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『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
第5章 ~反撃開始! 沖縄・南西諸島を奪還せよ!~
53/168

〔F:Mssion 6〕反撃の号砲! B-2奇襲爆撃

―AM05:45 沖縄県那覇市南東55海里地点上空1,500ft

                   B-2『AV-8〝Spiritスピリット ofオブ Missouriミズーリ〟』―






GuamグアムHQエイチキューより『B-2爆撃隊スピリット・ボンバーズ』全機、作戦通りの行動に入れ。爆撃は今から5分後だ》


 HQしれいぶからの指令だ。

 ついに日本政府がオーケーだしたな。

 よし、そういうことならさっさと行くとするか。


「『Spiritスピリット ofオブ Missouriミズーリ了解ラジャー。これより爆撃に向かう」


 俺は無線でそう報告しつつ、さらに指示を出す。


「『Missouriミズーリ』より『Californiaカリフォルニア』、及び『Southサウス Carolinaカロライナ』。作戦行動開始指示発令。各自目標地点に向かえ。爆撃は今から5分後」


《『Californiaカリフォルニア』、了解ラジャー


《『Southサウス Carolinaカロライナ了解ラジャー。爆撃に向かう》


 一応俺はこの爆撃隊の隊長機を務めているため、ほかの僚機に指示を出し、爆撃に向かわせる。

 すると右サイド後方で同じく低空飛行していた『Californiaカリフォルニア』は少し右に旋回してカデナ基地に向かった。

 シモジシマに向かう『Southサウス Carolinaカロライナ』はそのまま単機で低空飛行しているころだろう。


 俺達は元から低空飛行中なので、そのままの針路で飛行。

 こうやって低空で飛行しているのも、敵のレーダーに見つかるのを防ぐため。

 低空ならレーダーの隙が多い。それに、このB-2はそうでなくてもステルス性は抜群だ。

 下手なことしない限り、敵に見つかることはない。


「隊長、この航路と高度を維持してください。爆撃1分30秒前になったら12,000ftに上昇を」


「了解した。爆撃1分30秒前だな」


 いったん高度を上げないと満足に爆撃できないからな。

 1分前。そのころには目標が視界に入ることだろう。

 俺達の目標はナハ空軍基地。

 そこは民間空港も隣接しているようだが、そこに敵戦力が大量にいるらしい。


 そこを爆撃して、敵航空戦力を基地ごと再起不能にする。


 それが、俺達に与えられた任務だ。


「(……この後の反撃に重要な任務だ。何としても成功させなければ)」


 この爆撃の成否によって今後の反撃の戦況が左右されるといっても過言じゃない。

 重大な任務を前に、俺は思わず汗を拭いた。

 ヘルメットやら酸素マスクやらをしているだけによけい汗をかく。何度も経験したことだが、やっぱり簡単に慣れれるもんじゃないな。


「……あ、機長、東の空が」


「? ……お、上がってきたか?」


 東の方角、向かって左斜め前の方向を見ると、空が明るくなってきていた。

 といっても、太陽はまだ出ていない。おそらく、その光が漏れているのだろう。


 しかし、なんとも美しい光景だ。今日は空は曇ってないし、むしろ雲がほとんどない。

 季節的には結構珍しい。ここいら辺は早けりゃ今あたりから台風タイフーンの時期だろうに。

 ……神様も反撃を歓迎しますってか? 確かに、絶好の反撃日和ではあるな。


「……今日もいい天気だな。この日に反撃を始めれるとは、なんとなく幸先がいい」


「ええ。まさに、反撃日和。そして俺達は、絶好の爆撃日和ですね」


「ハハハッ、まあ、そうだな。……そして、敵にとってはとんでもない日になるんだろうな」


「まずはB-2の爆撃これを使って向こうをたたき起こしますよ。そろそろ起床時間ですね」


「だが、あいつらのことだ。いくらか寝坊するんじゃねえか?」


「だったら、むしろこれを使って目覚ましかけてやりましょうよ。奴ら絶対おきますよ」


 ハハッ、爆撃で目覚ましか。面白いこというじゃないか。


「ずいぶん物騒な目覚ましだな。だがまあ、あいつらにはこれがお似合いか」


「そうですよ。こんぐらいしないとあいつら起きないでしょうし」


 そういって俺たちは思わず笑い出した。

 爆撃の目覚ましなんて、そう滅多に経験できることじゃないしな。


 感謝しな中国人チャイニーズ。せっかく目覚ましかけてやるんだ。しっかり起きろよ?

