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└認めたくない



「おっはよーございマァーッス!」


勢い良く入ってきたのは、背中に透明な羽根を生やしている(ように見える)敢えて言うなら…妖精?であった。


少年は突然の来訪者、しかも自分と同じように非現実的な羽根を生やした子供にがくりと肩を落とす。

自分と似たような人間を見つけた喜びよりも、この状況がさっきよりも現実味を帯びた事によるショックの方が大きかったのだ。


「えー、おほん。ワタクシ、天使になりたての人に色々とお教えする為の案内役でございます、緒印オインと申しますデス!以後お見知りおきをっ」


緒印と名乗った妖精(?)は、幼い容姿に似合わずよく喋る。

しかし少年はそんな事に頭が回らなくなる程に、緒印が口にした一言に驚愕する。

…頭を殴られたような感覚がするのは、気のせいではないだろう。


「…てっ、てん…し……?」

「ええそうデスヨ、一火イチビさん」

「な! 何でオレの名前をっ」

「だってワタクシ、案内役デスから。アナタのお名前は天使長様から伺っておりましたのデス」


…と言いましても、書類を渡されただけなんデスけどネ…。


緒印の呟きに、少年…一火は頭の上に疑問符を浮かべる。


「いえ、天使長様は顔は宜しいんデスガネ…あまりにも無気力過ぎるといいマスカ、人の事情に無関心過ぎるといいマスカ……っ、ああいえ! 何でもありませんデスっ!」


勝手にベラベラと語っていた緒印は、自らの使命を思い出したのか何なのか、びしっと敬礼をして。


「端的に言ってしまえば一火さん、アナタは人間界で命を落としマシタ。アナタの魂はこことは違う次元にあります冥界まで運ばれ、そこで閻魔大王様に転生先を決められ、そうしてこの『天界』に来たというワケなのデスヨ!!」


「は……はぁあああっ!?」


あまりに非現実的な話に、一火は口をあんぐり開けた。

いくら何でも、突然『あなたは死にました』などと言われてハイそうですかと信じられる話ではない!


「じょ、冗談…だろ? オレが天使だなんて」


「こんなたちの悪い冗談、魔界の悪魔ならともかく妖精は言いマセンヨ」


「いやっ、…あー…天使の輪っかとか無いじゃん?」


「そんなの人間さんが勝手に創った幻想でゴザイマスヨ」


「ほっ、ほら、オレの身体ピンピンしてるし」


「そりゃあ今のアナタは人間じゃありマセンシ。人間の頃の傷なんてついてマセンヨ」


「き…傷?」


「おぉっとっとっと! …ごほん。それ以上はトップシィイークレットでゴザイマシタッ!」


慌てて自分の口を抑える緒印に、一火は疑心を隠せない。

しかし彼が追究するより早く、緒印はごまかすように言葉を連ねた。


「し、しかし…アナタは生前の自分の事をよく覚えていらっしゃる様子。こんな人は久しぶりデス。

昨今は自分が人間だった事すら忘れている方も多々いらっしゃるというのに」


「えっ…そうなのか?」


ハイと頷く緒印は、興味津々といった様子だ。大きな緑色の瞳で探るように、一火をじっと見つめる。


「フムム、ワタクシの見立てでは…アナタは『前世覚えてますレベル』9でゴザイマスネ!」

「……なんだソレ」


心底ダサいネーミングだと思いつつ、一火は問う。

しかしその問いかけをどう受け取ったのか、緒印は何故か胸を張って答えた。


「ふっふ〜ん。それはデスネ…ワタクシの思いつきでつくりマシタ、元人間さんの前世覚えてる度をレベルに表したモノなのデス! えっへん」


まんま過ぎるだろ! 何故そこまで自信満々になれるのか理解不能だ。

…というツッコミを何とか呑みこむ。


とりあえず、今は情報が欲しい。

自分が死んでしまったとは未だに信じがたいが、そうしたら目の前に立っている人物や今自分がいる見知らぬ建物、そして…背中に生えている真っ白な翼は何なんだという話になる。


(嗚呼…夢だったらいいのに)


再びそう願わずにはいられなかった。





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