ギルド【レイリー】 1
「出張おつかれっ!」
「ただいまっ!」
レイリース領ギルド本部【レイリー】。3ヶ月ぶりに私は帰って来た。ここで私は受付業務とギルド支部の監査業務を行っている。
「聞いたよ。また、大変だったんだって?」
「本当に大変だったわよ」
同僚のルイがそう言って苦笑する。
私はルイに手を振り彼女の隣に座り、これからはじめるギルドの受付業務の準備を進めつつここ3ヶ月間の出来事をルイに語るのだった。
…………
私はサリナ(23)。王都の冒険者ギルド【レイリー支部】で受付業務をしている。
そんなある日の事だった。
「あれ?」
「どうしたのケイト?」
焦った声を上げるケイトに仕事の手を止めて目を向ける。
するとケイトは書類の確認を止めると、
「新規の依頼書が1枚足りないわ……」
「えっ!」
私は慌てて席を立ち、ケイトの元に走り寄り、彼女の手元にある依頼書の山に目を向ける。
「足りないってどういうこと?」
私の言葉にケイトは青い顔をして言う。
「タタール男爵家からの依頼……」
「えっ。ソレって!」
「ええ。【氷月草】の採取依頼が……無くなっているの……」
「よりによって【氷月草】か……」
「不味いわよね?」
「そう……ね」
ケイトの言葉に頷く私。
錬金術の名家であるタタール男爵家からの依頼は錬金術に関連した物が主で、当然だがタタール男爵家の求める品質は非常に厳しい物となる。
そして、今回求められる品質は異常に厳しいのだ。ギルド主導で指名依頼を検討する程に……
「急いで依頼書の再発行手続きしないとまずいわよ」
私の言葉にケイトは慌てて手続きするために奧の部屋に向かって走り出した。
翌日。
「どうしたの?」
私は首を傾げるケイトに声をかけた。
するとケイトは戸惑いの表情で私に言う。
「あ。サリナ……
実は昨日の依頼書なのだけどね。再発行不可……だって……」
「はっ?」
「昨日、作成した申請書が不許可で差し戻されたわ」
ケイトは申請書を私に見える様に掲げた。
申請書の内容を確認して私はぽつりとつぶやいた
「申請には問題無さそうね」
「でしょ?
うちのギルドって申請書の可否の回答しか来ないから却下の理由が分からないのよねぇ」
困り顔で私と申請書を交互に見つめるケイト。
私は申請書を受け取り、彼女に言う。
「ちょっと本部に問合せてみるわね」
「そういえばサリナ……って」




