表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
第5章 ~反撃開始! 沖縄・南西諸島を奪還せよ!~
62/168

B艦隊行動開始

―AM09:42 沖縄米須海岸南東8海里地点 B艦隊揚陸部隊旗艦『かが』―






「……とりあえず、第1派はこれでオーケーか……」


 私は目の前を海岸向けて航行するLCACを見つつそういった。

 同時に、右袖で額の汗もぬぐう。


 北方の艦隊が敵をひきつけてるその間、私たちは南から、あ、というより南東から、揚陸艦隊をまかなって沖縄南東に赴いた。

 敵が全然いない。向こうは衛星が使えないって話らしいし、たぶん北方の敵を主力と勘違いしたんでしょうね。

 全然護衛の皆さんの仕事がないわ。せいぜい哨戒のヘリがうっとおしいって理由で速射砲ぶっ放して終わりだったわね。


 ……で、その間の私たち。


 揚陸艦としてきてるから、中からさっさとLCACなり輸送ヘリなどを出して目的地に送る。

 目の前の……、米須海岸に。


 とりあえず、その艦隊概要を書いておきましょう。


【日米連合Bブラボー艦隊(南方進軍主力艦隊)所属艦概要】

旗艦:ニミッツ級CVN『76“ロナルド・レーガン”』(全体・米軍艦指揮艦)

空母:いずも型CVL『184“かしはら”』(日本軍艦指揮艦・若干陸上兵力搭載)

   ひゅうが型CVH『182“いせ”』

揚陸:あかぎ型CVL『188“あかぎ”』

         『189“かが”』(日本軍側揚陸艦隊司令艦)

   おおすみ型LST『4001“おおすみ”』

          『4002“しもきた”』

          『4003“くにさき”』

   ブルー・リッジ級LCC『19“ブルー・リッジ”』(米軍側揚陸艦隊司令艦)

   ワスプ級LHD『6“ボノム・リシャール”』

   クリーブランド級LPH『9“デンバー”』

   ホイッドビー・アイランド級LSD『42“ジャーマンタウン”』

                  『48“アシュランド”』

ミ巡:ながと型『185“ながと”』(日本水上艦隊支援旗艦)

       『186“むつ”』

   タイコンデロガ級『54“アンティータム”』(米軍水上艦隊支援旗艦)

           『67“シャイロー”』

ミ逐:アーレイ・バーグ級『56“ジョン・S・マケイン”』

            『63“ステザム”』

            『82“ラッセン”』

汎逐:しきなみ型『120“あやなみ”』

   あきづき型『117“すずつき”』

        『118“ふゆずき”』(対地支援艦隊旗艦)

   たかなみ型『110“たかなみ”』

        『111“おおなみ”』

        『112“まきなみ”』

   むらさめ型『104“きりさめ”』

        『106“さみだれ”』


 ……以上の28隻という超大艦隊。

 異様にイージス艦が多いのはそもそもアメリカがイージス艦持ちすぎなのが主な原因。

 さすがアメリカ。いろいろ反則だわ。

 また、本当は第7艦隊の旗艦はブルー・リッジなんだけど、あっちは揚陸艦隊の指揮で手一杯になるだろうし、それにこの大部隊を指揮するには艦隊内で中心となるであろう艦にやらせようということで、急遽ロナルド・レーガンに旗艦を任せることになった。


 ほかのここに出ていない艦は日本海側、ないし太平洋日本沿岸に出て警戒中。

 朝鮮半島も半分支配下に置かれているし、南下の弾みでそっちに弾道ミサイルとか飛んでいったらまずいしね。

 残りのこんごう型2隻とともにそっちに向かっている。


「……ん?」


 すると、私の上をバラララッととローターの回る音を鳴らしながら飛んでいく航空機。

 両主翼の先にローターついたやつが先頭で、その後ろから機体前後にローターがあるやつ。


 V-22オスプレイに、後はCH-47JとJA……、だっけ?


「……昔はあんなのなかったのに……」


 未来の技術力か……。いつの間にあんなの作るまでに進化したんでしょうね。

 まあ、私たちもそのおかげで空母から揚陸艦兼軽空母になったんだけど。


 いやー最初あの時はびっくらこいた。

 垂直に着陸する戦闘機やら、ホバークラフトだとかいうのを使って空気で海面ちょっと浮いて走るLCACなんてはじめてみたわよ?

