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『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
第6章 ~『好朋友作戦』発動! 台湾の反撃を援護せよ!~
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日台両艦隊合流

―AM08:05 同海域 日本艦隊DCGやまと艦橋上―







「……ふぅ~、何とか間に合った~」


 私は額の汗を拭きつつそういった。


 台湾海峡に到着して1時間ちょい。

 早朝についたけどまさに戦闘中で大ピンチの状態だったので必死に助けたところ、見事に追い返しました。

 ほんの少しSM-6消費したけど、まあこれくらいなら許容範囲。


 で、向こうはいろいろとジャミングかけてたみたいだから空軍の皆さんにそっちをつぶしてもらった後、さっさと敵航空部隊と後から来た敵艦隊もF-2さんに任せて追い返した後、そのまま台湾の皆さんに合流した。

 ジャミング自体はなんか台湾軍の使用する周波数にピンポイントでやってたみたいだからこっちには何の影響もなかった。

 ……ありがたいこっちゃ。


“……晴れてきましたね。霧が”


 すると、隣にいたあきづきさんがそうつぶやいた。


 空はさっきまで霧が立ち込めてたけど、今はそれも晴れてきて西の朝日が私たちや、目の前を航行している台湾艦隊の皆さんを照らしていた。


 空は徐々に晴れてきていた。朝を迎えるとともに。


「そうね。この後は確かそのまま晴れていくはずだったけど……」


“気象班からの連絡では確かにそうですね。でも、この時期もうそろそろ台風なのによく晴れますね”


「ほんとね……。台湾あたりにくる台風ってこの時期からもう活動開始のはずなのに」


 最近は台風も頻発してるらしいし、そろそろ出てきてもおかしくないんだけど、全然その報告聞かないね。

 ……珍しいこともあるもんですな。


“天気の神様あたりが空気読んだんでしょ。邪魔しちゃ悪い的な”


 といういなづまさんです。

 ……どっちかって言うと空気読むというよりむしろ割りいれてきそうだけどね。神様ってドSなイメージしかないし。


「……でも、なんとなくあれね」


“あれ?”


「なんというか……」







「まるで、台湾の未来を示唆してる感じがしていいなって」







“……未来は明るい的な?”


「的な」


 まあ、でもなんとなくだけどね。


 ……でも、それでもそう思えてならない。もしかして神様この後の展開わかってるからこの演出させてるわけ?


 ……ま、半ば幽霊な私がしるわけないか。


“……よ~っし、それじゃこれから台湾艦隊に合流しますよ。こちら日本艦隊総旗艦『いずも』。台湾艦隊旗艦は誰か?”


 台湾艦隊が目の前に来たこともあって、向こうとの通信を図る。

 一応事前に台湾がつかう無線周波数は受け取っているので、まあ普通に即行で出るはず……。


“……こちら台湾艦隊旗艦の『丹陽ダンヤーン』です。よく聞こえます”


 案の定だった。

 丹陽ダンヤーンさん……、えっと、確か日本生まれの台湾初のイージス艦だったと聞いていたような。

 まあ、あたご型やながと型にそっくりだしね。ちなみに、こっちは駆逐艦だけど、向こうは巡洋艦扱いです。……本当はもうあたご型ながと型以前にこんごう型のあたりから巡洋艦並みの排水量持ってるはずなのに駆逐艦なのよね。

 ゆえに、日本での巡洋艦は私1隻だけという。


“あー、いたいた。こちら日本艦隊旗艦『いずも』です。これより貴艦隊に合流します。乗員のほうにも情報言ってるのでそちらの指示通りに”


“了解しました。情報は受け取ってますのでこれよりそちらと合流して艦隊組みます。……あ、それと、”


“はい?”


