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―5月26日(火) PM12:15 横須賀海軍基地 DCGやまと食堂―





「「「「「はぁぁぁああああーーーーー!!!???」」」」」


「うわぇい!?」





「「「「「お前艦魂見えるのぉ!!??」」」」」





「お、おう……、み、見えるけど……」


 いきなりの大絶叫ですまないな。


 食堂でカズたちと一緒に昼食後の一服中、後で後でといいつつ全然いう機会がないのでもうさっさと言ってしまおうと思って「俺実は艦魂が見えるようになったんだけどさぁ……」とかつぶやいたら、ここにいるやつはおそらく全員地獄耳を実装してるんだろうな。

 近くのやつはまあいいにして、食堂の隅にいるやつまでここにいる全員がいっせいに反応してさっきの叫び声である。

 まあ、今まで黙ってたのもどうせならみんないる前で行ったほうが楽だよなとか思いつつも全然その主要なクルーがそろうタイミングが来ないので後に持ち越しまくった結果なんだけどね。

 でも、今回は幸い俺たちいつものメンバーだけじゃなく、艦長や副長、航海長までいた。

 ナイスなタイミングできてくれたのでな。だからこそこの暴露にいたったわけだが……、


 ここまで反応でかいとはおもわなんだ。まあ、事案が事案だしな。


「お、お前……、今言ったことマジなのか!?」


 カズがテーブル越しに前のめりになっていった。

 ……少し落ち着け。持ってた空の紙コップ落とすなって。空だったからよかったけど。中身コーヒーだったろ? こぼしてたらめんどくせえことになるからやめてくれよ。


「まあ……、マジっちゃあマジだが」


「……今日はエイプリルフールじゃ」


「4月1日じゃないのはわかってるって。そんなうそ言ってどうするんだよ」


「……ッ!?」


 カズはそのまま固まった。

 ……よほど衝撃的だったらしいな。まあ、無理もないか。


「……だ、だがなんでいきなり……」


「そうは言われてもなぁ……。俺だってなんていきなりこうなったんだから聞きたいんだが」


 尤も、予兆はあったにはあったが。


「そ、それいつから見えたんだ?」


「2週間前の金曜日。……右舷の見張り台で休憩とってたら見つけたよ」


「……ッ!? と、ということはお前あのときの声って……」


 航海長が割って入った。

 ……まあ、そういうことよ。


「すいません。今までだましてました。航海長が聞こえた俺の声はおそらく間違いありません。単に、まだ公表する時期ではないと判断しただけです」


「な……、そういうことだったのか……ッ!」


「……ッ! そ、そういえば君少し前から……」


 今度は海原副長だ。

 ……おおう、理由は大体わかるがすっごい汗ですね。

 落ち着きましょうよほんと。


「……確か、声が聞こえたとかどうとか……」


「ッ!」


「ま、まさか……」


 ほかの乗員も思い出したらしい。


「……ええ、あれ、マジらしいです。俺の爺さんの言っていたことは本当だった」


「ッ……!」


「ま、マジかよ……」


 周りが大いにざわついた。

 ……まあ、こんな反応だろうなとは思ってたけど、ものの見事に予想通りだな。


「……ちなみに、それを証明することはできるか?」


「え?」


 そういったのは砲雷長だ。

 さっきからあごに手を当てて目を閉じて清聴していたが、そこでやっと口を開いた。

 ……証明ねぇ。


「いやいや砲雷長、こればっかりは今までの条件から見てもどう考えても……」


 そうカズが言ったが、砲雷長は一部否定した。


「確かにそうだが、だがまだ確信を持つには早い。俺たちには見えない存在だしな。どうにかして俺たちにも見えるように、せめて証明できるものがあればな……」


「しょ、証明って、一体どうやって……」


「う~ん……」


 証明か……。

 これはまた地味に難しい問題を突きつけられたな。

 ふむ……、どうやって証明しようか……、


「……あ、じゃあここの照明落としてみるとか?」


 すると、一人の乗員が提案した。

 そして、その指を差した先は食堂の天井。

 ……いや、その天井に取り付けられているLEDライトの照明だった。


「艦魂ならこの艦を掌握してるはずだし、できなくはないはずだ。または、そうでなくてもその身自身で電気を落としにいくこともできる」


「なるほど……。一番の方法かもしれない」


 砲雷長もそれで納得してくれたらしい。

 確かに、それが一番だな。

 艦魂は艦を掌握できるってことは前いなづまさんが勝手に増速したあのときに学んだ。

 あれは艦魂共通だ。つまり、やろうと思えば……、


「……で、どんなもん?」


 俺は小声で聞いた。

 あいつは今艦に戻っている。

 この場にはいない。


“大丈夫ですよ。なんでしたら今すぐ即行で落としましょうか?”


