表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
第2章 ~動き出した影~
27/168

佐世保にて

―7月17日(金) PM12:20 佐世保海軍基地 DCGやまと艦橋―




「お疲れ新澤、そろそろ休んで良いぞ」


 同僚にそういわれたため、お言葉に甘えてそろそろ休憩に入る。


 昨日中に佐世保に移動した俺達は、正式に佐世保第2艦隊の第6戦隊の所属となった。


 といっても、今週末の体験航海が佐世保だったためむしろラッキーだった。

 いちいち移動する手間が省けるってもんだ。

 もちろん、体験航海の日程には影響はない。

 ゆえに……、






「明日の航海ってこの航路でいいのか?」


「ああ、隊列乱さないようにな。お前も交代入ったらやるんだからな」


「了解」


「プレートの枚数足りてる? 今の内に刷っとかないとコピー機使う奴で渋滞するぞ?」


「艦橋に使う奴はそれでいい。後はその奴だろ」


「外といったら前甲板の主砲のプレートって……」






 そんな感じでまだ金曜日だというのに簡単な準備をし始めた。


 体験航海は日曜日。つまり明後日。

 時間的には今からどころか明日からでも十分間に合うのにな。

 皆始めての体験航海だけあって生き生きしすぎてるわな。まあ、俺もだが。


 で、そんで午前中からさっきまでずっと働きっぱなしの俺は同僚に言われて休憩に入ります。


 というわけで、またもや人の気がはいっていない右舷見張り台です。


 ここからは佐世保に同じく寄港している艦が並んでいます。

 それも新鋭の奴ばかり。

 こんごう型2隻だろ。これはまだいいだろ?

 でもながと型とかあかぎ型とかいるんだぜ……?

 最新鋭が勢ぞろいです。本当にありがとうございました。


 見張り台の手すりに若干前のめりに寄りかかる。

 そこには、バースをはさんですぐ隣からさっき言った最新鋭艦が揃っていた。

 堂々とそこに座っている。


「……ほんと、これだけ最新鋭艦が揃うと壮観だな……」


 どっかの某シューティングゲームでは敵の隊長さんが味方の大編隊を見てジェントルマンが揃って壮観だとは言っていたが、この場合は鋼鉄の戦乙女が揃い“すぎて”壮観だわな。


 ……つっても、あかぎ型以外は並んでるのイージス艦ばっかで、それもやまと以外はどれも似たり寄ったりな形で大まかには見分けがつかないがな。


 ……ていうか、


「……俺ほかのもみえんだよな。まさかこの艦のもまで……」


 艦魂のことだ。

 俺だって横須賀いたときはほかの艦の奴らともコミュニケーションできたし、他の基地だからって見える艦が限定されてますなんて今さらないだろうに。


 ……つっても、自分から行くわけにもいかないしな。向こうから来るのをしばらく待ちますか……。


「……さて、暇だけどとりあえずほかの艦でも眺め……」


 そういいつつふと右横を見たときだった。


「……ん?」


 その方向は少し下の甲板に繋がる階段があったり、艦橋上に繋がるこれまた階段があったりするのだが、その方向から一人の女性である。

 誰かを探してますといわんばかりに周りを見渡していた。


 綺麗な人だな。国防軍服で少し金髪気味か。それもセミショートのさらに短い感じですか。

 でもって若い。大体やまとより少しお姉さんな感じだろう。


 にしても一体なんでこんなとこ……。


 ……おい、


「(……ちょい待てや。この特徴いくらでも見たことあるんだが?)」


 てかなんで今の今までなんとも思わなかったのか俺。

 見たら即行で見当つくだろうってぐらい見てきたはずだが?

 いや、むしろこの特徴に慣れすぎてなんとも思わなくなった?


 ……まて。落ち着くんだ。もしあれだとすれば頭に……、


「……い、」






「173……?」







 頭の向かって右側に白く数字をあしらった髪飾りです。

 それはやまとたちの間では艦番号と同じになっています。


 ……待つんだ。173だと?

 艦番号173といったらあれだよな?

 てことはちょいまて。この金髪がかった髪ってところからも艦名との関係性つくぞ?

