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『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
序章~すべての始まり~
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艦魂

―AM12:05 DCGやまと右舷見張り台―





 さて、突然だがここで世界史の勉強をしようじゃないか。


 かつての古代ローマ時代、後に古代キリスト教の神学者の一人として『アウレリウス・アウグスティヌス』という人物がいた。

 彼は後にラテン語圏におけるキリスト教の最大の影響力を持つことになるが、そもそもなんでキリスト教徒になったかっていえば、元はといえば当時マニ教を信仰してたけどいろいろあって幻滅していたとき、自宅近くを散歩中にお隣さんの子供たちが「Tolle,lege(とってよめ)」っていってたのを聞いて近くに落ちていた本を手にとったら、それは新約聖書の一書である『ローマの信徒への手紙』で、その中身の第13章13-14節「主イエス・キリストを身にまとえ、肉欲をみたすことに心を向けてはならない」を読んだ彼が「これは神からのお告げに違いない!」って思ってキリスト教になったっていう至極単純な理由だったそうな。

 でも、これが後にキリスト教教父時代の最大の貢献者となり、北アフリカでのキリスト教布教や、『告白』っていうマニ教からの自己回心の記録を赤裸々に書いた著書を書くほどの有名人になるんだから、歴史ってのは面白い。

 あと、『神の国』とか『三位一体論』を書いたのもこの人だったりする。


 ……まあ、つまり何が言いたいかって言うとだ。


 その出会いやそのきっかけって言うのは、突発的でしかもとんでもなく些細な場合が多い。


 今回のアウグスティヌスさんの場合だって、まさか近所散歩してたら新約聖書拾ったなんて前々から予想してなかっただろうし、そもそもの問題散歩自体をしなかったらキリスト教そのものと出会うことすらなかったかもしれない。

 しかも、その散歩中でもいきなり例の子供たちが通っていたから、びっくりはしなかっただろうけど何かと「?」って思ったかもしれない。あとそれをよく聞かずに「なにあの子供たちは?」とか思って終わりだったらまた歴史も変わってたかもしれない。