 やっぱり、普通に問題なくいけるらしい。

 食堂の電源は普通にこの食堂内にあり、普段は勝手に操作されないようにカバーがされてあるが、その場には誰も近づいていない。

 誰もがそこを向いて、誰もいないことを確認する。


「……なるほど、照明を落として証明するんですね。しょうめいだけに」


「「「「う ま い こ と 言 っ た つ も り か お 前」」」」


 カズが唐突に寒いギャグをおっぱじめたのをそこにいたみんなでツッコんだ。

 悪いが唐突な寒いギャグはNG。

 ……え? 人のこといえない? はてさてなんのことやら。


「じゃ、俺が手を上げたら電源落ちますんで」


 そうみんなに宣言する。

 そして、それは同時に向こうに対する合図でもあった。

 やまともこれをしっかり聞いているだろうしな。


「うむ、いいだろう。……では、頼む」


「はい。……では」


 俺はスッと右手を上げた。

 合図を送る。

 ……すると、


「……ッ! き、消えた!」


 食堂の照明がパツンッという音とともに消えた。

 一気にその場が暗くなり、明るい場所といったら通路とつながっている隔壁扉付近とその上の緑に光っている脱出口案内灯と、あとは自販機くらいだった。

 その瞬間、一気にその場が騒がしくなった。

 すぐに砲雷長が叫ぶ。


「お、おい! 誰か照明の電源落としてないよな!?」


「落としてません! というか誰も近づいてすらいませんよ!」


「すぐに確認してみろ、電源スイッチが落ちてるかもしれない」


「は、はい!」


 直ちに一番近くにいた乗員がカバーをあけて確認する。

 ……すると、


「……ッ!? で、電源スイッチは落ちてません! ちゃんとONのところにあります!」


「!? な、なに!?」


 え、ちょ、おいおいあいつ電源スイッチ自体を落とさなかったのかよ。

 てか、そんなことできるのかあいつ。


「え、お前電源スイッチ落としてないの?」


“だって一々落とすの面倒ですし直接こうしたほうが楽ですよね?”


「い、いやまあ楽っちゃあ楽だろうけど……」


“それにこれのほうが説得力ありますよ?”


「説得力ねぇ……」


 ……まあ、異論はしないよ。

 電源スイッチ落としてないのに勝手に俺の示したタイミングで食堂の照明消えるとか、どう考えても普通じゃねえしな。

 こっちのほうが説得力あるっちゃあある。


“じゃあまた電源つけますんで合図お願いします”