 あれの元ネタってあれだろ? あれなんだろ?


 ……さっきからあれあれうるせえよ俺。


 その人はこっちに向かってきていた。

 いや、正確には方向的にか。

 ただ単にこの見張り台を通り過ぎるだけらしい。

 つまり、俺の後ろを通る。


 ……よし、


「……実験の時間だ」


 今までの経験上間違いないことだが、とりあえずやってみるか。

 まずはあれだ。見えるかどうかだ。

 あと正体が本当に奴かどうかだ。


 俺はタイミングを見計らって声をかける。


「あのー、すいません」


 しかし、彼女はそのまま俺の目の前をドスルーである。

 目もくれなかった。

 ……うん。まあ、この時点でもうすでにお察しだがな。あれ確定だがな。


 しかし、もう一度呼び止めようとしても絶対股無視されるようなことは確実である。

 ……よし、


 前にやまとが話していたことが本当だとすると、これなら……、


「……あの、そこにいる若くて金髪がかった髪をした国防軍服を着ている……」


 その時点で艦橋内に入ろうとした彼女の足がぴたりと止まる。

 しかし、こっちには振り向かない。


 ここぞとばかりにとどめである。


「……えーっと……、」






「綺麗で御美しい方」


「私ですか私のことですよね私のことなんですよね?」


「ええそうです私のことですですからそんなに顔近づけんでくださいお願いします」






 次の瞬間には俺の顔の目の前にFace to Faceである。

 目にも留まらぬ速さ。こいつ、一体どこにそんな瞬発力を?


「え、えっと、本艦にはどのような御了見で?」


「あ、すいません友達探してまして。お気になさらず」


「ああ、そうでしたか。これは失礼」


「どうも。では、私はこれで」


「ええ。お疲れ様です」


 そういうと彼女はまた艦橋内のほうに入っていった。


 ……さて、じゃあ俺は再びこの壮観な景色を楽し……、













「ってちょっとまてぇぇぇぇえええええいい!!!!」


「デスヨネーーーーーーーーーーーーーーーー」















 もちろん見逃してくれるはずもありません。


 ですよね。そうきますよね。

 自分的にはもう正体わかったので十分なのですが。

 あと、そのあなた曰く友達ってこの場合あいつでしょ? 間違いなくあいつでしょ?

 楽しみにしてましたよ? あなたに会うの。今からつれてきましょうか?


 でも、そんなことを考えてる日まもなく彼女は俺のまたもや目の前に戻ってきて質問攻めである。


「ちょ、ちょっとまって!? あ、あなた私が見えるの!?」


「ええ、見えます。見えますが何か?」


「いやいやいやいやいやいや! なにか?でなくて! な、何で見えるんですか!?」


「その質問をあなたあたりにそのまま返したいんですがね」


 俺だって聞きたいです。何で見えるんです俺?

 誰のせいでしょうね? 神のいたずらですかね?

 神様曰く、


「もう艦魂同士や人間同士の掛け合いも飽きた!」


とか言ってわざと俺に見えさせるようにしたんですかね?

 まあ、俺の爺さんの時点でフラグ立ってましたがね。立ってましたがね。


「いやいや冗談は良いから。……でもなんで見えるのよ?」


「いやだからそれこそ俺だって聞きたいんですって……」


 ふむ……。まあ、理由とかそこらへんに関してはまた後にしよう。絶対この後無限ループだ。

 ……確認を取ろう、


 いや、もうほぼ確定だから断定付けよう。


「……確認ですけど、」


「はい?」


「あなた……、」






「こんごう型イージスミサイル駆逐艦1番艦『こんごう』の……、艦魂ですよね?」






「……う、」


「?」








「うわぁぁぁぁああああえええええええええええ!!!!????」








「ぬあぁッ!? な、なんすかいきなり!?」


 一気に顔面蒼白になったと思ったら、文字に出来そうで出来ない叫び声を俺の間近で発しながら後ろにあった艦橋の壁にまで一気に下がって背中からぶつかった。

 そして、その体は結構震えていた。

 いや、怯えてるって感じか?


