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『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
第6章 ~『好朋友作戦』発動! 台湾の反撃を援護せよ!~
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地上部隊合流⇒進軍開始

―AM08:25 台湾台中県大甲区沿岸 第10軍団第765機械化歩兵旅団―






「……うは~、これはまた大量に来たな……」


 俺はその海から来る大量のLCACと輸送艇の数に思わず驚いた。


 日本が助けに来てくれたということを聞いて歓喜せずに入られなかったけど、まさかこんな全面支援体制を整えてくるなんて思わなかった。

 せいぜい俺たちに対する簡単な航空支援程度だろうと考えていた。ぶっちゃけ地理的に考えて日本からできることなんてこれくらいしか思いつかない。



 だが、それが現実じゃどうだ?



 沿岸の海には大量の日本の輸送艦と揚陸艦。一部米軍艦が混ざってるけど、旗がアメリカのと日本のが両方掲げられてるあたり、米軍から大量に借りてきたのだろうか。

 そこからどんどんと出てくるLCAC。

 そして、その上を、空を埋め尽くさんとする大量のオスプレイとチヌークの輸送機の大群。

 すべて、先ほどからここいら一帯に順番に着陸してきていた。

 オスプレイはまだいいとして、一体チヌークはどうやってここまで来たのか。

 航続距離足りたっけか? または途中で揚陸艦に降りて燃料補給基地としてつかってたか?

 その場合揚陸艦側に大量の航空燃料を積まないといけなくなるが……。


「おらそこっ! グズグズしてるとLCACきちまうぞ! さっさとこい!」


「あ、は、はい!」


 部隊長に言われてあわてて俺も配置に付いた。


 俺たち第765機械化歩兵旅団は、この台中市に軍団本部を置いている第10軍団指揮下の機械化歩兵旅団で、つい数年前に独立云々の関係で戦力強化するときに新設された部隊。

 で、俺はその一歩兵。


 今俺たちはその揚陸艦部隊から送られ海岸線に向かってきているLCACの誘導とその後の上陸時の車両や部隊の誘導を担当することになった。

 もちろん、これは急遽そうなった。なんせ突然こられたもんだからな。


 そんなわけで、俺たちの下に来る一艇のLCAC。

 日本の日の丸が掲げられており、向かって左側の操縦の窓の下にはこんな横断幕が掲げられていた。





加油台湾ガァユウダイワン




「……がんばれ台湾、か」


 日本らしい。急遽用意してくれたんだろう。


 ……うれしいことだな。ここまで応援してくれるとは。


「よし、くるぞ! 誘導かかれ!」


 隊長からの指示だ。

 LCACが陸に乗り上げ、すぐに艇の後部の大型プロペラが回転を止めると、艇下部の合成ゴム製エアクッション用側壁から空気が抜かれ、前部のハッチが手前に倒れ、中身が見え始め……、え!?




「……せ、戦車!?」



 その中身は一門の主砲を備え付けた、外側が角ばった結構小さめの戦車。


 これは……、確か……、


「(……10式戦車!?)」


 日本の最新の戦車だったはず。

 一応は日本でも90式の後継を作ってるって話は聞いたけど、それは確か開発が若干遅れてるって話だったはず。


「10式か……、日本も奮発してくるな」


 周りの仲間もそんなことを言った。


 しかし、ここで満を持して10式の投入か。

 軽量化を実現しつつ前型の90式より一回り性能をアップさせたもので、日本のような複雑な地形に対応できるようになっているが、まあ台湾の地形もいくらか似ているからだ。同じ島国ゆえに。


 いずれにしろ心強い戦力には変わりなし。きてくれればこっちの機甲戦力に大きなプラス要素となろう。


 すると、そこからまず随伴の歩兵が降りてきて、こっちに来た後、俺たちのほうに敬礼して言った。

 もちろん、それには敬礼で返す。


「日本国防陸軍西部方面隊第8師団第8戦車大隊、ただいま到着いたしました。突然で申し訳ありませんが、揚陸する戦車隊の誘導をお願いしたい」


「ご苦労様です。こちらは台湾陸軍第10軍団第765機械化歩兵旅団のものです。貴軍の進軍誘導の任はすでに司令部より受けております。まずは部隊編成の時間をおきたいので、そちらの戦車を揚陸していただければと」


「了解しました。……おい、戦車揚陸急げ!」


 向こうの大隊長が無線機を使ってそう指示すると、それにあわせてLCACから一両の10式戦車が、ほかの随伴歩兵の誘導に従ってゆっくりと降りてきた。

 ……こうしてみるとやっぱり思ったのより一回りほど小さい。そして結構角ばってて平べったい。


 ……あ、それは俺が戦車に詳しくないだけか。陸軍兵士なのに。


 そしてそのまま陸に10式戦車が揚陸されると、さらに陸で各種以上がないか点検をすばやく済ませ、官僚の指示を得たらしい大隊長さんがまた言った。


「……よし、そうか、わかった。……準備が完了しました。次はどうすれば?」


「はい。えっと……、そうなるとまずは……」


 俺は小さな地図を取り出した。

 えっと……確かこの後は一つの場所にまとめて部隊を纏め上げた後に司令部から指定されたエリアに向けて進軍するって話だったような。


 その合流ポイントは……、と、


「では、まずある程度の戦車部隊を編成したいので、地図の……、あ、このポイントに向かってください。そこで戦車部隊を編成した後に、司令部より指定されたエリアに進軍してもらうことになります」


