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『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
第5章 ~反撃開始! 沖縄・南西諸島を奪還せよ!~
63/168

〔F:Mission 11〕伊江島空挺強襲作戦

―AM11:20 伊平屋島より北北西15海里地点上空1,500ft

 日本国防陸軍第1空挺団第1普通科大隊第1中隊第1小隊所属C-2輸送機機内―





『よし、降下完了。降下5分前』


 コックピットからだった。

 さっきまであった降下するときの内臓が浮くような若干感覚は覚めました。結構気持ち悪い。


「了解した。……よ~し、てめえら! 今のうちに最終確認だ! 武器弾薬パラシュートをチェックしろ!」


 隊長の異性のいい声が機内に響いた。

 その姿はすでに私たちと同じく迷彩服にヘルメット。

 背中にはパラシュートを内蔵したバックを背負っている。


 そして、その顔はいつにも増して気合が入っていた。いや、無駄に入っていた。


「了解!」


 私を含めてこの場で威勢のいい返事である。

 隊長はすぐにほかの指示を出した。


「半沢。味方の状況はどうだ?」


 小型の情報端末を開いていた彼に聞いた。

 アイパッドそっくりのを少し小さくした感じの薄型端末で、小型の、といっても別に戦地には持っていかないけどね。降下するときはここにおきっぱ。


「順調です。味方は戦力をいずれも増強しつつあり、糸満市と八重瀬町の南部は完全に制圧しました。うまくいけば今日中に那覇市に到達できます」


「上々じゃねえか。こっちも負けてらんねえな」


 向こうは朝っぱらから進軍しまくってたこともあって、結構なスピードで絶賛進軍中です。

 こっちは味方の援護も大量にあるし、奪還云々の関係で士気はうなぎのぼり中。

 対する向こうはさっきから退いたりばっかしてるからたぶんいろいろどうするか迷ってるか、そもそもやけになってるというか、いろいろあきらめてるというか。

 ……そりゃほかからの支援がなければやる気も起きないわよね。士気も駄々下がりだわ。


 今からいく伊江島もそんな感じかな。しかも、すぐ近くに本島あるとはいえ回りは海に囲まれた離島だし。


 降下地点まであと……、


『降下3分前。……ん?』


 またコックピットからね。


『今航空支援に当たっているF-2から連絡があった。降下地点周辺、および進軍ルートにいる敵部隊を最大限排除。対空火器も全滅させた』


「了解。これで安心して降りられるってもんだ」


 F-2が降下支援に当たってくれてるみたいね。

 そういえばあれ対地攻撃もできたっけ。対艦攻撃がとんでもなくやばいって昔から何度となく大樹兄さんが言ってたからそのイメージが強かったけど、そういえばあれ戦闘機といいつつマルチロールなのよね。

 思い出した思い出した。


 そうしているうちに時間がたつ。

 眼下には伊江島の横に少し長い島……、が、あるはず。


 見えないんだもの。仕方ないね。

 

『降下1分前』


「了解」


 そうすると隊長は後部ドアを開いた。

 強烈な風が入ってくる中、そこから少し身を乗り出して、下と周りを確認。

 空挺に際して安全が確保されているかの確認だった。


「問題はなし……、か。よし、おいてめえら!」


 隊長が振り返ってまた威勢のいい声が響く。


「これから俺たちは降下を開始する。今までやつ等のやりたい放題だったが、ついに俺たちのターンだ。俺たちは鳥になって、敵を島から追い出すぞ! 勝手に人ん家に侵入する不届き者には容赦するな! 徹底的に追い返してやれ!」


「おう!」


 私を含むこの場にいる全員の威勢のいい返事。

 ある意味決まり的なアレで、まあ士気を高揚させるというか、鼓舞するというか。


 一応最後の最後に身の回りをチェック。

 ヘルメットは固定したし、武器弾薬もオーケー。パラシュートも新品同様だしいける。


 ……さて、こっちは準備オッケー。バッチコーイ!


『降下10秒前。……鈴鹿隊長、御武運を』


「あいよ。空の上から見守っていてくれ」


 降下の体制を整えた。

 ほかの機でも同じ状況のはず。


 ……そして、


『……よし、時間だ! 言って来い!』


 いざ、鳥になる時!


