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『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
第7章 ~神の炎の恐怖~
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日本政府の衝撃

―PM21:40 日本国首都東京 首相官邸地下危機管理センター―






「奴らめ……、ふざけた真似を……ッ!」


 私は怒りに震えつつそういった。


 中国共産党に潜伏中のJSAスパイから送られてきた情報。

 音声データとともに送られてきたメッセージに書かれていた内容に、私は怒りを覚えずにいられなかった。


「な、仲山副首相、そのメモにはいったい何が?」


 ふとその仲山副首相の隣にいた山内外務大臣が聞いた。


 彼はがっくりとうなだれている中、彼の言葉にハッとわれに返ると、床に落としてしまったメモを拾って、そして顔を大いにしかめていった。


「……自分で見ろ。そのほうが早い」


 そういって彼は右手に持っていたメモをテーブルに軽く投げる。

 テーブルの、山内外務大臣の前に投げられたメモを彼は手にとって中身を見る。


「……、え!?」


 彼もまた、私たちと似たような反応を示した。

 ……いや、若い彼にとっては戦慄というよりまず驚きを隠せないでそれを前面に出しているようだった。


 大いに焦った口調で彼は言った。


「そ、総理! これは間違いないのですか!?」


「間違いないに決まってるだろう。JSAがケースZで間違った情報を送るはずがない」


「で、ですが……、いくらなんでもこれは……」


「あの、いったい何が書かれていたので?」


 するとテーブルを挟んで向かいにいた新海国防大臣が少し遠慮気味に聞いた。

 彼だけでなく、周りにいた幹部たちも首を少し山内外務大臣に向けていた。


 山内外務大臣もその周りからの視線を確認すると、再びメモに目を落として静かにいた。


「……ケースZ報告。中国……、」







「……核弾道ミサイル発射体制に移行。発射時期不明なれど要注意されたし……」







「なッ!? か、核ミサイル!?」


「ば、バカな!? いったいなんの目的で!?」


「どこに向けて打つつもりなんだ!? 目標は!?」


 周りがその彼の言葉に反応し、一瞬で軽めのパニックに陥った。




“核弾道ミサイル”。




 この言葉に、どれほどの恐怖を感じただろうか。


 あくまで撃つ可能性ありという報告だけではあるが、それでも、その情報だけでも十分な恐怖を与えることができる。

 それほどの存在なのが、核なのだ。


「皆、少し落ち着け。……とにかく、今は落ち着つくんだ」


 とりあえず私は慌てている周りの者たちをなだめる。

 一応その言葉のおかげで騒ぎは収まったが、それでも、その表情は暗かった。


 核の使用の可能性。


 これを、どれほど重く受け止めているだろうか。


 おそらく、私の想像以上だろう。現に、私がそうだしな。


 少しの沈黙の後、やっと口を開いたのは山内外務大臣だった。

 あまりの報告内容に、少し力が抜けてしまったようだった。


「……彼らは、自分たちがやろうとしていることをわかっているのでしょうか? これを使えば、いかなる結果になろうとも世界各国から大批難を浴び、世界から孤立してしまうことは確実です」


 彼らしく、外交関係のことだった。


 だが、彼のいっていることはもっともだ。

 核はあくまで“抑止力”としてしか使うことはできない。

 もし本当に使えば、その被害国は焦土どころでない被害を受けるどころか、もうそこは人が入れないような“死の地”と化す。

 それに、その使用国は相手によってはその被害国からお返しを受け、それが繰り返されれば、それこそいまどきのSF映画のような荒廃した世界が現実に再現されることになる。

 だからこそ世界はこの核を持っていてもあのような光景が現実にならないようにと考え決して使わず、あくまで外交の優位性確保や軍事力誇示といった、いわば“いつでも振り下ろせる矛”として使っているのだ。


 だが、実際にその矛を下ろせば、いったいどうなるか、誰もが理解できるはずなのだ。


 それを……、中国は承知していないはずがない。

 それでも、やつらは本気なのか?

 周金閉め……、いったい何を考えている?