 ……尤も、当たり所によっては永遠に眠ってる羽目になるかもしれんがな!


「……ん?」


 そのとき、俺はレーダーに一つの影を確認した。

 大きめ。これは……、艦か?


 ……ゲッ、マズッ。


「まずいな……。目の前に艦だ」


「艦? ここいら辺に味方がいるわけないですし、ということは……」


「ああ……。たぶん、中国の艦だ。おそらく、沿岸警備でもしてるんだろうな……」


 困ったな……。今さら針路変更しても絶対音でばれるだろうし、いや、下手したらもう音聞かれてるか?

 レーダーは……、こいつのステルス性を信じるか。音だけならまだ向こうの判断を遅らせられる。


「どうします……? 敵に知られてはまずいですし、かといって今から針路変えたって……」


「う~ん……」


 さて、どうしたものか。

 やっぱり今からでも針路変えるか?

 ……いや、音を聞かれて不審に思われて通報されて終わりだな。

 じゃあこのまま突っ切るか? いや、ただそのままでいくのもまずいな。


 ……よし、仕方ない。


「もうまもなく敵艦の上を通るな?」


「はい。もう1分をきりました」


「よし、爆弾槽を開け」


「え!? こ、ここでですか!?」


「そうだ。敵艦を低空で爆撃していく」


「ええッ!?」


 敵にばれないようにするには、こうするしかない。


 え? 隠密はどうしたって? 本丸のほうにばれなきゃ隠密なんだよ。ばれなきゃ。


「で、でもどうやるんです?」


「マニュアルで爆撃だ。いつでも爆撃できるようにしておけ」


「マニュアルって……。つまり、爆弾を落とせる状態にしたまま、通り魔的に落とすってことですか?」


「そうだ。通り魔だ」


「しかし……、それだと爆弾無駄にしますよ?」


「10発だけでいい。タイミングを合わせてその10発のうちどれかを当てる」


「でも散布界ってのがあって……」


「神に祈れ」


「えー……」


 とにかく、今はこれしか方法がない。

 低空から今すぐ上昇しても旋回しても意味ないならこれしかないんだよ。

 時には賭け事も大事だ。分が悪いときこそかけろ。


「とにかく爆撃準備だ。爆弾槽は開いたな?」


「は、はい。大丈夫です。……爆弾、投下用意。いつでもいけます」


「よし……。ッ! 見えた!」


 ちょうどいいときに敵艦が見えた。

 小さめ。少しばかり旧式か? 俺海軍関係詳しくないからよくわからん。


 ……まあいい。ちょうど向こうもノロノロと動いていやがる。

 これなら……。


「速度を上げる。タイミングを聞き逃すな」


「り、了解」


 俺は左手でスロットルを前に倒し、低空飛行のまま増速する。

 速度が上がって背中から押される。

 敵艦がよく見え始めた。

 ここまで来ると向こうも見え始めたはずだ。


 朝だからということで、向こうも対応が〝主に寝起き的な意味で〟遅れてることを祈る!


「いくぞ。……3、……2、……1、……ナウ!」


投下ドロップ!」


 そして10発だけ爆弾を落とした。

 向こうは対空火器を打ってくる暇すらなかったみたいだ。これなんて幸運だよ。


「……どうだ?」


 そのとき、敵艦のすぐ上を通り過ぎたと同時に、大きな爆発音が聞こえた。

 所々に水柱。それも結構でっかい。


 弾着だ。あたったか?