 これも、些細なきっかけである。


 でも、こういう〝些細な〟出来事のおかげで、後にキリスト教にとってとても重要な人物になるくらいの存在になることすらある。


 どれだけ偉大な人や有名人だって、最初はとっても些細な出来事から始まるんです。

 めっちゃ有名なハリウッド俳優や、身体能力がずば抜けてるトップアスリートだって、その俳優業やアスリート業に出会うまでのいきさつはとても些細なものに違いない。

 人々との出会いにもこれが言える。

 尤も、これはどちらかというと運命的な要素に近いが、まあどちらにしろ些細なことには変わりはないだろうな。


 出会いやそのきっかけ、タイミングってのは、誰もが予想できないときにいきなり、そして些細な形で起こる場合が多い。

 たいていの場合は、そんな感じだと思うんだよ。

 少なくとも、俺はそう思ってるし、世の中のきっかけ、出会いなんてそんなもんだろうと考えている。




 ……だが、




「……か、」


 ……どうやら、その考えを少し撤回させないといけないらしい。







「……艦魂……、だと……ッ!?」








 い く ら な ん で も こ れ は 唐 突 過 ぎ る し 


 そ も そ も 全 然 些 細 な こ と で も あ り ま せ ん 。






 俺は文字通りその場で固まってしまった。

 例えるとすればあれだ、人形だ。洋服屋とかで置かれてるサンプルコーディネート着せてるあの白い人形だ。

 あれの状態だよ。あれ見たくピクリとも動かないよ。我ながら。

 理由なんて言わずもがな。


 自らを艦魂と名乗る女の子が俺の目の前に現れたからだ。


 普通なら「あー、ハイハイ」で終わらせる俺だが、残念ながらその前の青白い光やらそこからの空間転移やらを見たらどうもそれを言う気力すら失せられたわけで。

 ……いくらか時間がたったろうが、少し現実を受け入れるのに時間をいただきたい。

 いまだに信じられないんだよ。ほんとにいたってことを。

そしてなにより……、


「(……爺さんの言っていたことは全部本当だった……ッ!?)」


 半信半疑から全信零疑にグレードアップです。


 大体一週間くらい前からのあの女の人の声。

 最近しつこくはなってきた。

 ……爺さんの言っていたことと見事にかみ合う。


 ……てことは……、


「(……爺さんマジで見たってのか……?)」


 ……にわかに信じられないが、つまりそういうことになる。

 嘘っぱちがこんな形で当たるわけはないしな。

 ……今まで半信半疑だったことを反省せねばならない。

 今なら確信はできる。こいつはマジもんだってな。


 ……だが、確認だ。


「……ほ、本物か?」


「本物です」


 そしてこの即答ですよ。


「……マジで?」


「マジで」


「……本気?」


「本気です」


「……これは夢かなんかですか?」


「いいえ、現実です」


「……俺は疲れてるのか?」


「知りません」


「アッハイ」


 ……何をしているんだ俺は。

 とりあえず落ち着け。落ち着くんだ。少し冷静になりなさい俺。


 ……ふむ……、さっきのを見ても、やはり本物と見たほうがいいが……、


「……まさか本当にいたとはな……」


「ふふ、びっくりしました?」


「そりゃな。逆にびっくりしないほうがおかしい」


 まあ、いたらいたでそれはそれですごいが。


「……てっきり不審者かと思ったよ」


「あなた曰くかわいらしい女の子がですか?」


「……まあな」


 俺は苦笑しながら言った。

 とりあえず、俺の右手のハンドガンはしまっとくか。

 俺はそこから手を離した。


「そりゃあんなところにいたら誰だって疑うよ。あそこにいつもいるのか?」


「ええ。あそこ、落ち着きますから」


「ほ~う。……となると、」


「?」


「……俺がいつもここで休息取ってたのは知ってたと見ていいパターンかな?」


 こいつがさっきいたところからなら、振り向けば十分俺が見えるしな。


「……まあ、そうですね」


「そうか。……お互い外で休息を取るあたり趣味合うわな」


 そういって俺は近くの手すりに前からよりかかった。

 彼女も隣に寄りかかる。


「えっと……、あ、そういえば自己紹介まだだったわ」


「?」


「えっとさ……、俺のこと一応知ってる?」


「いえ……航海科の操舵の方ってくらいしか」


「あ、そうか」


 さすがに名前までは知らんかったか。

 そうか。では自己紹介しとかねばな。


「一応、面と向かって言うのは初めてだし、はじめまして、だよな。俺は……」




「新澤大樹。階級は少尉だ。よろしく」




「……え!?」


「え?」


 ……うん? 何か驚く要素あったか今の?