 何が目的だ? 包み隠さずさっさと吐き出せばいいものを。


 そこに、仲山副首相が吐き捨てるように言った。


「けっ、わかってないからこの判断を下したんだろ。……バカなやつらめ、これが自分たちの首を絞めてるということに気づくのに後どれくらいの時間が必要か……」


 そういいつつ山内外務大臣がテーブルに置いたメモを睨んだ。

 相当この中国の判断が気に食わないようだ。まあ、気に食わないのは私も同意だが。


 そこに、菅原官房長官も口を挟んだ。


「しかし、中国もしてくれましたな……。まさか、こんな手を出してくるとは」


「同感だ。……やつらも落ちたものだな」


 さすがにそこまでいくとは思えなかったが、正直心底がっかりしている。

 そこまで落ちぶれていたとはな。正直見損なったよ。


 そこに、新海国防大臣も口を挟んだ。


「それに、一番厄介なのは“発射時期が不明”という点です。向こうの事情に合わせるんでしょうけど、さすがにいつ撃つまではわかりませんし……、まさかとは思いますが、今すぐ発射するつもりでしょうか?」


「いや、いきなり撃つということではないだろう。このこと自体はおそらくアメリカあたりにすでに目をつけられているはずだ。そんな予告なしに撃とうものなら、アメリカに正義という名の自己中な鉄槌くらわせられて終わりだ」


「しかし、まさかこれから撃ちますって予告してくるとはとても……」


「うむ……。何か、ほかに理由がありそうだな」


 まさか予告なしに撃ってどこかを破壊しようものならアメリカが黙っていないだろう。

 この戦争をさっさと終わらせたいと思っているのは誰でもないアメリカだ。この戦争のおかげで自分たちの経済にも少なからず悪影響が出たし、もうこりごりに思っているはずだ。

 敵が撃ったとなれば、アメリカも正当性を保ちつつ核反撃をすることができる。

 もしその攻撃を受ければ、さすがの中国も更なる核報復をする余力はなくなるはずだ。

 そうでなくても、例の核兵器保有規制条約に無理やり調印させられて、核兵器の保有量がとんでもなく制限させられているというのに、そんな虎の子同然の核をまた撃っても、内陸国でなければ効果はほとんどない。

 東シナ海、南シナ海、日本海には日米のイージス艦がうようよしており、弾道ミサイル迎撃体制も万全だ。下手なことをしない限りしっかり撃ち落す。

 はっきり言って、撃つだけ無駄だ。

 かといって、内陸国に対して撃つというのも少し疑問だ。

 ロシアは論外だろう。あそこならアメリカ同様報復に躊躇はないはずだ。

 いや、下手すればアメリカよりひどい仕打ちを受けるかもしれない。最悪、これを大義名分に中国領土に本格的侵攻という事態もありえる。

 そうなれば、今の中国の戦況や軍事力ではとてもまかないきれない。中国もそれはわかってるだろうし、まずこれはないだろう。

 だが、かといってほかの内陸国にやるにしても、あんまりやっても効果ないようにも見える。

 チベット・ウイグルは近すぎてどこに落とそうにも後々放射能を含んだ風が自分たちにも襲ってくるからそれを嫌うだろう。尤も、人命軽視の中国ならあんまり考えなさそうではあるが。

 とはいっても、ほかのもう少し外側の内陸国でも効果がありそうな目標がない。インドあたりならまだわかるが、向こうも向こうで最近アメリカからPAC-3買ったという噂もあるし、どれほど効果があるものか。それに、インドもインドで核はあるから……、あとは言わずもがなだ。

 どこを相手にするのかわからんが、目的がわからなければさすがにどこをどう使うのか予想もできんな。


 ……だが、ひとつだけいえることがある。

 確信を持つため、私はそれを新海国防大臣に確認した。


「……新海国防大臣」


「はい」


「……念のため聞くが、どこに対してどれくらい撃とうにも、この核弾道ミサイルの攻撃に、」





「戦略的意味はあるかね?」





「……はっきり言いましょう。“全然ありません”」


「やっぱりな……」


 思ったとおりである。これで一応これに関する確信はついた。


「いまさらどこに撃とうが、全体的な戦況を打開できるはずはありません。核保有量から考えても、すべての戦域に対して撃つわけにもいかないですし、かといってどこかに絞ろうにもそこの戦況に影響はあっても根本的な解決にはならない。それ以前に、何度も言うようにアメリカからの核攻撃の介入を自ら受けることになります」


