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『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
序章~すべての始まり~
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彼等の日常、平和な現代

―PM12:55 大島南東15海里地点 DCGやまと艦橋―




「……本日も快晴だな」


 俺『新澤大樹』は艦橋の窓から見える蒼い空を見て言った。


 今日から5月。


 少し寒いが、それでも、少しずつ暖かくはなってきたぜ。

 ……にしても、今日は良い天気だ。

 雲は少しあるにしろ、空は青々として快晴そのものだ。


 ……気持ちの良いものだぜ。


「……久しぶりの快晴だな」


 そういったのは、俺の横にいた『潮崎隆介』航海長だった。

 階級自体は俺より上だが、その階級自体が本人は嫌いらしい。

 それを捨ててもうほかとどうレベルで会話が出来ている。

 ……良い上司だよ全く。


「また天気で今日の運勢決めてるんすか?」


「……今日は朝から気分が良いだけだ」


「……さいですか」


 この人、よくその日の天気で気分が左右されたり自分の運勢決めたりっていうくせがある。

 何でか知らんが、自分の生まれつきらしい。

 ……素直にそう育てられたって言えよ。


「……にしても暇なもんだな。軍人だというのに」


 今度はそんなことを言い始めた。

 まあ、わからんでもないけど。だって訓練ばっかで後何もすることないし。


「ま、暇っちゃあ暇ですね。訓練はさっき終わったので後は帰るだけですし」


「おまけに俺たち航海科にはほとんど指示が来ないってこった……」


「まったくですわ……」


 あのさっきの訓練、俺たちのほうにもなんかの指示が来るかと思ったら、いつもどおりの主砲等の外部チェックや見張りくらいであとはこれといった指示は来なかった。

 ……訓練メニューどうなってんねんもう少し練ろうや。


「(……こんなんじゃ俺たち鍛えられへんがな)」


 と、そのとき、


「……それも訓練のひとつだ。そう文句いうな」


 そう横槍を入れたはまどのそばについていた『海原洋介』副長だった。

 普段は見てのとおり……、ってわからんか。

 なんとなく厳しい上司みたいな近寄りがたい感じの雰囲気かもし出してる。

 でも、自分から話しかけることが多いことから、なんとなくそれを打開したいのかなと予想してみたりする。

 ……あくまで良そうだけど。


「……相変わらず固いっすね~副長。もうちょい柔らかくいきましょうや」


「君はもう少し緊張感をもちたまえ。適度に保つのが常識だろう」


「まあまあそういわずにねぇ。緊張しっぱなしもアレなんでね。気楽に気楽に」


「まったく……」


 ある意味対照的な二人の会話である。


 この二人がからむといつもこんな感じになる。

 ある意味定番だ。


「……それはそうと、そろそろ時間ではいないかな。新澤少尉?」


「え? ……あ、そうですね」


と、そのとき、


「新澤少尉、交代の時間です」


 ナイスなタイミングで交代がきた。


 俺みたいな操舵員はずっと同じ人が舵握るわけでなくて、定期的に交代が入る。