 それが何であんな早いのよ。私が前世でいた時代の駆逐艦とかより余裕で早いじゃない。

 ……空母もホバークラフトだったら……、あ、いや、大きさ的に無理ね、うん。


『カガ1-6ワン・シックス1-8ワン・エイト発艦。次の機確認してください』


「?」


 唐突に無線が聞こえた。

 まあ、私とて艦魂だし、一応艦の無線も傍受……、ていったら言葉悪いけど、とりあえず聞くことはできる。

 甲板上を見ると、そこからさっきのオスプレイが3機同時に飛び立ったところだった。

 主翼を可変して水平にするとそのまま高速で目的地へ。

 そして、艦の後方には着艦待ちしていた3機ほどのCH-47JA。

 見事に艦と平行になるように一列に並んで左舷若干上方でホバリングしていた。


『カガ0-8ゼロ・エイトからかが管制コントロール着艦許可要請リクエスト・ランディング


『かが管制コントロールよりカガ0-8ゼロ・エイト着艦番号ナンバー2へ着艦』


『了解。着艦番号ナンバー2』


『カガ0-9ゼロ・ナイナーからかが管制コントロール着艦許可要請リクエスト・ランディング


『かが管制コントロールよりカガ0-9ゼロ・ないなー着艦番号ナンバーは……』


『次の機来ます! 搭乗部隊の方準備を!』


 無線が騒がしいわね。というか、にぎわってるわね。

 その間にも、ヘリや先に出ていたLCACの先遣が帰ってきてはそれぞれの揚陸艦に戻っていった。

 ……まあ、私のはさっき出て行ったから少しの間帰ってこないけど。


 とにかく、甲板上は結構大忙しね。

 乗員があわただしく動いてる。


 ……なんとなく、


「……昔思い出すわね……」


 昔も似たような感じだった。

 艦載機を発艦させるとき、大量の乗員がこうやって動いてたわね……。

 そうやって準備できた艦載機が飛んでいくのも、何度もみた……。


「……生まれ変わってもこうやって空母をやってるあたり、運命なんでしょうね」


 高速戦艦になると思ったら廃棄の危機に立った後に空母になって、そして沈んで転生した後もまた空母……。しかも、揚陸艦機能付き。

 もはや運命ね。空母に好かれてるんだわ私。


“……こちら第7艦隊旗艦『ロナルド・レーガン』。揚陸艦隊旗艦『かが』へ。状況は?”


 いきなり無線とは違った声がする。

 ロナルド・レーガン。第7艦隊の旗艦を勤める正規空母ね。

 私の前世がこれだったけど、アレとは比べ物にならない。

 今のこの姿でさえ前世の姿に匹敵するのに、あれなんて300m越えとかふざけてるのってレベル。

 ……これでも私は軽空母って言われるのにね。ほんと、時代の変化ってすごいわ。


「こちらかが。作戦は順調よ。みんな沖縄に降り立っているわ」


“了解。……でも、そろそろ敵もやってきてもいいころよね?”


「ええ。……ここから辛くなるかもね」


“でしょうね。……はぁ、ほんと……、”






“さ~、苦戦(さくせん:作戦)するぞ~? ……てな感じでね”







「…………」


 ……おかしいわね。ここ南国沖縄なのに、しかも今夏真っ盛りなのに寒気を感じたわ。

 空も雲は少しあるけど、日は見事に照ってるわよ? そんでもって、今午前だけど太陽しっかり上がりきってるわよ?


 ……寒いわ。南国なのに寒いわ。誰かコート頂戴。


“……あれ? ウケなかった?”


「今ので受けると思ったの……?」


“ぐぬぬ……、もう少し改良が必要か……”


「しなくて結構」


“いや、もう作戦は始まって……”


「決行じゃない!」


“最近血流悪くてさあ……。もう年かな?”


「血行でもない。あとあんたまだまだ若いほうでしょうが」


すると、


“あ……、そういえばここいら辺フェリーいないですね”


「欠航じゃな……、ってそれふねである私たちが言っちゃ不謹慎でしょうがあかぎさぁぁあああんッ!!」


 私と同じく揚陸艦隊所属のあかぎさん。

 かつて前世では一航戦を構成した相方……。なんだけど、


“……流れ見たら乗らざるを得なかったのよ。後悔はしてないわ”


“お? 航海だけに?”