「……あ、新澤?」


「ん、新澤」


「……」


 そしたら今度は少しうつむいたよ。

 ……え? 俺何かしたの? 割とマジで心配になりました。


「……どうかしたのか? 俺変なこと言った?」


「え? ……あ、いえ、大丈夫です。お気になさらず……」


「はあ……」


 そういってまたうつむいた。

 ……な、なんだかよくわからんがあんまり突っ込まないほうがよさげと見たわ。

 ……って、なんか妙な空気になってしまったな……、


「……な、なんだなんだ。せっかく出会えたのに、妙な雰囲気になっちまったぜ。うん?」


「え?」


 俺はこういう空気は好きでないのでな。

 さっさと変えさせてもらうぜ。もちろんいい意味でな。


「せっかく出会えたんだ。もっとこう、明るくいこうぜ、なあ?」


そして、向こうに軽く笑って見せた。


 そしたら、向こうも笑って返してくれた。

 ……素直な方だ。笑顔もかわいい。


「……とりあえず、ひとつ聞きたいんだけどさ」


「はい?」


「……めっちゃ初歩的な質問何だけどな、そもそも艦魂ってなによ? 厳密には」


 一番聞きたかった質問をぶつける。

 大雑把にはまあわかるんだが、厳密なところだと前見たく人によって解釈が違ってくるからよくわからないんだな。

 とりあえずそこをはっきりさせたい。


「えっと、まあ簡単に言えば呼んで字のごとくです。艦自身です」


「艦=艦魂とみていいのか?」


「そんな感じです」


「ふ~ん……」


 ……とりあえず、艦自体の魂という解釈でよさそうである。


「いや、人によって解釈が異なるからさ……。そこらへん確立させとこうとな」


「はは……、まあ、誰も見たことないですしね」


「俺以外はな」


「まあ」


 今ここで俺は初めて彼女を視界に捉えたわけだしな。

 これでこのあいまいな解釈も解決だな。


「……あ、そうそう」


「?」


「……さっきの青白い光何よ? 空間転移かなんかか?」


「あー……、まあ似たようなものです。艦魂が持ってる能力みたいな」


「空間転移がか……。まあ、実体のない魂だからそこらへんはできて当たり前かね?」


「ですね」


「ひゅ~……」


 しかし、考えてみればやばいことだな。

 いくらなんでも空間を即行で転移するとか、普通に考えたら度肝を抜くようなことだ。


「……ふ~」


「? どした?」


「あ、いえ……。少し緊張してまして」


「へ? なぜに?」


「いえ……、よく考えてみたら人間の方と話すの何気に初めてなので……」


「……あー(汗」


 そういえばそうだな。

 今まで姿見られることがなかったんだ。そりゃ会話する機会もない。

 せいぜい同じ艦魂同士くらいだろう。


 ……なるほど。しかしこれはコミュニケーションをとる上では一番の障害になりかねない。

 これは……、俺の出番だな。


「……よし、となると、ここは俺の出番か」


「え?」


 見ておれ。俺が懇親の一発をお見舞いしてやる。

 これで緊張などさっぱり消し去ってくれるわ。


「どれ。俺が一発ギャグを披露してやる」


「……何ギャグですか?」


「見てればわかるのだよ」


「はあ……」


 フフ、これで受けなかったことはないぞ。

 懇親の一発なのだ。


「……実はさ、」


「はい」


「……今日俺、朝飯食ってないのよ」


「え!? 食べてないんですか!?」


「ああ……、時間がなくて食う暇なくてさ……」


「ええ……」


「あー……、朝飯なくて、」


「?」





「あー、めぃしいー(あーさみしー)!」





「……な~んちゃって」


 ……よし、完璧だ。

 これはキタ。これで受けなかったやつは誰一人としていないぜ。

 大爆笑か確定だ。


「……どうだ? 完璧だろう」


「……」


「……、あれ?」


 おい、どうしたというんだ。

 今ので沈黙はないだろう。キタだろ?これはキタだろ?

 懇親の一作なんだぞこれ?


「……おーい?」


「……」




「……(カチーン」




「って固まってやがるよこいつうーーーー!!??」


 うそん、大爆笑の渦じゃなくて氷河期をつれてきてしまったパターンか!?

 なんてこったい! その反応は予想していなかった!