「あいよ。……じゃあ、またつけますね」


 そういって俺はまた右手を上げた。

 すると、今度はまたパツンッという音とともに照明がつく。

 とたんに食堂が明るくなった。


「……これで信じてくれますね?」


「あ、ああ……。どうやら、こればっかりは真実のようだな。信じざるを得ない」


 砲雷長も何とか信じてくれたようだ。

 同時に、これはこの場にいたやつでまだ疑問を持っていたやつのその疑問を払拭することにもなろう。


「……それにしても、」


「?」


 今度は艦長だ。

 さっきからテーブルにひじついてあごに両手を当てて同じく清聴していたが、ここでやっと口を開いたみたいだ。


「……どうやら、万物に神が宿るというのは軍艦にも適用されるらしいな。艦に宿る魂か……」


「……ですね」


 この神道を悟った人はこれまで想定していなかったろうがな。

 しかしまあ、さすがは日本といったところか。

 こんな軍艦にまで魂というか、神を宿すあたりほんといろいろとやばいわ。


 ……いや、わざわざ若い女の子を宿すあたり日本の神も変態なんだろう。うん。

 元からいろいろとアニメとかで変態やらかす国だし。まあ、俺的にはそんな感じにぶっ飛んでる日本が結構好きだったりするんだが。

 むしろ「いいぞもっとやれ(便乗)」といってやんよ。


「……これで私たちは確信したな。神道に伝わる万物の神の伝説は実在するとな」


「森羅万象に神が宿るといわれていますが、その万象って軍艦とかの機械も含まれるんすね……」


 森羅万象とはこの世、この宇宙に存在するすべての減少や存在の事を指し、森羅は自然全体のことで、万象はこの世にある現象やもののことで、軍艦とかはたぶん後者の万象に当たるんだろうけど、当のこの言葉考えた人絶対軍艦対象に入れてないよね。

 となると犯人は神様か。絶対遊び半分で入れたなおい。


「ある意味、さすがは八百万の神の国『日本』……、といったところか。中々面白い現実だ。私の人生でこの体験をするとは思わなかったよ」


 艦長がそう静かに言う。

 …すべて同意だな。俺だってこんな体験をするとはおもわなんだ。

 今後は八百万の中に軍艦も入れないとな。


「……しかし、実に気になるのは、」


「?」




「その彼女が一体どんな姿をしているかということだ」




「……あー」


 そういえばそうだった。向こうには見えないんだった。

 ……てかまってください艦長。それ言ったらまた……、


「短髪かどうか決着がつくということか」


「なるほど。これでやっと長髪クールであるということが証明されるわけだな?」


「いつの間にそっちで決まってやがる。ポニーテールという王道を捨てるとはどういう了見だ? うん?」


「「いつそれが王道になったんだよ」」


「今さっきだ」


「「ふ ざ け ん な し」」


「お 前 ら も う い い 加 減 黙 れ」


 というかまだ続いていたのか。そんなどうでもいい議論は。

 もう2週間以上もたったというのに。


 ……いいだろう。俺がそのどうでもいい議論に決着つけちゃるけんね。


「……まずお前らさ、」


「おう」


「……なぜかかわいくて幼いロリッ娘想像してたろ? どの派閥も」


「ロリは至高」


「ロリこそ正義」


「ロリは世界を救う」


「黙れ変態ども」


 クソッ、このクルーにろくなやつがいないのは知っていたがここまで変態だったとは。

 ……はぁ、まったく、


「……その時点でもうどの派閥も予測外れてるぞ?」


「「「…………え?」」」


「いや、え?、でなくて。……確かに見た目すこぶる若いけど、だからってさすがにロリってほどじゃないぞ?」


「ナ、ナンダッテー!?」


「俺的には大体女子高生の前半くらいだと見たが?」


「なん……、だと……ッ!?」


 おいお前ら、そんなにショックだったんか。

 そんなにロリッ娘出なかったのが残念で仕方なかったのか。

 やっぱり変態じゃないか(呆れ)


“あの、女子高生ってなんです?”


「後で説明」


“はーい”