「よっしゃあ! 時間だ! いけいけいけ!」


 先頭からどんどんとドアから飛び降りる。

 瞬時にパラシュートが開かれ、それぞれで目標降下地点に向かう。

 ……といっても、この機体に乗ってる人は私含めて全員同じ場所に下りるんだけど。

 私にも順番が来る。

 思いっきりドアから飛び降り、すぐにパラシュートを展開。

 猛烈な風を受けつつ、必死にパラシュートを操作。これは訓練で幾度となくやってやり方叩き込まれたからいやってほど覚えてる。もう体自体が覚えた。


「……お?」


 ふと、空の一点を見る。

 そこには複数のF-15MJ戦闘機。一応彼らが私たちの乗ってるC-2をここまで護衛してくれた。


 その部隊、確か友樹兄さんが所属してる部隊だって話だったけど……、


「(……もしかして見えてるのかな?)」


 ……ま、でも向こうから見たら私たちなんて豆粒常態にしか見えないだろうし、そもそもそんな余裕ないかもね。


 とにかく、私はそのまま先頭の人たちについていって予定地点に降下していった。

 周りには青い機体。F-2の姿もある。

 彼らが援護している。ひとまず、降下は安心ね。








「……ふぅ、なんとか降りられた」


 とりあえず、予定降下地点に無事下りることに成功。

 さっさとパラシュートを切り離して身の回りの点検。

 ……うん。問題なし。

 降下の途中着地直前に対空機銃ぶっ放されてヒヤッとしたけど、すぐに鳴り止んだ。

 F-2がすぐ近くを通っていたから、たぶん機銃なりなんなりで処理したんでしょうね。あれはたぶん最初の撃ち漏らしかなんかね。


「よし、降下完了だ。全員降りたか?」


 同じく無事に降り立った隊長が確認した。

 すぐに副隊長である羽鳥さんが肯定で答える。

 一応、隊長が最後に降りてきたこともあって、事前に点呼はすばやく済ませていた。


「大丈夫です。全員います」


「よし、ではすぐに行動を開始だ。まずは500m先の森林壁部に急ぐ」


 隊長が身の回りの点検をしつつ宣言すると、彼を先頭にすぐに移動開始。


 今ここにいる伊江島リリーフィールド公園から、木々の壁が立ち並んでいるところまでは約500m。

 とりあえず、そこで確か……、


A-1アルファ・ワンよりノーティス、聞こえるか? 状況報告を頼む」


 そうそう。先遣隊としてきていたノーティスに状況報告をしてもらうんだったわね。

 ノーティスっていうのは第1空挺団所属の偵察小隊。

 先にここにヘリボーンで降り立っていて、そこで進軍経路の敵情偵察等をしている。

 ……まあ、空から見れば余裕ではあるんだけど、陸からも念のためね。


『こちらノーティス。A-1へ。今俺たちは合流地点ジョイントポイントより南400mに位置。現在所定どおり後退中。オーバー』


「了解。そこで落ち合おう。今から向かう。A-1アウト」


『了解。ノーティスアウト』


 とりあえずここから南進。

 さっき言った場所に行って、ノーティスと合流します。


「えっと……」


 HUD展開。

 左目におかれた防弾仕様にもなってる小型ハーフミラーに必要情報が表示。

 同時にHUDを操作してサーモグラフィーモードに設定した。

 これによってその向いた方向の熱源を探知する。これで敵がいるかどうかを調べる。

 ……敵か味方を判別できないのがたまに傷だけど。

 有効視程は200m。


 ……え~っと、


「……前方200mに敵影なし」


「こっちでも確認した。前進開始。遅れるな」


 伏せていた身をすぐに起き上がらせ、さっさと前進。

 もちろん、身の回りの周辺警戒は怠らない。


 周りを見渡していると……、


「……あんまり被害はない?」


 ここいら辺が田園地帯だったりなんだったりと特に何もないからでしょうね。

 味方の対地支援も届かなかったみたい。

 運がいいんだかどうなんだか。


 しばらく進むとさっき言った合流地点。

 そこにはすでにノーティスらしい人影が複数人伏せていた。

 その隣に同じく伏せる。


「どうだ? 状況は?」


「ああ、来たか。空軍がだいぶ減らしてくれた。だが、1km先から敵が進軍しつつある。今援軍を呼んだ」


「誰が来る?」


「米軍のAH-64Dアパッチ部隊だ。コールサインはノーマッド。彼らが俺たち陸軍の進軍の航空支援をしてくれる。何かあったら頼れ」


「わかった」


「……じゃあ」


「?」


「……俺たちは、次にくるBブラボー部隊の進軍経路の偵察に向かう。ここは俺の故郷なんだ。必ず取り返してくれ」


 ちょちょちょちょ、そのタイプの会話は作戦終わってからやれと親に教わらなかったの?