 そして一言置いていったのが、


“……ありがとうございます。私たちの助けに来てくれて”


 そんな、なんということはないことでした。


 ……気にすることないのに。それが私たち日本のやりかただし。


“……気にしないで。これはあくまで私たちの意志でここに来たようなものだし、ここからは台湾のためにすべてを尽くさせてもらうわ”


“はい……。ありがとうございます”


 友を大事にするのが日本ですので。

 後、中国のやり方が見てられなかったというのもあったり。


“……まあ、ここからはともに戦いましょう。最大限サポートするわ”


“はい。お願いします”


 そんなやり取りをしつつ、そのまま台湾艦隊に合流。

 日台の艦が混ざり合って、大型艦を中心にして輪形陣を形成する。

 ここら辺は前に日台演習やった関係か、台湾側も即座に陣形を組み立てたらしく、スムーズに陣形形成が進んだ。


 ……と、そんな感じでの陣形形成時、ふと台湾艦を見たときに思ったこと。


「(……なんか台湾の艦って、国際色豊かね)」


 いろいろとデザインがバラバラだった。

 まあ、元々台湾って艦船自前で作らないで他国に発注するか中古品売ってもらって戦力をまかなってるらしいしね。

 その発注先のモデル艦船の国によってデザインが偏るのは仕方ないかな。


 ……尤も、この台湾初のイージス艦も2隻とも日本に発注したものなんだけどね。

 気のせいか、最新鋭だけにその2隻が先進的に見えるのは私が日本卑猥なだけね。フランス製の康定級フリゲート艦も結構先進的な感じがするし。


「……えっと、私の陣形ポジは……」


 ふとそう思って、周りを見てポジション確認をしていたときだった。




“……ねぇ、なんか1隻だけでかい巡洋艦ない?”


“あー……、あれがやまとでしょ? 世界最強の”


“あー、あれがか……”


“え? どれどれ?”


“ほら、あの縦長スレンダーな艦”


“……あー、スレンダーだね。確かに”





 ……誰がスレンダーよ。いや、別に悪い気はしないんだけどさ。


 台湾艦にとって私を見るのは初めてだったかな? でも一部の艦は前に一回軍事演習で会ったんだけどね。……尤も、2隻くらいしかいなかったからほとんどは知らなくて当然だけどね。

 ゆえに、結構な台湾艦の方から注目の視線を浴びてる。もう視線的なアレでもうわかる。

 ……いや、正確には乗員の皆さんもかな? たぶんその最初の軍事演習に参加していない艦は生で見るの初めてだろうし。


“……人気だねぇ~やまとさん。注目の的状態”


 そんなことをいうふぶきさん。


 ……そう軽くいうけど、私前世で全然注目されなかったこともあって他人にジロジロ見られるのってあんまりなれてなくて……。


「……ち、ちょっと気になるけどね。この視線」


“現代に生まれてから今まで何度となく視線受けてる最新鋭艦が今さら何を……”


“スレンダーなら私も負けてないよ! ほ~ら! これスレンダーでしょ!?”


 あきづきさんが対抗心を燃やす中、そこにふぶきさんが一言。


“……うん。そうだね。胸板がフラットトップだしまあスレンダーだね。うん”


“誰が胸ペッタンコじゃこらああーーー!!!”


“うん落ち着いて? 私もあんまりないしそもそも汎用駆逐艦って全体的に胸大きくないから”


「じゃあ私がスレンダーって言われた理由は……」


 ちなみに、私はまさにほかと比べても平均的。大樹さん曰く中の中ないし上らしい。何が?っていうのはさっきの会話見て大体判断してね。


“日本艦隊旗艦『いずも』より台湾艦隊旗艦『丹陽ダンヤーン』へ。一応ここからはそっちの艦隊の指揮下にはいるって聞いてるんだけど、それであってる?”


