカードはいくつかある。どれをどのタイミングで切るかは俺の采配次第だろう。


「人が、変わる、か……」


 なんとなく、昼間の阿川友代を反芻する。中学の頃と比べると、印象がだいぶ違う。顔が変わったわけでもないのに、髪形や喋り方、化粧などのせいだろうか。あんな風に人が変わることがあるなんて、虚構の世界だけの話ではないらしい。

 そこまで考えて、思い至った。

 そう、俺が別人になってしまえばいい。

 亜子はきっと、『今屋』には心を許してくれない。あの阿川でさえまだ警戒心を抱かれてるくらいだ。だとすれば、『今屋』は駄目だ。 『間宮』という別の人間であれば、もう少し近付けるかも知れない。

 阿川友代のように、髪型や髪の色を変えれば雰囲気はだいぶ変わる。背も、中学から13cm伸びた。体を少し鍛えれば、もっと見た目は変わるかも知れない。瀬下のところで働いている以上、多少の腕っぷしは必要とされるから、肉体改造をするにはちょうどいいだろう。顔をいじってもいいかもしれない。どうにしろ、このイメチェンは高校を卒業してからの話だ。知り合いのいない大学に入ってからの方がキャラ作りもしやすい。

 亜子を手に入れるためであれば、手段は問うつもりはなかった。自分を捨てたり偽ることにすら何ら抵抗は無い。何をしたって、どんなことをしたって、亜子にすがりつく。覚悟は、できていた。




 阿川友代からは、少しずつ情報を聞き出した。その点では役に立ったが、使いすぎると怪しまれる。根気よくどうでもいい話を続けて、ぽろりとこぼれる亜子の話を拾う作業。かなり忍耐を要したが、阿川友代経由だとしても、亜子のことを聞くだけで胸は高鳴った。

 半年をかけて手に入れた亜子の近況でも、情報はそう多くない。

 大学進学は、都内の公立大学を受けるつもりだということ。 それから、住んでいる場所はずっと変わってないということ。簡潔ではあるが、とりあえずそれだけで充分だった。

 亜子が東京から離れないつもりのようなら、俺も当初の予定通り東大への進学でいいだろう。亜子と一緒の大学だというのも惹かれるが、将来は、亜子と暮らすためには高給かつゆとりある職業に就かねばならない。だとすれば、高い学歴の方が選択の幅が広がる。

 あのアパートにまだ住んでいることがわかれば、亜子の姿を見に行くのも容易い。さすがに女子高で待ち伏せしたら目立ちすぎてしまうだろう。


 高校三年生になり、大学受験を前にやるべきことはたくさんあった。

 もともと頭の作りは悪くないらしく、受験の方はそれほど勉強をしなくても受かる程度の点数は取れそうだったが、奨学金のために手は抜けなかった。

 受験を目前に控えても、稼ぐ金額を下げるわけにはいかず、瀬下の仕事もウェイターのバイトも、辞めることなく続けていた。勿論あの家を出るための資金稼ぎで、ここも手を抜くわけにはいかなかった。

 

 更に、俺には何においてもやらなければならないことがあった。


『……ん、鍋に……ってる、カレーあた……めて私は……べたから……』


 イヤホンからのノイズ混じりの音声に、耳を澄ませた。これでもこういった類の機械のうちではかなり明瞭な方だ。


「いいなあ、俺も亜子のカレーが食べたいよ……」


 そういえば今日は何も食べていないことを思い出した。


『やすん……なよ……おふ……やっと……から』


 今聞いているのは、三日分の入野家の音声である。

 この盗聴器は以前うちに仕掛けられていたタイプと同じ性能のものだ。コンセントにしかけられるもので、決まった時間にしか電波を発さないために探知機に引っ掛かるおそれが少ない。瀬下からくすねて使っているが、これは非常に役立った。亜子の生活を知ることができる。

 他には発信機が亜子のカバンのファスナーのチャームに仕込んでいる。内蔵のGPSから亜子の現在地がわかるようになっていて、便利なことに携帯電話のアプリでそれを確認できる。

 これらは留守の家の鍵を開けて忍び込み、盗聴器と発信機を仕掛けた。危険な賭け行為ではあったが、それだけのリターンもあったし、こういったことに手馴れる瀬下の仕事も意外なところで役に立った。