 相方が目の前のディスプレイを操作して、後方に向けられているカメラを見て確認する。


 ……すると、


「……ッ! あ、あたってます! 2,3発命中! メインマストとか、あと艦橋あたりから火が!」


「ぃよっしゃあッ! やったぜ!」


 どうやらうまくいったみたいだな。

 スロットルを引いて速度を落とし、俺もディスプレイを操作して後方カメラを見ると、確かに火が上がっていた。

 もろにヒットしたらしい。周りは何本か立っている水柱が崩れ始めていたが、艦からは赤い炎と煙が上がっていた。

 そして、さっきまで聳え立っていたメインマストが崩れていた。


 よし、これで少なくとも通信は出来なくなった。

 安心して爆撃に迎えるぜ。


「よし、じゃあ改めて沖縄に向かう。爆弾槽も閉じておけ」


「了解」


 爆弾槽を閉じ、そのまま低空飛行をしつつ沖縄に向かった。




 ……そして、爆撃1分前。


「1分前です。上昇を」


「了解」


 1分をきったところで、俺は操縦桿を引いて機体を上昇させる。

 もう目の前にオキナワ本島が見えていた。爆撃目標は目前だ。


 高度をしっかり上げきると、眼下にはオキナワの街並み。

 ……といっても、もう攻撃されまくってひどい有様だがな。


「うわぁ……こりゃひでぇな……」


「まったくです。せっかく今年オキナワ観光しようと思ったらこんな有様にしやがって……」


「なんだ? お前そんな予定立ててたのか?」


初耳だな。こいつオキナワに興味あったのか。


日本人の友人ジャパニーズ・フレンドがいまして。前に誘われたんですよ」


「ほ~う……。そいつ、オキナワの奴か?」


「いえ、アオモリ出身なんですが、今オキナワに観光に来てるらしくて。……あいつ、ちゃんと避難したかな……?」


「神に祈りな。……とにかく、もうすぐ爆撃だ。JDAMに誘導諸元入力」


「了解。JDAM諸元入力」


 今回腹に抱えて持ってきたのはJDAM化させたMk.82 500lb通常爆弾だ。

 元々は無誘導爆弾だが、JDAMを搭載したことにより誘導爆弾とすることも出来る。

 その搭載数、ざっと80発。

 だが、最初敵艦攻撃のために10発使ったから今あるのは70発だな。


「爆撃30秒前。爆撃針路固定」


「30秒前。爆撃針路固定」


 ここまできたら無理な進路変更はできない。

 爆撃に支障が出る。この針路を維持しないといけない。


 ……にしても、


「……あいつら、まだ起きないのか?」


「みたいですね。基地のほうを見る限り、防空機は上がってきませんし、そもそも全然動きありませんし……。やっぱりまだ寝てるんですかね?」


「寝坊助さんめ。やっぱり目覚ましが必要だな」


「見たいですね。爽快に朝のご挨拶と行きましょう」


「ああ」


 絶対起きるぜこいつら。なんせ、Mk.82 500lb通常爆弾が70発だ。

 これで起きなかったらむしろ褒めてやるぜ。

 ……あ、流れ弾云々で永遠に眠っちまった奴は例外な。


「爆撃20秒前。爆弾槽開放」


 そういっているうちに、眼下に目標がはっきりと見え始める。

 ナハ空軍基地。未だに動きはない。

 ……いや、訂正。たった今気づいたらしい。

 なんか戦闘機が動き始めた。

 だが、焦りまくってるらしいな。一斉に動こうとしてなんかいろんなところで渋滞がおきてやがる。

 滑走路前に到達してすらない。


 ……まあ、どっちにしろ遅いが。


「爆撃10秒前。目覚ましかけるまでもなかったですね」


「じゃあ朝の挨拶代わりだ。たっぷり朝ごはんを召し上がりな」


「挨拶と朝飯ですか……。では、爆撃いきます」


 そんな冗談をいいつつ、


 ついにそのときが来る。


「5秒前。4……、3……、2……、1……、0!」


 さて、時間だ。


投下ドロップ!」










Goodグッ morningモーニンッ Chineseチャイニーズ!」












 爆弾が投下された。

 爆弾槽から次々と投下された爆弾は、それぞれで指定された目標地点へを一直線だった。

 ある爆弾はエプロンへ。ある爆弾は2本あるそれぞれの滑走路に。外れたものは脇の芝生に落ちたりもした。

 しかし、民間空港で使ってるターミナルとかには当てない。あっちにはなるべく被害を出すなという日本政府からのお達しなんでな。


 下から甲高い爆発音がしまくる。