「え、な、なんでわかるの!? なんて知ってるの!? え、ちょっとまってこの人怖い! マジで怖い!」


「ええッ!? 俺そんなこわらがれるようなキャラじゃないですよぉ!?」


 驚きすぎたようです。

 一回りして、いや、もう二周り位して怖いの感覚で捉えてしまったようですな。


 ……なんでしょうこの俺がお化けで向こうが怯える女子高生みたいな構図。

 この場合どう考えても俺が変態的立場になってしまう。

 勘弁してくれ。俺はあいつら見たいにはなりたくない! 俺は変態ではないです!


 というかどっちかって言うと立場逆でしょう。あなたがお化けというか魂で俺が怯えはしないけど驚く一般男性でしょうに。


「お、落ち着いてください……。ただ単に見えるだけです。あと、その頭の173の数字からそう察しただけです。……で、あなたの反応見る限りどうやらそれがあってたみたいで……」


「あ、あたってはいますけど……。え、見えるんですか?」


「見えなかったらあなたと俺は一体誰と会話してるんです?」


「デスヨネー……」


 そろそろ落ち着きを取り戻したらしい。

 とりあえず、その場で身のほこりとかを払って一言挨拶した。


「あ、え、えっと、始めまして! こんごうです! 以後、どうぞよろしくお願いします!」


 礼までしてくれた。でも直角90度である。


「どうも。しがないやまとの操舵員である新澤大樹ってものです。階級は少尉」


「ど、どうも……。でも、私たちが見えるって新澤さんは一体何者なんですか……?」


「何者も何も、さっきも言ったようにただ単なるしがない操舵員の一般男性人ですが……」


「ん な わ け な い で し ょ う が !」


「……一応否定はする気ないです」


 まあ、この点に関してだけでも俺はある意味では一般人ではないわな。うん。


「な、なんてこったぃ……。これやまと知ってるかな……?」


「ああ、あいつのことですか?」


「……え? 〝あいつ〟?」


「ええ、あいつです」


「……え? あいつ呼び?」


「まあ、自分は」


「……え、知らないであいつなんて呼び方はしないし、まさか……」


 すると、


「大樹さーん」


「?」


「え?」


 噂をすればなんとやらってやつである。

 あいつが艦橋から出てきた。


「さっきから叫び声がすごいんですけど一体何事で……、え?」


 そのとき、彼女、ことこんごうさんとやまとの目が合った。

 一瞬互いに固まる。

 そのままの静止の時間。


 ……え、なにこれ。俺どうすりゃ良いの?

 俺も固まってれば良いの?