 ……まあ、親というか、ゲームとか?


「わかってる。俺たちに任せてくれ」


「ああ。……じゃあ、頼んだぞ」


 そういって隊長さんを先頭にこの場を離れた。

 ……フラグにならないことを祈るわ。


 え? 今の私の言葉がとどめ? そなば~かな。


「よし、では進軍に移るぞ。……ノーマッド、聞こえるか?」


《こちらノーマッド2-2。どうぞ》


「こちらA-1。進軍経路の状況を教えてくれ」


《前方に敵軍接近。少数だ》


「了解。排除してくれ」


《あいよ。お安い御用だ》


 その瞬間、タイミングを見計らっていたかのごとく私たちの上をAH-64Dが低空飛行で通り過ぎた。

 複数機。5,6機くらいいたと思う。


「よし、いくぞ。おくれるな!」


 私たちは隊長先頭でまた走り出した。

 森林を抜けると広い田園地帯。いたるところ結構な平原状態。


 私たちはそこを走りまくった。

 上空は対地支援のF-2やAH-64Dがいた。


 城島まできたときだった。

 目の前に高い山が聳え立つ。

 これはこの島のシンボルで、古くから航海の目印になっていたり、住民の信仰を受けたりしていた。


「……ッ!?」


 そこから、今度は銃撃だった。

 幸い命中弾はない。すぐに伏せて身を隠した。


「くそっ! 山からかよ!」


 思わず羽鳥さんが叫んだ。

 なるほどね。上からなら狙いやすいし、こっちも狙いにくい。

 一方的とはまさにこのこと。


「ノーマッド。山から攻撃されている。何とかしてくれ」


《ッ! ……確認した。2-4、やれ》


 すぐに山の陰から1機のAH-64Dが出てきて、いくつかのところに機銃掃射。

 たまにロケット弾も撃っていた。

 ……あんまり傷つけないでね。これ、住民の大切な山だから。


《……よし、クリア。いけ》


「サンキュー。進軍再開」


 伏せていた身を起き上がらせ、また走り出した。

 東のほうをとおり、ホテルヒルトップを過ぎてさらに南下。

 伊江中学校を右に見、途中のT字路の出口にきたときだった。


「……ッ! まて」


 隊長が制止を促す。

 それに応じて私たちもすぐに銃を構えつつ泊まり、隊長は少し顔を出して左側を見た。


「……かすかにだが、敵だ」


 敵の確認。私たちも身構える。

 あの方向は、確か伊江村立診療所があった場所。

 その影から狙っている?