「ふむ……。わからないな。いったい何をしたいんだ中国は?」


「わかりません……、そこに関しては、やはり軍事というよりこういう外務関係に詳しい山内さんに聞いたほうが」


「え、お、俺か?」


 いきなり話を振られて思わず右の人差し指を自分に指した。

 だが、ちょうどいい。彼にも少し聴きたいことがあった。


「だが、私としても君からも少し意見を拝聴したい。外務の面から考えて、君なら中国が狙っていることは何だと予想する?」


「う~ん……」


 彼は右手をあごに軽く沿え、少しうつむいて考えた後、再び顔を上げていった。


「……あくまで予想ですが、核保有量、戦況など、様々な点からかんがみて、もしかしたらどこかの領土を狙ってるんじゃないでしょうか?」


「領土?」


「はい。核は少ないので多くの地域に撃てない。つまり、どうやっても一点に集中しなければならない。そして、それは戦況の面から考えてもそうせざるを得ない。……となると、僕自身が考えうる可能性はそれしかありません。まさか、本気で撃つような勇気が彼らにあるとは思えませんし」


「ほう、君はあの核は“撃たない”と考えるか」


「撃たない、というより、“怖くて撃てない”……ですね」


「ふむ……」


 おそらく、やはりアメリカあたりからの報復が怖いのだろうな。

 そうでなくても虎の子の核弾道だ。使い道は慎重にせねばならない。


 だが、それでどこからの領土を狙ってるとくるか。

 しかし、いまさらどこを狙うんだ。そして、何が目的なんだ?


 めぼしいものはそれほどないぞ?


「どこを狙ってるかまでは……」


「う~ん……、すいません、これはあくまで予想なので……」


「むう……、やはりもっと情報が必要だな……」


 しかし、そうは言ってもこれ以上の追加がないんだよなぁ……。


 ……だが、この線は今考えうる可能性の中では一番有力かもしれない。尤も、どこを狙うのかって問題がでてくるのだが。


「(……まあ、どっちにしろすぐ撃つというわけではないだろう)」


 戦況が戦況だ。今はそれどころではないはずだ。それに、アメリカの件もある。

 まだ様子見だろう。そう明日明後日に、なんてことはないはずだ。


「……とりあえず、衛星からの映像は常時監視しておけ。それと、向こうから来た音声データの確認を……」


 と、ほかの指示を出そうとしたときであった。


「総理! 新たな報告です!」


 また情報担当の幹部が叫んだ。

 またか。いったい今度は何だ?


「追加か? さっきの核ミサイル関連か?」


「はい。JSAからの追加報告で、中国は、明日声明を発表すると」


「声明?」


 明日に声明だと? まさか、降伏宣言するわけではあるまいな?

 まあ、ぶっちゃけそれならありがたいのだが、あの中国がこんな中途半端なところで終わるとは思えない。だとしたらなんでこんな戦争始めたのかという疑問が大いに浮かんでしまうしな。


 だが、それだとしたら何だ? 核ミサイル関連のことだとも言っていたが、それ関係での声明って何だ?

 どこかに核撃ちますってか? つまり、相手国に対する脅しにでも使うのか?

 でもどこにやるんだ? それもいまさら?


 疑問は尽きないばかりだ。さっきから中国の行動にはどうも理解しがたいものがある。


「情報はそれだけか?」


「いえ、もうひとつありまして」


「なんだ?」


「先の核に関してなのですが、それがどうやら……」








「内陸には向いてないそうで……」








「……は? 内陸国には撃たないということか?」


「はい。どうやらそのようで」


「ん~……? つまり、東側に撃つということか……?」


 そして、その前の声明。


 ……わからん、何が狙いだ? 中国は何を狙っている?