“そうそう。まあ、このネタとある友人の艦の乗員さんのネタなんだけどね”


“へ~。中々やりおる。メモメモっと……”


「し な く て い い わ あ と ち ょ っ と 黙 れ !」


 ……こんな方です。

 いざ本気になったらかっこよく指示出したりとかするのに……、暇なときはいたってフリーダム。

 ……なんでこうなったのよ。


 第7艦隊旗艦のロナルド・レーガンさんもしかりよ。あの艦、やるときはやるのにそうでないときはしゃべる内容といったら大半が今みたいなギャグよ……。しかも、結構寒い。

 ほんとに海面凍って艦航行できなくなって欠航するわよ? 割と本気で。

 それで誰が困るのよ……。ええ、誰でもない人間よ人間。


 ……はぁ、これだからアメリカンは……。


「あのね……。二人とも今は作戦中なんだからもう少し真剣に……」


“まあまあそういいなさんなって。私のギャグ結構人気あるんだし”


「あるにしても今言わなくてもいいでしょ……」


“まあまあかがさん。昔から言ってるけどあなた真面目すぎだから……”


「逆にあかぎさんはフリーダムすぎるでしょ……」


 陸では今もなお敵が攻勢を仕掛けてるってのに、この海ののんきさ……。


 まあ、人間からはわかりっこないけど、これどうなのよ……。


“まあまあそういうなかが。少しはリラックスしたほうがちょうどいい”


「そうは言うけどねながとさん……」


 今のはながとさん。前世では国民的戦艦で、聞いた話では私たちが沈んだあの後もこれといった戦闘に借り出されずに終戦を迎えて、その後核実験の標的にされても中々沈まずに日本人ならぬ日本製戦艦としても意地を見せ付けたらしい。

 ……誰よりも日本を愛しているながとさんらしい。

 周りからも慕われて、クールな一面をもつ真面目な方。私の尊敬する艦でもある。


“かの古の時代から“ユーモアを解せざる者は海軍士官の資格なし”という言葉が人間の間で言い伝えられているくらいだ。少しくらいのユーモアももっていて問題はない”


「まあ、別にユーモア自体を否定はしませんけどね……」


 程度ってもんだあるんですよ。程度ってもんが。


“でも日本のお笑いジャパニーズ・ユーモアって難しいねぇ……。中身が深いというか、意味の内容が浅はかでないから深く考えないといけないと言うか”


“なぞかけとか難しくない? あれどうやって言葉見つけろと……”


“わかるわぁー。マッキー前挑戦したけど三日坊主になったんだっけ?”


“だって言葉見つからないんだもん……、わかるわけないよ”


“はは、まあねぇ……”


「あんた達は何を学ぶ気なのよ日本から……」


 艦である私たちがお笑い学んでどうするのよ。

 ユーモア大事だけど日本のお笑いというよりそれ単なる文化じゃないの?


“こちら対地支援旗艦ふゆづき。旗艦、聞こえますか?”


 すると今度は沿岸部から。

 ふゆづき。あきづき型の4番艦で、今対地支援艦隊の旗艦を勤めている。


“はいはーい、なんでござましょ?”


「なにその返事どこから学んだの……?」


“データリンクで対地支援射撃のデータ送りたいんですけど、これ……、対象エリア多すぎてどこから狙えばいいのか……”


“そんなのとりあえず進軍経路一体にぶち込んじゃっていいんじゃない? 地雷仕込まれてるかもしれないしそれ排除にも使えるわよ?”


“了解”


 指示自体は今みたいに的確なのよ。指示自体は。

 確かに、迷ったら敵が出てこない限りは進軍経路一体に満遍なく打ち込んだほうがいい。さっき言ったように地雷仕込まれてるかもしれないからそこに誘爆させれば地上部隊に警告もできる。


 ……それがなんであの性格なのか。私には理解不能だわ。

 やっぱりそこはアメリカンなのかしら。


 ……それにしても、


「……さっきから敵が全然来ないわね。そろそろ反撃してきてもいいころなのに」


 中国のことだ。そろそろ反撃の手立てを企ててもいいころあいなはずなのだが、全然こない。

 敵潜水艦の反応もない。


「あやなみ、そっち潜水艦いる?」


“え? いや、全然……。というか、艦隊の周り米軍のロス級原潜うようよしてますんで簡単に近づけないですよ?”