“あ、はい。ここからは台湾海軍に一時編入になります。台湾海軍司令部の指示に従うことになりますのでご承知のほどを”


“りょ~かい。日本艦隊全艦へ。ここからは台湾側に指揮権が移るわ。指示に最大限したがって”


「了解」


 台湾支援に当たって、ここからは私たちの全体指揮は台湾民主国に移ります。一々日本からの指示で別行動なんていうめんどくさいことはしない方向でいきます。

 ま、そっちのほうが指揮系統的に楽だしね。仕方ないね。


“じゃあ、ここからは台湾側の指示通りにね。各艦、迅速にうごくよ~に”


 なにその小学校の先生が指示する時にやりそうな口調。

 これでも大樹さんからいろいろ学んだのよ? 学校制度とか政治とか外交とか。

 ……え? 艦として必要ないもの混ざってるって? 別にいいじゃない気になるんだし。


「……じゃ、これからは向こうの指揮下か……」


 さて、指示はなにが来るか……。


“旗艦『丹陽ダンヤーン』より全艦へ。揚陸部隊が上陸したので対地支援をしてくれと指令が来ました。これより分派します。司令部の指示があった艦は分派お願いします。日本艦の皆さんもそのつもりで”


 と、さっそく指令か。

 対地支援。揚陸艦隊が上陸したからそれにあわせて台湾側も動いたわね。

 となると、大体汎用駆逐艦が中心になるかな。


“『いずも』了解。……あ、分派決まった。『いずも』より日本艦全艦へ。分派する艦は行動開始”


 分派艦が決まった。

 こっちにも情報がきたけど、それによると台湾側からは成功級の4隻に濟陽わたよう級の4隻、日本からたかなみ型の『すずなみ』とむらさめ型の『いかづち』の2隻が向かいます。

 ……ていうか、もう対地支援自体は揚陸艦隊のほうから大半出すんだろうけどね。でないとこれだけしか出さない理由にならないし。


「……じゃあ私たちはその間の海域護衛か」


 分派する艦を見つつそうつぶやいた。


 ま、ここからは私たちの得意分野だし、陸のお守りといきましょうか。


「……お?」


 ふと、お隣さんを見たときだった。

 そこには台湾艦隊旗艦の『丹陽』さんが並航していた。

 陣形形成時に偶然ちょうど隣になったのか。なんと言う偶然。

 そして、ものの見事にジロジロ見られてる。やっぱり私最新鋭だから気になるのかな?


 ……気にはなるけど、悪い気はしないね。


「……あ、やっぱり、気になります?」


 そしてふと声をかけてしまう私。

 この場合知らない振りしてスルーしてればよかったのかそうでなかったのか。ま、今さら考えても意味はないけど。


 すると、向こうはいきなり声をかけられてあわてたみたいで。

 ぶんぶん顔の前で手を振って焦った口調で言った。


“あ! い、いえいえ! すいません、まずかったですか?”


「あ、別にそういうわけではないんですけど……。まあ、私最新鋭だしやっぱり気になるのかなと」


“す、すいません……。やっぱり、大きいなと”


「うん。否定はしません」


 190m以上あるんだし、まあそういわれても仕方ない。

 丹陽さんだって170m近くあるのに、私はそれの一回りもふた周りも大きいし。


 ……それでいて、機動性速力等は駆逐艦並です。今の技術ってすごいわ。


「でも就役順ではそちらが後なんですよね……」


“性能ではそっちが上ですよ。それに、私のほうが後といってもたった数ヶ月の差ですから”


「まあ……、確かに。……あ、そちらにいるお二人って元気してます?」


“あ、あの二人ですか? ええ、今私の隣で……、え?”


「え?」







“たっちゃんおひさーッ! 元気してたーッ?”


“あ! いなちゃんおひさーッ! バリバリいつもどおりですけどなにかー?”


“おっつー! あ、しまちゃんもいたー!”


“しまちゃん言うな! 相変わらずだねいなづま! ……てかなにその艦橋上の”


“え? ああ、これFCS-3。そっちがつけてるのとおんなじ”


“え、いつの間に近代化改修したの?”


“去年”


“わ~お。……あ、アッキーもいる! 久しぶり~!”


“アッキーじゃなくてあきづきって呼んでよ……。ま、まあ、なにはともあれお久しぶり。元気してた?”


“逆に元気じゃないと思ったの?”