 ……困ったわね。ここまできてあんまり敵の攻撃を受けたくはない。


「ノーマッド。敵を確認した。排除してくれ。データを送る」


《……確認した。2-5を向かわせる》


 すぐに援軍はきてくれた。

 AH-64Dの機首下部から機銃が発射された。

 かすかにだけど、悲鳴っぽい声も聞こえた。

 ……まあ、聞いて気分のいいものじゃないわね。


「よし、今のうちだ。走れ!」


 即行で隙を見て走った。

 右側に南につながる道がある。

 そこに逃げ込むと、また南に向けて南進した。


 伊江島も南端にたどり着き、民宿かりゆしの前に来ると、陰に隠れて無線を開いた。


「こちらA-1。A-2、3聞こえるか?」


《A-2、聞こえます》


《A-3、よく聞こえます。どうぞ》


「よし、配置についたな? これより合図とともに突入する。ここからは時間が勝負だ。各自すばやい行動を」


《A-2了解。お任せを》


《A-3了解です。予定通りにやります》


 ここから、いよいよ予備司令部に突入する。

 目標は伊江港ターミナル。そこに、敵の予備司令部があるという情報があった。


 上空からAH-64Dが援護する。といっても、室内は無理だからそこからは私たちの仕事ね。


「よし、いくぞ……。GO!」


 隊長の合図とともまた走り出した。

 上空にいたAH-64Dも一斉に火砲を放ちまくり、こっちの突撃を援護。

 同時に、同じく東の民宿ぎぼのすぐ南の道路にいたA-2、西の大口開発ポートサイド給油所にいたA-3も突撃を開始した。

 ターミナルまでの道中は問題なかった。AH-64Dが始末してくれた。

 上空援護さまさまです。

 ターミナル前にいた敵を何人か排除すると、いっせいに中に突入した。

 玄関から入ると早速敵のご歓迎を受ける。

 激しい銃撃戦が展開された。


「隊長、ここは俺たちが引き受けます。隊長たちは地下へ」


「わかった。援護を頼む」


「了解。A-2各員、A-1が突入する。制圧射撃開始!」


 A-2の援護射撃の元とにかく中に突撃。

 事前に中身の見取り図を読んでいたからどこをどういえかばい以下は熟知している。

 すぐに階段から、一番近いところを通って地下に突入した。


 階段を下りるといくつかの通路を回りまくって、一本の通路につながる。


「……奥からも挟めそうだ。羽鳥、お前と何人か連れて向こうへ行け」


「了解。よし、お前らいくぞ」


 羽鳥さんが別働隊としてここを離脱した。

 この通路、少し長いS字になっているけど、向こうからも通れるからはさめるかもね。


 もちろん、この通路に敵がいないわけがないわけでして。


「よしきた、総員、よく狙え。射撃開始」


 敵に対して射撃を開始。

 相手は少数。すぐにやれる。


「……そこ」


 私もすぐにガンサイトで敵を狙い撃ちする。

 89式もなかなか命中性いいわね。使い勝手がよくて助かる。


 反対側からも射撃が来た。

 ただし、S字だからこっちには弾は飛んでこない。


「……よし、クリア。いくぞ」


 敵を全員始末すると、いそいで置くに走り出す。

 反対側にいた羽鳥さんたちも来た。

 扉の前。

 本当はここは地下の倉庫だったんだけど……、


「……いくぞ。突入!」


 隊長と羽鳥さんが息を合わせて扉を開けると、私たちはなだれ込んだ。


 中に入ると、そこは少数人の中国軍人と、通信機器らしいものが乱雑におかれていた。

 ……そう。敵も目立つところにはおかず、こういう地下においていたみたいね。


 抵抗しようとする護衛の兵士を前に、隊長が先手を打ってすぐに制止をかけた。


「動くな! 我々は日本国防陸軍第1空挺団だ。お前らの逃げ道はもうない。おとなしく投降しろ」


 そりゃね。ここ、地下だし。出入り口ここしかないし。


 それは敵もわかっていた。一人が手を上げると、周りもそれに続いた。




 こうして、伊江島での予備司令部強襲は、敵司令幹部の投降という形で一応の幕が下りた。




 ……けど、


「はぁ!? 市民を閉じ込めたぁ!?」


 思わず隊長の叫び声。


 その相手は、この予備司令部の司令官らしき男だった。


「ああ。邪魔になるし、反乱を起こされては困ると思って、学校施設に全員閉じ込めた。えっと……、確か、伊江中学校だったか」


「それ、俺たち途中と追った場所じゃ……」


 羽鳥さんが言った。

 そうよ。途中私達通ったわよ? 伊江中学校。

 あそこに市民いたの……? めんどくさいことするわねほんと。


「おいおいマジかよ……。まったく面倒ごと増やしやがって。、仕方ない。一部はここに残ってほかはそっちに向かうぞ。おい、羽鳥、無線でほかの部隊にも報告だ」


「了解。……あー、A-1より全部隊へ。こちらで……」


「よし……。残るやつは決まったな? じゃ、後のやつは俺について来い」


 そういって隊長はここを出る。

 即行で誰が残るか決めたときもう一部の人がここに残るって決めちゃってたので、結果的に私は中学校のほうへ向かうことになった。


 ……はぁ、開放したからやっと休めると思ったのに……、








「……もう少し時間かかりそうね……、これ」










 とりあえず、それじゃもう一仕事してきますか…………

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