「ああ、そういえばそうね……」


 ロス級原潜。アメリカの原潜で、正式にはロサンゼルス級。

 第7艦隊には3隻いたはず。それが艦隊の周りを護衛しているって話だから、やっぱりそれらに近づきにくいのか、それとも北方にひきつかれているのか……。


“そういえば日本の潜水艦ジャパニーズ・ニンジャってどこにいるの? 作戦で全然聞かなかったんだけど”


「忍者って……」


 米軍艦の間で言われてるあだ名。

 日本の潜水艦の静粛性が抜群だってことから、それと忍者を掛け合わせたらしくて、別にいいのはいいんだけど、それ、本人達知らないところで言っていいのかしら……。


「作戦には聞かされてないけど、たぶんそこいら辺遊弋して敵潜駆逐してるところでしょう」


“ふ~ん……、まあ、中国の潜水艦結構うるさいからすぐ見つかるかな?”


「どうでしょうね……」


 油断は禁物。中国とてそれを承知だろうし、たぶんいろいろ戦術は仕掛けてくるでしょうしね……。


 ……彼女らの無事を祈るわ。


“……、あ!”


“? どうしたの?”


 またふゆづきの声。対地支援中だったけど、一体何が?


“奥のほうから小型目標複数確認! えっと……、あ、これヘリですね。あと、さらに奥から榴弾砲と思われる飛翔体も確認しました”


“ヘリかぁ……、護衛とかは?”


“ありません。それも、少数だけです”


“Wow……。敵さんも必死みたいだね”


 護衛無しにヘリを送るなんて……。

 とにかく対地支援を行なわせたいんでしょうけど、それならなんで空軍なりの護衛を待たないのかしら。

 いくら時間をかけられないとはいえこれは自殺行為じゃないの?


 ……まあ、私たちが知ったこっちゃないけど。


“榴弾、まもなく弾着します。弾着地点、米須海岸近辺一帯”


“とにかく制圧射撃しまくる気ね……”


 とにかく撃ちまくってこっちの進撃を遅らせるつもりね。

 理由としてはたぶん、北方で進軍中の部隊からの援軍が到着するまでの時間を稼ぐため。

 それ以外考えられないわ。


 そういっている間にも、榴弾は弾着。

 データリンクでこっちでも確認した。やっぱり、さっきふゆづきがいったあたりに弾着している。

 中々狙いは正確。衛星は使えない、そして弾着観測担当のヘリすらない状態でよくもまあそこまで……。


こちらズィスイズ司令部エイチ・キュー、上空援護の各部隊に告ぐ』


“お?”


 唐突なレーガンからの無線。これは乗員のほう。


『目標座標を送る。敵ヘリ部隊と奥地の榴弾部隊を撃破せよ。地上部隊の進軍を遅らせてはならない』


 どうやら攻撃に移るみたい。

 同時に、こっちでも動きがあった。


『かがより全機、ロナルド・レーガンからの指令に我々も続く。目標座標に従い目標を攻撃せよ』


 日本側も動いた。

 すると、上空で護衛についていた戦闘機たちの一部が一斉に沖縄方面に向かう。

 大方、例の指示通り敵ヘリ部隊、榴弾部隊を撃破するためでしょうね。


 全部F-35。……ていうらしい。

 中々高性能ではあるけど、つい最近まで開発が完了してなかったり金がかかりすぎていたとかどうとか。

 まあ、私には関係ないことだけど。


“動いたみたいね。……後は、戦闘機に任せよ”


「そうね……。空は向こうに一任しましょう」


 その間、私たちはとにかく敵からの襲撃にあわないように監視の目を……。


“……あ~、”


「?」








“暇だよあかぎぃ~~~~~”


“ほんとですよねレーガンさぁ~~~~~~ん”


「あなた達に慢心って言葉の意味を身をもって教えてあげましょうか?」











 ……後で本気で殴り飛ばそうかしらこの二人…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