 まだ亜子を直接見たりもしていないのに、こんな風に亜子の近くへ行けたのは不思議な気分だ。ノイズ混じりでも、亜子の声を聞くだけで胸が高鳴る。

 こうやって盗み聞いて得た情報は貴重だった。音だけでも、亜子がどんなテレビを見てどんな音楽を聴いているのかがわかる。次に会った時に、共有できる話題が事前にわかるというのはとても有利だ。


『……が、それ……いつの卵で……』


 これは、翌日の献立の相談をしているらしい。こうして亜子の生活を覗いてみると、亜子と俺の生活の仕方は全然違うと思い知らされる。俺は、冷蔵庫の中の食材のことなんて気にしたことがなかった。

 亜子と亜子の母親は楽しそうに会話をして、どうというでもないことを言い合っている。素直にうらやましかった。俺も、ここにいたい。俺も、こうでありたい。

 安心したのは亜子に男の影がないことだった。亜子は目立たないだけですごく可愛い。見つかってしまえば、変な虫がすぐにでも近付くだろう。気休めではあったが、亜子が通っている高校が女子高でまだ良かった。

 もし、もし、亜子が俺以外の男の隣にいるようなことがあったら……そんなことは許さない。亜子は俺のものだ。誰にも渡さない。

 それからは、たまに遠くから亜子を見に行くこともあった。発信機があるので、亜子の行動パターンもある程度予測して先回りもできる。そして遠くからそっと見ることができた。

 久しぶりに亜子を見た時の感動は、言葉にしがたいものがあった。引き裂かれた神話の恋人同士かのようにすら思えた。瞼に焼き付いていた亜子の姿より、少しばかり大人になっていた。でも、やはり気付かれてはいけないため、近くには行けない。

 もどかしくて苦しい。本当は、俺の存在を認めてほしい。亜子が話しかける相手も、笑いかける相手も、俺であってほしいのに。



「で、どうなったの?初恋」


 久し振りにいつもの焼き鳥屋に来ると、瀬下はそう切り出した。


「まだ成就はしてない」

「え?まだ?」

「だから、嫌われてるし」


 瀬下は、元々はまともな大人。今の段階で亜子を手に入れるためにあれこれ画策してるとは打ち明けられない。


「嫌われてもなお好き、ってすごいな」

「……自分でもそう思うけど」


 どうしてこんなにも亜子を愛しく思えてしまうのだろう。本当は、少し怖い。もし、永遠に亜子を失うことがあったら……いや、その日は絶対にいつか来る。何十年後になるかもわからないけれど、人は死ぬ。その日のことを考えただけで胸が張り裂けそうだ。


 ふと、隣の席を見る。サラリーマン風の男と、OL風の女。距離を詰めて、楽しそうに笑い合ってる。


「……恋人同士って、何話すものなの?」


 いつか俺も亜子とあんな風になれるのだろうか。あまり想像できない。亜子と話すだけであんなに緊張してた中学の頃を思い出す。結局、勉強のことばかり話してた気がする。


「はあ?お前モテるっつってたじゃんか」


 頬杖を着いた瀬下が訝しげに俺を見る。


「あれはそれっぽく振る舞って、セックスしてただけだし」

「最悪だな、お前……」


 瀬下がちょっと引いてる。


「でも、亜子は違う。たくさん話をしたいし、声を聞きたいし、彼女にもそう思ってほしい。つまらないなんて思われたら、嫌だ。そんな風に考えると、何話したらいいかわからなくて」