 今回はその交代時間。

 ……ふう、やっと休めるでよ。


「お疲れ様です。じゃ、後は」


「了解」


 交代に来た人に俺は舵を任せ、艦橋に設けられた時計を見る。

 ……もうすぐ13時。

 昼飯時には十分だな。


「……じゃ、ちょっくら休憩入りまーす」


「おう」


 そんなわけで、俺はちょっくら艦橋を降りて食堂に向かった。






「……うへ~、こんでらこんでら」


 食堂に着いた俺は最初の一言これを発した。


 人の考えることは大体同じらしい。

 同じく昼飯くいに来たやつで食堂はごった返していた。

 ……メシ受け取るのに並ぶのかよ。めんどくせ~。


「お、大樹。お前も着たのか?」


「? ああ、なんだカズか」


 そこに来たのは、同じくこの艦のクルーでCIC勤務の『沖瀬和成』だった。

 俺を含め親しい乗員からは『カズ』の愛称で呼ばれている。


 こいつとは高校時代からの仲だ。

 それ以降、性格的な面もあってすぐに打ち解け今では親友というか、もはや腐れ縁状態だ。

 高校時代は3年間同じクラス、防衛大学校でも同じクラスで同じ寮。

 しかも、初の配属艦も同じ。


 ……はて、運命がそうさせるのか、はたまた神様が面白がってるのか。

 どっちでもいいが、これはいきすぎな気がするんだが。


 あと、どうでも良いがこいつは元野球部で、小さいころからやってただけにその能力は抜群。

 エースで4番の時々捕手というまれに見る天才児で、甲子園準優勝に導いたつわもの中のつわもの。

 で、冬のドラフトでも大量の球団から3位くらいで指名されたのにこいつときたら、それ全部けりやがってさ。

 まあ、そのときにはもう軍人になるって決めてたらしいし、本人の意思ならそれを支持するが、なんてもったいないことを……。


「お前も昼飯か?」


「まあな。そういうことなら一緒にくおうぜ」


「ん。かまわんぜ」


 そういうことで、急遽こいつを合流させての昼食となった。

 ……で、飯受け取ったら今日は……、


「……あれ? 今日金曜日だっけか?」


「らしいな。最近カレーにも慣れたわ」


 カレーだった。

 国防海軍じゃ海上自衛隊はもちろん第二次大戦の旧日本軍時代あたりから金曜日はカレーが定番だというのはもう伝統として受け継がれてるわけで。

 まあ、うわさには聞いていたがめっちゃうまい。

 お袋のアジと良い勝負してやがる。

 ……まあ、とはいっても俺昔カレーあんま食わなかったんだがな。


「……でもさ、」


「?」


「……たまにはカレー以外も食いたいよな。たまには」


「金曜にカレー食わないで何くうんだよ」


「とうもろこしとか」


「金曜にくわなくてもいけんだろ。生々食う気か」


「生も良いものだぜ?」


「おいおい……」


 俺はどっちかって言うと火であぶって食うほうだよ。

 生だと変に中途半端に甘くてしょうがない。


「……まあ、でもとうもろこしといったら嶽きみだよな。あそこはうまい」


「え?」


「え?」


 ……うん? 俺なんかへんなこと言ったか?

 むしろお前の地元ほめたんだが?


「……とうもろこしの話なのになんで野球がでてくるんだよ。しかも撃ってるところ見るだけとか」


「打撃見じゃねえよ」


 語呂合わせ無理やりにもほどがある件な?

 ボケるにしても無理やりすぎな?