「……こ、」


「……や、」


「……え?」








「こんごうさぁぁぁあああああん!!!???」


「やまとぉぉぉおおおおおおおお!!!???」


「うるせぇぇぇええええええええ!!!!!!」









 いきなりの互いの登場にびっくりのようです。

 というか今日は大絶叫が多いな。

 しかも俺の間近である。

 耳が悪くなる。耳鼻科待った無しである。


「こ、こんごうさんもう来てたんですか!?」


「え、昨日からいたけど……」


「え!? こんごうさんたち呉基地組って明日じゃありませんでしたっけ!?」


「それ舞鶴よ?」


「アレー……、ソウデシタッケ……?」


 なぜ棒読みなのか。

 悪いが呉基地組はもう到着しています。こんごうさんは数年前の憲法改正に伴う艦隊再編制で呉に異動になっています。


「と、というかその前に! この人! この人私たちが見えるんだけど知ってたの!?」


 こんごうさんが俺を指差してやまとに聞いた。


「? あー、まあ知ってましたよ。一応は」


「いつから?」


「え?」


「いつから知ってたの?」


「え、ちょ」


「いつから知ってたの!? この日といつから私たち見えるの!? それとも最初から見えてたパターン突入!?」


「え、いや、その」


「いやその前に少し落ち着きましょうか」


 初めて人間を相手にするからだろうか。

 まだ完全に落ち着いてなかったようです。


「いや……、初めて私たちが見える人間でたから……」


「まあ、焦る気持ちはわかりますよ。私だって最初は……ねぇ?」


 そういって俺にアイコンタクトしてきた。

 ……うん。お前もお前で相当驚いていたな。あんま時間はたっていないのに懐かしく感じるわ。

 でもお前の場合案外比較的早く落ち着いてきたよな。こんごうさんと違って。


「まあ、俺も人のことは言えないけどな。……最初なんて誰でもそんなもんですわ」


「でしょうけどね……。これは心臓に悪すぎる」


「エンジン悪くなるかは機関科の人次第でしょうに」


「そっちの心臓ではない」


 はぁ、と一言ため息をつく。

 こんごうさんも叫びすぎたんですな。お疲れ様であります。


「……いや~でも、」


「?」


「久しぶりだね~ほんとに。今さらだけど元気してた?」


「ほんとに今さらですね。でもまあ、おかげさまで」


「横須賀だっけ?」


「はい。横須賀の第1艦隊です」


「へ~……。私も首都方面だったけど、あれいつの間にか近代化しすぎてない?」


「そりゃ未来ですもん。近代化とかしますって」


「ね~」


 楽しそうな会話でこっちも微笑みが止まりません。

 この平和をいつまでもすごしていたい今日この頃……、ん?


 ……ちょっとまて。




“いつの間にか“近代化”しすぎてない?”


“そりゃ“未来”ですもん”





 ……あれ? 生まれが現代のはずなのに、最初から現代生まれでその街並みとかには違和感感じないはずなのにこれはなんだ?

 未来って、いやいやあんたらそんな昔に生まれたわけでもないのに何をいって……、


「ていうか、考えたらいつ以来だっけ? やまとと会うの」


「そうですね……、ざっと思いついただけでも、」






「確かマリアナ沖海戦の時以来でしたっけ? あの『カンビア・ベイ』沈めたときとか」





「(……え!? マリアナ!?)」


 まて、マリアナ沖海戦ってレイテ沖海戦での……。


「あーそうそれ。ていうか、あれって結局誰沈めたの?」


「さあ……? あのときの私の主砲弾って軽空母相手だと貫通確実ですよね?」


「だと思うんだけどね……? 羽黒あたりが最初に当てたとかって米軍の記録があるらしいことを資料室で見たけど」


「羽黒さんが? 私は利根さんあたりが敵艦命中の報告を受けていたのでそっちかなって思いましたけど確証が……」


 いやいやいやいや待て待て待て待て。


「あの、ちょっといいですかね」


「?」


「なに?」


「いや……、そのですね、さっきからマリアナとかカンビア・ベイとか言ってますけどね、二人とも……」






「第二次大戦時の記憶あるの?」







「……え? むしろ知らなかったの?」


「おもいっきり初耳ですけどぉ!?」


 初めて聞きましたですハイ。


 ていうかまって。マジで? マジで記憶あるの?

 思わぬ戦争の当事者がここに? こんなところに?


「……あれ? 言ってませんでしたっけ?」


「初耳です。おもいっきり初耳です」


「軍オタ系の人なのでそこら辺すでに察してるかと……」


「艦魂のことよく知らないのにそこらへん察せると思ってんの?」


「ていうか軍オタ系とかそういう人って即行でそういうの聞かないの……?」


「軍艦相手にそんな戦争系きけるかああああ!!」


「妙に律儀な軍オタの人ね……」


 しまった……うかつだったわ……。

 マジで第二次大戦とかの記憶ある人だったとか……。

 それなのに俺達……、


「……ぐはぁ……」


 俺は目の前の露天艦橋の手すりに前のめりで寄りかかった。

 手が手すりから飛び出してグテーンと力なく下に垂れる

 あと顔も微妙に。


「え、ど、どうしたんですか?」


「いや……、かつての戦争でいろいろと命張った艦の生まれ変わりの乗員が……」





「こんな若気の至りすぎるフリーダムな奴らばっかで複雑な心境でさ……」





 なんとなく申し訳ありません。

 かつての乗員は死に物狂いの人たちなっかだったろうに、今の乗員は見てのとおりフリーダムです。

 ある意味たとえで言えば海原副長と潮崎航海長くらい違います。めっちゃ相対的です。

 どう見えてるだろうかその戦争の当事者からは……、


「……あー、えっと、その……」


「え、なに? やまとの乗員ってそんなに変わってるの?」


「えっと……、ゆ、愉快な方ですよ? ハイ」


 そんだけオブラートに包んでくれるだけあいつらはこいつに感謝してもらわねばならないだろう。

 優しい方でよかったですねほんとに。


「……むしろ良いな~そういうクルーって」


「え?」


 意外な言葉がこんごうさんから出る。

 そういうもんか? うらやましくなるほどでもないぞ?