「お前って、最悪なくせに純情だな……」


 ビールを飲んで、一拍置いてから瀬下は話し出した。


「最近、お前様子変わったな」

「そう?」

「ああ、なんか元気になったっていうか」


 亜子から遠ざかっていた頃は、死んでいたも当然だった。それから比べれば、今は全く違うだろう。


「最初お前を見た時はさ、うすらさむいものを感じてたが、それもなりひそめたな」

「うすらさむい?」


 あの時は、知らない人間が勝手に家に上がり込んでいたことに警戒はしていたが、そんなに態度を悪くしたつもりはなかった。


「そういう匂いがあるんだよ。サイコパスというか、人間じゃないような、違和感というか」

「すごい言われようだけど。これでも人に気に入られるのは得意のつもりだったけどね?」

「俺は見抜くのが仕事だからな」


 瀬下は踏んだ場数もあるのだろうが、野生の勘というか鼻が利くというか。妙に鋭いところがある。あの頃の俺は、確かに人間とは言えなかったかもしれない。


「環境が環境だし、もっと広いところに引っ張り出せばなんか変わるかもしれないとは思ってたが」

「だから俺を雇った?」


 自分が子供なんて今まで思ったことはないけれど、この男は俺よりはるかに大人だ。そのことに反発するつもりはないし、むしろ心地よくすらある唯一の人間かもしれない。


「ドヤ顔する気はないけどな。手が欲しかったのは本当だったし、監視の意味もあったから」

「まるで犯罪者予備軍だな」


 自分では生きる気力がなかったくらいにしか思い出せない。瀬下の口振りでは相当ヤバそうな奴だけど。


「もう俺の目も必要無さそうだけどな」


 自覚は無いが、この男が言うならそうなのかもしれない。


「お前を取り戻させた亜子ちゃんって子は、たいしたもんだ」


 そう言って、瀬下はビールを飲み干した。




 少しずつ情報収集を重ねながら、夏が過ぎ、秋が過ぎ、冬も越えようとしていた。

 春を目前にした頃、瀬下の仕事でトラブルに巻き込まれた。殺されることはなかったが、鼻が折れた。まあ、整形を考えていたのでちょうどいいと言えばそうだった。治療ついでに少しだけいじった。


 東大にも狙い通りに受かることができた。

 家を出ることも、あの女が咎めることはなかった。ちょうど新しい男ができたところで、俺に興味がなかったのだろう。

 一人暮らしする住まいは、亜子の家の近くにした。あまり広いとは言えない部屋だったが、大学生の一人暮らしはこんなものだろう。

 伸ばしていた髪の色も明るくした。『間宮』は、真面目そうに見える『今屋』とは正反対の雰囲気を持つ。軽そうで、派手な振る舞い。服装も今までと変えた。思った通りの人物像を作り上げた。

 大学に入学すると、俺は目立った。鼻の怪我もその要因ではあったが、相対的に言っても服装その他がやや浮いていた。それでも、人に気に入られるのは俺の得意とするところだった。その内に、男女問わず幅広く顔が利くようになった。特別人気者になりたかったわけではなかったが、こういったことがいつか役に立つだろう。


 『間宮』像を作ると同時に、大学でやるべきことがあった。

 事前に調べていたのだが、フットサル同好会があり、しかも亜子の目指していた公立大学と合同である。グラウンドを借りるために週2回ほど公立大学へ通うことになる。中学の頃はサッカー部だったし、ちょうど良かった。運命が味方してるとしか思えない。


 更に下地を作る必要があった。

 高校の頃やっていたウェイターのバイトを辞め、近所のスーパーのサニーマートで働くことにした。亜子の母親のパート先だ。

 ウェイターと比べれば収入は減るが、割りの良い瀬下の仕事は続けているし、稼ぎで生活に支障は出ない。

 スーパーは年配の人ばかりが働いており、ずいぶん年上の人たちにも俺はよく可愛がられた。それも狙い通りだった。

 佑利子さんはひときわ明るい人だった。亜子とは違った性格だけど、雰囲気がどこか似ていた。柔和で、裏表もなく、人の世話好き。亜子とは関係なかったとしても、俺は人間として佑利子さんを尊敬できると思えるくらい素敵な人だ。この人に育てられたから、亜子は亜子なんだと思えた。


 一方、亜子は公立大学に落ち、予備校生活になった。

 もとよりその覚悟での受験だったようで、亜子は淡々と浪人生活を送っているようだ。元々大学に通う気もなかったのを母親の後押しがあり、それなら公立大学と決めていたらしい。

 亜子は勉強が得意とは言えなかったけれど、努力を怠るような人間ではないし、目測を誤るほど愚かでもない。一年かければ通えると考えて大学を志望しているのだろう。

 だとすれば、再会は亜子が大学に入ってからだ。

 あと一年、俺は亜子を待つ。


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