“でしょうねー……”








「“……わ~お」”


 旧友との再会を果たす4人。

 昔から仲いいみたいねこの4人は。ま、それはそれでほのぼのものです。


「……向こうでもこんな感じで?」


“まあ、こんな感じです。そちらの友人の方も元気な方で”


「たまに元気すぎる時ありますけどね……」


 主に、いつどきかの乗員操作無視の増速とかね。


「まあ、かつての旧友との共闘はうれしいですよね。私もがんばらねば」


“はい……。でもすいません、わざわざ遠征に来ていただいて……”


「かまいませんって。困ったときはお互い様ですから」


 それこそ、うちの大樹さんなんてそれに行くって一番最初に挙手したし……。


 それに動かされた乗員が大多数ですよ。ほんとに。


“私たち、まだまだ実力ないので……。こうでもしないと国守れないあたり……、やっぱり、情けないですかね? 軍艦として”


「え……?」


 そういうと少しうつむいた。それも、悲しそうに。

 プライド、というわけじゃないんでしょうけど、やっぱり悔しかったのかな……。国を守れなくて。


 ……まるで、


「(……前世の私みたいね、これ)」


 前世の戦艦大和だった時、日本の資材不足や燃費激悪の関係もあって、中々出番を出してもらえずに戦争終盤に差しかかって、最終的にはそのまま沖縄に向かう途中に沈められて終わり。

 結局、何も出来なかった。国を守るって期待されたのに。


 ……これと、なんとなく似てる。


「……全然情けなくないですよ」


“え?”


 でも、それで情けないとかいうのは少し違う。

 私の場合は何度も訓練を積み重ねた熟練なのにやられたのであって、最初この就役したばっかりの彼女にとってはまだ荷が重い話。

 実戦どころか、訓練すらままならない状態で出されたらこうなるのも仕方ない。

 そこは、割り切るしかない。


 ……と、前に大樹さんが言ってた。


「むしろ、今あなたはここで台湾の頼れる主力としてがんばってるじゃないですか。私みたいに」


“で、でも今敵が……”


「もうなってしまったことを悔やんでても仕方ありませんよ。今は、できることは何か考えましょう。過去の反省は後回しです」


“……後回し?”


「そう、後回しです」


 過去を今さら悔やんだところでなんにも変わらないし、後の祭りだしね。

 人間みたいに過去の反省や後悔から学んだりできるのが私たち。それを今生かさないでいつ生かす?


 ……そう。今でしょ。


「とにかく、今は目の前のことに集中しましょう。私たちのできることを精一杯に」


“……はい。そうですね。わかりました”


 そういうと向こうも顔を上げてキリッとした顔で向き直った。

 ……よし、更生完了。……あれ、更生ってここで使わないっけ?


 ……まあ、細かいことはいいか。


「……ここからは互いに共闘しての戦闘になるし、足を引っ張らないようにしないと」


“それどっちかというとこっちのセリフでは……”


「あれ……? そんなもんでしたっけ?」


 ホームグラウンドは確かに台湾側だけどね。だからこっちから見てはアウェーとまではいかないにしてもなれない戦地だからいろいろとグダると思うんだけど……。

 しかもこの台湾海峡、感覚的に狭いし。

 いや、海峡幅自体はまだ広めなのよ。でも、中国側沿岸はもう近づけないし、それを考えるとめっちゃ狭い的な意味で。


 ……と、そのとき、


“……ッ! やまとさん、向こうの対地支援始まりました”


 艦隊陣形内で私の近くを航行していたふぶきさんからだった。

 レーダー上では、今まさに対地支援担当艦が敵地上部隊に対して攻撃を開始。

 敵の地上援護の航空部隊も、空軍の戦闘機隊が向かっていた。


 ……始まったか。


「……始まりましたね」


“ええ。ここからはいつ敵が来るかわかりません。対空戦闘ではやまとさんが主力になると思いますのでそのときは”


「了解。……腕がなるねぇ~」


 台湾の海で鉄壁対空をご披露できるとは光栄ね。


 さて台湾をぶちのめしまくってる中国の皆さん、私を舐めたらリアルで死ぬよ?

 全部防ぐから。悪いけど全部落としちゃうからそのつもりでね?


「……さて、」







「ここから本番の始まりね……」









 台湾のため、自分のできることを尽くすまで…………

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