 ……ってか艦魂って女子高生すら知らないのか。

 まあ、人間の事情を一々知ってるわけもないか。一々首突っ込むほどのことでもないだろうしな。


「……じゃあ髪は?」


「そこは短髪の勝利」


「「「「ひゃああああああああああ!!!」」」」


「その叫びは何だ……」


 一斉に短髪派のクルーの叫んだのがこれである。

 もはや文字でどう表したら適切なのかわからない。どんどんと壊れていくクルーたち。

 ……あ、もういろんな意味で壊れてるか。過去形か。


「ちょ、長髪じゃないだと……ッ!?」


「ぽ、ポニーでもないのか!?」


 落ち着け。そんなに詰め寄るな暑苦しい。


「……まあ、首から下に伸びてないしどこも結ってはいないな。そもそも結うほどの量の髪もないか」


「「ば……バカな……ッ!?」」


 そして二人そろってがっくりとひざを突いてうなだれる。

 ……なんか疲れてきたわ。こいつらの相手すんの。


「じゃ、じゃあこの質問はさせてくれ!」


「あん?」


「その娘ってさ……」





「胸ある?」


“「なんつう質問ぶつけてんだこのド変態”」





 珍しくあいつと一語一句意見があった。

 あいつが少し言葉荒れるとか相当だぞこれ。

 まあ、俺も人のことはいえんが。


「頼む! それだけはマジで気になるんだよ! それだけでもだな!」


「アホか! 何でそんな質問ぶつけんだ! どうでもいくね!?」


「健全男子なら少しは気になるところだろ!」


「知らねえよ! 俺が知ったこっちゃねえわ!」


 さて、これには一体どう返せばいいんだ……。

 というか、俺変向こうから変に見られることを恐れてあんま見てないぞ? 必死に顔見てるくらいだぞ?

 どうお答えすりゃ向こうの期待にこたえられるんねん……。


「……まずどういう形で答えりゃいいんだよ」


「カップでいい。AとかBとか」


「俺その基準しらねんだけど……」


 ぶっちゃけ女の胸のサイズとかどうでもいいからそんな知識持ち合わせてねえよ。


「最大がGで最小がAAだ。そうだな、基準としては……。あ、あの医務室の梓少尉いたろ?」


「ああ……、それが?」


 梓少尉ってのはうちの艦の医務室勤務の衛生科の人。

 まあ、学校で言う保健室の先生的立場の人です。


「……あの人の胸が大体Bだ」


「おう梓少尉が貧乳とかいうのやめろや」


 おい待てお前。その発言こそやめろや。


「……柏原。なんか医務室きてくれって伝言引き継いだんだがお前何かしたか?」


「は? なんだよこんなときに……」


「あ、ちょ、おま……」


 ……。


 ……うん、聞いてなかった。俺は何も聞いていなかった。いいね、俺?


「……で、それでどんなもんなん?」


「今のを基準にしろと……?」


「おう」


「え、えー……。す、すまん、ちょっと時間くれ」


「ん」


 その隙に俺は即行で本人に聞いてやる。

 俺が判断すべきことじゃねえわこれ。


「な、なあ、これなんて答えりゃいい? 本人の見解を聞きたいんだが」


“いや、わ、私だってどの答えが適切なのか……。というか、BとかAとかってなんですか?”


「バストのサイズの基準」


“……すいません、どれが適切かさっぱりです”


「デスヨネー」


 まあ、女子高生すらわからないあいつがバストのサイズを示す記号の意味を知るわけないか。

 ……え? なに? これつんでね?


“……とりあえず、そっちに任せます。私わからないんで”


「えー……」


 そうは言われても俺だってわからない……。

 え、えっと……、


「(……大体可もなく不可もなくだよねあれ……?)」


 といっても、記憶が曖昧だからわからんが……、

 ……う~んと……、


「……でぃ、」


「?」


「……Dプラス……ないし、Eマイナス……、くらいかな……?」


 俺の中で必死にサイズ測定した結果この答えが出た。

 ……誰か正確に測ってくれないとわからんなやっぱり……。


「……、ごちそうさまでした」


「何を食したんだよお前、妄想か?」


「おいしゅうございました」


「妄想がか?」


 こいつらの変態の度合いもせいぜいだが、まあこいつがそれでいいならいいわ。

 後は勝手に妄想しててくれ。


「……と、君たちそろそろ交代だぞ」


 とたんに、艦長がそういった。

 ……そういえば、食堂に来てからもうずいぶんと時間がたつ。

 そろそろ交代にはいらねば。

 ……ふぅ、やっと開放されるわ。


「(……さて、じゃ俺もそろそろ……)」


 ……しかし、ただでは開放してくれないやつが一人。


「……あ、じゃあ最後にひとついいか?」


「え?」


 最後の最後にカズが質問である。

 ……まずい。このパターンのカズはたいていろくなことを言わない。

 つまり、質問内容がヤヴァイ可能性大。


「……その娘さ、」


「?」





「ぶっちゃけかわいいか?」


“「今 度 は 何 聞 い て ん だ よ お 前”」






 さすがのあいつでさえお前呼ばわりだぞ?

