ギルド【レイリー】3
久々の投稿となりました。
昼過ぎ。
お昼休みに私は1人ギルドの裏の路地に足を運び、
「これを最優先でお願いね」
「…………」
差し出された書類を無言で受け取る男。
彼の風貌は何処にでも居そうな普通の男。一度人混みに紛れると二度と彼を見付けることは出来ないだろうと思わせるそんな男であった。
背を向け歩き出そうとする男に、
「あっ、待って!」
私の言葉に足を止める男。
「彼等に連絡つく?」
質問に彼はコクリとうなずく。
そして、次の瞬間。男の姿が私の目の前から消える。
数日後に事件が起きた。
それは。錬金術の名家であるタタール家の依頼についてのトラブルであった。
タタール家が求めていた品質とはかけはなれた品物が納品されたのだ。
「どういうことだ。これでは王家からの依頼を達成出来ないぞ……どうしてくれるんだっ!」
タタール家の当主が激怒し怒鳴り散らす。
「不味いわよ」
ケイトが私の隣で青ざめ小声でつぶやく。
「よりによって王家がからむ依頼って……」
「大丈夫。私に任せて」
「サリナ本当に大丈夫なの?」
ケイトが不安そうな顔を向ける。
そんな彼女に私は安心させるように微笑みかて、
「安心して。手は打ってあるから」
言ってからタタール家の当主の元へと向かう。
私が歩きはじめるとほぼ同時のタミミングでギルドの出入口付近がザワツキはじめたのだった。
私は立ち止まると視線を出入口へと向ける。そこには……
「何でこんなところに……」
「マジか……本物か?」
「あの人達って……」
「嘘だろ?」
ざわつく冒険者達。その視線の先には3人の冒険者の姿。
3人の冒険者。彼等は3人でパーティーを組んで活動をしている。
「蒼天の盾だよな……」
「Sランクが何故こんなところに?」
周囲が驚きから憧れや困惑へと変化していく。
高ランクの依頼がほぼ存在しない王都の冒険ギルドにSランク冒険者が訪れる事はほぼ無いのだ。ちなみに王都周辺での高ランクに該当するであろう討伐は王都の騎士団がこなしてしまっている。つまり冒険者の活躍の場所は騎士団の手がおよばない地方都市や小さな農村等となる。
蒼天の盾のリーダーであるバーロンはギルドの中程で立ち止まり視線をさ迷わせ、
「よお。サリナ嬢。来てやったぞ!」
私を見つけて彼は言ったのだった。