「おい!? 大丈夫か!? おきろー!」


 とりあえずマジで固まってるので体揺らしてみる。

 ……すると、


「……ハッ! 私は何を……」


 普通におきた。

 案外簡単におきたよ。


「……な、なに? 俺のそんなに寒かった?」


「こんな洋上で氷河期つれてきたらそりゃあ固まりますよ」


「なん……、だと……ッ!?」


 バカな……ッ!? 俺のこの懇親の一発が氷河期を連れてくるなど……。


「……え、これ受けてたんですか?」


「……一応」


「……どれくらいの人に聞かせました?」


「……ふ、二人……」


「え!? 二人だけ!?」


「おう……」


 だって……、そもそも聞いてくれるやつがいなかったんだもん……。

 カズと潮崎航海長くらいしかいなかったんだもん……。


「……どんな笑い方でした?」


「どちらかというと苦笑に近かった。その後いきなり爆笑し始めた」


「いや絶対気使ってますよそれええーーーー!!」


「ば、バカな……(ガーン」


 ありえん……懇親の一策が単なる愛想笑いで終わってたとか……。

 ……今まで自信持ってた俺は一体……。


「……あ、で、でも結構面白かったですよ? 結構」


「氷河期の説明をください」


「あ……いや……、えっと……」


 と、向こうがあたふたし始めた。

 ……それをしばらくの間眺めてみる。


「えっとですね、あれはいきなりのことで反応に困っただけで……、えっと……」


「……ププッ」


「え?」


 ……すまん、笑えてきた。


「プッ……、ッハハハハ! すまん、ちょっと笑えてきた(笑)」


 向こうの慌て様よ。

 申し訳ないが笑えてしまった(笑)。


「む~……別にそこまで笑わなくてもぉ……」


 そういって頬をプク~ッと膨らませてそっぽ向いた。

 ……ありゃりゃ、ちょいやりすぎたか。


「ははは、ごめんごめん。やりすぎたって」


「むぅ……」


 ……くそう、その顔もかわいく感じてしまった俺はもう毒されたのだろうか。

 手遅れにならないようにしなければ……。


「……あ、てかそろそろ飯やん」


 腕時計をふと見ると、もう11:30である。

 ……ふむ、食堂の込み具合の関係で見ると、もうそろそろ向かったほうがいいな。


「昼食ですか?」


「ああ、少し席外すわ。後でまた来る」


「は~い。じゃ、私は艦に戻ってますね~」


「……え? 艦に戻る?」


 なに、艦内に戻るってこと?


「あー……、えっと、艦に戻るというのは……。説明が難しいので実際に見てもらったほうが早いような……」


「なるほど。百聞は一見にしかずってことか。……いいぜ。見せてみ?」


「はい。では……」


 すると、また右手を手すりに、左手を胸に当て、目を閉じたと思ったら青白い光とともにその場から消えた。

 ……さっき見たし、もう驚かないぜ。


 ……で、


「……消えたのはわかったが、いったいどこに消えたのか……」


 辺りを見回してもいないしな。あいつはどこに消えたのか……。


 ……すると、


〝大樹さーん。聞こえますかー?〟


「……おう?」


 どこからともなく声が聞こえた。

 しかし、周りを見回してもさっき見たく姿は……、うん?


「……え、まさか?」


 そこで見当がついた俺にも結構驚いたが、それにはかまわず俺は後ろの上を見た。

 そこは電子機器が詰まれたメインマストだったが、厳密にはそこを見ているわけではない。

 簡単に言えば、〝艦自体〟を見ているって言えばいいだろうか。


「……お前、まさか〝艦の中〟から……?」


〝そういうことです〟


「は~……」


 ……なるほど。魂だからそういうこともできるのか。


 例えるとあれか。この艦自体を人間で言う体自体。艦魂を人間の魂と置き換えると、さっき見たく艦魂の姿が見えるあの状態は、人間で言えば魂自体が体から幽体離脱的なあれで出てきている状態。

 そして、今見たく艦魂が艦に戻った状態を、人間で言うところの魂が人間の体に戻った状態となるわけか。


 ……すごいな。というかいろんな意味で便利だなそれ。


 すると、また俺の目の前に青白い光が灯ったと思ったら彼女が現れた。

 ……もうなれたもの。人間どんなに非現実的なものであっても何度も見れば自然と受け入れられるようにできてるんだな。

 ……人間って怖い。


「便利な能力だなそれ」


「まあ、結構有用させてもらってます」


「ふ~ん……、ん?」


 ……うん? てことはちょっと待て。

 それって……、


「……あれ? でもそれってつまり……」


「え?」




「……つまり、どこからでも見ようと思えば俺たちを見れるってことじゃ……」




「……、え!?」


 ま、マズイ! ということは俺たちがいつ何をやってるか隅から隅まで……ッ!