 やはり、山内外務大臣の言うとおり何かの領土を狙っているのか? だが、領土問題で争っているのは尖閣諸島と南沙諸島くらいで、そこに関する問題で核を使うなんていう無駄なことをするとはとても思えないが……。


「……わからん。中国のやろうとしていることがまったく読めん」


 それにも新海国防大臣が同意した。


「ですね……。こんなときにいったい何を考えているのやら……」


「どうせあまりのピンチになってとちくるったのでは? もう戦況が戦況ですし」


 仲山副首相がもう投げ捨てるように言った。

 もう自分でもわからないのだろう。もう半ば投げやりだ。


 周りも似たような感じだ。


 もう彼らの考えることが意味不明すぎて考えることを諦めてしまっていた。


 そんな感じで各々が頭を抱えているなか、ふと新海国防大臣が呟くようにいった。


「……或いは、もうほかの理由があるとか?」


「ほかの理由?」


 今まで出てこなかった理由か。

 だが、これらの予想以外でなかあるか……?


「例えば何がある?」


「そうですね……、例えば、」








「どこかに対して政治的な“脅し”をかけるとか?」







「……脅し?」


「はい。もうまどろっこしいことをしないで普通の核の使い方をするんじゃないでしょうか? もうこの状況でめんどくさいことをわざわざしなと思いますし」


「脅しねぇ……」


 そうは言っても、いったいどう政治的に使うって言うんだ。


 ほかの方面で政治的に使えそうなのは……。


 ……ん? 待てよ?


「(……核を向けてるのは東側、声明、政治的脅迫、これにより中国の得る利益は……)」


 ……いや、あるぞ。まだあった。


 そうだ。これだ。これなら辻妻があう!