「了解しました。ではその合流ポイントまでご案内を」


「了解です。こちらに」


 そこから、戦車を一点にまずまとめるためにそこに連れて行った。

 俺とその部下がその戦車を案内する。


 ……といっても、結構近いからさっさと案内してしまおう。


「えっと、ここからこの道のりは……」


 と、地図を見てルートを確認したときだった。


「……ッ!?」


 とたんに轟音が当たり一帯に響いた。

 上からだった。戦闘機の音。


 上を見ると、ちょうどいいタイミングでその轟音発生源の戦闘機が猛スピードで通り過ぎていった。


 青い戦闘機が2機。翼には赤い日の丸。そして主翼の先にミサイル、翼下には爆弾らしきものを積んでおり、F-16に酷似してるそれは……、




「……え、F-2戦闘機!?」




 日本の戦闘機の一つであるF-2戦闘機だった。

 日本では主に対地・対艦攻撃から空中戦までできる多用途機みたいな扱いをされている。

 ……まあ、主に前者の運用をされてはいるが。


「航空支援が始まったな……。F-2も奮発してきてるからな。こりゃ頼りになるぞ」


 日本の大隊長さんが言った。


 F-2が航空支援か。これは確かに頼りになる。


 ちなみに、さらにその後には少数だけどヘリも来た。

 AH-64Dアパッチ・ロングボウ。日本やアメリカなどで運用されている攻撃ヘリだ。

 こちらは近接支援か。


 ……ほんと、なんでも投入してくるな。今回の日本は。




「……よし、ここでオーケーです。一時、ほかの戦車の合流を待ちます」


 合流ポイントに到着した俺たちは、大隊長さんにそう指示すると、向こうも「了解」と一言言った後さらに無線で各種指示を出し始めた。

 そこから、続々と10式戦車が終結し始めたけど……、割と本気で一体どんだけ投入したんで?

 もう2桁は楽に超えたけど……。


「……一体どれだけ集めたんだ……」


 日本の支援には感謝感激だが、まさかここまでしてくれるとは……。


 ……無茶をする国だ。この大量のオスプレイ・チヌークの大編隊といいな。

 そこからは歩兵戦力を大量におろしていっているし、こちらは結構すぐに展開できそうだ。


「最後の戦車来ます!」


 少しして、ようやくLCACで送られてきた第1陣の戦車部隊全車両がそろった。

 計20両。LCACも何往復かしてどうにかこうにかすばやく運んできた。


 よし、これでまずは進軍だぜ。


「では、まずこのエリアに展開し、司令部に指示を仰いでください。そこからはそちらの指示に。周波数は……」


「大丈夫です。先ほど聞きましたので、そちらを使って」


「はい。では、後はお願いします。自分達はこの後ほかの部隊の誘導に入りますので」


「了解。誘導、感謝します」


「はい。……わざわざご支援に来ていただき感謝いたします。どうかご健闘のほどを」


「ありがとうございます。では、我々はこれで」


「はい」


 すると、大隊長さんによる細かい指示の元、ここに集まったすべての戦車が一斉に動き出し、予定されている展開エリアに向かっていった。

 中々堂々とした進軍。海軍国なのに戦車も結構優秀っぽいな。

 ……まあ、そこらへんは俺たち台湾にはかなわないか。


チャンさん、次に行きましょう。まだ戦車が来ます」


「ああ、わかってる」


 そう。戦車はまだ来る。

 10式かどうかは知らないけど、日本の戦車はまだまだ投入されるという報告だ。


 ……俺たちも忙しいな。


「よし、次に向かうぞ。各員遅れないよう……」


 と、そのときだった。


「……ッ!?」


 とたんに、大きな爆発音が鳴り響いた。

 南の方角から。あっちは敵の勢力圏のはず。


 なんだ? 一体何が起こった?


『……台湾司令部より日台地上部隊へ。日台艦隊より地上支援開始。各自、指定攻撃ポイントがある場合はデータリンクで送れ。繰り返す。日台艦隊より……』


 司令部からの無線だった。


 日台艦隊。沿岸部に展開している艦隊からの地上支援が始まったか……。


 じゃあ、あの爆発はトマホークなり主砲弾なりの弾着だったか。

 ……日本が加わったことによって戦況が大きく動き出したか。


「……止まってた戦況が、動き出すな」


「ええ……。やっと、動き出しますね」


 今まで硬直状態で、互いに全然これ以上の手出しがうまく出来なかった。

 このまま、いつまでも拮抗した状態が続くと思っていた。俺を含め、誰もが。


 だが、日本という、一国の援軍によって、それが動き出そうとしている。


 やっと、この戦いに終わりを打つ準備が整った。


 ……始まるな。






「……台湾の、反撃が」







 俺は確信したようにそうつぶやくと、また次の部隊の誘導に向かった…………

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