 少々派手にやりすぎたか? だがどっちにしろ今頃下は地獄か。

 あんだけ落としたんだ。とにかく空軍基地としての能力を奪うには十分だろう。


 相方もカメラを通じて下の光景を確認した。

 そして、確信したように言う。


「爆撃成功。ナハ空軍基地の能力は完全に奪いました。滑走路からエプロンまで完全に破壊しましたよ」


「よし。じゃあこんなところに長居は無用だな。さっさと帰るぞ」


「了解」


 俺は機体を左に翻した。

 針路はグアム基地。作戦成功。勝利の凱旋だ。


 同時に、俺は無線を開く。


GuamグアムHQエイチキューThisズィス isィズMissouriミズーリ』。敵空軍基地の爆撃完了。航空基地としての能力は完全に破壊したと認める。映像は今会い方が送るからそれを確認してくれ」


《了解した『Missouriミズーリ』。……今映像が来た。確かに破壊されているな。よし、帰頭を許可する。RTB》


了解ラジャーMissouriミズーリ』。……派手にいっただろ?」


《ああ。これでこの基地は使い物にならない。ついでに、ここにおいてた航空戦力もな》


「ほかはどうなんだ?」


《ほかの2つもうまくやってくれた。というか、お前らが最後だよ》


「はは、こりゃ失礼。……とにかく、しっかり向こうに報告しとけよ?」


《わかっている。とにかく、基地に帰頭せよ。GuamグアムHQエイチキューOutアウト


了解ラジャー。『Missouriミズーリ』,outアウト.」


 無線をきる。

 これで空からの影響力はほぼ完全に消えたな。

 反撃に出る日本も、これで安心して部隊を動かせるってもんだ。


「……お?」


 ふと、右側を見たときだった

 そこは東の空。


 太陽が、その身を地平線から乗り出していた。


「(今現在6時過ぎ……。はは、もうそんな時間だったか)」


 ここいら辺ではこの時期はこの時間帯の日の出だったな。

 空高く飛んでいる飛行機の中から朝日を拝めるとは、今日は運がいい。


「綺麗ですね……。東からの朝日、自分始めてみました」


「ほう、早起きしてみたことないのか」


「全然。テレビとかで見たぐらいで。……やっぱり生のは綺麗でいいですね」


「ああ……、まったくだ」


 天気のいい今日は特にそうだ。

 やっぱり、こういう日に朝日を拝めるのは実に気分がいい。


「……いよいよ始まるんですね。反撃が」


「ああ。号砲はさっき鳴らしたからな。向こうにも届いてるんなら……」


「今頃、行動を始めているところでしょう」


「ああ……」


 俺はディスプレイを操作してカメラの映像を出す。

 そこには、未だに炎と煙を出しているナハ空軍基地の姿があった。

 ズームすれば、エプロンや滑走路とかで兵士達が必死に火を止めにかかっているのも見えた。

 しかし、炎の勢いが強すぎるらしい。中々消えない。


 無駄なことだ。簡単に消える代物じゃねえんだよこれは。

 それに、航空燃料とかそこらへんにも引火しただろうし、それもあって今すぐには消えない。


 まあ、消えたところでその空軍基地はもう使えないがな。


「……さしずめ、この煙が向こうに反撃を伝える狼煙か」


 思わず、それを連想する。


「これがですか。となると、向こうはこれ見えますかね?」


「まあ、見えはしないだろうな。しかし、反撃の狼煙にはピッタリの煙だ」


「……まあ、いえてますね。確かに」


 相方も思わず相槌を打った。


 と、そのとき、


GuamグアムHQエイチキューより『Missouriミズーリ』、合流ポイントを指定する。合流ポイントはE13エコー・サーティーン


 司令部からだ。

 合流ポイント。同じく爆撃した僚機共とのだな?

 俺はすぐに返答する。


了解ラジャー。合流ポイント、E13エコー・サーティーンに指定」


 まあ、このまま直線で大丈夫だな。


 俺は無線を切ると、改めて相方に指示を出す。


E13エコーサーティーンに向かう。航路打ち込んどいてくれ」


「了解。……とりあえず、俺達の仕事はこれで終了ですね」


「ああ。後は……、」










「向こうに任せるとしよう」













 そういって、俺達は一路グアム基地へと帰頭した…………

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