「……そうか、なるほど。読めたぞ、奴らの目的がな」


「ッ! ほんとですか総理!」


 仲山副首相がそういってきたのを、私は肯定した。


「ああ、おそらく、これが確実だろう」


「い、いったい中国は何を企んでいるのです?」


「うむ……。おそらく、脅迫する気だな」


「脅迫?」


「誰に対してです? 我が国に対してですか?」


 菅原官房長官が聞いてくる。

 周りからも視線が集まる。


 私はそれを見渡しつつ、少しちからをいれて言った。


「……台湾だ」


「え?」


「……台湾だよ。……やつらは、」







「……脅迫する気だ。もう一度、中国の領土に戻れとな」







「ッ!? ま、前の中国領の台湾に戻れという気ですか!?」


「おそらくな。……これしか考えられん」


「なッ……!?」


 周りが大いにざわつき始めた。


 だが、これには根拠がある。


 中国の持っている核兵器は少数。それを使うならどこか一国に絞らねばならない。

 その中で一番可能性があるのが日本と台湾。

 だが、我が国の場合は普通のBMD能力もあるし、余裕で撃ち落とすことが可能だ。

 しかも、米軍のイージス艦もいるし、もし日本のどこかに落ちようものなら、日米安保の関係でとかどうとかいって核報復の介入を招く。

 ゆえに、日本ははずれ。

 かといって台湾に落とすにしても、ほぼ似たような理由でアメリカが出てくる。だから、撃つ事はできない。


 だから、彼らは撃たずしてある策に出たのだ。


「……でも、台湾を狙って言った何をしたいんです?」


 新海国防大臣が聞いてくる。

 彼の質問は、おそらくこの場にいる全員の疑問だろう。


 私はそれにも自信を持って答えた。


「簡単なことだ。……台湾を自国に引き寄せることによって」








「……台湾の財産を奪い取るつもりだ」







「……台湾の財産?」


「そうだ。台湾の得た資源、資金、そして……、技術やノウハウだ」


「ッ!」


 そう。中国の本当の狙いはおそらくこれだ。


 台湾は独立以降、独立祝いと称して世界各国から大なり小なりの援助を受けてきた。

 その内容は資源や資金にとどまらず、台湾発展のためにということで民間レベルでの発展援助をしたり、技術提供までしてきた。

 我が国も例外ではない。官民ともに、様々な形でいろんな技術を提供してきた。


 中国はそれをうらやましがったに違いない。

 台湾が得た技術は、中国からしてみればとても魅力的なものに見えたはずだ。


 だから、中国はそれを狙った。


 台湾を、核の脅しによってまた自国の領土に引き入れ、強制的にこの台湾が得た技術やノウハウなどを奪い取ろうとしているのだ。


 そして、自国の経済回復にまわす。

 もちろん、こんな戦争状態でどこまで使えるかもわからないし、そもそもいまさらそんなことをしたってどっち道戦争終わったら意味がなくなるだろうが、でも、理由としてはそれくらいしか考えられない。



 やつらは、核の恐怖によって台湾を自国の救済のために“利用”する気だ。



「台湾の得たものは中国に乗って魅力的……、それを奪い取って、自国の発展、救済に役立てるつもりだろう」


「ッ! な、なるほど……、それなら、仮にそのあと国が終われようが何だろうが、その利益自体は確かに持てる。それを中国のために使うとすれば……、今までのこの情報もすべて辻褄が通る!」


 新海国防大臣も納得したようだった。


 すると、今度は同じく事情を納得した仲山副首相が怒り狂ったように叫んだ。


「クソッ! だからってこんなやり方か! 中国め、汚いマネを!」


 思わず右手のこぶしを目の前のテーブルにたたきつけた。

 そして、彼は今度は頭を軽く抱えていった。


「……これでは、あくまで脅しですから、アメリカも手が出せない。撃ってないから、自分たちの正当性主張には少し無理がかかる」


「ああ……。これはあくまで私の推測でしかないが、もしこれが本当にそうなら、アメリカとて簡単には手は出せない。脅しの段階で撃ったらさすがにアメリカの正当性を保つのには無理がある。アメリカも、この時点ではさすがに撃つ構えは示せても、実際に撃つという選択に踏み切ることはできないだろう」


 ここが、ある意味核の本当に正しい使い方だ。

 この、相手が撃てない、というところを使って、きわどいところで核をちらつかせる。

 ある意味、今までの核保有国の間での外交での基本だ。現に、少し前の中国が我が国に対してやってきた高圧的外交でそれをたびたびちらつかせてきた。

 ……尤も、今ではそれはめっきりしなくなったが。理由は先に言ったとおりである。


 ……そして、新海国防大臣が顔をしかめて、頭を右手でかきながらいった。


「……ですが、信憑性があります。もしこれが本当だとすればまずいですよ。アメリカだけでなく、我が国を始め世界各国もうかつには手が出せません。そして……、当の当事国である、台湾も」


「だろうな……。核ミサイルに関しては我が国からイージス艦送ったし、向こうも2隻保有してるからある程度対処できるとはいえ、撃たれないでそのまま外交に使われたら……」


 すると、山内外務大臣が割って入った。


「……外交はこっちから介入することはできません。台湾が相手ですので、このときの交渉はすべて中国と台湾にゆだねられます」


「だな……。これに関して、こっちから何も手助けしてやれんというのは、なんとも歯がゆいものだ……」


 さすがに台湾はまだ知らないだろうが、後で教えてやるとしよう。

 親友として、できる限りの手助けをしてやりたいが、だがこれはあくまで向こうの、中国と台湾の2国間の外交の問題だ。こっちから第3者として介入することは許されない。

 いや、我が国だけでなく、それは世界各国でもそうだ。


 こればっかりは、手を出さずに見守るしかなかった。


 すべては、台湾の判断にゆだねられることになる。


「……おそらく、この声明も……」


 山内外務大臣が再び言った。


「ああ……。おそらく、明日の声明で、台湾に問うつもりだろう。……昔みたく、我が国の領土に戻るか、それとも……」













「神の炎の、鉄槌を受けるか……」














 戦争終盤にして、我々の前にとても大きく、かつ厄介な難題が立ちふさがった…………

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