「昔なんていろいろと硬すぎなのよ。もう少しユーモアがあるというか、いくらか明るめの人のほうが好きよ、私は」


「はぁ……、そうですか」


 案外これも良いのだろうか。

 ……しかし、あいつらの場合程度ってもんをだな……。


「……あ、そ、そういえばですね」


「?」


 やまとが話題転換に来たらしい。

 ……やはり戦争系の話継続はまずいか。


「こんごうさんのとこ明後日の体験航海準備良いんですか?」


「明後日でしょ? 別に今日から出なくても良いじゃない。……って言わんばかりに休息してるわね。うちのクルーは」


「え? マジですか?」


「え?」


「……こっち始めての体験航海だけに張り切りすぎて今日から簡単なやつ準備し始めたんですよね……」


「え!? ほんとに!?」


「おかげで俺も午前中ぶっ続けだっただけにグテーと……。というか、俺が休憩には行ったときにタイミングよくあなたがここを通ってですね……」


「あー……、てっきり単に暇つぶしにここに来たのかと思ったわ」


「さいですか……」


 まあ、何も事情を知らなければそう考えるにも無理はない。

 というか、あんた一応俺のこと見てたんかい……。


「……でもいいな~、」


「?」


 いきなりこんごうさんがうらやましがる。


「なにがです?」


「だってさ、艦魂が見えるってことはやまとって体験航海中も暇しないわけじゃん?」


「まあ……、しないですね」


「ですな」


「いいな~……、これってアレでしょ?」


「?」






「航海する中人気のいない格納庫上に言って二人っきりに会ってイチャラブな展開なんでしょ?」


「「な ん で そ う な る か な あ ん た は」」






 いつぞやの恋バナ再来である。

 やっぱり艦魂の方たちって基本女の子同士の会話だから男性絡むと即行で恋バナに発展するのはもうテンプレ事項なんですか? そうなんですか?


「あのですねこんごうさん? 私たち別にそこまでの関係じゃないですよ? わかってます?」


「そこまで、ってことは普通の関係じゃないんでしょ?」


「なぜその考えにいたるのか」


「照れなくて良いって~。私は二人を応援するから♪」


「「し な く て い い で す」」


 されても困るし。したらしだでいろいろと困るし。

 ……はぁ、これはまた長い話になりそうですな……。


「え~、じゃあさ」


「?」


「……二人は互いにただの乗員と艦魂って関係だって思ってるの?」


「………………え?」


 とんでもない質問をされてものです。

 これが来るとは思わなんだ。


 ……どう答えれば良いんです? どう答えればいいんですかこれ?


「ど、どうって……、そりゃ……」


「え、えっと……、どうって言われても……」


 互いに顔を見合わせた。

 こいつの顔もう赤面してるよ軽く。

 ……いや、俺も人の子と言えないのかもしれない。自覚してないだけで。

 俺達互いにドギマギ中です。

 適切な答えが見つかりません。いろんな意味で。


「……ニヨニヨ」


「?」


「ニヨニヨ。ニヨニヨ」


 くそう、効果音つきでニヤニヤしやがって。

 ……なぜか効果音はニヨニヨだけど。


「……お、面白い方だなと……、うん」


「ま、まあ……、かわいくて明るい奴だなと……、うん」


「うん」


「うん」


 うん。


 ……、うん。


「ふ~ん……」


「……まだあるのか?」


 もうこれ以上は勘弁してくださいよ……。


「いや……、」






「本当にそれだけ?」


「「もう勘弁してください……」」







 しばらくこの方の恋バナに〝また〟付き合うことになる。










 艦魂は男性絡むと恋バナしかしないのかまったく…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