 なんてこった。それじゃ俺たちのプライバシーがががが。

 ……いや、別に俺のプライバシーになんら怪しいもんはないんだけども……。


「た、確かに見ようと思えばみれないことはないですけど、そんなのたまにしか見ませんし、いつもはさっきみたいに空見て暇つぶしてますし……」


「あ……そ、そうか……」


 あ、危ない……。プライバシー云々の問題で艦魂相手に訴えられるところだった。

 ……まあ、する気はないけども。


 ……てか、何気に今気づいたが……、


「……あ、一応名前呼びでいくのね」


「はい。そのほうが呼びやすいので」


「ん。……となると、俺はどうしようか……」


「名前でいいですよ。普通に」


「そうか。じゃ、やまとでいいか」


「はい」


「それじゃあ……」


 そこで、俺は右手を前に出した。

 握手というのは昔からこういう交友を交わす上で重要なのでな。


「……改めて、これからよろしく。やまと」


「……はい。大樹さん」


 そこで、やまとも右手を出して手を交わして、互いに握手を交わした。

 よし、これで互いにいい関係を築くことができ……、


 ……うん?


「「……、え?」」


 俺たちは同時に声を出した。

 そして、その握手を交わしている互いの重なっている右手を見た。


 ……ちょっとまて。自分から手出しといてなんだが……、




「「……なんで触れるの!?」」




 ちょい待てや。向こうはあくまで艦〝魂〟だぞ? 魂なんだぞ? 実体ないんだぞ。

 さらに言えばどちらかというと幽霊みたいなもんなんだぞ?

 対するこっちは人間という名の実体だぞ?

 ……なんで触れんだよ。

 おかしくね。実体あるものが実体ないはずのものに触れるとかおかしくね? 艦自体に触れるってんならまだわかるが、俺人間だぜ?


「……え? なに? 艦魂見えるようになったらその艦魂に触る能力ももれなくついてくるんですか?」


「なんですかそのありがたいのかそうでないのかよくわからない付録」


「……どういうことだよ……」


 人間が艦魂を見るのは初めてだからそういうまだまだ解明されていない謎もあるだろうが、これは少しびっくりだわ……。


「……ま、まあそれはそれで別にいいわ。じゃ、俺は今度こそ食堂に行くぞ。あんまり待つと混むからな」


「はい。では、私もこれで失礼して……」


 そういって、また彼女は消えた。

 艦に戻ったんだろう。


 ……ふぅ~、


「……不思議な体験をしたもんだ」


 考えてみれば不可思議なもんだ。

 まさか、艦にもしっかり艦魂という魂的存在がいたとはな……。


 万物に神は宿るって伝説は、どうやら機械にも通用するらしい。


 まあ、さすがに昔の人々は万物の中に機械まで入れていなかっただろうがな。


「……さて、少し早いが飯だ飯」


 そういって俺は艦橋内に入ってそこから階段を下りる。


「? なんだ、飯か?」


 そういってきたのは航海長だ。


「ええ、少し飯食ってきます」


「そうか。……ところで、」


「?」


「……さっきからお前の声が聞こえた気がしたんだが、気のせいか?」


「え!?」


 や、ヤベッ! 聞こえてたか!

 え、えっと、とりあえずここは……、


「え、き、気のせいじゃないですかね? 俺は一言も言ってませんぜ?」


「? そうか。まあ、それならいいんだ」


「はは……」


 そういってそそくさと俺は艦橋を後にして階段を下りる。


 ……ふぅ、危なかった。


〝……これは時期をみて事情説明したほうがよさそうですね……〟


「だな……」


 唐突にどこからともなくやまとの声が聞こえた。

 艦から言っているんだろう。


 ……そうだな。当の本人もこういっていることだし、時期を見て早いとこ事情を説明したほうがいい……。

 さすがに全部を隠し通せる自信はない。必ずどっかでぼろが出る。


 ……ま、あんまりあせる必要はないな。


……まったく、






「……これからどうなるんだろうな……、俺の人生は」









 艦魂と出会った俺は、今後一体どんな人生を送ることになるのか…………

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