 もう少しひねれよ。やるならもう少しひねってくれよ。あと寒いよ。


「でも野球見ながらのとうもろこしってうまいよな」


「知らねえよ」


「悪い悪い、冗談だって。……で、嶽きみってどこ産だっけ?」


「弘前の岩木山だよお前の地元だよ」


 こんな日常である。

 こいつ、仲良いのは良いがよくこんなボケかますからめっちゃ疲れる。

 悪い気はしないというか別にかまわないのはかまわないのだが、こいつには後で程度というものをだな……。


「……お、運よく席いてやがる」


 そんな会話をしながら運よくで出入り口付近のテーブル席を確保。

 そこで、途中手に入れた水とともにカレーを食す。

 ……うん。今日もめっちゃうまい。


「……そういえばお前と飯食うの久しぶりだな」


「? そうか? いつ以来だっけ?」


「俺の記憶が正しければ大体1ヶ月前」


「ほ~、もうそんなに経つのか」


 時が経つというのは速いものだな。

 感覚的にはそう経ってないように感じたものだが。


「俺達も年が経ったってことかね」


「まるで俺達が爺さんみたいな言い方だなおい」


 まだまだ若い20代後半だぞおい。


「はっはっは。まあ、何事もなく時間が過ぎるってのは平和な証拠だろ。周りもすっかり静かになったしな」


「……まあな」


 周り。つまり近隣諸国のことだ。

 それこそ、数年前まで北朝鮮がどうのとか、領土問題がどうのとかで、い ろんな意味で結構危ない状況だったんだが、4年前の朝鮮戦争がきっかけでそれが一斉に動き出した。


 4年前といったら在韓米軍が撤退してから翌年の年で、おそらくそれを見越したんだろう。

 まず通常弾頭の弾道ミサイルで指揮系統やら主要都市やらを優先的に破壊した後、一斉に大群を南下させて一気に攻勢に出た。

 一時は韓国領土が半分も取られる事態になったんだけど、そこで日米の軍が援軍に到着。

 ……といっても、大体は米軍主体で、俺達日本はその補助みたいなもの。陸からの援助はいろいろと制約が厳しすぎるので、主に空と海から米軍の護衛に入る形となった。

韓国に派遣する過程で日本ではいろいろと一悶着があったんだけど、それを話すと長くなるので割愛。

 とにかくそれもあって日米韓3ヶ国そろっての反撃となった。

 それのおかげで北朝鮮は痛烈な反撃をされるどころかむしろ国内への侵入を許して、最終的には例の将軍ほか高官が捕らえられた後にそこで「降伏しないとこいつ殺すぞ?」的な脅迫をアメリカがしたことにより、北朝鮮が降伏した。

 で、前置き長くなったけど、その時韓国が朝鮮統一したときの国境再構成のときこの竹島問題が出て、日本政府がいろいろあってこれを使って司法裁判所に引きずり出して、やっと日本領土だって証明させた。

 そのあとのロシアはまあどっちかっていうと自爆。

 自分からこの北方領土問題にけりつけようとして裁判所にでたら逆効果でしたってオチ。

 裁判に関して自信満々にしてたら結果は北方領土が「これ日本のじゃん」て言われた。

 ……ネット内では「一体ロシアは何しに来たんだ……」って言われて苦笑されている始末です。


 ……と、説明が長くなってしまって申し訳ない。


 これ以上端折れといわれても俺には限界なのだよ。

 まあ、簡単に3行にまとめるとだ。


1.北さんが自爆する。

2.日本が裁判所に引きずり出して韓国に竹島問題勝利

3.ロシアが何でか知らんが勝手に裁判出てきて自爆した後日本わけがわからず領土奪還。


 ……こういうこと。


 まあそんなわけで、周りの近隣諸国もすっかり静かになって平和なもんであります。

 ……でも、


「……だが、中国だけはまだ問題あるがな」


「ん。確かに」


 中国は例外である。


 でも、あっちは仕方ない。

 だって……、


「……まあ、経済危機が収まってからでも遅くはないだろ。それまではあっちが何かしらするわけでもないしそもそもそんな余裕ない」


「だな」


 ぶっちゃけ領土問題が云々とかそれどころじゃない。


 メイドインチャイナ・バッシングって言って、中国製製品の劣悪さが世界規模で発覚したことが原因で起こった世界規模の中国製品不買運動。

 これのせいで中国から多くの企業が撤退してしまって、中国は労働力の排出先がなくなって失業者続出。

 それのせいで経済がうまく回らなくなって今現在大ピンチです。

 あと、これのおかげで今の政権が倒れるとかって昔から言われてたけど全然倒れません。

 詳しくは追々話す。……かもしれない。


「……」


「……」


 ……いかん、話のネタがなくなってしまったわ。

 これでは沈黙ではないか。誰かネタ提供を……・


「……あ、そういえばさ」


「?」


 ネタを思いついたらしい。唐突に話しかけてきた。


「……つい最近また話題になったから聞くけどさ」


「ん」


「お前……、」







「艦魂って知ってるか?」







 艦魂。






 この後、このワードがどれほどキーワードになるか、思い知ることになる…………

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