 それだけいろいろとぶっ飛んだ質問だぞ? 俺にとっても本人にとても。


「それは確かに気になる」


「同意」


「で、実際どうなん?」


「おうあくしろよ」(←早くしろよの意味)


「さあ、詳細詳しく」


「わかったからお前ら詰め寄るな。近いって。めっちゃ近いって」


 ……で、変態どもが反応するから聞かれたくなかったのに……。


 う~ん、どうしたものか。こればっかりはさっきみたいにいかないし完全に俺の判断にゆだねられるが……。


……なので、


「……どういえばいい?」


“……”


「え、ちょ、待ってくれ。ここぞとばかりに沈黙は勘弁してくれ」


 待ってくれ。お前までそれはさすがに勘弁してくれ。

 助けてくれよ。お前艦だろ。ふねらしく助け舟出してくれよ。


「交代迫ってるんだ。はよ」


「はよ」


「はよ」


「はよ」


「はよはようるせえよお前ら」


 ……う~んと……、これはどう評価すれば……。

 いや、まあ本心はもう決まってるんですよ? でも本人いる前でこれを言っていいのか……。


「大丈夫。本人ならむしろお前の答えを期待しているはず」


「艦魂見えないくせに何を抜かすか」


 ぬぅ……、時間がないしな……。


 ……仕方ない。さっさと終わらすか。


「……えっと……」


「“お?」”


「おいお前ら」


 ……つかちょいまてや。何気にあいつまで反応してんじゃねえか。

 期待してんのか? 俺の回答期待してんのか?

 ……はぁ、


「……うん。まあ、かわいいですよ? 元気な方ですよ? それでおk?」


「どんな風に?」


「どんな風にってそれ分類あるの……?」


 これに関してどんな風にとか一番答えにくいんだが……、


 ……ええい、くそ、


「……笑ったときの笑顔がかわいくて笑ったらそれはそれでこっちも笑顔になるくらい周りに幸せ振り撒いてますよ? あと結構元気な方ですよ? ……、以上」


「「「「うへえええぃぃぃやああああああああ!!!!」」」」


「だからその叫び声は何なんだよ……」


 また言葉にならないよくわからない歓喜のような叫びを……。

 ……はあ、まあこれで収まるならいいか。


 ……本人がさっきからだんまりなのが気になる。

 絶賛見えないところで赤面中か? そこらへんは俺にはわからな……、


「では今後どんどんと笑顔を振り撒けばいいんですね?」


「ギャッ!?」


 と思ったら後ろに控えていたでござるの巻。

 ……むしろ喜んでやがった。よかったのかそうでないのか。


「……? もしかして後ろにいるパターン?」


「……まあ、そうだが」


「よし、お前ら崇めr」


「君 た ち さ っ さ と 交 代 に 行 き な さ い」


 艦魂=この艦の神様ないし魂であることからだろう。

 いきなり全員で五体投地で崇めかけるところを艦長がさっさと交代に行くよう促した。

 ……普段この若者のノリは静かに見守るあの艦長がツッコミをするほどめんどくさいんですねわかります。


「ちぇ……、まあいいや。とりあえず交代じゃ交代」


「桜井、機関室着いたらいつものチェックな」


「うぃ~っす」


 そして、それぞれで元の持ち場に戻り始める。

 ……さて、俺も舵交代しなけりゃな。


「大樹さん」


「ん?」


 とたんに、後ろからやまとに声をかけられる。

 ……なんですか? さっきのやつの関係ですか?


「私の笑顔って結構いけます?」


「……まあ、少なくとも俺的にはな」


「ほほう……」


 向こうはニヤリッとした顔をした。

 ……むしろ今ので自信持ちやがったのかい。まあ、ポジティブなのかなんなのかわからんがまあいいや。

 それはそれでこっちも気が楽だわ。


「……どうかしたのか?」


「? ……いえ、別に♪」


 そういってニッと笑って返した。

 ……別段悪い気分にはならなかったらしいな。むしろ気分上げ上げ状態だろう。


「? そうか、じゃ、俺は向こう言ってるから」


「は~い、がんばってくださ~い」


 そう軽く返したと思ったらまたいつものように光出して消えた。


 ……まったく、あいつも得な性格しやがるぜ。




 ……まあ、








「……それが俺的には結構好きだったりするがな」











 そんなことを呟きつつ、俺は艦橋に上がった…………

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